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眼球運動障害 - Wikipedia

眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがい

医療いりょう

眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがい(がんきゅううんどうしょうがい)とはそとすじやその支配しはい神経しんけい障害しょうがい結果けっか眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがいされた症候しょうこうである。共同きょうどう不可能ふかのうになればふくしょうじる。このこうではそとすじ障害しょうがいのほか、うちすじ障害しょうがい一部いちぶ解説かいせつする。

解剖かいぼうがく
だい一眼いちがんになく、斜視しゃし状態じょうたいである。この状態じょうたいでは共同きょうどうができずふくしょうじている。

眼球がんきゅう運動うんどう分類ぶんるい

編集へんしゅう

1903ねんにDodgeは眼球がんきゅう運動うんどうを5つに分類ぶんるいした。その分類ぶんるいでは衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう(saccadic eye movement、SEM、サッケード)、追従ついしょう眼球がんきゅう運動うんどう(Pursuit eye movement、PEM、パスート)、前庭ぜんていどう反射はんしゃ(Vestibulo-ocular reflex、VOR)、運動うんどうせい(Optokinetic nystagmus、OKN)、バージェンス(Verfence、または輻湊ふくそうひらけ)であり、のちかた(Fixation)がくわわった。

随意ずいいてき眼球がんきゅう運動うんどう関与かんよする大脳だいのう領域りょういき前頭葉ぜんとうよう前頭まえがしら補足ほそく頭頂とうちょう頭頂とうちょうなどである。中枢ちゅうすうからの刺激しげきがさまざまな経路けいろ脳幹のうかんもうさまたい眼球がんきゅう運動うんどう発生はっせいたっする。そして小脳しょうのう前庭ぜんていからの調節ちょうせつくわわる。

衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう(saccadic eye movement、SEM、サッケード)
衝律せい眼球がんきゅう運動うんどう(SEM)は周辺しゅうへん視野しやにみえる対象たいしょう中心ちゅうしん窩でとらえるときにおこる随意ずいいてき速度そくどはやきょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどうである。衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう(SEM)にはおもに2つの機能きのうがある。1つは、ある眼球がんきゅう位置いちからべつ位置いちへできるだけはや移動いどうさせることである。もう1つは移動いどうしたあらたな眼球がんきゅう位置いち維持いじつづけることである。Robinsonの仮説かせつ(パルス・ステップ支配しはい)では前者ぜんしゃをパルスといい、後者こうしゃをステップという。ステップ信号しんごう神経しんけい積分せきぶんによるパルスの積分せきぶんからなる。ステップ信号しんごうがないと眼球がんきゅうはサッケードはおこすが、サッケードののち位置いち保持ほじできずせい中位ちゅうい後戻あともどりする。
水平すいへい方向ほうこうのパルスははしにあるはた正中せいちゅうきょうもうさまたい(paramedian pontine reticular formation、PPRF)でつくられ、垂直すいちょく方向ほうこうのパルスはちゅうのうにある内側うちがわたてたば吻側あいだしつかく(rostral interstitial nucleus of medial longitudinal fasciculus、riMLF)でつくられる。水平すいへい方向ほうこうのステップは前庭ぜんてい神経しんけい内側うちがわかく(MVN)とした神経しんけいまえかくでPPRFのパルスを積分せきぶんすることでつくられる。垂直すいちょく方向ほうこうのステップはカハールあいだしつかく(interstitial nucleus of Cajal、INC)でパルスを積分せきぶんすることでつくられる。riMLFとINCとそとすじ眼球がんきゅう運動うんどう神経しんけいかく運動うんどうニューロンの投射とうしゃ上向うわむきサッケードと下向したむきサッケードでことなることに注意ちゅうい必要ひつようである。また共同きょうどう運動うんどうおこなうための左右さゆう連絡れんらく水平すいへい方向ほうこうでは内側うちがわたてたば(medial longitudinal fasciculus、MLF)であり、垂直すいちょく方向ほうこうではこう交連(posterior commissure、PC)である。
追従ついしょう眼球がんきゅう運動うんどう(Pursuit eye movement、PEM、パスート)
追従ついしょうせい眼球がんきゅう運動うんどう(PEM)は随意ずいいてき選択せんたくした移動いどうする1つの指標しひょう中心ちゅうしん窩でとらつづけるときにおこるなめらかな眼球がんきゅう運動うんどうである。追従ついしょうせい眼球がんきゅう運動うんどうはゆっくりとうご指標しひょうおいするというきわめて特殊とくしゅ条件下じょうけんかでしかみられず、日常にちじょうてき眼球がんきゅう運動うんどうのほとんどは衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどうである。
前庭ぜんていどう反射はんしゃ(Vestibulo-ocular reflex、VOR)
前庭ぜんていどう反射はんしゃ(VOR)は頭部とうぶ空間くうかんたいしてうごいた場合ばあい頭部とうぶうごきと反対はんたい方向ほうこうしょうじ、空間くうかんたいする眼球がんきゅうきを一定いっていたも役割やくわりがある。最短さいたん信号しんごう経路けいろ三半規管さんはんきかんにつながる前庭ぜんてい神経しんけいぶし細胞さいぼう中継ちゅうけいかく前庭ぜんてい神経しんけいかく)の神経しんけい細胞さいぼうそとすじ運動うんどう神経しんけい細胞さいぼうからなり3ニューロンゆみばれる。中継ちゅうけいかく以降いこうではよりおおくのシナプスをする複数ふくすう経路けいろ並列へいれつして機能きのうしている。前庭ぜんていどう反射はんしゃ人形にんぎょう現象げんしょうわれ、注視ちゅうし障害しょうがいかくうえせいかくせい鑑別かんべつによくもちいられる(眼球がんきゅうあたま反射はんしゃともいう)。
運動うんどうせい(Optokinetic nystagmus、OKN)
視覚しかくてき外界がいかい全体ぜんたいうごき(optic view)により誘発ゆうはつされる外界がいかいいかける運動うんどう運動うんどうせい反射はんしゃ(optokinetic reflex)という。この運動うんどう連続れんぞくする場合ばあい運動うんどうせいという。自動車じどうしゃ列車れっしゃから景色けしきながめているときにおこるである。緩徐かんじょしょう外界がいかいうごきとおな方向ほうこうであり、急速きゅうそくしょうぎゃく方向ほうこう視線しせんをリセットさせる補助ほじょてき運動うんどうである。急速きゅうそくしょう律動りつどうせい眼球がんきゅう運動うんどうである。
バージェンス(Vergence、または輻湊ふくそうひらけ
垂直すいちょく水平すいへい方向ほうこう移動いどうする対象たいしょうりょうするためにはりょうがおなじうごきをする共同きょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう必要ひつようである。前後ぜんご方向ほうこう奥行おくゆき)に移動いどうする対象たいしょうりょうする場合ばあいりょう水平すいへい眼球がんきゅう運動うんどうぎゃくきにしょうじる共同きょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどうおこなわなければりょう中心ちゅうしん窩でおな対象たいしょうをとらえることはできない。近接きんせつたいするりょううちてん運動うんどう輻湊ふくそうといい、ぎゃく近接きんせつした対象たいしょうからはなれたときそとてん運動うんどうひらけという。これらの運動うんどうりょう離反りはん運動うんどうすなわちバージェンスという。なお輻湊ふくそうさいに、ちぢみひとみこることを調節ちょうせつという。バージェンスではかくうえせい信号しんごうがPPRFやそとてん神経しんけいかくかくあいだ神経しんけい(MLFをとおる)をかいさず、上丘かみおか吻合ふんごうからちゅうのうもうさまたいどう神経しんけいかくがわ正中せいちゅうにあるとされる輻湊ふくそうひらけ中枢ちゅうすう)をかいして投射とうしゃされる。すなわちかくあいだ神経しんけい麻痺まひでは共同きょうどう運動うんどうとしてのうちてん障害しょうがいされるが輻湊ふくそうとしてのうちてん障害しょうがいされない。
かた(Fixation)
静止せいしした視覚しかくぞう中心ちゅうしん窩にとらつづけるとき眼球がんきゅうかた微動びどう(flick、drift、microtremor)によって微細びさいながらうごいている。これは順応じゅんのうふせ意味いみがあるとかんがえられている。またがわかた注視ちゅうしでの個室こしつ眼球がんきゅう位置いち保持ほじ機構きこう、すなわち神経しんけい積分せきぶんはたらいているとかんがえられている。

