(Translated by https://www.hiragana.jp/)
畦 - Wikipedia

あぜ

水田すいでんさかい泥土でいどってみずそとれないようにしたもの

あぜ(あぜ)は、稲作いなさく農業のうぎょうにおいて、水田すいでん水田すいでんさかい水田すいでんなかどろって、みずそとれないようにしたものである。あぜは、水田すいでん区画くかくすと同時どうじに、泥土でいどのきめこまかさによってみずれをふせ方法ほうほうでもある。あぜほとり(けいはん)やどろあぜともわれ、稲作いなさく工程こうていには、みずまえ毎年まいとし修理しゅうりおこなう「あぜづくり」または「あぜり」があり、「あぜ」も使つかわれる。水田すいでんまわさいみちとしての役割やくわりっているもののことを、畦道あぜみち(あぜみち)、なわて(なわて、縄手なわてとも)という。

水田すいでんまわりに畦道あぜみちえる。

概要がいよう

編集へんしゅう
 
中西なかにし遺跡いせき奈良ならけん御所ごしょ)における2019ねんれい元年がんねん)11月の発掘はっくつ調査ちょうさとき白線はくせんあぜ輪郭りんかくしめされている。だいあぜほとり画像がぞう左端ひだりはし手前てまえからおく方向ほうこう)の区画くかくない右側みぎがわ)において、幹線かんせんしょうあぜほとり手前てまえからおく方向ほうこう)・支線しせんしょうあぜほとり左右さゆう方向ほうこう)で水田すいでんぐん区画くかくされる。
 
同上どうじょう。1つの水田すいでん幹線かんせんしょうあぜほとり手前てまえからおく方向ほうこう)・支線しせんしょうあぜほとり左右さゆう方向ほうこう)で区画くかくされる。水田すいでんないには当時とうじ足跡あしあとみとめられる。

あぜ水田すいでんは、日本にっぽん列島れっとう稲作いなさく文化ぶんか伝来でんらいし、本格ほんかくてき水稲すいとう耕作こうさくはじまった弥生やよい時代じだい前期ぜんきにはすでつくられはじめていた。当時とうじあぜは、畦道あぜみちつつみ機能きのうねただいあぜほとりかこまれたなかに、1へん最小さいしょうで2・3メートル規模きぼ多数たすうしょうあぜほとり整然せいぜんならぶ「しょう区画くかく水田すいでん」とばれる形態けいたいのものが主流しゅりゅうで、弥生やよい時代じだいから古墳こふん時代じだいにかけて全国ぜんこくてきつくられた[1][2]

あぜ両側りょうがわ地主じぬしことなる場合ばあい、その境界きょうかいあぜほとりもうけることによって区切くぎられる場合ばあいおおい。地域ちいき高低こうていにもよるが、高低こうていすくない場合ばあいにはあぜほとり中心ちゅうしん高低こうていおおきい場合ばあいにはひくほうんぼがわほうしりあるいはみずちょうラインに設定せっていされることがある。後者こうしゃ場合ばあいひくほうんぼの管理かんりよう管理かんりあぜほとりばれるちいさなあぜしゅたるあぜにかぶせるかたちもうけることがおおい。イネの収穫しゅうかくからはる農作業のうさぎょう開始かいしまでのあいだあぜくずれ、ふゆれるくさだけでは境界きょうかい曖昧あいまいとなるのをふせぐため、木陰こかげつくらない程度ていどひく潅木かんぼくえ、これを境界きょうかい目印めじるしとすることもある。

んぼのわきながれるひらく水路すいろとのあいだもうけられるあぜは、みぞほとりばれ区別くべつされることがある。水路すいろ公共こうきょう土地とちであることがおおく、地境じざかいんぼがわほうしりあるいはほうしりあるいはみずちょうラインに設定せっていされることがある。

