水野みずの英子えいこ

水野みずの英子えいこ
生誕せいたん	1939年ねん10月29日にち（84歳さい）; 日本にっぽん・山口やまぐち県けん下関しものせき市し
職業しょくぎょう	漫画まんが家か
活動かつどう期間きかん	1955年ねん -
ジャンル	少女しょうじょ漫画まんが
代表だいひょう作さく	『星ほしのたてごと』、『白しろいトロイカ』、; 『ハニー・ハニーのすてきな冒険ぼうけん』、; 『ファイヤー!』
受賞じゅしょう	第だい15回かい小学館しょうがくかん漫画まんが賞しょう; （『ファイヤー!』）; 第だい39回かい日本にっぽん漫画まんが家か協会きょうかい賞しょう文部もんぶ科学かがく大臣だいじん賞しょう; （全ぜん作品さくひん）
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水野みずの英子えいこ（みずのひでこ、1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）10月29日にち - ）は、日本にっぽんの漫画まんが家か。山口やまぐち県けん下関しものせき市し出身しゅっしん。日本にっぽんの女性じょせい少女しょうじょ漫画まんが家いえの草分くさわけ的てき存在そんざいで、後ごの少女しょうじょ漫画まんが家か達たちに与あたえた影響えいきょうの大おおきさやスケールの大おおきい作風さくふうから、女おんな手塚てづか（女性じょせい版ばん手塚てづか治虫おさむ）と呼よばれることもある。トキワ荘そうに居住きょじゅうした漫画まんが家かの紅一点こういってん。代表だいひょう作さく『星ほしのたてごと』、『白しろいトロイカ』、『ファイヤー!』。 2010年ねん、第だい39回かい日本にっぽん漫画まんが家か協会きょうかい賞しょう文部もんぶ科学かがく大臣だいじん賞しょうを受賞じゅしょう^[1]。2023年ねん、文化庁ぶんかちょう長官ちょうかん表彰ひょうしょう^[2]。

概要がいよう

手塚てづか治虫おさむの『リボンの騎士きし』によって少女しょうじょ漫画まんがに初はじめて長編ちょうへんストーリーが導入どうにゅうされた後のち、それをさらに発展はってんさせ1960年代ねんだいまでの間あいだに、絵柄えがら、衣装いしょう、取とり扱あつかうテーマ、ストーリー展開てんかいなどの点てんで、戦後せんごのロマンや西部せいぶ劇げきや歴史れきし劇げきの少女しょうじょ漫画まんが、映画えいが的てきな技法ぎほうの少女しょうじょ漫画まんがの基本形きほんけいを確立かくりつした漫画まんが家かである。特とくに男女だんじょの恋愛れんあいを少女しょうじょ漫画まんがで初はじめて描えがいた作家さっかといわれる^[3]^[4]。また、1960年代ねんだい後半こうはんのカウンターカルチャーを真正面ましょうめんから扱あつかったロック漫画まんが『ファイヤー!』は少女しょうじょ漫画まんがの枠わくを超こえて広ひろい注目ちゅうもくを集あつめた。

漫画まんが史し的てきにみると、手塚てづか治虫おさむが少年しょうねん漫画まんがで用もちいたダイナミックで映画えいが的てきな表現ひょうげん技法ぎほうを少女しょうじょ漫画まんがに移植いしょくし、それを女性じょせいならではの感性かんせいで昇華しょうかすることによって（登場とうじょう人物じんぶつの衣装いしょうや髪型かみがたの緻密ちみつな描写びょうしゃ、カラー原稿げんこうにおける華はなやかな色いろ使つかい、恋愛れんあい感情かんじょうの表現ひょうげんなど）、当時とうじの主流しゅりゅうだった男性だんせい漫画まんが家かが描えがいた少女しょうじょ漫画まんがにはない、女性じょせいの視点してんから描えがいた新あたらしい少女しょうじょ漫画まんがの世界せかいを創出そうしゅつしたとされる^[5]。実際じっさいに、1950年代ねんだいから1960年代ねんだい初頭しょとうまでは、石森いしもり章太郎しょうたろうやちばてつやなどの男性だんせい漫画まんが家かが少女しょうじょ漫画まんがを描えがくことが多おおかったが、水野みずのの登場とうじょうを契機けいきとして女性じょせい漫画まんが家かが急増きゅうぞう、まもなく、ほとんどの少女しょうじょ漫画まんがは女性じょせいによって描えがかれるようになっていった。