そとすじ支配しはい神経しんけい

編集へんしゅう

眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがい理解りかいするにはそとすじ種類しゅるい機能きのうおよびその脳神経のうしんけい支配しはい理解りかいしなければならない。うえただしすじしもじきすじしもはすすじうちじきすじどう神経しんけい支配しはいであり、そとじきすじそとてん神経しんけい支配しはいうえはすすじ滑車かっしゃ神経しんけい支配しはいである。眼球がんきゅう直接ちょくせつななめにうわななうごかすそとすじ存在そんざいしない。どう神経しんけい眼瞼がんけんきょすじ支配しはいし、エディンガー・ウェストファルかくからふく交感神経こうかんしんけいふくむ。滑車かっしゃ神経しんけいそとてん神経しんけいじゅん運動うんどう神経しんけいである。どう神経しんけいかくちゅうのう上丘かみおか滑車かっしゃ神経しんけいちゅうのうおかそとてん神経しんけいかくはしぶたにある。このみっつの脳神経のうしんけい海綿かいめん静脈じょうみゃくほらはじめて合流ごうりゅうし、三叉みつまた神経しんけいだいいちえだとともにうえ眼窩がんかきれから眼窩がんかないにはいる。

眼球がんきゅう運動うんどう評価ひょうか

編集へんしゅう

眼球がんきゅう運動うんどう評価ひょうか仕方しかたは、被験者ひけんしゃからほんむくらいの距離きょりをあけてペンライトなどの指標しひょうぶつをおき、そのさきの「H」の文字もじくイメージでゆっくりとうごかす。水平すいへいせい眼球がんきゅう運動うんどう評価ひょうかではそとてん虹彩こうさい眼球がんきゅう結膜けつまくかくれれば(白目しろめのこらなければ)正常せいじょうであり、うちてん瞳孔どうこう内縁ないえんなみだてんのラインにたっすれば正常せいじょうである。垂直すいちょくせい眼球がんきゅう運動うんどうでは左右さゆうおなたかさになることを確認かくにんする。うえてんではうちそとかくむすぶラインより虹彩こうさいえんうえにいけば、しもてんではうちそとかくむすぶラインより虹彩こうさいじょうえんしたにいけばよい。

眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがいじょ

編集へんしゅう

じょとしては、筋肉きんにく疾患しっかん神経しんけいすじ接合せつごう疾患しっかん脳神経のうしんけい麻痺まひ内側うちがわたてたば障害しょうがい注視ちゅうし障害しょうがいかんがえる。筋肉きんにく疾患しっかん神経しんけいすじ接合せつごう疾患しっかん両側りょうがわせいおおい。脳神経のうしんけい麻痺まひ片側かたがわせいおおい。内側うちがわたてたば障害しょうがい注視ちゅうし障害しょうがい特有とくゆう症状しょうじょうがある。有名ゆうめい疾患しっかんとしてはTolosa-Hunt症候群しょうこうぐんうち頚動脈けいどうみゃく海綿かいめん静脈じょうみゃくほら(CCF)などがられている。

