白鳥はくちょう陵りょう

白鳥はくちょう陵りょう（しらとりのみささぎ）は、ヤマトタケルの陵りょう。

奈良なら県けん御所ごしょ市し富田とみたと大阪おおさか府ふ羽曳野はびきの市し軽里かるさと（軽里かるさと大塚おおつか古墳こふん）の2ヶ所かしょに治定じじょうされている。

概要がいよう

ヤマトタケルが伊勢いせ国こく能褒野のぼので薨じ、同地どうちに「陵りょう」を造つくって葬ほうむったことは、『古事記こじき』『日本書紀にほんしょき』ともに一致いっちするところであるが、さらに白鳥しらとり（『古事記こじき』では「八尋やひろ白はく智さとし鳥とり」）と化かして西方せいほうに飛とび、降おり留とどまった地ちにあらたに「陵りょう」を起おこしたという記事きじは両りょう書しょで異同いどうがある。

『古事記こじき』においては能褒野のぼのから白鳥はくちょうとなって飛とび、河内かわうち国こく志こころざし幾いくに留とまり、そこに「陵りょう」を起おこし、これを「白鳥はくちょう陵りょう」と呼よんだが、のちここからまたも白鳥はくちょうとなって飛とび、ついに昇天しょうてんしたという。つまり『古事記こじき』の白鳥はくちょう陵りょうは河かわ内国ないこく志こころざし幾いくに営いとなんだ「陵りょう」である。

『日本書紀にほんしょき』巻まき第だい七ななによれば白鳥はくちょうとなって能褒野のぼの陵りょうから出でて、まず大和やまと国こく琴きん弾だん原はら（奈良なら県けん御所ごしょ市し冨田とみた）にとどまり、そこに「陵りょう」を造つくったところ、さらに白鳥はくちょうとなって河かわ内国ないこく旧きゅう市し邑にいきとどまったので、そこにも「陵りょう」を造つくったが、また白鳥はくちょうとなって天てんに上のぼったという。『日本書紀にほんしょき』では最初さいしょの能褒野のぼの陵りょう、大和琴やまとごと弾だん原ばらの「陵りょう」、河内かわち国こく旧きゅう市し邑の「陵りょう」と三さん陵りょうを時人じじんは「白鳥はくちょう陵りょう」とよんだという。

皇子おうじの墓はかを「陵りょう」というのは、『古事記こじき』、『日本書紀にほんしょき』においてヤマトタケルの能褒野のぼの陵りょう、2つの白鳥はくちょう陵りょうのみで、例外れいがい的てきである。

のちにヤマトタケルの墓はかを「能褒野のぼの墓はか」と定さだめ、また『日本書紀にほんしょき』の所伝しょでんをも尊重そんちょうし、「白鳥はくちょう陵りょう」2つを能褒野のぼの墓ぼに附属ふぞくするものとした。

備考びこう

『続ぞく日本にっぽん紀き』大宝たいほう2年ねん（702年ねん）8月がつ8日にち条じょうに、「倭やまと建けん命いのちの墓はかに落雷らくらいがあったので、使つかいを遣つかわして鎮祭をした」と記述きじゅつがみられる。

外部がいぶリンク

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