御酒みき殿どの神しん

御酒みき殿どの神しん（みさかどののかみ）は、三重みえ県けん伊勢いせ市しにある神社じんじゃ及および同どう神社じんじゃの祭神さいじん。伊勢いせ市内しないに2社しゃ存在そんざいし、1社しゃは伊勢神宮いせじんぐう皇すめらぎ大神宮だいじんぐう（内宮ないくう）所管しょかん社しゃ、もう1社しゃは伊勢神宮いせじんぐう豊ゆたか受大神宮じんぐう（外宮げくう）所管しょかん社しゃである。

御酒みき殿どの神しん
内宮ないくう所管しょかん社しゃ・御酒みき殿どの神しん
所在地しょざいち	三重みえ県けん伊勢いせ市し
主祭しゅさい神しん	御酒みき殿どの神しん
社格しゃかく等ひとし	皇すめらぎ大神宮だいじんぐう所管しょかん社しゃ
創建そうけん	不ふ詳しょう
別名べつめい	御酒みき殿どの
主おもな神事しんじ	御酒みき殿どの祭さい（年とし3回かい）

御酒みき殿どの
外宮げくう所管しょかん社しゃ・御酒みき殿どの
所在地しょざいち	三重みえ県けん伊勢いせ市し
主祭しゅさい神しん	御酒みき殿どの神しん
社格しゃかく等ひとし	豊ゆたか受大神宮じんぐう所管しょかん社しゃ
創建そうけん	不ふ詳しょう
別名べつめい	御酒みき殿どの神しん
主おもな神事しんじ	御酒みき殿どの祭さい（年とし3回かい）

外宮げくうの忌き火屋ほや殿どの
この奥おくに御酒みき殿どのが鎮座ちんざするが、一般いっぱん参拝さんぱい者しゃは立たち入いることができない。

御酒みき殿どの神しんで催行さいこうされる御酒みき殿どの祭さいでは、神宮じんぐうで醸造じょうぞうする神酒みきが無事ぶじできるよう祈いのるだけでなく、日本にっぽんの酒造しゅぞう業ぎょうの繁栄はんえいも祈念きねんされる。

概要がいよう

内宮ないくうに奉納ほうのうされた三重みえ県けん産さんの清酒せいしゅ

本節ほんぶしでは2社しゃ共通きょうつう事項じこうについて記述きじゅつする。

祭神さいじんの御酒みき殿どの神しんは御酒みき殿どのの神かみであり、内宮ないくうの御酒みき殿どの神しんと外宮げくうの御酒みき殿どの神しんは同おなじ神しんである。

かつては御酒みき殿どので神酒みきを醸造じょうぞうし、神前しんぜんに供そなえていたが、醸造じょうぞうは忌き火屋ほや殿どの（いみびやでん）で行おこなわれるようになったため、三さん節せつ祭さいと呼よばれる6月がつと12月の月次げつじ祭さいおよび10月がつの神嘗祭かんなめさいの際さいに一時いちじ的てきに神前しんぜんに供そなえる酒さけを納おさめるために利用りようされる。御酒みき殿どのに納おさめられる酒さけは、白酒しろざけ（しろき）、黒酒くろき（くろき）、醴酒（れいしゅ）、清酒せいしゅ（せいしゅ）の4種類しゅるいである。清酒せいしゅのみ篤志とくし家かからの献納けんのうを受うけ、ほかの3種しゅの酒さけは内宮ないくうの忌き火屋ほや殿どのにて醸造じょうぞうする。なお、三さん節せつ祭さい以外いがいの神事しんじで酒さけを神前しんぜんに納おさめる際さいには、醴酒と清酒せいしゅを、日にち別べつ朝夕ちょうせき大だい御ご饌祭（ひごとあさゆうおおみけさい、常つね典てん御ご饌とも）の際さいには清酒せいしゅのみを御酒みき殿どのに納おさめる。

古代こだいの御酒みき殿どの神しんでは、火ひ無む浄きよし酒しゅ（ほなしきよさけ）と呼よばれる粢しとぎ（しとぎ、米こめを水みずに浸ひたして砕くだいた物もの）に上うえ御井みい神社じんじゃの御井みいから汲くんだ水みずを加くわえただけの酒さけと、火ひ向こう御酒みき（ほむけのかんみき）と呼よばれる甘酒あまざけの2種類しゅるいを醸造じょうぞうした。

