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広汎性発達障害 - Wikipedia
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広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい

特異とくい的てき発達はったつ障害しょうがいと対たい義ぎされる分類ぶんるい名めい

曖昧さ回避 この項目こうもくでは、ICD-10の定義ていぎによる分類ぶんるいについて説明せつめいしています。DSM-5の定義ていぎによる分類ぶんるいについては「自閉症じへいしょうスペクトラム障害しょうがい」をご覧らんください。

広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい（こうはんせいはったつしょうがい、英えい: pervasive developmental disorders, PDD）とは、特異とくい的てき発達はったつ障害しょうがい（英語えいご版ばん）との対たい義ぎされる分類ぶんるい名めいであり、世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）が定さだめた現在げんざいのICD-10（疾病しっぺい及および関連かんれん保健ほけん問題もんだいの国際こくさい統計とうけい分類ぶんるい 第だい10版はん）、またかつてアメリカ精神せいしん医い学会がっかいが刊行かんこうしたDSM-IV（精神せいしん疾患しっかんの分類ぶんるいと診断しんだんの手引てびき 第だい4版はん）において分類ぶんるい上じょうの概念がいねんとして取とり扱あつかわれている。

広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい
概要がいよう
診療しんりょう科か 精神せいしん医学いがく, 小児しょうに科学かがく, 臨床りんしょう心理しんり学がく, psychomotor education[*]
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 F84
ICD-9-CM 299
DiseasesDB 33524
eMedicine ped/1780
MeSH D002659

PDDは、社会しゃかい性せいの獲得かくとくやコミュニケーション能力のうりょくの獲得かくとくといった人間にんげんの基本きほん的てきな機能きのうの発達はったつ遅滞ちたいを特徴とくちょうとする、5つの精神せいしんと行動こうどうの障害しょうがいのグループである。PDDには以下いか5つの疾患しっかんが含ふくまれる[1][2]。うち、1-3番目ばんめは自じ閉スペクトラム(ASD)と呼よばれ一般いっぱん的てきである。4-5番目ばんめは稀まれであり、自じ閉スペクトラムに分類ぶんるいされることもあるが、そうでないこともある[3][4]。

  1. 自じ閉性障害しょうがい（Autism disorder、自閉症じへいしょう）。
  2. アスペルガー症候群しょうこうぐん（AS, AD）
  3. レット症候群しょうこうぐん
  4. 小児しょうに期き崩壊ほうかい性せい障害しょうがい （CDD）
  5. 特定とくてい不能ふのうの広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい（PDD-NOS）。非ひ定型ていけい自閉症じへいしょうを含ふくみ、47%と最もっとも一般いっぱん的てき[5]。

なお、その後ごのDSM-5ではPDDは自閉症じへいしょうスペクトラム障害しょうがいに再編さいへんされ、もはやPDDという概念がいねんは用もちいられていない[1]。そのためICD-10とDSM-5では、分類ぶんるい体系たいけいは一致いっちしていない[1]。

定義ていぎ

「精神せいしん障害しょうがい#定義ていぎ」も参照さんしょう

広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいには、知能指数ちのうしすうが低ひくい場合ばあいと高たかい場合ばあいの双方そうほうが見みられる。い換いかえると、DSM-IVにおける精神せいしん遅滞ちたい（DSM-5における知的ちてき機能きのう障害しょうがい）の有無うむである。

かつてアメリカ精神せいしん医い学会がっかいが刊行かんこうしたDSM-IV-TR（精神せいしん疾患しっかんの分類ぶんるいと診断しんだんの手引てびき 第だい4版はん新しん訂てい版ばん）においては、広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいに、自閉症じへいしょう、アスペルガー症候群しょうこうぐん、レット障害しょうがい、小児しょうに期き崩壊ほうかい性せい障害しょうがい、特定とくてい不能ふのうの広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい（非ひ定型ていけい自閉症じへいしょうを含ふくむ）が掲かかげられており、世界せかい保健ほけん機関きかんが定さだめたICD-10（疾病しっぺい及および関連かんれん保健ほけん問題もんだいの国際こくさい統計とうけい分類ぶんるい 第だい10版はん）においては、DSM-IV-TRと診断しんだん分類ぶんるいおよび診断しんだん基準きじゅんともに、やや異ことなる[1]。