藤子とうこ不二雄ふじお、石森いしもり章太郎しょうたろう、赤塚あかつか不二夫ふじおといったトキワ荘そう世代せだいの男性だんせい漫画まんが家かの多おおくが手塚てづか治虫おさむに影響えいきょうを受うけたのと同様どうように、竹たけ宮みや惠子けいこ、萩尾はぎお望都もと、青池あおいけ保子やすこなどの24年ねん組ぐみや同どう世代せだいの女性じょせい漫画まんが家かの多おおくが、少女しょうじょ時代じだいに水野みずのの作品さくひんを読よみ、大おおきな影響えいきょうを受うけている^[6]^[7]^[8]^[9]^{[注釈ちゅうしゃく 1]}。

作品さくひん活動かつどう

元々もともと文学ぶんがく少女しょうじょだったが、小学しょうがく3年生ねんせいのときに手塚てづか治虫おさむの『漫画まんが大学だいがく』に衝撃しょうげきを受うけ、漫画まんが家かを志こころざす。中学生ちゅうがくせいのころから雑誌ざっし『漫画まんが少年しょうねん』に投稿とうこうを続つづけていたが、佳作かさく止どまりで入賞にゅうしょうすることはなかった。しかし、審査しんさ員いんの手塚てづかが保存ほぞんしていた水野みずのの投稿とうこう作さくを偶然ぐうぜん目めにした『少女しょうじょクラブ』編集へんしゅう者しゃの丸山まるやま昭あきらが水野みずのの作品さくひんを気きに入いり、その場ばで手塚てづかが水野みずのの投稿とうこう作さくを褒ほめたことから、丸山まるやまが水野みずのに原稿げんこうを依頼いらいすることになった^{[注釈ちゅうしゃく 2]}。この時とき、水野みずのは郷里きょうりの下関しものせきで漁網ぎょもう会社かいしゃに就職しゅうしょくを決きめたばかりであり、デビューからトキワ荘そうに移うつるまでは兼業けんぎょう漫画まんが家かだった。

1955年ねん、15歳さいで漫画まんが家かとしてデビュー^[10]^[11]。それから3年ねん後ごの1958年ねん、初はつの長編ちょうへん連載れんさい『銀ぎんの花はなびら』（緑川みどりかわ圭子けいこ原作げんさく）で人気にんきを得える一方いっぽう、石森いしもり章太郎しょうたろう、赤塚あかつか不二夫ふじおと「U・マイア」のペンネーム^{[注釈ちゅうしゃく 3]}で『赤あかい火ひと黒くろかみ』、『星ほしはかなしく』、『くらやみの天使てんし』を合作がっさくし発表はっぴょうした^{[注釈ちゅうしゃく 4]}。この合作がっさくのため、水野みずのは郷里きょうりの下関しものせきから上京じょうきょうし、すでに石森いしもりと赤塚あかつかが住すんでいたトキワ荘そうに入居にゅうきょすることになった^{[注釈ちゅうしゃく 5]}^{[注釈ちゅうしゃく 6]}。トキワ荘そうに居住きょじゅうしている間あいだは、自分じぶんの作品さくひんの執筆しっぴつやU・マイア名義めいぎの合作がっさく以外いがいに、石森いしもりのアシスタント的てきな仕事しごとをすることも多おおく、石森いしもりの作画さくが・表現ひょうげん技法ぎほうに多大ただいな影響えいきょうを受うけ、自分じぶんの画が力りょくが飛躍ひやく的てきに向上こうじょうしたと語かたっている^[13]。