御酒みき殿どの祭さい

御酒みき殿どの祭さい（みさかどのさい）は、年とし3回かい、6月・10月・12月に催行さいこうされる神事しんじ。神前しんぜんに捧ささげる酒さけの醸造じょうぞうの成功せいこうと日本にっぽんの酒造しゅぞう業ぎょうの繁栄はんえいを祈願きがんし、御酒みき殿どのに糀こうじ（こうじ）を奉納ほうのうする。2013年ねん（平成へいせい25年ねん）9月25日にちに行おこなわれた御酒みき殿どの祭さいでは、祭事さいじに合あわせ、三重みえ県けん酒造しゅぞう組合くみあいの会員かいいん38業者ぎょうしゃが38の4斗と樽だるを内宮ないくうに奉納ほうのうした。

内宮ないくうの御酒みき殿どの神しん

内宮ないくう所管しょかん社しゃの御酒みき殿どの神しんは、内宮ないくう神域しんいきの五ご丈たけ殿どの北方ほっぽうにある由貴ゆき御倉おぐらに向むかって左手ひだりてに鎮座ちんざする。内宮ないくうの所管しょかん社しゃ30社しゃのうち第だい5位いである。1910年ねん（明治めいじ43年ねん）11月に造つくり替かえられている。

近世きんせいまで酒さけ作物さくもつ忌き（さかとくのものいみ）が忌き火屋ほや殿どので白酒しろざけを、清酒せいしゅ作物さくもつ忌き（きよさけつくりのものいみ）が御ご贄にえを清きよめる場所ばしょと同おなじ場所ばしょで黒酒くろきを醸造じょうぞうした。黒酒くろきには五十鈴川いすずがわの清流せいりゅうの水みずを加くわえて醸造じょうぞうしていた。明治めいじ以降いこうは神職しんしょくが白酒しろざけ・黒酒くろきを醸造じょうぞうする。

『皇すめらぎ太ふと神宮じんぐう儀式ぎしき帳ちょう』によれば、内宮ないくうの御酒みき殿どのは長ながさ40尺しゃく（約やく12m）、広ひろさ17尺しゃく（約やく5.1m）、高たかさ8尺しゃく（約やく2.4m）であった。

外宮げくうの御酒みき殿どの

外宮げくう所管しょかん社しゃの御酒みき殿どのは、外宮げくう神域しんいきの北御門きたごもん参道さんどう脇わきにある忌き火屋ほや殿どのの奥おくに鎮座ちんざする。一般いっぱんの参拝さんぱい者しゃが立たち入いることのできない区域くいきにあるため、忌き火屋ほや殿どの前まえから遥拝ようはいする。外宮げくうの所管しょかん社しゃ4社しゃのうち第だい1位いである。1910年ねん（明治めいじ43年ねん）11月に造つくり替かえられている。

外宮げくうの御酒みき殿どのは今いまではひっそりと佇たたずんでいるが、近世きんせいまで隣となりに務つとむ所しょ庁ちょう（まつりごとや）があり、斎ひとし殿どの（いみどの）、3つの炊事すいじ所ところが並ならび、直会なおらい（なおらい）が御酒みき殿どのの前庭ぜんていなどで行おこなわれ、外宮げくうの祭儀さいぎにおいて重要じゅうような場所ばしょであった。『止とめ由よし気き神宮じんぐう儀式ぎしき帳ちょう』によれば、外宮げくうの御酒みき殿どのは長ながさ25尺しゃく（約やく7.5m）、広ひろさ16尺しゃく（約やく4.8m）、高たかさ9尺しゃく（約やく2.7m）であった。

神宮じんぐうにおける酒造しゅぞう

加藤かとう百ひゃく一いちが発表はっぴょうした論文ろんぶんによれば、1977年ねん（昭和しょうわ52年ねん）の神嘗祭かんなめさいに醸造じょうぞうされた神宮じんぐうの酒さけは、伊勢いせ市し楠部くすべ町まちの神宮じんぐう神田かんだで収穫しゅうかくした白米はくまい25kg、四日市よっかいち市しの業者ぎょうしゃから入荷にゅうかした米べい麹こうじ2.7kg、上うえ御井みい神社じんじゃの御井みいの水みず30Lを酒さけ母ははなしで一いち度どに仕込しこむどぶろく仕込しこみであり、仕込しこんでから12日にち後ごにできた酒さけを2つに分わけ、何なにも入いれない方ほうを白酒しろざけ、草木くさきの灰はいを加くわえたものを黒酒くろきとした。1977年ねん（昭和しょうわ52年ねん）度どの神宮じんぐうの酒造しゅぞう量りょうは180Lであった。白酒しろざけ・黒酒くろきの製法せいほうは濁にごり酒ざけだが濾過ろかを行おこなうため、日本にっぽんの法律ほうりつ上うえ「清酒せいしゅ」扱あつかいとなるが、醴酒はアルコール度数どすうが1%未満みまんであるので、法律ほうりつ上じょう「酒さけ」ではない。