Tolosa-Hunt症候群しょうこうぐん
海綿かいめん静脈じょうみゃくほら非特異ひとくいてき炎症えんしょうせい肉芽にくがしゅができる。つう眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがいふくがおこる。ステロイドざいしるこうする。
うち頚動脈けいどうみゃく海綿かいめん静脈じょうみゃくほら瘻(CCF)
なんらかの原因げんいんにより、うち頸動みゃく海綿かいめん静脈じょうみゃくほらとのあいだりゅう交通こうつうしょうじた状態じょうたいをいい、頸動みゃくより直接ちょくせつ動脈どうみゃくあつによるりゅう海綿かいめん静脈じょうみゃく洞内ほらない流入りゅうにゅうするためほらないあついちじるしく亢進こうしんし、静脈じょうみゃく灌流が障害しょうがいされる。原因げんいんとしては頭蓋とうがいそこ骨折こっせつおおいが、動脈どうみゃくこぶ破裂はれつこることもある。症状しょうじょうとしては、はくどうせい眼球がんきゅう突出とっしゅつ頭痛ずつう眼窩がんかでのはくどうせい雑音ざつおん結膜けつまく充血じゅうけつ浮腫ふしゅそとすじ麻痺まひ視力しりょく障害しょうがいなどがある。確定かくてい診断しんだんにはのう血管けっかん造影ぞうえい動脈どうみゃくしょう海綿かいめん静脈じょうみゃくほら描出びょうしゅつ治療ちりょう血管けっかんないふさがせんじゅつおおい。

ふくで、麻痺まひがわがどちらかを決定けっていする方法ほうほう

編集へんしゅう

ふくには単眼たんがんせいふくりょうせいふくがある。単眼たんがんせいふくとは片目かためおおっても消失しょうしつしないふくでありりょうせいふくとは、片目かためくつがえると消失しょうしつするふくである。たんたませいふくでは眼鏡めがね、コンタクトレンズ、眼球がんきゅう問題もんだいがあるとかんがえる。りょうせいふく視線しせん不一致ふいっち原因げんいんなのでさまざまな原因げんいん疾患しっかんかんがえなければならない。一般いっぱんふくの25%が単眼たんがんせいであり、75%がりょうせいである。りょうせいならば問診もんしんによって鑑別かんべつ疾患しっかんしぼる。 りょうせいふく場合ばあいけんがわでは中心ちゅうしん視野しやでとらえ、麻痺まひがわでは周辺しゅうへん視野しやでとらえるためにぞうじゅうになる(斜視しゃし場合ばあい抑制よくせいがかかるためじゅうにはえない)。したがって、麻痺まひがわぞうかりぞう)はつねけんがわぞうしんぞう)の外側そとがわしょうじることになる。診察しんさつではふくしょうじるどちらのぞうえたかをたずねる。たとえば、右目みぎめ遮蔽しゃへいしたとき外側そとがわぞうえればみぎ麻痺まひがわである(被覆ひふく被覆ひふく解除かいじょテスト)。麻痺まひすじ特定とくていでの経験けいけんそくとして簡便かんべん方法ほうほうもある。りょうで6つ基本きほん方向ほうこうのどれをたときにふくもっとひどくなるのか患者かんじゃたずねれば麻痺まひすじ特定とくていらくである。さらにMaddoxの記憶きおくほうもちいると便利べんりである。これは「異常いじょうすじ同名どうめいじきすじかあるいはせい反対はんたいはすすじである」というものである。麻痺まひすじ推定すいていできれば、神経しんけい診断しんだんがくもとづきさらなる精査せいさおこなっていく。

どう神経しんけい麻痺まひ

編集へんしゅう

完全かんぜん麻痺まひでは、そとすじ麻痺まひくわえて眼瞼がんけんきょすじ麻痺まひによる高度こうど眼瞼がんけん下垂かすい瞳孔どうこう括約筋かつやくきん麻痺まひによるひとみたいひかり反射はんしゃ消失しょうしつみとめる。眼球がんきゅうそところがしており、うちてんうえてんしもてん不能ふのうである。どう神経しんけい麻痺まひでは、病変びょうへん部位ぶい診断しんだんとともに腫瘍しゅよう動脈どうみゃくこぶなどの圧迫あっぱくなのか、炎症えんしょうきょなどの圧迫あっぱく性病せいびょうへんなのかを診断しんだんすることが大切たいせつとなる。どう神経しんけいさい外側そとがわはE.Wかくからふく交感神経こうかんしんけい走行そうこうする。したがって、そとからの圧迫あっぱくでは最初さいしょにそれが障害しょうがいされるため、ひとみそとすじ麻痺まひ先行せんこうして出現しゅつげんする。一方いっぽう炎症えんしょうきょなど圧迫あっぱくせい病変びょうへんではさい外側そとがわふく交感神経こうかんしんけいもっと障害しょうがいけにくく、ひとみともなわない(瞳孔どうこう回避かいひという)どう神経しんけい麻痺まひていすることがある(糖尿とうにょうびょうウェルニッケ脳症のうしょう、Tolosa-Hunt症候群しょうこうぐんなど)。じょ推定すいていんだら、つぎ局在きょくざい診断しんだんおこなう。病変びょうへん部位ぶいを、ちゅうのう、クモまく腔、海綿かいめん静脈じょうみゃく - うえ眼窩がんかきれの3かしょ大別たいべつする・鑑別かんべつ随伴ずいはん症状しょうじょうおこなう。ちゅうのうでは大脳だいのうあしきりからだ障害しょうがいによるかた麻痺まひあるいはあかかく障害しょうがいによるせんたいがわ半身はんしんみとめる。クモまく腔はずいまく刺激しげき症状しょうじょうともなう。海綿かいめん静脈じょうみゃくほら周辺しゅうへんでは滑車かっしゃそとてん三叉みつまた神経しんけいだいいちえだ障害しょうがいともなうことがおおい。どう神経しんけい単独たんどく障害しょうがいでは病変びょうへん部位ぶいとしては、クモまく腔と海綿かいめん静脈じょうみゃくほら - うえ眼窩がんかきれ病変びょうへんだいいちかんがえる。

滑車かっしゃ神経しんけい麻痺まひ

編集へんしゅう

滑車かっしゃ神経しんけい麻痺まひではほんむ、階段かいだんりるなど下方かほうふくしょうじる。特有とくゆう症候しょうこうは、あたまけんがわけると左右さゆう眼球がんきゅうのずれがちいさくなるためふくかるくなる(Bielshowskyはすけい試験しけん)。このときあたま障害しょうがいがわかたむけると障害しょうがいがわうえてんする。これをBielshowsky徴候ちょうこうという。滑車かっしゃ神経しんけいちゅうのうない走行そうこうきわめてみじかく、障害しょうがい部位ぶいとしては末梢まっしょうだいいちかんがえる。滑車かっしゃ神経しんけい麻痺まひ単独たんどくこるのはまれであり、診断しんだんがくじょうどう神経しんけい麻痺まひ滑車かっしゃ神経しんけい麻痺まひ合併がっぺいしているかの評価ひょうか重要じゅうようとなる。この場合ばあいうえ眼窩がんかきれ海綿かいめん静脈じょうみゃくほら病変びょうへんがある可能かのうせいがある。どう神経しんけい麻痺まひがわそと転位てんいをとっているとき、下方かほうをみるように指示しじする。滑車かっしゃ神経しんけい正常せいじょうならばこのとき眼球がんきゅうかいないする。眼球がんきゅう結膜けつまく血管けっかん注目ちゅうもくするとわずかなかいない確認かくにんできる。

そとてん神経しんけい麻痺まひ

編集へんしゅう

そとてん神経しんけい麻痺まひでは眼球がんきゅううちころがしており、そとてん不能ふのうである。病変びょうへん部位ぶいどう神経しんけい麻痺まひ同様どうように、はし、くもまく腔、海綿かいめん静脈じょうみゃくほら - うえ眼窩がんかきれの3ヵ所かしょ大別たいべつする。はし病変びょうへんではPPRF障害しょうがいによるがわかた注視ちゅうし障害しょうがい顔面がんめん神経しんけい麻痺まひはしそことおきりからだ障害しょうがいによるかた麻痺まひともなう。くもまく腔病へんではずいまく刺激しげき症状しょうじょうともない、海綿かいめん静脈じょうみゃく - うえ眼窩がんかきれ病変びょうへんではどう神経しんけい三叉みつまた神経しんけいだいいちえだ障害しょうがいともなう。そとてん神経しんけい単独たんどく麻痺まひではクモまく腔か海綿かいめん静脈じょうみゃく - うえ眼窩がんかきれ病変びょうへんだいいちかんがえる。遠隔えんかく脳腫瘍のうしゅよう頭蓋とうがいないあつ亢進こうしんそとてん神経しんけい頭蓋とうがいそこけて麻痺まひさせることもあり、脳腫瘍のうしゅようにせせい局所きょくしょ徴候ちょうこうとして有名ゆうめいである。そとてん神経しんけい走行そうこう距離きょりながいため、頭蓋とうがいないあつ亢進こうしんしょう障害しょうがいされやすいと理解りかいされている。

ぜんそとすじ麻痺まひ

編集へんしゅう

片側かたがわせい両側りょうがわせいかで病因びょういんことなる。片側かたがわせいがいすじ麻痺まひでは海綿かいめん静脈じょうみゃくほら - うえ眼窩がんかきれでのどう滑車かっしゃそとてん神経しんけい障害しょうがいだいいちかんがえる。うちすじ麻痺まひひとみたいひかり反射はんしゃ消失しょうしつ)があれば確実かくじつである。両側りょうがわせいぜんそとすじ麻痺まひかくうえせいかくせい障害しょうがいのいずれでもきるがかくせい障害しょうがい原因げんいんとしておおい。かくうえせい麻痺まひには進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひかくせい麻痺まひ脳神経のうしんけい障害しょうがいフィッシャー症候群しょうこうぐんギランバレ症候群しょうこうぐんなど)、

神経しんけいすじ接合せつごうおよすじせい障害しょうがい

編集へんしゅう

もっと重要じゅうようなのは重症じゅうしょうすじ無力むりょくしょうによるものである。午後ごごになると症状しょうじょう増悪ぞうあくする、あるいは持続じぞく使用しようによって症状しょうじょう増悪ぞうあくするのが特徴とくちょうてきである。すじがたでは片側かたがわおおい。にはそとすじそのものの障害しょうがいによるすじ麻痺まひであるそとすじミオパチー、甲状腺こうじょうせん機能きのう異常いじょうしょうとくバセドウびょう)によるそとすじ麻痺まひすじ緊張きんちょうせいジストロフィー、慢性まんせい進行しんこうせいがいすじ麻痺まひがあげられる。慢性まんせい進行しんこうせいがいすじ麻痺まひとはミトコンドリア異常いじょうしょうのひとつである。ミトコンドリア異常いじょうしょう基本きほんてき母系ぼけい遺伝いでんである。しかし、ヘテロプラスミーという現象げんしょうがあるうえ、未知みち要因よういん遺伝いでん原則げんそくしたがわないものもある。病態びょうたい基本きほんはATPの不足ふそくによってのう筋肉きんにくがおかされるため、ミトコンドリアのうすじしょうともいわれる。慢性まんせい進行しんこうせいがいすじ麻痺まひ(CPEDまたはKSS)では進行しんこうせいがいすじ麻痺まひ網膜もうまく色素しきそ変性へんせいしん伝導でんどう障害しょうがいさんしるしとする。ほとんどがはつれいであり、ミトコンドリアの複製ふくせい過程かてい異常いじょうかんがえられている。片側かたがわせい眼瞼がんけん下垂かすいからはじまり、網膜もうまく色素しきそ変性へんせいによる視力しりょく低下ていかがおこり、大抵たいていしん伝導でんどう障害しょうがいによって死亡しぼうする。にミトコンドリア異常いじょうしょうとしてはMELAS(脳卒中のうそっちゅう症状しょうじょうともなうミトコンドリア異常いじょうしょう)やMERRF(ミオクローヌスをともなうミトコンドリア異常いじょうしょう)があげられる

その障害しょうがい

編集へんしゅう

骨折こっせつ眼窩がんか腫瘍しゅよう耳鼻じび疾患しっかん中耳炎ちゅうじえんふく鼻腔びこうえんふく鼻腔びこう粘膜ねんまくしょう)、Duane症候群しょうこうぐん、などがあげられる。

注視ちゅうし麻痺まひ

編集へんしゅう
 
協調きょうちょう運動うんどうかかわる神経しんけい回路かいろ

りょう同時どうじおな方向ほうこううごかすことを眼球がんきゅう共同きょうどう運動うんどうという。それを障害しょうがいされた状態じょうたい注視ちゅうし麻痺まひという。りょうが1がわへんしている共同きょうどうへんでは、注視ちゅうし麻痺まひかんがえる。注視ちゅうし麻痺まひにはがわかた注視ちゅうし麻痺まひ垂直すいちょく注視ちゅうし麻痺まひがある。病変びょうへん部位ぶいとして、大脳だいのう脳幹のうかん注視ちゅうし中枢ちゅうすうあるいは両者りょうしゃむす神経しんけいかんがえる。注視ちゅうし麻痺まひかくうえせいすじ麻痺まひであり、眼球がんきゅうあたま反射はんしゃ人形にんぎょう反射はんしゃ)は陽性ようせいで、眼球がんきゅう正中せいちゅうせんえてたいがわうごく。

がわかた注視ちゅうし麻痺まひ

編集へんしゅう
 
はし下部かぶでの横断おうだんめんはた正中せいちゅうきょうもうさまたい(PPRF:茶色ちゃいろ)と内側うちがわたてたば(MLF:青色あおいろ)の位置いち関係かんけいしめす。

がわかた注視ちゅうし中枢ちゅうすう前頭葉ぜんとうようこうあたまおよはしはた正中せいちゅうきょうもうさまたい(PPRF)にある。前頭葉ぜんとうようがわかた注視ちゅうし中枢ちゅうすうたいがわきょうのPPRFをかいして衝動しょうどうてき眼球がんきゅうたいがわ方向ほうこううごかす(サッケード運動うんどう)。こうあたまがわかた注視ちゅうし中枢ちゅうすうどうがわのPPRFをかいしてゆるやかに眼球がんきゅうどうがわ方向ほうこううごかす。すなわち、前頭葉ぜんとうようがわかた注視ちゅうし中枢ちゅうすう物体ぶったい素早すばやとらえ、こうあたまがわかた注視ちゅうし中枢ちゅうすううご物体ぶったい無意識むいしき追跡ついせきすることになる。したがって、共同きょうどうへんがあれば、前頭葉ぜんとうようがわかた注視ちゅうし中枢ちゅうすうはしのPPRFまたは両者りょうしゃむす神経しんけい障害しょうがいかんがえる。両者りょうしゃ鑑別かんべつとしては共同きょうどうへんではたいがわ半身はんしんかた麻痺まひみとめることがおおく、これが参考さんこうになる。前頭葉ぜんとうよう注視ちゅうし中枢ちゅうすう眼球がんきゅうたいがわにむけ、PPRFはどうがわ眼球がんきゅうけるので、その障害しょうがいではぎゃく方向ほうこうへの共同きょうどうへんきる。すなわち、前頭葉ぜんとうよう障害しょうがいではかた麻痺まひ反対はんたいがわへの共同きょうどうへん、PPRFではかた麻痺まひがわへの共同きょうどうへんきる。特徴とくちょうてき注視ちゅうし麻痺まひかくあいだせいすじ麻痺まひまたはMLF症候群しょうこうぐんというものがある。内側うちがわたてたば(MLF)はPPRFからて、すぐにたいがわ交叉こうさどう神経しんけい外側そとがわかくむす部分ぶぶんである。はしはしもうさまたいはたせい中部ちゅうぶ(PPRF)はちゅうのうどう神経しんけい外側そとがわかくはしそとてん神経しんけいかく、および前庭ぜんてい神経しんけいおよび頸部すじをMLFなどをかいして連結れんけつしている。MLF障害しょうがいは、がわかた注視ちゅうしうちてん障害しょうがいそとてんていする。ようするにかたずつ眼球がんきゅう運動うんどうれば正常せいじょうであるのもかかわらず、りょう一方向いちほうこうときうちてんするべき眼球がんきゅううちてんしないというのがMLF症候群しょうこうぐん特徴とくちょうである。どう神経しんけい障害しょうがいされていないので輻輳ふくそう正常せいじょうである。多発たはつせい硬化こうかしょうでは両側りょうがわせいMLF症候群しょうこうぐんきることがおおい。

垂直すいちょく注視ちゅうし麻痺まひ

編集へんしゅう

垂直すいちょく注視ちゅうし中枢ちゅうすうちゅうのうどう神経しんけいかく近傍きんぼうにある。がわかた注視ちゅうしそとてん神経しんけいどう神経しんけい共同きょうどうさせる必要ひつようがあるが、垂直すいちょく注視ちゅうしどう神経しんけいのみで可能かのうである。垂直すいちょく注視ちゅうし中枢ちゅうすう障害しょうがいパリノー症候群しょうこうぐんである。この付近ふきんには輻輳ふくそう反射はんしゃ中枢ちゅうすうもあるとかんがえられており、おおくの場合ばあい輻輳ふくそうもできなくなる。その垂直すいちょく注視ちゅうし麻痺まひをおこす疾患しっかんとしては視床ししょう出血しゅっけつ進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひられている。視床ししょう出血しゅっけつでは血腫けっしゅちゅうのう垂直すいちょく注視ちゅうし中枢ちゅうすう圧迫あっぱくするために病巣びょうそうがわ眼球がんきゅう下方かほうへんくらいする。

共同きょうどうせい注視ちゅうし麻痺まひ

編集へんしゅう
輻輳ふくそう麻痺まひ
うちてんできるにもかかわらず輻湊ふくそう出来できない状態じょうたいちかくをるときにふくうったえる。ちゅうのう病変びょうへんしょうじるが機能きのうてき疾患しっかんでもしょうじる。
輻湊ふくそう痙攣けいれん
輻湊ふくそう位置いち固定こていする現象げんしょうちぢみひとみしている。ヒステリーや脳炎のうえんこる。
ひらけ麻痺まひ
そとうたてできるがひらけできない状態じょうたいであり、とおくをときふくうったえるがちかくをときには消失しょうしつする。そとてん神経しんけい麻痺まひでは麻痺まひがわをみるとふく増強ぞうきょうするがひらけ麻痺まひではすべての方向ほうこうおなじようにふくうったえる。そとてん神経しんけいかくレベルのはし病変びょうへんしょうじる。
MLF症候群しょうこうぐんかくあいだ麻痺まひ
内側うちがわたてたば(MLF)が障害しょうがいされたとき症状しょうじょうである、病変びょうへんがわぎゃくときに、病変びょうへんがわうちうたて障害しょうがいたいがわそとてん単眼たんがんせいしめし、輻湊ふくそうたもたれる。両側りょうがわMLF症候群しょうこうぐんではりょうともうちてん出来できず、りょうともそとてんしめす。この場合ばあい輻湊ふくそうたもたれる。
One and half症候群しょうこうぐん
いちがわ内側うちがわたてたば(MLF)とはた正中せいちゅうきょうもうさまたい(PPRF)の障害しょうがいしょうじる病態びょうたいである。はしぶた梗塞こうそくこりえる。病変びょうへんがわへの水平すいへいせい注視ちゅうし麻痺まひとMLF症候群しょうこうぐんていする。このため病変びょうへんがわ眼球がんきゅう左右さゆうともにうごかず、たいがわ眼球がんきゅうそとてんだけできる。そとてんしょうじる。そして輻湊ふくそうおこなうことができる。
眼球がんきゅう運動うんどうしつぎょう
前頭まえがしら病変びょうへんのため水平すいへいせい眼球がんきゅう運動うんどう出来できないが垂直すいちょくせい眼球がんきゅう運動うんどう出来でき状態じょうたいである。水平すいへい眼球がんきゅう運動うんどう脳幹のうかん反射はんしゃ利用りようすればできる。

眼球がんきゅう振盪しんとう

編集へんしゅう
 
水平すいへいせい

眼球がんきゅう振盪しんとうまたはりゃくして(nystagmus、がんしん)とは随意ずいいのゆっくりした眼球がんきゅう運動うんどうが、かたさまたげる。周期しゅうきてきな、往復おうふく眼球がんきゅう運動うんどうである。本来ほんらいかた維持いじしようとしても視線しせん徐々じょじょかた視点してんからずれることから発現はつげんする異常いじょう眼球がんきゅう運動うんどうである。かたからゆっくりとしたずれが緩徐かんじょしょうであり、そのずれの修正しゅうせい急速きゅうそくしょうである。方向ほうこう急速きゅうそくしょう方向ほうこうしめす。かたのための視覚しかくけい正常せいじょう機能きのうすることを前庭ぜんていとしている。

には先天せんてんせいのものと後天こうてんせいのものがあり、後天こうてんせいには病的びょうてき意義いぎがある。前庭ぜんていどう反射はんしゃもとづく前庭ぜんてい運動うんどうせい生理せいりてきである。後天こうてん性病せいびょうてきではめまいともな疾患しっかんおおい。めまいは視覚しかく平衡へいこう感覚かんかく固有こゆう感覚かんかく統合とうごうによってかんじる感覚かんかくわれている。かた維持いじできないため視力しりょく低下ていか動揺どうよううったえることもおおい。かたおこなうには前庭ぜんていどう反射はんしゃ視線しせん保持ほじするための神経しんけい積分せきぶん網膜もうまくぞうのずれを検出けんしゅつする視覚しかくけいの3つが必要ひつようであり、これらの障害しょうがいがあるとしょうじる。神経しんけい原因げんいんがある場合ばあいは、前庭ぜんていまたは小脳しょうのう異常いじょうかんがえる。

  末梢まっしょうせいめまい 中枢ちゅうすうせいめまい
めまいの性質せいしつ 回転かいてんせい 浮遊ふゆうせい
めまいの程度ていど 重度じゅうど 軽度けいど
めまいの時間じかんせい 突発とっぱつせい周期しゅうきせい 持続じぞくせい
めまいとあたま体位たいいとの関係かんけい あり なし(例外れいがいあり)
みみ難聴なんちょう あり なし
脳神経のうしんけい障害しょうがい なし あり
一側方注視眼振、回転かいてんせい水平すいへいせい 両側りょうがわかた注視ちゅうしたて

本来ほんらいではかたのずれを修正しゅうせいするためにうご急速きゅうそく眼球がんきゅう運動うんどうけいが、ぎゃく安定あんていしたかたさまたげる原因げんいんとなる場合ばあいがある。この急速きゅうそくしょう主体しゅたい異常いじょう眼球がんきゅう運動うんどう衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう混入こんにゅうという。

