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暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 - Wikipedia

暴力団ぼうりょくだんいんによる不当ふとう行為こうい防止ぼうしとうかんする法律ほうりつ

日本にっぽん法律ほうりつ

暴力団ぼうりょくだんいんによる不当ふとう行為こうい防止ぼうしとうかんする法律ほうりつ(ぼうりょくだんいんによるふとうなこういのぼうしとうにかんするほうりつ、平成へいせい3ねん法律ほうりつだい77ごう)は、暴力団ぼうりょくだんいんおこな暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こうい規制きせいとうかんする法律ほうりつで、刑法けいほうたいする特別とくべつほうである。

暴力団ぼうりょくだんいんによる不当ふとう行為こうい防止ぼうしとうかんする法律ほうりつ
日本国政府国章(準)
日本にっぽん法令ほうれい
通称つうしょう略称りゃくしょう 暴対法ぼうたいほう暴力団ぼうりょくだん対策たいさくほう
法令ほうれい番号ばんごう 平成へいせい3ねん法律ほうりつだい77ごう
種類しゅるい 刑法けいほう
効力こうりょく 現行げんこうほう
成立せいりつ 1991ねん5がつ8にち
公布こうふ 1991ねん5がつ15にち
施行しこう 1992ねん3がつ1にち
所管しょかん 国家こっか公安こうあん委員いいんかい
警察庁けいさつちょう刑事けいじきょく
おも内容ないよう 暴力団ぼうりょくだん極道ごくどう取締とりしま
関連かんれん法令ほうれい 組織そしきてき犯罪はんざい処罰しょばつほう
条文じょうぶんリンク 暴力団ぼうりょくだんいんによる不当ふとう行為こうい防止ぼうしとうかんする法律ほうりつ - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
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暴力団ぼうりょくだんいんおこな暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こういについて必要ひつよう規制きせいおこない、および暴力団ぼうりょくだん対立たいりつ抗争こうそうひとしによる市民しみん生活せいかつたいする危険きけん防止ぼうしするために必要ひつよう措置そちこうずるとともに、暴力団ぼうりょくだんいん活動かつどうによる被害ひがい予防よぼうとうするための民間みんかん公益こうえきてき団体だんたい活動かつどう促進そくしんする措置そちとうこうずることにより、市民しみん生活せいかつ安全あんぜん平穏へいおん確保かくほはかり、もって国民こくみん自由じゆう権利けんり保護ほごすることを目的もくてきとする。略称りゃくしょう暴対法ぼうたいほう[1]暴力団ぼうりょくだん対策たいさくほう暴力団ぼうりょくだん新法しんぽう[2]など。

主務しゅむ官庁かんちょう警察庁けいさつちょう刑事けいじきょく組織そしき犯罪はんざい対策たいさく暴力団ぼうりょくだん対策たいさくで、同庁どうちょう警備けいびきょく公安こうあん法務省ほうむしょう刑事けいじきょく公安こうあんおよび公安調査庁こうあんちょうさちょう調査ちょうさだい一部いちぶ連携れんけいして執行しっこうにあたる。

構成こうせい

編集へんしゅう

出典しゅってん:[3]

  • だいいちしょう 総則そうそくだいいちじょうだいはちじょう
  • だいしょう 暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こうい規制きせいとう
    • だいいちせつ 暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こうい禁止きんしとうだいきゅうじょうだいじゅうじょうろく
    • だいせつ 不当ふとう要求ようきゅうによる被害ひがい回復かいふくとうのための援助えんじょだいじゅうさんじょうだいじゅうよんじょう
  • だいさんしょう 対立たいりつ抗争こうそう事務所じむしょ使用しよう制限せいげんとうだいじゅうじょうだいじゅうじょうよん
  • だいよんしょう 加入かにゅう強要きょうよう規制きせいその規制きせいとう
    • だいいちせつ 加入かにゅう強要きょうよう規制きせいとうだいじゅうろくじょうだいじゅうはちじょう
    • だいせつ 事務所じむしょとうにおける禁止きんし行為こういとうだいじゅうきゅうじょうだいさんじゅうじょう
    • だいさんせつ 損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうとう妨害ぼうがい規制きせいだいさんじゅうじょうだいさんじゅうじょうよん
    • だいよんせつ 暴力ぼうりょく行為こうい賞揚しょうようとう規制きせいだいさんじゅうじょう
    • だいせつ 縄張なわばりかか禁止きんし行為こういとうだいさんじゅうじょうろくだいさんじゅうじょうなな
  • だいよんしょう 特定とくてい危険きけん指定してい暴力団ぼうりょくだんとう指定していとうだいさんじゅうじょうはちだいさんじゅうじょうじゅう
  • だいしょう 指定してい暴力団ぼうりょくだん代表だいひょうしゃとう損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにんだいさんじゅういちじょうだいさんじゅういちじょうさん
  • だいろくしょう 暴力団ぼうりょくだんいんによる不当ふとう行為こうい防止ぼうしとうかんするくにとう責務せきむおよ民間みんかん活動かつどう促進そくしんだいさんじゅうじょうだいさんじゅうじょうじゅう
  • だいななしょう 雑則ざっそくだいさんじゅうさんじょうだいよんじゅうじょう
  • だいはちしょう 罰則ばっそくだいよんじゅうろくじょうだいじゅうじょう
  • 附則ふそく

内容ないよう

編集へんしゅう
暴力団ぼうりょくだん」および指定してい
本法ほんぽうでは、まず、規制きせい対象たいしょう明確めいかくにするため、暴力団ぼうりょくだんを「その団体だんたい構成こうせいいん(その団体だんたい構成こうせい団体だんたい構成こうせいいんふくむ)が集団しゅうだんてきにまたは常習じょうしゅうてき暴力ぼうりょくてき不法ふほう行為こういとうおこなうことを助長じょちょうするおそれがある団体だんたいをいう。」と定義ていぎする(2じょう2ごう)。そして、都道府県とどうふけん公安こうあん委員いいんかいが、暴力団ぼうりょくだんのうち、暴力団ぼうりょくだんいん生計せいけい維持いじ財産ざいさん形成けいせいまた事業じぎょう遂行すいこうのための資金しきんるために暴力団ぼうりょくだん威力いりょく利用りようすることを容認ようにんすることを実質じっしつじょう目的もくてきとする団体だんたいであって、犯罪はんざい経歴けいれき保有ほゆうする暴力団ぼうりょくだんいん一定いってい割合わりあいめ、首領しゅりょう統制とうせいした階層かいそうてき構成こうせいされた団体だんたいを「指定してい暴力団ぼうりょくだん」に指定していすることができる(3じょう)。さらに、暴力団ぼうりょくだん指定してい暴力団ぼうりょくだんのぞく)の全部ぜんぶまたはだい部分ぶぶん指定してい暴力団ぼうりょくだんである場合ばあい当該とうがい暴力団ぼうりょくだん指定してい暴力団ぼうりょくだん連合体れんごうたいとして指定していされる(4じょう)。2012ねん平成へいせい24ねん)10がつより、対立たいりつ抗争こうそうかか指定してい暴力団ぼうりょくだんとう特定とくていこうそう指定してい暴力団ぼうりょくだんとうとして指定していし(15じょうの2)、また、指定してい暴力団ぼうりょくだん構成こうせいいんとう凶器きょうき使用しようしてひと生命せいめいまたは身体しんたい重大じゅうだい危害きがいくわえる方法ほうほうによる暴力ぼうりょく行為こうい反復はんぷく継続けいぞくするおそれがある場合ばあい当該とうがい指定してい暴力団ぼうりょくだんとう特定とくてい危険きけん指定してい暴力団ぼうりょくだんとうとして指定していする(30じょうの8)。
不当ふとう行為こうい」の禁止きんし措置そち命令めいれい罰則ばっそく
本法ほんぽうだい2しょうにおいて、指定してい暴力団ぼうりょくだんとう暴力団ぼうりょくだんいんが、指定してい暴力団ぼうりょくだん威力いりょくしめして民事みんじ介入かいにゅう暴力ぼうりょくなどの暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こういおこなうことをきんじる(9じょう)。暴力団ぼうりょくだんいん以外いがい一般人いっぱんじんたいしては、指定してい暴力団ぼうりょくだんいん暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こういをすることを要求ようきゅう依頼いらい、またはそそのかすことをきんじる(10じょう)。また、公安こうあん委員いいんかいは、対立たいりつ抗争こうそうには事務所じむしょ使用しよう禁止きんしめいずることができる(だい3しょう)。だい4しょうにおいて、指定してい暴力団ぼうりょくだんへの加入かにゅう勧誘かんゆうや、事務所じむしょにおいて付近ふきん住民じゅうみん不安ふあんあたえるような一定いってい行為こういきんじる。
これらの禁止きんし行為こういたいしては、公安こうあん委員いいんかい措置そち命令めいれいおこなうことができるようにし、また、措置そち命令めいれい実効じっこうせい確保かくほするため、罰則ばっそく規定きていもうけられている(だい8しょう)。なお、警戒けいかい区域くいき暴力ぼうりょく行為こういによりひと生命せいめいまた身体しんたい重大じゅうだい危害きがいくわえられることを防止ぼうしするためとく警戒けいかいようする区域くいき)とさだめられた区域くいきないにおける禁止きんし行為こうい違反いはんについては、措置そち命令めいれいずに罰則ばっそくすことが規定きていされている(ちょくばっ規定きてい)。
暴力団ぼうりょくだんいん活動かつどうによる被害ひがい予防よぼうとうするための民間みんかん公益こうえきてき団体だんたい活動かつどう促進そくしんするため、暴力ぼうりょく追放ついほう運動うんどう推進すいしんセンター指定していなどもさだめられている(だい6しょう)。
民事みんじ責任せきにんとくそく