交通こうつう

内宮ないくうの御酒みき殿どの神しん

• JR参宮さんぐう線せん・近鉄きんてつ山田やまだ線せん伊勢いせ市し駅南えきなん口こう（JR）または近鉄きんてつ山田やまだ線せん・鳥羽線とばせん宇治山田うじやまだ駅えきより三さん重じゅう交通こうつうバスに15分ふんほど乗車じょうしゃ、内宮ないくう前ぜん下車げしゃ。近鉄きんてつ鳥羽線とばせん五十鈴川いすずがわ駅えきからも三重みえ交通こうつうバスで内宮ないくう前まえへ行いくことが可能かのうである。
• 伊勢いせ自動車じどうしゃ道どう伊勢いせ西にしICより三さん重じゅう県道けんどう32号ごう伊勢いせ磯部いそべ線せん（御木本みきもと道路どうろ）を南みなみへ約やく5分ふんまたは伊勢いせICより国道こくどう23号ごうを南みなみへ約やく5分ふん、付近ふきんに駐車ちゅうしゃ場じょうあり。

外宮げくうの御酒みき殿どの

• JR参宮さんぐう線せん・近鉄きんてつ山田やまだ線せん伊勢いせ市し駅南えきなん口こう（JR側がわ）より外宮げくう参道さんどうを通とおって徒歩とほ5分ふん程度ていど。
• 三重交通みえこうつう「伊勢いせ市し駅前えきまえ」バス停ばすていより徒歩とほ5分ふん。
• 三重みえ交通こうつう「外宮げくう前まえ」バス停ばすていよりすぐ。
• 伊勢いせ自動車じどうしゃ道どう伊勢いせ西にしICより三重みえ県けん道どう32号ごう伊勢いせ磯部いそべ線せん（御木本みきもと道路どうろ）を北きたへ約やく5分ふん。周辺しゅうへんに合計ごうけい448台だい収容しゅうようの駐車ちゅうしゃ場じょうがある。

参考さんこう文献ぶんけん

• 宇治山田うじやまだ市役所しやくしょ 編へん『宇治山田うじやまだ市し史し 上巻じょうかん』宇治山田うじやまだ市役所しやくしょ、昭和しょうわ4年ねん1月がつ20日はつか、862p.
• 加藤かとう百ひゃく一いち（1979）"清酒せいしゅを造つくる神社じんじゃ"日本にっぽん釀造じょうぞう協會きょうかい雜誌ざっし（日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい）.74(5):282-289.
• 加藤かとう百ひゃく一いち（1982）"酒神しゅしんと神社じんじゃ（12）"日本にっぽん釀造じょうぞう協會きょうかい雜誌ざっし（日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい）.77(11):806-810.
• 学研がっけんパブリッシング『伊勢神宮いせじんぐうに行いこう』Gakken Mook神社じんじゃ紀行きこうセレクションvol.1、薗田そのだ稔みのる監修かんしゅう、学研がっけんマーケティング、2013年ねん7月がつ4日にち、82p. ISBN 978-4-05-610047-1
• 櫻井さくらい勝之かつゆき進すすむ『伊勢神宮いせじんぐう』学生がくせい社しゃ、昭和しょうわ45年ねん10月がつ20日はつか重版じゅうはん、251p.
• 『お伊勢いせさん125社しゃめぐり』別冊べっさつ『伊勢いせ人じん』、伊勢いせ文化ぶんか舎しゃ、平成へいせい20年ねん12月23日にち、151p. ISBN 978-4-900759-37-4

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの神かみの一覧いちらん
• 神宮じんぐう125社しゃの一覧いちらん

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• 御酒みき殿どの神しん（みさかどののかみ） 皇すめらぎ大神宮だいじんぐう所管しょかん社しゃ - 財団ざいだん法人ほうじん伊勢神宮いせじんぐう崇敬すうけい会かい
• 御酒みき殿どの（みさかどの） 豊ゆたか受大神宮じんぐう所管しょかん社しゃ - 財団ざいだん法人ほうじん伊勢神宮いせじんぐう崇敬すうけい会かい