物語ものがたり

物語ものがたり（ものがたり）とは、主おもに人ひとや事件じけんなどの一部始終いちぶしじゅうについて散文さんぶんあるいは韻文いんぶんで語かたられたものや書かかれたもののことを指さす。

また現在げんざい「物語ものがたり」という語かたりは英語えいごの「en:narrative ナラティブ」の訳語やくごとして用もちいられることもある。また「en:story ストーリー」という語かたりの訳語やくごとして用もちいられることもある。訳語やくごとして用もちいられることによってそれらの概念がいねんの混交こんこうも起おきている。

人間にんげんの脳のうは物語ものがたりに対応たいおうするように生物せいぶつ学がく的てきに配線はいせんされているため、物語ものがたりを無視むしすることは困難こんなんである。

ナラトロジーと物語ものがたり

近代きんだい以降いこうの文学ぶんがく理論りろんにおける物語ものがたり論ろん（ナラトロジー）の観点かんてんからは、筋すじとしてまとめられる言説げんせつのことを、広ひろく「物語ものがたり」と捉とらえる傾向けいこうがある。これらは、いわゆる「ナラティブ」の概念がいねんの影響えいきょうを受うけた物語ものがたり研究けんきゅうと考かんがえられる。文学ぶんがく研究けんきゅうの分野ぶんやでは、更さらに細分さいぶん化かして、「物語ものがたり言説げんせつ」「物語ものがたり内容ないよう」「語かたり」などの視点してんから取とり上あげられる。また「プロット」、「ストーリー」、「語かたり手て」と絡からめて分析ぶんせきされることも多おおい。

これらの概念がいねんは上述じょうじゅつの古典こてんの「物語ものがたり作品さくひん」にあてはめて分析ぶんせきされ、有益ゆうえきな結果けっかを生うむこともある。それゆえに、古典こてんの「物語ものがたり」と近きん現代げんだい以降いこうの「物語ものがたり」の概念がいねんの混同こんどうが進すすんだとも考かんがえられる。ただし分析ぶんせき可能かのうであることと、同一どういつの概念がいねんであることには差さがあるため、注意ちゅういが必要ひつようである。

世界せかいの物語ものがたりの歴史れきし

ここでは「ナラティブ」を含ふくむ、最もっとも広義こうぎの「物語ものがたり作品さくひん」の歴史れきしについて記述きじゅつする。

古ふるい物語ものがたりとして有名ゆうめいなのは、古代こだいオリエントの『ギルガメシュ叙事詩じょじし』である。長ながいものは、古代こだいインドの『マハーバーラタ』がよく知しられている。

日本にっぽん文学ぶんがくにおいては、現存げんそんする作品さくひんでは『竹たけ取と物語ものがたり』が最初さいしょの「物語ものがたり」として知しられる。紫式部むらさきしきぶは『源氏物語げんじものがたり』において、これを「物語ものがたりの出だしで来始きはじめの祖そ」と評ひょうした。

ストーリー

ストーリーとは、小説しょうせつ、戯曲ぎきょく、映画えいが、漫画まんが等ひとしの創作そうさく物ぶつにおける筋すじのこと。 プロットと区別くべつされる。

物語ものがたり世界せかいの中なかで起おきている出来事できごとが起おこった時間じかんに沿そって並ならべられたものがストーリーであるが、小説しょうせつなどの創作そうさく物ぶつの作者さくしゃは、それら出来事できごとの順序じゅんじょを入いれ替かえるなどして再さい構成こうせいする。そのため物語ものがたり世界せかいで順番じゅんばんに起おきた出来事できごとが、小説しょうせつなどの中なかで同おなじ順番じゅんばんで読者どくしゃに提示ていじされているとは限かぎらない。推理すいり小説しょうせつで本当ほんとうは最初さいしょに行おこなわれている犯罪はんざいのトリックが、再さい構成こうせいされて最後さいごに明あかされるのが良よい例れいであるとされる。または、「妻つまが重おもい病気びょうきになった。夫おっとは毎日まいにち泣なき暮くらすようになった」はストーリー、「夫おっとは毎日まいにち泣なき暮くらすようになった。理由りゆうがわからなかったが、妻つまが重おもい病気びょうきになったからだとわかった」はプロットである、などと説明せつめいされることが多おおい。

プロットとストーリーについては、イギリスの作家さっかE・M・フォースターが1927年ねんに発表はっぴょうした『小説しょうせつの諸相しょそう』での解説かいせつが有名ゆうめいである。

多おおくの物語ものがたりに共通きょうつうしてみいだされる典型てんけい的てきなストーリーの類型るいけいがあり、創作そうさくの指標しひょう、あるいは研究けんきゅう対象たいしょうになる。

関連かんれん項目こうもく

• 口承こうしょう文芸ぶんげい
• 物語ものがたりの類型るいけい