WHOのICD-10においては、症状しょうじょうがいつ認みとめられるかについて統一とういつ性せいがない。自閉症じへいしょうは遅おそくとも生後せいご30ヶ月かげつ以内いないに症状しょうじょうが認みとめられる症候群しょうこうぐんであるとされているが[6]、小児しょうに期き崩壊ほうかい性せい障害しょうがいはそうではない。DSM-IVではこれらの障害しょうがいは通常つうじょう1歳さいまでに明あきらかになると記しるされている。

広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい、特異とくい的てき発達はったつ障害しょうがいは、双方そうほうともに発達はったつ障害しょうがいであるものの、発達はったつ障害しょうがいの概念がいねんについては整理せいりのやり直なおしが行おこなわれており、「○○発達はったつ障害しょうがい」という診断しんだん名めいでなくても、日本にっぽんの公的こうてき機関きかんにおける取とり扱あつかいにおいては発達はったつ障害しょうがいに含ふくめられるものもある[7]。

分類ぶんるい

ICD-10に基もとづいて分類ぶんるいすると、F84 広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいにおける下記かきのものが概おおむね該当がいとうする[6]。

F84.0 小児しょうに自閉症じへいしょう

小児しょうに自閉症じへいしょう（Childhood autism）、カナー症候群しょうこうぐん[6]。自じ閉的精神病せいしんびょう質しつは除外じょがいされる[6]。

3歳さいまでに形成けいせいされるPDDであり[6]、診断しんだん基準きじゅんとしては3つの点てんが基本きほん障害しょうがいとされている。

  1. 対人たいじん的てきな相互そうご反応はんのうの障害しょうがい、社会しゃかい性せいの障害しょうがい。
  2. 言語げんご・非ひ言語げんごによるコミュニケーションの障害しょうがい。
  3. 想像そうぞう力りょくの障害しょうがいとそれに基もとづく行動こうどうの障害しょうがい。

てんかんなどの脳波のうは異常いじょうや脳のう室しつ拡大かくだいが合併がっぺいする事こともある。 難治なんじ性せいではあるが特定とくていの症例しょうれいを除のぞき進行しんこう性せいではなく、一いち患者かんじゃにおいては発達はったつが見みられる。古典こてん的てきタイプのカナー型がた自閉症じへいしょうの発症はっしょう率りつは約やく1,000人にんに1人ひとりで男おとこ:女おんな=4:1とされる。人種じんしゅによる差さはない。アスペルガー症候群しょうこうぐんを除のぞき言葉ことばの発達はったつの障害しょうがいが見みられるため聴覚ちょうかく障害しょうがいと鑑別かんべつしなければならない。聴覚ちょうかく障害しょうがいやてんかんは、脳波のうは検査けんさで判定はんていできる。治療ちりょうは、コミュニケーションを促うながす療育りょういく的てき対応たいおうを基本きほんとして、個別こべつ一過いっか性せいの症状しょうじょうには対症たいしょう的てきな薬物やくぶつ療法りょうほうを行おこなう。薬物やくぶつ療法りょうほうは、自じ傷きず行為こういに対たいし、向こう精神せいしん薬やくを用もちいるなどする。

F84.1 非ひ定型ていけい自閉症じへいしょう

非ひ定型ていけい自閉症じへいしょう[6]、非ひ定型ていけい小児しょうに精神病せいしんびょう[6]、自じ閉的特徴とくちょうを伴ともなう精神せいしん遅滞ちたい。

F84.2 レット症候群しょうこうぐん

レット症候群しょうこうぐんは、1965年ねん、ウイーンの小児しょうに神経しんけい科かの医師いしアンドレアス・レット (Andreas Rett) 博士はかせによって一ひとつの症例しょうれいが発表はっぴょうされ、彼かれの名なを取とって「レット症候群しょうこうぐん」と名付なづけられた[1]。進行しんこう性せいの神経しんけい疾患しっかんで、知能ちのうや言語げんご・運動うんどう能力のうりょくが遅おくれ、常つねに手てをもむような動作どうさや、手てをたたいたり、手てを口くちに入いれたりなどの動作どうさを繰くり返かえすことが特徴とくちょう。生後せいご六ろくヶ月かげつから一いち年ねん六ろくヶ月かげつの頃ころに発症はっしょう[1]。児童じどう期きには体からだ幹みき失調しっちょう・脊椎せきつい変形へんけい・舞踏ぶとう病びょう様さま運動うんどう・てんかん発作ほっさが現あらわれ、進行しんこう性せい。運動うんどう機能きのうが崩壊ほうかいする。精神せいしん遅滞ちたいは重度じゅうど。ほとんど女児じょじに発症はっしょう。発症はっしょう率りつは女児じょじ10万まん人にんに6-7人にんといわれている[1]。

F84.3 その他たの小児しょうに期き崩壊ほうかい性せい障害しょうがい・児童じどう期き崩壊ほうかい性せい障害しょうがい

小児しょうに期き崩壊ほうかい性せい障害しょうがい、ラー症候群しょうこうぐん、共生きょうせい精神病せいしんびょう、崩壊ほうかい精神病せいしんびょう。

F84.4 知的ちてき障害しょうがい（精神せいしん遅滞ちたい）と常つね同どう運動うんどうに関連かんれんした過か動どう性せい障害しょうがい

精神せいしん遅滞ちたいと常つね同どう運動うんどうに関連かんれんした過か動どう性せい障害しょうがい

F84.5 アスペルガー症候群しょうこうぐん

アスペルガー症候群しょうこうぐん[6]、自じ閉的精神病せいしんびょう質しつ[6]、小児しょうにシゾイド障害しょうがい[6]、小児しょうに期き型がた統合とうごう失調しっちょう症しょう。一般いっぱん的てきには自閉症じへいしょうの軽度けいど例れいと考かんがえられている[要よう出典しゅってん]が、自じ閉傾向けいこうが強つよい場合ばあいは社会しゃかい生活せいかつでの対人たいじん関係かんけいに大おおきな問題もんだいが起おきるため、必かならずしも知的ちてき障害しょうがいがないから問題もんだいも軽度けいどであるとは限かぎらない。言語げんご・認知にんち的てき発達はったつの遅滞ちたいは少すくなく自閉症じへいしょうとは区別くべつされる。アスペルガー症候群しょうこうぐんは、知的ちてき障害しょうがいのある例れいは少すくなく言葉ことばの遅おくれもないため、障害しょうがいがあるようには見みえないことが多おおい。人前ひとまえで独ひとり言ごとを言いったり常つね同どう運動うんどうをしたりすることは極きわめて稀まれである。一見いっけん自閉症じへいしょうにはみえない自閉症じへいしょうといえる。そのために支援しえんが遅おくれがちで、大人おとなになってからの診断しんだん例れいも目立めだつ。2013年ねん刊行かんこうのDSM-5では、それぞれ別べつに分類ぶんるいされていた自じ閉性障害しょうがい、アスペルガー症候群しょうこうぐん、広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいが、自じ閉スペクトラム症しょう／自じ閉スペクトラム障害しょうがいに統合とうごうされるなどの大おおきな変更へんこうがあった。

F84.8 その他たの広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい

自じ閉性精神せいしん発達はったつ遅滞ちたい

F84.9 広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい、詳細しょうさい不明ふめい

上記じょうきの広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいのいずれにも分類ぶんるいされないものを指さす。DSM-IV-TRでは、特定とくてい不能ふのうの広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいが該当がいとうする。

高機能こうきのう広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい

 
他たの神経しんけい発達はったつ症しょうとの比較ひかく[8]