『銀ぎんの花はなびら』、『星ほしのたてごと』、『白しろいトロイカ』などでは、ヨーロッパの古代こだい中世ちゅうせいや帝政ていせい時代じだいを舞台ぶたいに、ダイナミックな物語ものがたりを華麗かれいな絵柄えがらで構成こうせいし、当時とうじの少女しょうじょ漫画まんがの定番ていばんだった親子おやこの生いき別わかれ物語ものがたりや友情ゆうじょう物語ものがたりなどの作品さくひんとは一線いっせんを画かくした斬新ざんしんな作風さくふうだった。そのため、こうした歴史れきし上じょうの時代じだいを背景はいけいにして壮大そうだいな西欧せいおうロマンを描えがいた作品さくひんは、しばしば「水野みずの調ちょう」と呼よばれるようになった^[14]。

1960年ねんに発表はっぴょうした初はじめてのオリジナル長編ちょうへん『星ほしのたてごと』は、それまで少女しょうじょ漫画まんがではタブー視しされてきた男女だんじょの恋愛れんあいを初はじめて描えがいた作品さくひんといわれる^[15]。その後ご1960年代ねんだい初頭しょとうからの少女しょうじょ雑誌ざっしの週刊しゅうかん誌し化かの頃ころは、編集へんしゅう者しゃの方針ほうしんによって『麗うるわしのサブリナ』などのハリウッド映画えいがを下地したじにした軽快けいかいなロマンチック・コメディー路線ろせんを展開てんかいした^[16]。その一方いっぽうで、少女しょうじょ漫画まんが初はつの実際じっさいの歴史れきしの動うごきを扱あつかった歴史れきしロマンとされる『白しろいトロイカ』を1964年ねんに発表はっぴょうしている。

やがて『ブロードウェイの星ほし』等とうのアメリカを舞台ぶたいにした作品さくひんでは、黒人こくじん差別さべつ問題もんだいやベトナム反戦はんせん運動うんどうなどの当時とうじの社会しゃかいテーマが織おりこまれるようになっていった。特とくに1969年ねんから連載れんさいした『ファイヤー!』は、当時とうじの少女しょうじょ漫画まんがでは珍めずらしく男性だんせいが主人公しゅじんこうのかつ実験じっけん的てきな作風さくふうであり、1960年代ねんだい後半こうはんのヒッピー・ムーブメントやロック・ミュージックに代表だいひょうされるカウンターカルチャーを通とおして時代じだいを見みつめている。自費じひでアメリカとヨーロッパの現地げんち取材しゅざいを行おこなって描えがかれたこの作品さくひんは^[17] 少女しょうじょ漫画まんがの枠わくを超こえ、男性だんせい読者どくしゃの注目ちゅうもくも集あつめるとともに少女しょうじょ漫画まんが読者どくしゃの年齢ねんれい層そうを押おし上あげた^[18]。

水野みずのは当時とうじのロック・ミュージックの中なかで、とりわけピンク・フロイドの幻想げんそう的てき世界せかいへの傾倒けいとうを語かたっており、それと共通きょうつうするように、『ファイヤー！』以降いこうしばらくは、漫画まんがのコマの時とき空間くうかん形式けいしきの枠わくを超こえようとする幻想げんそう詩的してきで絵え物語ものがたり的てきな方向ほうこうへの様式ようしきを追及ついきゅうしていった。しかしロックがファッションとして定着ていちゃくすると彼女かのじょはロックへの興味きょうみを無なくしたという^[17]。

現在げんざい、ライフワークとしての大作たいさく『ルートヴィヒII世よ』の執筆しっぴつを希望きぼうしつつも、掲載けいさい雑誌ざっしが休刊きゅうかんして中断ちゅうだんしたままとなっている^[19]。