上記じょうきくわえて、指定してい暴力団ぼうりょくだん代表だいひょうしゃとうたいする民法みんぽう不法ふほう行為こうい責任せきにんについてもとくそくもうけられ、凶器きょうき使用しようして指定してい暴力団ぼうりょくだん同士どうしこうそうまたは指定してい暴力団ぼうりょくだんないにおける抗争こうそうにより他人たにん生命せいめい身体しんたいまたは財産ざいさん侵害しんがいしたときは指定してい暴力団ぼうりょくだん代表だいひょうしゃとう無過失責任むかしつせきにんうことになる(31じょう)。さらに、指定してい暴力団ぼうりょくだんいん威力いりょく利用りよう資金しきん獲得かくとく行為こうい当該とうがい指定してい暴力団ぼうりょくだん威力いりょく利用りようして生計せいけい維持いじ財産ざいさん形成けいせいもしくは事業じぎょう遂行すいこうのための資金しきん、または当該とうがい資金しきんるために必要ひつよう地位ちい行為こういをいう)をおこなうについて他人たにん生命せいめい身体しんたいまたは財産ざいさん侵害しんがいしたときについても、代表だいひょうしゃとう直接ちょくせつまたは間接かんせつ利益りえきける立場たちばいとき、指定してい暴力団ぼうりょくだんいんによる威力いりょく利用りよう資金しきん獲得かくとく行為こうい指定してい暴力団ぼうりょくだんいん以外いがいものによる強要きょうようによってなされかつ代表だいひょうしゃとう過失かしつ場合ばあいのぞいて、損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにんう(31じょうの2)。なお、これらの規定きてい民法みんぽうもとづく不法ふほう行為こうい責任せきにんべつうことを排除はいじょするものではない(31じょうの3)。
不当ふとう要求ようきゅう防止ぼうし責任せきにんしゃ講習こうしゅう制度せいど
公安こうあん委員いいんかいは、事業じぎょうしゃ事業じぎょうおこなもので、使用人しようにんその従業じゅうぎょうしゃ以下いかこのこうにおいて「使用人しようにんとう」という)を使用しようするものをいう。以下いかおなじ)にたいし、不当ふとう要求ようきゅう暴力団ぼうりょくだんいんによりその事業じぎょうかんおこなわれる暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こういその不当ふとう要求ようきゅうをいう。以下いかおなじ)による被害ひがい防止ぼうしするために必要ひつような、責任せきにんしゃ当該とうがい事業じぎょうかか業務ぎょうむ実施じっし統括とうかつ管理かんりするものであって、不当ふとう要求ようきゅうによる事業じぎょうしゃおよ使用人しようにんとう被害ひがい防止ぼうしするために必要ひつよう業務ぎょうむおこなものをいう)の選任せんにん不当ふとう要求ようきゅう応対おうたいする使用人しようにんとう対応たいおう方法ほうほうについての指導しどうその措置そち有効ゆうこうおこなわれるようにするため、資料しりょう提供ていきょう助言じょげんその必要ひつよう援助えんじょおこなうものとする(14じょう)、公安こうあん委員いいんかいは、前項ぜんこう選任せんにんかか責任せきにんしゃ業務ぎょうむ適正てきせい実施じっしさせるため必要ひつようがあるとみとめるときは、国家こっか公安こうあん委員いいんかい規則きそくさだめるところにより、当該とうがい責任せきにんしゃたいする講習こうしゅうおこなうことができる(14じょうの2)。にもとづく講習こうしゅう制度せいどである。「責任せきにんしゃ選任せんにん届出とどけでしょ」を事業じぎょうしょ所在地しょざいち管轄かんかつする地元じもと警察けいさつしょ暴力団ぼうりょくだん対策たいさく担当たんとう)に提出ていしゅつすると、おおむね1かげつ~3かげつ以内いない講習こうしゅう受講じゅこう通知つうちおくられる。受講じゅこうりょう無料むりょうであり、講習こうしゅう時間じかんやく3あいだである。
改正かいせい
2008ねん5がつ2にち改正かいせいされ同日どうじつ一部いちぶ施行しこう、8がつ1にち完全かんぜん施行しこうされた[4]
2012ねん7がつ企業きぎょう襲撃しゅうげきかえしたり、こうそう事件じけんこしたりする暴力団ぼうりょくだんあらたに「特定とくてい危険きけん指定してい暴力団ぼうりょくだん」「特定とくていこうそう指定してい暴力団ぼうりょくだん」に指定していしてとう対策たいさくんだ改正かいせいあん成立せいりつし、10月30にち施行しこうされた。