広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいのうち、知的ちてき障害しょうがいを伴ともなわないものを高機能こうきのう広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがい（英えい: High Functioning Pervasive Developmental Disorder、略称りゃくしょうはHFPDDとなるが、一般いっぱん的てきには高機能こうきのうPDDと称しょうしている）としている。障害しょうがいの度合どあいや複雑ふくざつ度どなどを指さすものではない点てんに注意ちゅういが必要ひつようである。

主おもに、高機能こうきのう自閉症じへいしょう (High Functioning Autism) とアスペルガー症候群しょうこうぐん (Asperger Syndrome) の総称そうしょうとして用もちいられているが、双方そうほうの症状しょうじょうに境界きょうかい線せんが明確めいかくに引ひけない場合ばあいもある。

専門せんもん家かによっては、高機能こうきのう広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいと（いわゆる、従来じゅうらい型がた自閉症じへいしょうとも称しょうされる）知的ちてき障害しょうがいを伴ともなう自閉症じへいしょうの境界きょうかいも区別くべつできないケースあるいは、連続れんぞく性せいがあり不可分ふかぶんであるという考かんがえ方かたもある。

DSM-5においては、包括ほうかつし再編さいへんされ自閉症じへいしょうスペクトラム障害しょうがいの診断しんだん名めいが登場とうじょうした。

原因げんいん

抗こううつ薬やく、特とくにSSRIを妊娠にんしん中ちゅうに使用しようすることは、母体ぼたいのうつ病びょうを考慮こうりょしても、子供こどもが自閉症じへいしょうスペクトラムになるリスクを増大ぞうだいさせる[9]。

バルプロ酸さんナトリウムを妊娠にんしん中ちゅうに使用しようすることは、母体ぼたいのてんかんを考慮こうりょしても、子孫しそんが自閉症じへいしょうや自閉症じへいしょうスペクトラムになるリスクを増加ぞうかさせる[10][11][12][13][14][15]。

ニキビ治療ちりょう薬やくイソトレチノインを子宮しきゅう内ないで曝露ばくろした子供こどもの 30-60% が神経しんけい認知にんち障害しょうがいを有ゆうすることが報告ほうこくされている[16]。

2012年ねんの東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいんの研究けんきゅうでは、自閉症じへいしょうスペクトラム者しゃに特徴とくちょう的てきな幼少ようしょう期きの一過いっか性せいの脳のう体積たいせき増加ぞうかがニューロン以外いがいのグリア細胞さいぼうなどの組織そしき増加ぞうかであることが間接かんせつ的てきに示しめされた。脳のう体積たいせきが正常せいじょう化かする成人せいじん期きにかけては定型ていけい発達はったつ者しゃと変かわらないレベルになることも示しめされた。幼少ようしょう期きにグリア細胞さいぼうの一過いっか性せい増加ぞうかを引ひき起おこす炎症えんしょうの様ような反応はんのうが自閉症じへいしょうの原因げんいんに関かかわることを支持しじしている[17][18]。

治療ちりょう

応用おうよう行動こうどう分析ぶんせき (ABA) を用もちいた支援しえんの有効ゆうこう性せいが提唱ていしょうされている[19]。

広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいに承認しょうにんされた治療ちりょう薬やくはないが、漢方薬かんぽうやくの処方しょほう例れいと改善かいぜん例れいがある[20][21]。

社会しゃかい的てき状況じょうきょう

医療いりょう現場げんばでの問題もんだい

精神せいしん科か医いの島田しまだ能のう考こうによると広汎こうはん性せい発達はったつ障害しょうがいの患者かんじゃを診みることが増ふえると、発達はったつ障害しょうがいを専せん門もんにしている医師いしだというデマ情報じょうほうが流ながれ、ますますその系統けいとうの患者かんじゃが増ふえてしまう悪循環あくじゅんかんが生うまれる問題もんだいがある[22]。これは発達はったつ障害しょうがいを専門せんもんとする研究けんきゅう者しゃや臨床りんしょう医師いしが少すくないためである。