また、いわゆる24年ねん組ぐみが活躍かつやくし始はじめる前まえの時代じだい、最近さいきんではとかく忘わすれられがちな『リボンの騎士きし』（1953年ねん）から『ベルサイユのばら』（1972年ねん）までの戦後せんご少女しょうじょ漫画まんがの創成そうせい期きにあたる20年間ねんかんを語かたり残のこそうと、2010年ねんに『トキワ荘そうパワー！』（祥伝社しょうでんしゃ）を監修かんしゅう・出版しゅっぱんした。トキワ荘そう系統けいとう以外いがいの少女しょうじょ漫画まんが家かについても同様どうようの本ほんを出だしたいとしている^[20]。

トキワ荘そうが多おおくのメディアに取とり上あげられるようになるにつれ、誤あやまった情報じょうほうも目めに付つくようになり、また、トキワ荘そうに居住きょじゅうした漫画まんが家かで健在けんざいな者ものが少すくなくなってきたこともあり、当時とうじの創作そうさく活動かつどうや日常にちじょう生活せいかつの様子ようすを正確せいかくに伝つたえ残のこそうと、自身じしんのトキワ荘そう入居にゅうきょから去さるまでの間あいだの出来事できごとを綴つづった手記しゅき『トキワ荘そう日記にっき』を2009年ねんに自費じひ出版しゅっぱんしたのをはじめ、近年きんねんは関連かんれんイベントでの講演こうえんやトークショーを積極せっきょく的てきに行いっている。

その他た

少女しょうじょ漫画まんがで多おおく見みられる「人物じんぶつの瞳ひとみに星ほしをきらめかせて描えがく」手法しゅほうの先駆せんく的てき存在そんざいとされる^[21]^[22]。しかし水野みずの本人ほんにんはその手法しゅほうを初はじめて使つかったのは自分じぶんではなく、手塚てづか治虫おさむが『リボンの騎士きし』でサファイアの瞳ひとみに小ちいさい十字じゅうじの星ほしを使用しようしたと語かたっている^[23]。また、それを引ひき継ついで石森いしもり章太郎しょうたろうが『二に級きゅう天使てんし』で大おおきな瞳ひとみに星ほしを使用しようしていた^[23]。なお、1953年ねん『少女しょうじょクラブ』連載れんさいの手塚てづか治虫おさむ『リボンの騎士きし』コミックスの講談社こうだんしゃ漫画まんが文庫ぶんこの表紙ひょうし絵えだけだが小ちいさいが目めの星ほしがある^[24]。

画風がふうの特徴とくちょうとして、ロマンチックストーリーにふさわしく、太ふとさの抑揚よくようのある長ながく流ながれる描線による流動的りゅうどうてきな筆ふでづかいが空間くうかんの質感しつかんとつながり、これは映画えいが的てき臨場りんじょう感かんや幻想げんそう的てき描写びょうしゃに効果こうか的てきになっている。

西部せいぶ劇げき映画えいがと手塚てづか治虫おさむの西部せいぶ劇げき漫画まんがの影響えいきょうで、昭和しょうわ30年代ねんだい前半ぜんはんからジーンズを普段着ふだんぎとして愛用あいようしていた。当時とうじは一般いっぱんの日本人にっぽんじんにとってジーンズは労働ろうどう者しゃの作業さぎょう着ぎというイメージしかなく、女性じょせいがファッションとしてはくことなど想像そうぞうもできなかった時代じだいなので、トキワ荘そうに入居にゅうきょした初日しょにちにジーンズをはいて男性だんせい漫画まんが家か達たちのところへ行いくと、みな驚おどろきのあまり絶句ぜっくした^[25]。

U・マイア名義めいぎで合作がっさくの仕事しごとをしていた関係かんけいで、トキワ荘そう時代じだいは石森いしもり章太郎しょうたろう、赤塚あかつか不二夫ふじおと親したしく、仕事しごとだけではなく日常にちじょう生活せいかつでも行動こうどうを共ともにすることが多おおかった^[26]。しかし石森いしもり、赤塚あかつかとの交流こうりゅうとは対照たいしょう的てきに、5～6歳さい年上としうえの藤子とうこ不二雄ふじお（安孫子あびこ素す雄ゆう、藤本ふじもと弘ひろし）の2人ふたりは「もの静しずかなお兄あに様さまタイプ」^[27]で、気軽きがるに話はなしをしたり、部屋へやを訪たずねたりできる雰囲気ふんいきではなく、水野みずのは藤子とうこに対たいしては遠慮えんりょぎみにしていた^[25]。

1970年ねん、同どう業者ぎょうしゃに声こえをかけて著作ちょさく権けんの勉強べんきょう会かいを開ひらいたところ30人にん以上いじょうが集あつまり、出版しゅっぱん社しゃ側がわを慌あわてさせたことがある。水野みずのが漫画まんが家かユニオンを作つくろうとしているといったデマも飛とび交かい、出版しゅっぱん社しゃから嫌きらわれる存在そんざいとなったが、漫画まんが家かが作品さくひんの権利けんりを主張しゅちょうする先駆さきがけとなった^[28]。

1970年代ねんだい初頭しょとう、『ファイヤー!』の連載れんさい終了しゅうりょう直後ちょくご、未婚みこんの母ははになることを公表こうひょうし、男子だんしを出産しゅっさん。以後いご、独ひとりで子供こどもを育そだて上あげるが、育児いくじのための時間じかん的てき制約せいやくから、十じゅう数すう年間ねんかんにわたり週刊しゅうかん誌しでの長編ちょうへん連載れんさいが不可能ふかのうとなり、仕事しごとを読よみ切きりや月刊げっかん誌し中心ちゅうしんにシフトした。

2009年ねん4月がつ4日にち、トキワ荘そう跡地あとち近ちかくに位置いちする豊島としま区立くりつ南長崎みなみながさき花咲はなさき公園こうえんに設置せっちされた記念きねん碑ひ「トキワ荘そうのヒーローたち」の除幕じょまく式しきに鈴木すずき伸一しんいち、よこたとくおらと出席しゅっせき^[29]。記念きねん碑ひにはトキワ荘そうに居住きょじゅうした漫画まんが家かの1人ひとりとして自筆じひつの似顔絵にがおえとサインが刻きざまれている^[30]^[31]。