あぜ形状けいじょう寸法すんぽうには、きん現代げんだい工事こうじによってもうけられたあぜほとりのぞいては定型ていけいがなく、その寸法すんぽう地域ちいき土質どしつによって様々さまざまである。じょう整備せいびによってあらたにきずかれるあぜ場合ばあいてんはしはばはおおむね300mmから600mm程度ていどで、たかさが1m未満みまんほうめんでは勾配こうばいたて1:よこ1(45)とすることがある。りょうんぼの高低こうていおおきくなる場合ばあいほうめん安定あんてい草刈くさかりなどをおこなうために、ほうめん勾配こうばいを1:1.5や1:2.0としたり、途中とちゅうしょうだんばれる水平面すいへいめんもうけることがある。あぜ基本きほんてき水密すいみつせいたも必要ひつようがあるため、泥土でいどをある程度ていど乾燥かんそうさせてからかため、やま状態じょうたいとしてからくずすことによって整形せいけいされることがおおい。

あぜ畦道あぜみち基本きほんてきには私有地しゆうちであり、またてんはしはば基本きほんてきせまく、ひとることであぜこわしたり水田すいでんちることがあるので、地主じぬし耕作こうさくしゃ以外いがいもの正当せいとう理由りゆうなく勝手かってることはけるべきである。畦道あぜみちわれるものははばひろく、私的してきな「あぜけん農作業のうさぎょうのための通路つうろまたは私的してき農道のうどうかんがえてよい場合ばあいがある。ただし、畦道あぜみちなかにはさとどうであったものもふくまれる。

畦道あぜみちひととおれないたんなるあぜ場合ばあいでも、古来こらいからほそせま面積めんせき土地とちではあるが、枝豆えだまめなどその土地とちった農作物のうさくもつえ、わずかな収穫しゅうかくでもようとしている場合ばあいもあり、有効ゆうこう利用りようされている。うね一本いっぽんぶん貴重きちょう耕作こうさくともみなせる。あぜ稲作いなさく文化ぶんか発祥はっしょう以来いらいのものであり、また、私有地しゆうちとして様々さまざま使つかわれかたがあり、せまいながらも貴重きちょう土地とちとしてその利用りよう工夫くふう次第しだいである。

排水はいすい条件じょうけん土質どしつによっては、泥土でいどかためただけではあぜとしての機能きのう十分じゅうぶんたせない場合ばあいがある。えたり排水はいすい設備せつび整備せいびすることによって根本こんぽんてき改善かいぜんすることがのぞましいが、水密すいみつせいたもつためにコストをおさえて対処たいしょする場合ばあい塩化えんかビニールなどでつくられたあぜシートばれるはば250mmから400mm程度ていどなみいたあるいは平滑へいかついたを、あぜなかんだり、ほうめん部分ぶぶん沿わせたりすることで機能きのう補助ほじょすることがある。また強度きょうど不足ふそくする場合ばあいには、いしげる、かわらほうめんわせる、コンクリートせい製品せいひんあぜブロックやしがらみばんおさえるとう手法しゅほうもちいられることもある。

カメムシとほとり管理かんり

編集へんしゅう

斑点はんてんまい原因げんいんとなるカメムシは、ほとり周辺しゅうへんえるメヒシバエノコログサ、イヌビエなどのイネ雑草ざっそう生息せいそくする。このため、カメムシの生息せいそくでは、殺虫さっちゅうざい使用しようあわせてばら利用りようしたほとり除草じょそうおこなわれる[3]

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ 滝沢たきざわ 1999 pp.173-193
  2. ^ 若狭わかさ 2013 pp.68-71
  3. ^ 草刈くさかりは、やりすぎに注意ちゅうい 草刈くさかだか問題もんだい雑草ざっそう発生はっせいおよぼす影響えいきょう”. 静岡しずおかけん農林のうりん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ. 2019ねん6がつ27にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 滝沢たきざわまことだい7しょう 日本にっぽんがた農耕のうこう社会しゃかい形成けいせい-古墳こふん時代じだいにおける水田すいでん開発かいはつ-」『食糧しょくりょう生産せいさん社会しゃかい考古学こうこがく』(現代げんだい考古学こうこがく3)朝倉書店あさくらしょてん 1999ねん pp.173-193
  • 若狭わかさとおる「17.ひろがるしょう区画くかく水田すいでん」『ビジュアルばん古墳こふん時代じだいガイドブック』(シリーズ「遺跡いせきまなぶ」別冊べっさつ04)新泉しんいずみしゃ 2013ねん pp.68-71

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう