朴ぼく烈れつ

朴ぼく烈れつ
各種かくしゅ表記ひょうき
チョソングル：	박열
漢字かんじ：	朴ぼく烈れつ
発音はつおん：	パク・ヨル
日本語にほんご読よみ：	ぼくれつ
ロろーマ字まじ：	Park Yeol
各種かくしゅ表記ひょうき（本名ほんみょう）
ハングル：	박준식
漢字かんじ：	朴ぼく準じゅん植うえ
発音はつおん：	パク・チュンシク
日本語にほんご読よみ：	ぱくじゅんしょく
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朴ぼく烈れつ^[1]
朴ぼく烈れつ
生誕せいたん	朴ぼく準じゅん植うえ; 1902年ねん3月12日にち; 大韓たいかん帝国ていこく慶尚北道けいしょうほくどう聞慶郡ぐん
死没しぼつ	1974年ねん1月がつ17日にち（71歳さい没ぼつ）; 北朝鮮きたちょうせん詳細しょうさい不明ふめい
出身しゅっしん校こう	京きょう城じょう第だい二に高等こうとう普通ふつう学校がっこう（現在げんざいの京畿けいき高等こうとう学校がっこう）師範しはん科か中退ちゅうたい
職業しょくぎょう	ジャーナリスト
罪名ざいめい	大逆だいぎゃく罪ざい
刑罰けいばつ	1926年ねん3月25日にち死刑しけい、後のちに恩赦おんしゃで無期むき懲役ちょうえきに減刑げんけい
犯罪はんざい者しゃ現況げんきょう	終戦しゅうせんで釈放しゃくほう
非ひ婚こん配偶はいぐう者しゃ	金子かねこ文子ふみこ
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朴ぼく烈れつ（パク・ヨル、ぼく、れつ、朝鮮ちょうせん語ご: 박열、1902年ねん 3月12日にち - 1974年ねん 1月がつ17日にち）は、大正たいしょう時代じだいの朝鮮ちょうせんの社会しゃかい運動うんどう家か、ニヒリスト、無む政府せいふ主義しゅぎ者しゃ。本ほん貫ぬきは咸陽朴ぼく氏し（朝鮮ちょうせん語ご版ばん）^[2]。朴ぼく烈れつはペンネームであり、本名ほんみょうは朴ぼく準じゅん植うえ（パク・チュンシク、박준식）。朴ぼく烈れつ事件じけんの被告ひこくでもあった。在日本大韓民国民団ざいにっぽんだいかんみんこくみんだんの初代しょだい団長だんちょうで、韓国かんこくに帰国きこく後ご、朝鮮ちょうせん戦争せんそうで捕虜ほりょとなって北朝鮮きたちょうせんに連行れんこうされ、容共ようきょうに思想しそう矯正きょうせいされた。詳細しょうさいについては不明ふめいだが、そこで後のちに処刑しょけいされたと言いわれている。

人物じんぶつ

大韓たいかん帝国ていこく末期まっきの慶尚北道けいしょうほくどう聞慶郡ぐん麻あさ城じょう面めんの農家のうかに生うまれた。三さん・一いち運動うんどう後ご、京きょう城じょう第だい二に高等こうとう普通ふつう学校がっこうを中退ちゅうたいして1919年ねんに日本にっぽんへ渡わたった。

以後いご、朝鮮ちょうせんを併合へいごうした日本にっぽんへの敵意てきいから無む政府せいふ主義しゅぎ活動かつどうに参加さんか、黒くろ濤会、不逞ふてい社しゃ（ふていしゃ）などを結成けっせい、信濃川しなのがわ逃亡とうぼう労働ろうどう者しゃ殺害さつがい事件じけんの追及ついきゅうや、雑誌ざっし『太ふとい鮮人（ふていせんじん）』（この題名だいめいは『不逞ふてい鮮人』を後のちに「改題かいだいさせられたもの」^[3]）を発刊はっかんした。この間あいだに朝鮮ちょうせんで暮くらしたこともある無む政府せいふ主義しゅぎ者しゃの日本人にっぽんじんの思想家しそうかである金子かねこ文子ふみこと愛人あいじん関係かんけいとなり、同棲どうせいした。

1923年ねんの関東大震災かんとうだいしんさいの2日にち後ご、治安ちあん警察けいさつ法ほうの予防よぼう検束けんそくを口実こうじつにして文子ふみことともに逮捕たいほされた。（朴ぼく烈れつ事件じけん）

朝鮮ちょうせん独立どくりつ運動うんどう家かと思おもわれていた朴ぼく烈れつを取とり締しまることが目的もくてきであったが、特別とくべつに反乱はんらんを準備じゅんびしていたようなめぼしい証拠しょうこはなく、逮捕たいほ理由りゆうは不十分ふじゅうぶんであった。しかし予よ審しんなどで朴ぼく烈れつ自みずからが天皇てんのうを暗殺あんさつしようとしていたと供述きょうじゅつしたことから、爆発ばくはつ物ぶつ取締とりしまり罰則ばっそく違反いはんから一転いってんして、大逆だいぎゃく罪ざいで告発こくはつされた。1926年ねん3月がつには死刑しけい判決はんけつが下くだされた後のち、同年どうねん4月がつになって天皇てんのうの慈悲じひによる恩赦おんしゃによって無期むき懲役ちょうえきに減刑げんけいされると、朴ぼく烈れつは激怒げきどした。朴ぼく烈れつは減刑げんけい拒否きょひを宣言せんげんしたが、無視むしされて無期むき懲役ちょうえき刑けいに決きまった。なお、獄中ごくちゅうで結婚けっこんする意向いこうだったがこの三さんヶ月かげつ後ごに文子ふみこは死亡しぼうしている。

朴ぼく烈れつは、千葉刑務所ちばけいむしょに長期ちょうき服役ふくえきし最後さいごは秋田あきた刑務所けいむしょに移うつったが、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんで日本にっぽんが敗戦はいせんした後のちの1945年ねん 10月27日にちまで獄中ごくちゅうで過すごすことになった。

相次あいつぐ転向てんこう

しばらくは獄中ごくちゅうから無政府むせいふ主義しゅぎ者しゃと連絡れんらくして獄中ごくちゅう手記しゅきを発表はっぴょうしていたりしていた。1937年ねんに「日本にっぽんのために生いき、日本にっぽんのために死しぬ」と思想しそう転向てんこうを表明ひょうめいして恭順きょうじゅん上申じょうしん書しょを刑務所けいむしょ長ちょうに提出ていしゅつした^[4]。朴ぼく烈れつと上海しゃんはい戦線せんせんで戦たたかう日本人にっぽんじん海軍かいぐん陸戦りくせん隊たい兵士へいしとの手紙てがみのやり取とりは新聞しんぶんでも報ほうじられ、内うち鮮融和ゆうわのプロパガンダに利用りようされた。

なお、千葉刑務所ちばけいむしょ時代じだいには、二・二六事件ににろくじけんの決起けっき将校しょうこうの一人ひとりで同おなじく千葉刑務所ちばけいむしょに捕とらえられていた池田いけだ俊彦としひこと出会であっている。池田いけだは回顧かいこ録ろくの中なかで朴ぼく烈れつが反日はんにち活動かつどうをした朝鮮ちょうせんの農民のうみんを搾取さくしゅした日本人にっぽんじんの高利貸こうりがしの悪行あくぎょうに抗議こうぎしたかったと述のべたことから、朴ほおに共感きょうかんして『あのような事件じけんを起おこした者ものとは思おもえぬ温厚おんこうな人ひとであった』と評ひょうしている^[5]。

秋田あきた刑務所けいむしょ出獄しゅつごく直前ちょくぜんの1945年ねん 10月17日にちには朝日新聞あさひしんぶんの取材しゅざいに応おうじ、「昭和しょうわ17年ねん、ある動機どうきから転向てんこうするに至いたり、その後ごは内心ないしんから恭順きょうじゅんするに至いたった。転向てんこう以来いらい、日本人にっぽんじんとして生いきると誓ちかった以上いじょうは、社会しゃかいが受うけ入いれてくれなくても、自分じぶんは日本人にっぽんじんとして生いきたいと思おもう」と述のべている^[6]。

出獄しゅつごくすると、無む政府せいふ主義しゅぎから反共はんきょう主義しゅぎへと転向てんこうした。大逆だいぎゃく罪ざいを受うけたという知名度ちめいどを用もちいて、在日ざいにち朝鮮ちょうせん人じんの組織そしきの結成けっせいを目指めざして1946年ねんに反はん共産きょうさん組織そしきである新しん朝鮮ちょうせん建設けんせつ同盟どうめいを結成けっせいして委員いいん長ちょうとなり、同年どうねん10月3日にちに在ざい日本にっぽん朝鮮ちょうせん居留民きょりゅうみん団だんを結成けっせいして初代しょだい団長だんちょうに就任しゅうにんした。しかし1949年ねんの団長だんちょう選挙せんきょで再選さいせんされず、失意しついの内うちに大韓民国だいかんみんこくに帰国きこくした。再選さいせん出来できなかった背景はいけいには同胞どうほうからの知名度ちめいどだけで日本にっぽん支持しじに公式こうしき転向てんこうして、日本にっぽん敗北はいぼくで再さい転向てんこうしたことへの批判ひはんと転向てんこうに次つぐ転向てんこうで評判ひょうばんと人気にんきが下落げらくして組織そしき内部ないぶでも不信ふしん感かんが持もたれていたからだとされる^[7]。

帰国きこく後ごは李り承晩しょうばんの勧すすめで国務こくむ委員いいん（大臣だいじんに相当そうとう）に任命にんめいされて^[8]政界せいかい進出しんしゅつに意欲いよくを見みせていたが、翌よく1950年ねん6月がつに朝鮮ちょうせん戦争せんそう中なかにソウルを占領せんりょうした北朝鮮きたちょうせん軍ぐんに捕とらえられ、北朝鮮きたちょうせんへ連行れんこうされた。1956年ねん、在ざい北きた平和へいわ統一とういつ促進そくしん協議きょうぎ会かい会長かいちょうに就任しゅうにん^[1]。

1966年ねん6月がつに雑誌ざっし『統一とういつ評論ひょうろん』で「共産きょうさん主義しゅぎ者しゃと私わたし」を発表はっぴょうし、反共はんきょうから容共ようきょうに思想しそう転向てんこうを表明ひょうめいした。北朝鮮きたちょうせんの南北なんぼく平和へいわ統一とういつ委員いいん会かいの副ふく委員いいん長ちょうを務つとめるなどしたが、1974年ねん1月がつ17日にちに死去しきょ^[9]。田中たなか清きよし玄げんによると、朴ぼく烈れつはその後ごスパイ容疑ようぎをかけられて最期さいごは処刑しょけいされた^[10]。平壌ぴょんやん市し龍りゅう城じょう区域くいき龍宮りゅうぐう一いち洞ほらの「在ざい北きたの人ひとの墓域ぼいき」に埋葬まいそうされている^[11]。

著作ちょさく

『独立どくりつ指導しどう者しゃ朴ぼく烈れつ』新しん朝鮮ちょうせん建設けんせつ同盟どうめい宣伝せんでん部ぶ〈建たて同どうパンフレット3〉、1946年ねん9月がつ29日にち。NDLJP:3450690。
『新しん朝鮮ちょうせん革命かくめい論ろん』中外ちゅうがい出版しゅっぱん、1948年ねん8月がつ15日にち。NDLJP:1044937。