略歴りゃくれき

小学しょうがく3年生ねんせいの時ときに手塚てづか治虫おさむの『漫画まんが大学だいがく』に衝撃しょうげきを受うけ、漫画まんが家かを志こころざす。
中学ちゅうがく時代じだい、当時とうじ唯一ゆいいつ新人しんじん漫画まんが家かを募集ぼしゅうしていた『漫画まんが少年しょうねん』に投稿とうこうを始はじめる。
1955年ねん：3月、『少女しょうじょクラブ』編集へんしゅう者しゃの丸山まるやま昭あきらから原稿げんこうの依頼いらいを受うける。同年どうねんの『少女しょうじょクラブ』8月がつ号ごうに1コマ漫画まんが1点てんと目次もくじページのカット2点てんが掲載けいさいされ、デビュー。
1956年ねん：『少女しょうじょクラブ』6月がつ号ごうに初はつのストーリー漫画まんが『赤あかっ毛け子こ馬ば（ポニー）』を発表はっぴょう。
1958年ねん：『少女しょうじょクラブ』1月がつ号ごうから初はつの長編ちょうへん連載れんさいとなる『銀ぎんの花はなびら』（緑川みどりかわ圭子けいこ原作げんさく）がスタート。
1958年ねん^{[注釈ちゅうしゃく 7]}：3月、上京じょうきょうし、豊島としま区くのトキワ荘そうの住人じゅうにんとなる。10月^{[注釈ちゅうしゃく 8]}、故郷こきょうの祖母そぼを心配しんぱいさせまいとトキワ荘そうを去さり一旦いったん帰郷ききょう。翌年よくねんの春はるに再ふたたび上京じょうきょうし、雑司ぞうしが谷やの下宿げしゅく先さきからバスでトキワ荘そうに通かよい住人じゅうにんと交流こうりゅうを続つづけた^[32]。
1970年ねん：『ファイヤー!』で第だい15回かい小学館しょうがくかん漫画まんが賞しょうを受賞じゅしょう。
1981年ねん：『ハニー・ハニーのすてきな冒険ぼうけん』がテレビアニメ化か。
2000年ねんと2002年ねんには手塚てづか治虫おさむ文化ぶんか賞しょうの選考せんこう委員いいんを務つとめた。また、2002年ねんに結成けっせいされた「私わたしの八はち月がつ十じゅう五ご日にち」の会かいの発起人ほっきにんのひとり。
2008年ねん：3月、川崎かわさき市し市民しみんミュージアムで開催かいさいされた展示てんじイベント「少女しょうじょマンガパワー!―つよく・やさしく・うつくしく―」において、作品さくひん展示てんじとトークショーを行おこなった^[33]。
2009年ねん：自身じしんのまんが人生じんせいを綴つづった自叙伝じじょでん（未刊みかん）の一部いちぶであるトキワ荘そう時代じだいの章しょうを抜粋ばっすいし『トキワ荘そう日記にっき』として自費じひ出版しゅっぱん。
2010年ねん：執筆しっぴつした全ぜん作品さくひんを通つうじての功績こうせきとして第だい39回かい日本にっぽん漫画まんが家か協会きょうかい賞しょう文部もんぶ科学かがく大臣だいじん賞しょうを受賞じゅしょう^[1]。

主おもな作品さくひんリスト

銀ぎんの花はなびら（少女しょうじょクラブ、講談社こうだんしゃ）(原作げんさく緑川みどりかわ圭子けいこ(佐伯さえき千秋ちあき^[34]))

手塚てづか治虫おさむのストーリー少女しょうじょ漫画まんがリボンの騎士きし的てき路線ろせんの作品さくひん。男装だんそうの少女しょうじょ騎士きしが主人公しゅじんこう。

星ほしのたてごと（少女しょうじょクラブ、講談社こうだんしゃ）

オリジナルのヨーロッパ古代こだいファンタジーロマン。ここで水野みずの調ちょうの作風さくふうができあがったと見みられる^[34]。

すてきなコーラ（週刊しゅうかんマーガレット、集英社しゅうえいしゃ）

映画えいが『麗うるわしのサブリナ』を翻案ほんあんしたもの。少女しょうじょ漫画まんがラブコメディを確立かくりつしたものと評ひょうする人ひと^[誰だれ?]がいる。

セシリア（週刊しゅうかんマーガレット、集英社しゅうえいしゃ）

映画えいが『ジェニーの肖像しょうぞう』またはその原作げんさくを翻案ほんあんしたロマンチックファンタジーSF。

白しろいトロイカ（週刊しゅうかんマーガレット 1964-1965、集英社しゅうえいしゃ）

少女しょうじょ漫画まんが史上しじょう初はじめて実際じっさいの歴史れきしの動うごきを扱あつかった作品さくひん^[35]。18世紀せいき末まつから19世紀せいき初頭しょとうの近代きんだい化か手前てまえのロシア帝政ていせい時代じだいが舞台ぶたいで、近代きんだい化か欲求よっきゅうへの反動はんどうが強つよかった時期じきに当あたる。