生理せいりてき

編集へんしゅう

生理せいりてき正常せいじょう出現しゅつげんするであり、病的びょうてきになるとこの誘発ゆうはつされなくなる。生理せいりてき誘発ゆうはつされないことが異常いじょうである。

温度おんど回転かいてん
いちがわ迷路めいろ冷却れいきゃくしたりあたためるときる。これを温度おんどという。温度おんど刺激しげきにより三半規管さんはんきかんリンパ液りんぱえき対流たいりゅうしょうじて、からだ回転かいてんしているのとおな感覚かんかくあらわれ、このためこる。からだ回転かいてんさせてきゅうまると出現しゅつげんする。これを回転かいてんせいという。回転かいてんしたことによる惰性だせいのためにまったあとにリンパ液りんぱえきうごいている状態じょうたいになり、誘発ゆうはつする。これらの注視ちゅうしによって抑制よくせいされvisual suppressionという。visual suppressionは小脳しょうのう脳幹のうかん障害しょうがいがあるとげんじゃくする。
運動うんどうせい
電車でんしゃ車窓しゃそうながめるときにおこるである。脳幹のうかん小脳しょうのうこうあたま頭頂とうちょう病変びょうへん障害しょうがいされる。

異常いじょう

編集へんしゅう
Gaze paretic nystagmus
がわかた注視ちゅうし
がわかた注視ちゅうしによって水平すいへいせいしょうじるものであり脳幹のうかん小脳しょうのう病変びょうへんみとめられる。Brunsではやまいがわ注視ちゅうししたとき振幅しんぷくおおきなみとめられけんがわ注視ちゅうししたとき振幅しんぷくちいさなみとめられる。この小脳しょうのうきょうかく腫瘍しゅようみとめられる。
垂直すいちょくせい
正面しょうめんみとめられるした眼瞼がんけんきの脳幹のうかん下部かぶ障害しょうがいみとめられる。うえ眼瞼がんけんきの脳幹のうかん小脳しょうのう病変びょうへん関係かんけいする。
前庭ぜんていせい
前庭ぜんていせいいちがわ前庭ぜんてい器官きかん前庭ぜんてい神経しんけいかく)の障害しょうがいまたは刺激しげきこる。水平すいへいせいおおいが、回転かいてんせい要素ようそくわわることもあり方向ほうこう一定いっていである。方向ほうこう固定こていせいという。反対はんたい方向ほうこう注視ちゅうししたとき振幅しんぷく最大さいだいとなる。これをアレキサンダーの法則ほうそくという。方向ほうこう刺激しげき症状しょうじょう場合ばあいは患側にくが、おおくの場合ばあい脱落だつらく症状しょうじょうけんがわく。visual suppressionをみとめる。
先天せんてんせい
急速きゅうそくしょう緩徐かんじょしょう区別くべつがないのが特徴とくちょうてきであり、さま水平すいへい方向ほうこうせい方向ほうこう周期しゅうきてき変化へんかする方向ほうこう交代こうたいせい)がある。前者ぜんしゃ先天せんてんせい視力しりょく低下ていかなどかた機能きのう発達はったつ障害しょうがい原因げんいんがあるれいもある。後者こうしゃ前庭ぜんてい神経しんけい小脳しょうのう下部かぶ脳幹のうかん障害しょうがいによる。
単眼たんがんせい
MLF症候群しょうこうぐんみとめられるそとてんのみにみとめられる。しょうじる注視ちゅうし方向ほうこうぎゃくがわ病変びょうへんがある。
シーソー
やく1Hzへるつ周期しゅうきいちがわうえてんうち旋し、他方たほうしもてんそと旋する。ちゅうのうもうさまたい障害しょうがいによる。

身体しんたい診察しんさつにおいては重要じゅうようせいはめまいが中枢ちゅうすうせい末梢まっしょうせいかの鑑別かんべつもっと重要じゅうようであるため、そのてん強調きょうちょうして記載きさいする

中枢ちゅうすうせいをほぼ確定かくていできる所見しょけん
自発じはつせい垂直すいちょくせいうえ眼瞼がんけんき、しも眼瞼がんけんき)
注視ちゅうし方向ほうこうせい
かたにより出現しゅつげんあるいは増強ぞうきょうされる
中枢ちゅうすうせい推定すいていできる所見しょけん
自発じはつせいじゅん水平すいへいせい
あたませい方向ほうこう交代こうたいせいじょう向性こうせい
あたまあたま変換へんかんしも眼瞼がんけん
中枢ちゅうすうせいうたが所見しょけん特徴とくちょう
のリズム(振幅しんぷく頻度ひんど規則きそくせい)が一定いっていしない
緩徐かんじょしょう急速きゅうそくしょう区別くべつがつかない(前庭ぜんていせい様相ようそうていさない)
変化へんかさせても性状せいじょう変化へんかしない
けいてきに、性状せいじょう垂直すいちょく水平すいへい回旋かいせん)が不規則ふきそく変化へんかする
つよさ(頻度ひんど振幅しんぷく)が減少げんしょう傾向けいこうにない