禁止きんしされる具体ぐたいてき行為こうい

編集へんしゅう

本法ほんぽうは、指定してい暴力団ぼうりょくだんいんそのもの所属しょぞくする指定してい暴力団ぼうりょくだんひとしまたはその系列けいれつ上位じょうい指定してい暴力団ぼうりょくだんとう威力いりょくしめして以下いか行為こういをすることを禁止きんしする。(だい9じょう

  1. 口止くちどりょう要求ようきゅうする行為こうい
  2. 寄付きふきん賛助さんじょきんとう要求ようきゅうする行為こうい
  3. 下請したうけ参入さんにゅうとう要求ようきゅうする行為こうい
  4. 縄張なわばない営業えいぎょうしゃたいして「みかじめりょう」を要求ようきゅうする行為こうい
  5. 縄張なわばない営業えいぎょうしゃたいして用心棒ようじんぼうだいとう要求ようきゅうする行為こうい
  6. 利息りそく制限せいげんほう違反いはんする高金利こうきんり債権さいけんてる行為こうい
  7. 不当ふとう方法ほうほう債権さいけんてる行為こうい
  8. 借金しゃっきん免除めんじょ借金しゃっきん返済へんさい猶予ゆうよ要求ようきゅうする行為こうい
  9. 貸付かしつおよ手形てがた割引わりびき不当ふとう要求ようきゅうする行為こうい
  10. 信用しんよう取引とりひき不当ふとう要求ようきゅうする行為こうい
  11. 株式かぶしき買取かいととう不当ふとう要求ようきゅうする行為こうい
  12. 預貯金よちょきん受入うけいれを不当ふとう要求ようきゅうする行為こうい
  13. 地上じあげをする行為こうい
  14. 土地とち家屋かおく明渡あけわたりょうとう不当ふとう要求ようきゅうする行為こうい
  15. たくけん業者ぎょうしゃたいして不動産ふどうさん取引とりひきかんする不当ふとう要求ようきゅうをする行為こうい
  16. たくけん業者ぎょうしゃ以外いがいものたいして不動産ふどうさん取引とりひきかんする不当ふとう要求ようきゅうをする行為こうい
  17. 建設けんせつ業者ぎょうしゃたいして建設けんせつ工事こうじ不当ふとう要求ようきゅうする行為こうい
  18. 集会しゅうかい施設しせつ利用りよう不当ふとう要求ようきゅうする行為こうい
  19. 交通こうつう事故じことう示談じだん介入かいにゅうし、金品きんぴんとう要求ようきゅうする行為こうい
  20. 商品しょうひん欠陥けっかんとう口実こうじつ損害そんがい賠償ばいしょうとう要求ようきゅうする行為こうい
  21. 役所やくしょたいして自己じこ有利ゆうり行政ぎょうせい処分しょぶん要求ようきゅうする行為こうい
  22. 役所やくしょたいして他人たにん不利ふり行政ぎょうせい処分しょぶん要求ようきゅうする行為こうい
  23. くにとうたいして自己じこ公共こうきょう工事こうじとう入札にゅうさつ参加さんかさせることを要求ようきゅうする行為こうい
  24. くにとうたいして他人たにん公共こうきょう工事こうじとう入札にゅうさつ参加さんかさせないことを要求ようきゅうする行為こうい
  25. ひとたいして公共こうきょう工事こうじとう入札にゅうさつ参加さんかしないことまた一定いってい価格かかく入札にゅうさつすることを要求ようきゅうする行為こうい
  26. くにとうたいして自己じこ公共こうきょう工事こうじとう契約けいやく相手方あいてがたとすることまた他人たにん相手方あいてがたとしないことを要求ようきゅうする行為こうい
  27. くにとうたいして公共こうきょう工事こうじとう契約けいやく相手方あいてがたたいする指導しどうとう要求ようきゅうする行為こうい

影響えいきょう

編集へんしゅう

1992ねん平成へいせい4ねん3月1にち施行しこうされた。山口組やまぐちぐみ稲川いながわかい住吉会すみよしかい工藤くどうかいなど24の暴力団ぼうりょくだんが、本法ほんぽうによる指定してい暴力団ぼうりょくだんとされている。本法ほんぽうによって暴力団ぼうりょくだんいんかず減少げんしょうし、暴力団ぼうりょくだん事務所じむしょ撤去てっきょすすんだ。また、対立たいりつこうそう事件じけんすう減少げんしょうし、その継続けいぞく期間きかん短縮たんしゅく傾向けいこうにある。さらに暴力団ぼうりょくだんいんによる資金しきん獲得かくとく活動かつどう困難こんなんになった。

本法ほんぽう施行しこう結果けっか暴力団ぼうりょくだん活動かつどう法律ほうりつれぬように巧妙こうみょうになり、一般いっぱん企業きぎょう社会しゃかいへの進出しんしゅつ企業きぎょう舎弟しゃてい増加ぞうか)や組織そしき擬装ぎそう増加ぞうかするなど、組織そしき不透明ふとうめい地下ちか組織そしきマフィアすすんだ。また、組織そしき犯罪はんざい国際こくさいや、暴力団ぼうりょくだん寡占かせん政治せいじてき殺害さつがいすすむことが懸念けねんされる[1]

しかし現在げんざいでは暴力団ぼうりょくだん排除はいじょ条例じょうれい[5]全国ぜんこく都道府県とどうふけん市区しく町村ちょうそん施行しこうされていることによって、暴力団ぼうりょくだんいんがわまたは暴力団ぼうりょくだん関係かんけいしゃがわ事業じぎょうしゃがわともに就職しゅうしょく取引とりひき契約けいやく借金しゃっきん銀行ぎんこう口座こうざ開設かいせつ部屋へや賃貸ちんたいなどがきんじられているため、暴力団ぼうりょくだんいん一般いっぱん社会しゃかい進出しんしゅつすることはできない状況じょうきょうにある。実際じっさい条例じょうれい違反いはんかんする事例じれいもわずかなことからして、暴力団ぼうりょくだんいん一般いっぱん社会しゃかい進出しんしゅつしていることは、ほぼありないのが現実げんじつである。溝口みぞぐちあつしは「なさけないのはヤクザのがわともいえる。法的ほうてきみどころのある暴排条例じょうれい反論はんろんするような理論りろん武装ぶそうができなくなっている」と事実じじつじょう皮肉ひにくめた発言はつげんをしている[6]

暴力団ぼうりょくだん事務所じむしょ使用しよう請求せいきゅう

編集へんしゅう

2013ねん施行しこうほう改正かいせいにより、代理だいり訴訟そしょう制度せいど仕組しくみが整理せいりされ、都道府県とどうふけん単位たんい設立せつりつされている暴力ぼうりょく追放ついほう運動うんどう推進すいしんセンターなどが、地域ちいき住民じゅうみん代理だいりとして暴力団ぼうりょくだん事務所じむしょ使用しようめなどをもとめる裁判さいばんこすことが可能かのうになった。発足ほっそく当初とうしょは、制度せいど活用かつようするうごきは低調ていちょうであったが[7]2017ねん10月2にちには、指定してい暴力団ぼうりょくだん神戸こうべ山口組やまぐちぐみ本部ほんぶ事務所じむしょたいし、暴力団ぼうりょくだん追放ついほう兵庫ひょうご県民けんみんセンター使用しようめをもとめる仮処分かりしょぶん神戸こうべ地方裁判所ちほうさいばんしょもうてるなどのうごきがみられるようになった[8]

賞揚しょうようとう禁止きんし

編集へんしゅう

2008ねんほう改正かいせい対立たいりつこうそうなどで暴力ぼうりょく行為こういなどをこした指定してい暴力団ぼうりょくだん組員くみいんからんで、刑期けいき満了まんりょうから5ねん以内いない労金ろうきん出所しゅっしょわいきんなど金品きんぴん授受じゅじゅきんじる賞揚しょうようとう禁止きんし命令めいれい制度せいどが8がつ施行しこうされた。同年どうねん9がつかく公安こうあん委員いいんかいから指定してい暴力団ぼうりょくだん代表だいひょうしゃとう34にんたいして賞揚しょうようとう禁止きんし仮命令かりめいれい発出はっしゅつした。

法案ほうあんは、治安ちあん立法りっぽうたいする一部いちぶ政治せいじ勢力せいりょく根強ねづよ反対はんたい風土ふうどからすれば、異例いれいといえる衆参しゅうさん全会ぜんかい一致いっち可決かけつされた。しかし、日本国にっぽんこく憲法けんぽう21じょう1こう保障ほしょうする「結社けっしゃ自由じゆう」を不当ふとう制限せいげん違憲いけんであるとの主張しゅちょうがある。制定せいてい暴力団ぼうりょくだんいん支援しえんしゃらが、抗議こうぎデモ行進こうしんすわみをし、各地かくち本法ほんぽう違憲いけん主張しゅちょうした訴訟そしょう提起ていきした。弁護士べんごし遠藤えんどうまことは、本法ほんぽう違憲いけん主張しゅちょうする行政ぎょうせい訴訟そしょう弁護べんごさいして、山口組やまぐちぐみからの12おくえんあまり資金しきん提供ていきょうさるけたがことわり、無償むしょう弁護べんごした。また、遠藤えんどう野村のむらあきかい音頭おんどにより、暴力団ぼうりょくだん有志ゆうしによる「任侠にんきょう市民しみん連合れんごう」、右翼うよく団体だんたい一水会いちすいかい青年せいねん組織そしき統一とういつ戦線せんせん義勇軍ぎゆうぐん」、しん左翼さよく日本にっぽん共産党きょうさんとう行動こうどう合同ごうどうで、デモ行進こうしんなどによる反対はんたい運動うんどう展開てんかいした。

代目だいめ工藤くどう連合れんごう草野くさの一家かずや提起ていきした訴訟そしょうにおいて、福岡ふくおか地方裁判所ちほうさいばんしょは、「暴力団ぼうりょくだん個人こじん結合けつごうである団体だんたい結社けっしゃであり、構成こうせいする個人こじんについては、その憲法けんぽうじょう人権じんけん保障ほしょう規定きてい当然とうぜん効力こうりょくおよものであるから、一律いちりつにその結社けっしゃ行動こうどうとう禁止きんしし、規制きせいすることは、憲法けんぽう基本きほんてき人権じんけん保障ほしょう趣旨しゅし無視むしし、かく条項じょうこう形骸けいがいし、個人こじん思想しそう良心りょうしん弾圧だんあつする結果けっか招来しょうらいしかねない」し、「ほう3じょうによる指定してい暴力団ぼうりょくだんとの指定してい処分しょぶんは、その指定していされた団体だんたいほう抵触ていしょくし、存在そんざいゆるされないとの印象いんしょうあたえることになることは、払拭ふっしょくできず、その指定していされた団体だんたい構成こうせいいんが、いわば暴力ぼうりょくてき行為こうい常習じょうしゅうするものとの印象いんしょうけることはまぬかれないところであり、また、憲法けんぽう14じょう1こうにいう社会しゃかいてき身分みぶんとは、ひと社会しゃかいにおいてめる継続けいぞくてき地位ちいをいうものである(最高裁さいこうさい昭和しょうわ39ねん5がつ27にち判決はんけつみんしゅう18かん4ごう676ぺーじ)が、すくなくとも原告げんこく主張しゅちょうのとおり、犯罪はんざい経歴けいれき保有ほゆうしゃ地位ちいは、みぎにいう社会しゃかいてき身分みぶんたるすることができ、これを理由りゆうとしてほかことなる取扱とりあつかいをすることには慎重しんちょうでなければならないところである」としながら、本法ほんぽうにつき、「立法りっぽう趣旨しゅしは、市民しみん生活せいかつ安全あんぜん平穏へいおん確保かくほはかることにあり(どうほう1じょう)、この目的もくてき自体じたい必要ひつようかつ合理ごうりてきなもの」であり、「ただ特定とくてい団体だんたい壊滅かいめつとうのためにのみ制定せいていされたものではないうえ暴力団ぼうりょくだん構成こうせいいんにとっては、ほう企図きとする規制きせいは、みずからのほか人権じんけん侵害しんがい阻止そしされる結果けっかになるというにすぎず」、「団体だんたい活動かつどう制限せいげん団体だんたい解散かいさんとうのような団体だんたいへの直接ちょくせつ規制きせいは、おこなうこととされておらず、指定していについては、一応いちおう3年間ねんかん有効ゆうこう期限きげんかぎってなされ、また、指定していたっては、暴力団ぼうりょくだんしかゆうしない団体だんたいてき特徴とくちょう法文ほうぶんじょう明示めいじし、対象たいしょう範囲はんい拡大かくだいをなくすとともに審査しんさ専門せんもん委員いいん制度せいどほう27じょう)と不服ふふく申立もうしたて制度せいどほう26じょう)をもうけて暴力団ぼうりょくだん規定きてい趣旨しゅし逸脱いつだつした指定していがされないように配慮はいりょがされているうえ直接ちょくせつには指定してい暴力団ぼうりょくだん構成こうせいいん具体ぐたいてき暴力ぼうりょくてき要求ようきゅう行為こうい規制きせいされることになっており」、「暴対法ぼうたいほうによる規制きせい目的もくてきは、公共こうきょう福祉ふくし観点かんてんからのものであり、一応いちおう合理ごうりせいがある制度せいどということができ」、憲法けんぽう21じょう1こう違反いはんしないとした[9]

2012ねん平成へいせい24ねん)12月27にちに、福岡ふくおかけん公安こうあん委員いいんかいおよび山口やまぐちけん公安こうあん委員いいんかいが、工藤くどうかいを「特定とくてい危険きけん指定してい暴力団ぼうりょくだん」に指定していしたことから、工藤くどうかいは2013ねん平成へいせい25ねん)1がつ18にちに、指定してい処分しょぶんしをもとめるうったえを、福岡ふくおか地方裁判所ちほうさいばんしょおよび山口やまぐち地方裁判所ちほうさいばんしょ提起ていきした。代理人だいりにん弁護士べんごしは「改正かいせい暴対法ぼうたいほう工藤くどうかい活動かつどういちじるしく制限せいげんするもので、表現ひょうげん自由じゆう結社けっしゃ自由じゆうさだめた日本国にっぽんこく憲法けんぽうにも違反いはんしている」としている[10]。2015ねん平成へいせい27ねん)7がつ15にち福岡ふくおか地方裁判所ちほうさいばんしょは「結社けっしゃではなく構成こうせいいんによるはん社会しゃかいてき行為こういたいする規制きせいで、公共こうきょう福祉ふくし観点かんてんから必要ひつようかつ合理ごうりてき」などとしてうったえを退しりぞけた。