PDDとトラウマ

PDDとトラウマ・アダルトチルドレンには密接みっせつな関係かんけいがある。虐待ぎゃくたい・いきすぎたしつけなどによって生しょうじるトラウマは、発達はったつ障害しょうがいの「増悪ぞうあく因子いんし」となり、発達はったつ障害しょうがいを重じゅう篤あつし化かさせる[23][24]。

PDDに対たいする誤解ごかい

PDDは前述ぜんじゅつのように、先天的せんてんてきもしくは幼少ようしょう期きに生しょうじる障害しょうがいである[25]。しかし、家庭かていでの子育こそだてが原因げんいんであるかのような議論ぎろんも存在そんざいする。2012年ねんには、超党派ちょうとうはの議員ぎいん連盟れんめいである親おや学がく推進すいしん議員ぎいん連盟れんめいが開ひらいた勉強べんきょう会かいで、発達はったつ障害しょうがい児じの育児いくじ環境かんきょうについて「子供こどもへの声こえ掛かけが少すくないため」とした上うえで、発達はったつ障害しょうがいは「予防よぼう可能かのう」などの記載きさいを行おこなっていたことが明あきらかになっている[26]。

刑事けいじ裁判さいばんにおける問題もんだい

平野ひらの区く市営しえい住宅じゅうたく殺人さつじん事件じけんにおいて姉あねを殺害さつがいしたとして殺人さつじん罪ざいで起訴きそされた、発達はったつ障害しょうがいの一ひとつであるアスペルガー症候群しょうこうぐんを持もった男性だんせい被告ひこくについて、2012年ねん7月がつ30日にちに大阪おおさか地裁ちさいの判決はんけつは、被告ひこくにはアスペルガー症候群しょうこうぐんが見みられ、その影響えいきょう下かで起おこされた事件じけんであることは認みとめつつも、母親ははおやら親族しんぞくが被告ひこくとの同居どうきょを断たっており、出所しゅっしょしても社会しゃかいに受うけ皿ざらがないとして、「再犯さいはんの恐おそれがあり、許ゆるされる限かぎり内省ないせいを長期ちょうきにわたり深ふかめさせることが社会しゃかい秩序ちつじょのためになる」として、殺人さつじん罪ざいの有期ゆうき刑けいの上限じょうげんであり求刑きゅうけいよりも重おもい懲役ちょうえき20年ねんとした[27]。

この判決はんけつに対たいし、「共生きょうせい社会しゃかいを創つくる愛あいの基金ききん」は、「アスペルガー症候群しょうこうぐんについての認識にんしきに重大じゅうだいな誤あやまりがあり、発達はったつ障害しょうがい者しゃの矯正きょうせいに結むすびつかない」、「『危険きけんな障害しょうがい者しゃは閉とじ込こめておけ』との思想しそうに基もとづいた判決はんけつで、隔離かくりの論理ろんりに基もとづいている」などと批判ひはんした[28]。この事件じけんの法廷ほうていは裁判さいばん員いん裁判さいばんであり、発達はったつ障害しょうがい（者しゃ）への差別さべつ・無む理解りかい・偏見へんけんといった「市民しみん感覚かんかく」によって裁判さいばんの結果けっかが左右さゆうされ得える点てんについての疑義ぎぎが呈ていされた[29]。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
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  7. ^ 発達はったつ障害しょうがい者しゃ支援しえん法ほう第だい2条じょう第だい1項こうなど
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  28. ^ 「大阪おおさか地裁ちさい判決はんけつについての意見いけん表明ひょうめい」 共生きょうせい社会しゃかいを創つくる愛あいの基金ききん 2012年ねん8月がつ3日にち
  29. ^ 発達はったつ障害しょうがいのある被告人ひこくにんによる実姉じっし刺殺しさつ事件じけんの大阪おおさか地裁ちさい判決はんけつに関かんする会長かいちょう談話だんわ 日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かい 2012年ねん8月がつ10日とおか

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