赤毛あかげのスカーレット（週刊しゅうかんマーガレット 1966、集英社しゅうえいしゃ）

アメリカ農村のうそんのコメディ。ジョン=フォード監督かんとくの映画えいが『静しずかなる男おとこ』の翻案ほんあんと見みられる。

ブロードウェイの星ほし（週刊しゅうかんマーガレット 1967、集英社しゅうえいしゃ）

アメリカにおける黒人こくじん差別さべつ問題もんだいがひとつのテーマとなっている。演劇えんげきもの。

ハニー・ハニーのすてきな冒険ぼうけん（りぼん 1966-1967、集英社しゅうえいしゃ）

1981年ねんにアニメ化かされた世界せかい旅行りょこう的てきな冒険ぼうけん風ふうコメディ。

ファイヤー!（週刊しゅうかんセブンティーン 1969より、集英社しゅうえいしゃ）

カウンターカルチャーの風俗ふうぞく・社会しゃかい性せい・精神せいしん的てき世界せかい観かんを描えがき、幻想げんそう性せいもある作品さくひん。アメリカのロック・シンガー、スコット・ウォーカーの作品さくひんに触ふれたことから作者さくしゃ像ぞうをイメージして描えがかれた^[36]。主人公しゅじんこうは繊細せんさいな青あお(少しょう)年ねん男性だんせいで、主要しゅよう登場とうじょう人物じんぶつもほとんどが男性だんせい。当時とうじの芸能げいのう漫画まんがとは全まったく違ちがうスケールの大おおきな視野しやで展開てんかいし、テーマ的てきにもすでに少女しょうじょ漫画まんがというイメージを大おおきく超こえて青年せいねん漫画まんが的てきである。週刊しゅうかん誌しの他ほかに、創刊そうかんされた月刊げっかん誌し別冊べっさつセブンティーンでも総集編そうしゅうへんが連載れんさいされるなど、当時とうじ破格はかくの注目ちゅうもく作品さくひんだった。

ホフマン物語ものがたり（月刊げっかんセブンティーン、集英社しゅうえいしゃ）

オペラ曲きょく『ホフマン物語ものがたり』を元もとにしたもの。コマを取とり払はらった幻想げんそう的てき作風さくふうを追及ついきゅうしている。

アラーの使者ししゃ（原作げんさく、川内かわうち康範やすのり、ひとみ (雑誌ざっし)、秋田あきた書店しょてん）

幼年ようねん向むきだが、コマを取とり払はらった絵本えほんに近ちかいながら、吹ふき出だしを利用りようしてコマ別べつと時間じかんの順序じゅんじょを表現ひょうげんした作風さくふう。

フレイヤの涙なみだ（月刊げっかんプリンセス、秋田あきた書店しょてん）

ローヌ・ジュレエの庭にわ（花はなとゆめ、白泉社はくせんしゃ）

ヴィクトール街がい31番ばん（花はなとゆめ、白泉社はくせんしゃ）

月光げっこう石せき（プチフラワー、小学館しょうがくかん）

川かわの向むこうの家いえ（ビッグコミック、小学館しょうがくかん）

青あお燈とう幻想げんそう（マンガ少年しょうねん、朝日あさひソノラマ）

ルートヴィヒII世よ(中公ちゅうこうコミックス・スーリ)

中断ちゅうだん中ちゅう。

画集がしゅう

「画業がぎょう65周年しゅうねん水野みずの英子えいこ画集がしゅう薔薇ばらの舞踏ぶとう会かい」、玄光社げんこうしゃ、978-4-7683-1158-5（2020年ねん3月がつ30日にち）

アンソロジー

文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう編へん『少女しょうじょマンガ大だい全集ぜんしゅう－短編たんぺんにみる魅惑みわくのミクロコスモス』文春ぶんしゅん文庫ぶんこビジュアル版ばん、1988年ねん、ISBN 978-4168110085

著書ちょしょ・ムック・WEB

水野みずの英子えいこ『トキワ荘そう日記にっき』自費じひ出版しゅっぱん、2009年ねん（水野みずの英子えいこの部屋へや - ウェイバックマシン（2007年ねん3月がつ15日にちアーカイブ分ぶん）の通信つうしん販売はんばいで入手にゅうしゅ可能かのう）
水野みずの英子えいこ『トキワ荘そう物語ものがたり』（手塚てづか治虫おさむほか『まんがトキワ荘そう物語ものがたり』祥伝社しょうでんしゃ新書しんしょ、2012年ねん、ISBN 978-4396112882 に収録しゅうろく）
荒あら俣宏の電子でんしまんがナビゲーター第だい7回かい水野みずの英子えいこ編へん^{[リンク切きれ]}
トキワ荘そうパワー！(祥伝社しょうでんしゃ)
トキワ荘そうに居住きょじゅうした男性だんせい漫画まんが家か達たちは当時とうじ多おおくの少女しょうじょ漫画まんがを描えがいており、そうした作品さくひんの中なかに戦後せんごの少女しょうじょ漫画まんが発展はってんの萌芽ほうがが見みられると同時どうじに、そこで使用しようされた作画さくが・表現ひょうげん技法ぎほうが、後のちに少年しょうねん漫画まんがに移植いしょくされ、漫画まんが全体ぜんたいの発展はってんにも大おおきく寄与きよしたという。
『総そう特集とくしゅう水野みずの英子えいこ　自作じさくを語かたる』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2022年ねん。初はつの総そう特集とくしゅう、ロングインタビュー、作品さくひん論ろんほか
『少女しょうじょマンガはどこからきたの？「少女しょうじょマンガを語かたる会かい」全ぜん記録きろく』全ぜん349頁ぺーじ（本編ほんぺん335頁ぺーじ＋索引さくいんなど14頁ぺーじ），2023年ねん5月がつ30日にち第だい1刷さつ発行はっこう，青土おうづち社しゃ，語かたる会かいメンバー12名めい：水野みずの英子えいこ(発起人ほっきにん)/上田うえだトシコ/むれあきこ/わたなべまさこ/巴里ぱり夫おっと/高橋たかはし真琴まこと/今村いまむら洋子ようこ/ちばてつや/牧まき美也子みやこ/望月もちづきあきら/花村はなむらえい子こ/北島きたじま洋子ようこ【※発起人ほっきにん水野みずの以外いがいはデビュー順じゅん^[37]】ISBN 978-4791775538

解説かいせつ

『男おとこおいどん』3巻かん（著ちょ：松本まつもと零れい士し 1996年ねん講談社こうだんしゃ）
藤子とうこ・F・不ふ二に雄大ゆうだい全集ぜんしゅう『初期しょき少女しょうじょ・幼年ようねん作品さくひん』（2011年ねん、小学館しょうがくかん）

メディア出演しゅつえん

『近ちかい昔むかしの物語ものがたりトキワ荘そうの人々ひとびと漫画まんが家か水野みずの英子えいこ』朝日新聞あさひしんぶん 1999年ねん4月がつ2,9,16,23,30日にち週しゅう1回かい掲載けいさい全ぜん5回かい - 上京じょうきょうから帰郷ききょうまでの思おもい出でを語かたった。
BSマンガ夜話やわ
- 『メトロポリス』（2002年ねん4月がつ1日にち） - ゲスト
- 『青あおい空そらを、白しろい雲くもがかけてった』（2004年ねん11月30日にち） - ゲスト
出没しゅつぼつ!アド街がいック天国てんごく『椎名しいな町まち』（2009年ねん5月がつ16日にち）- トキワ荘そうについて話はなす。
「新しん・家いえの履歴りれき書しょ：水野みずの英子えいこ」、週刊文春しゅうかんぶんしゅん、2018年ねん3月がつ15日にち号ごう、頁ぺーじ64－67。※ インタビュー記事きじ。
「阿川あがわ佐和子さわこのこの人ひとに会あいたい第だい1436回かい：水野みずの英子えいこ」，週刊文春しゅうかんぶんしゅん，2023年ねん3月がつ30日にち号ごう，頁ぺーじ116－121。※ インタビュー記事きじ。
『時代じだいの証言しょうげん者しゃ』「I LOVE マンガ水野みずの英子えいこ」読売新聞よみうりしんぶん朝刊ちょうかん 2024年ねん2月がつ19日にち -（月曜げつよう - 金曜きんよう）