暴力団ぼうりょくだん対策たいさくほう規定きていする再発さいはつ防止ぼうし命令めいれいから刑事けいじ裁判さいばん日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい14じょう規定きていする平等びょうどうけん違反いはんするという指定してい暴力団ぼうりょくだんいん被告ひこく主張しゅちょうについては、2023ねん1がつ23にち最高裁さいこうさいは「規定きていによる規制きせい市民しみん生活せいかつ安全あんぜん平穏へいおん確保かくほはか目的もくてき達成たっせいするために必要ひつようかつ合理ごうりてき理由りゆうのない差別さべつとはえない」として合憲ごうけん判決はんけつした[11]

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ a b 暴力団ぼうりょくだんミニ講座こうざ>23) マフィア 松江まつえ地区ちく建設けんせつぎょう暴力ぼうりょく追放ついほう対策たいさく協議きょうぎかい公式こうしきサイト
  2. ^ 暴対法ぼうたいほう改訂かいてい反対はんたい院内いんない集会しゅうかいでの宮台みやのだい発言はつげん BLOGOS
  3. ^ 暴力団ぼうりょくだんいんによる不当ふとう行為こうい防止ぼうしとうかんする法律ほうりつ e-Gov法令ほうれい検索けんさく 2022ねん3がつ21にち閲覧えつらん
  4. ^ 暴力団ぼうりょくだんいんからおどられるなどしたおかねは、勇気ゆうきって損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうしましょう。~暴力団ぼうりょくだん対策たいさくほう改正かいせいされました~ - 政府せいふ広報こうほうオンライン、2008ねん11月
  5. ^ 東京とうきょう暴力団ぼうりょくだん排除はいじょ条例じょうれい[リンク]
  6. ^ 自力じりき無罪むざいった組長くみちょうも?日本国にっぽんこく憲法けんぽう熟読じゅくどくするヤクザのねら ライブドアニュース公式こうしきサイト
  7. ^ 暴力ぼうりょく追放ついほう広島ひろしま県民けんみん会議かいぎ広島ひろしま)は2がつ暴力団ぼうりょくだんどもせいかいけい組長くみちょうたいし、市内しないにあるくみ事務所じむしょ使用しよう”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん (2014ねん4がつ30にち). 2018ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  8. ^ 神戸こうべ山口組やまぐちぐみ本部ほんぶめを」 住民じゅうみん委託いたく代理だいり訴訟そしょう”. 朝日新聞あさひしんぶん (2017ねん10がつ2にち). 2018ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  9. ^ 平成へいせい7ねん3がつ28にち 判例はんれいタイムズ894ごう92ぺーじ
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 暴力団ぼうりょくだん対策たいさくほう研究けんきゅうかいへん 成田なりたよりゆきあきら監修かんしゅう暴力団ぼうりょくだん対策たいさくほう解説かいせつ-新法しんぽうによるみん対策たいさく 市民しみん企業きぎょうまもる!』民事みんじほう研究けんきゅうかい、1992ねんISBN 978-4944027217
  • 日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごうかい民事みんじ介入かいにゅう暴力ぼうりょく対策たいさく委員いいんかいへん注解ちゅうかい暴力団ぼうりょくだん対策たいさくほう逐条ちくじょう解説かいせつ比較ひかくほう研究けんきゅう民事みんじほう研究けんきゅうかい、1997ねんISBN 978-4944027989
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  • 遠藤えんどうまことへん)『解読かいどく暴力団ぼうりょくだん新法しんぽう現代書館げんだいしょかん、1992ねんISBN 978-4768466025
  • 遠藤えんどうまこと『コンメンタール・暴力団ぼうりょくだん新法しんぽう現代書館げんだいしょかん、1992ねんISBN 978-4768466094

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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