診察しんさつ

編集へんしゅう

診察しんさつほうかんしてまとめる。

自発じはつかた検査けんさ
末梢まっしょう前庭ぜんてい神経しんけい障害しょうがいではやまいがわ回旋かいせん成分せいぶんをもつ自発じはつ出現しゅつげんする。このタイプのでなければ中枢ちゅうすうせい可能かのうせいがある。この時点じてんじゅん垂直すいちょくせいならば中枢ちゅうすうせい可能かのうせいたかい。また正面しょうめんさせげんじゃくするならば末梢まっしょうせい増強ぞうきょうするならば中枢ちゅうすうせいうたがえる。
注視ちゅうし検査けんさ
つぎ正面しょうめん左右さゆう上下じょうげ注視ちゅうしおこなわせる。正面しょうめんみとめられず、左右さゆう上下じょうげ注視ちゅうし方向ほうこうせいみとめられるとき中枢ちゅうすうせいうたがう。みぎかた右向みぎむ出現しゅつげんし、ひだりかた左向ひだりむ出現しゅつげんすれば注視ちゅうし方向ほうこうせいであり中枢ちゅうすうせいうたがい、ひだりかたでも右向みぎむみとめられれば末梢まっしょうせいうたがう。原則げんそくとしては注視ちゅうし方向ほうこうによって方向ほうこう交代こうたいすれば中枢ちゅうすうせいであり、一定いっていならば末梢まっしょうせいである。
あたま検査けんさ
みぎでも左下ひだりしたあたまでも正面しょうめんどう方向ほうこうしめ定方さだかた向性こうせいならば末梢まっしょうせいかんがえられる。一方いっぽう方向ほうこう交代こうたいする場合ばあいは、下向げこうせいならば末梢まっしょうせい外側そとがわはんぶんまわしかんがたBPPVはんぶんまわしかん結石けっせきしょう)。上向うわむきせいならば外側そとがわはんぶんまわしかんがたBPPVクプラ結石けっせきしょう中枢ちゅうすうせいかんがえる。
あたま変換へんかん検査けんさ
通常つうじょうはBPPVを診断しんだんするためにもちいられる検査けんさである。から懸垂けんすいあたまあたま変換へんかんうえ眼瞼がんけん垂直すいちょく回旋かいせん混合こんごうせい懸垂けんすいあたまからへの変換へんかんぎゃくきの出現しゅつげんすれば後半こうはんぶんまわしかんがたBPPVと診断しんだんすることができる。から懸垂けんすいあたま変換へんかんしも眼瞼がんけんきの垂直すいちょく回旋かいせん混合こんごうせいならば前半ぜんはんぶんまわしかんせいBPPVを、しも眼瞼がんけんきのじゅん垂直すいちょくせい出現しゅつげんしたら中枢ちゅうすうせいかんがえる。

中枢ちゅうすうせい病変びょうへんによる発現はつげんじょ

編集へんしゅう

Robinsonの仮説かせつ(パルス・ステップ支配しはい)ではパルス発生はっせいであるはた正中せいちゅうきょうもうさまたい(paramedian pontine reticular formation、PPRF)、内側うちがわたてたば吻側あいだしつかく(rostral interstitial nucleus of medial longitudinal fasciculus、riMLF)や神経しんけい積分せきぶんであるした神経しんけいまえかく(nucleus prepositus hypoglossi、NPH)、カハールあいだしつかく(interstitial nucleus of Cajal、INC)の障害しょうがいこりえる。前庭ぜんてい神経しんけいかく(VN)、小脳しょうのうへん(flo)、小脳しょうのう小節しょうせつ(nod)の障害しょうがいでもこる。

解剖かいぼうがくてき部位ぶい 眼球がんきゅう運動うんどうセンター
ちゅうのう riMLF 注視ちゅうし方向ほうこうせい垂直すいちょくせい
  INC 垂直すいちょくせいうえ眼瞼がんけんき)
はし PPRF 注視ちゅうし方向ほうこうせい水平すいへいせい
延髄えんずい NPH 注視ちゅうし方向ほうこうせい水平すいへいせい)、垂直すいちょくせいうえ眼瞼がんけんき)
  VN 注視ちゅうし方向ほうこうせいじゅん回旋かいせんせい
小脳しょうのう flo 注視ちゅうし方向ほうこうせい垂直すいちょく方向ほうこうせいしも眼瞼がんけんき)
  nod 方向ほうこう交代こうたいせい上向うわむせい

簡単かんたんにまとめると、riMLFの障害しょうがいならば垂直すいちょくせい注視ちゅうし麻痺まひ、INCの障害しょうがい垂直すいちょくせい注視ちゅうしである。ひだり右側みぎがわかた注視ちゅうしにより注視ちゅうし方向ほうこうせい水平すいへいせい出現しゅつげんすればはし - 延髄えんずい上部じょうぶ障害しょうがいである。回旋かいせん成分せいぶんともなった場合ばあい前庭ぜんてい神経しんけいかく前庭ぜんてい小脳しょうのう関与かんようたがう。延髄えんずい障害しょうがいはあらゆるこしうる。小脳しょうのう病変びょうへんはリズムが不規則ふきそくである。

以外いがい異常いじょう眼球がんきゅう運動うんどう

編集へんしゅう

衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう混入こんにゅう異常いじょう眼球がんきゅう運動うんどう眼球がんきゅう随意ずいい運動うんどうをまとめる。律動りつどうせい眼球がんきゅう運動うんどう混入こんにゅうではオプソクローヌスや眼球がんきゅうどうなどがられる。

異常いじょう眼球がんきゅう運動うんどう

編集へんしゅう
サッケードの異常いじょう
パスートの異常いじょう
眼球がんきゅう運動うんどうしつぎょう
Balint症候群しょうこうぐん(バリント症候群しょうこうぐん
精神せいしんせい注視ちゅうし麻痺まひ視覚しかく失調しっちょう視覚しかくせい注意ちゅうい障害しょうがいさんしるしとする症候群しょうこうぐんであり頭頂とうちょうからこうあたま両側りょうがわせい病変びょうへんしょうじ、とくちゅう大脳だいのう動脈どうみゃくこう大脳だいのう動脈どうみゃく分水嶺ぶんすいれい梗塞こうそくおおい。精神せいしんせい注視ちゅうし麻痺まひとは視点してんいちてん固定こていすることであり、視覚しかく失調しっちょう凝視ぎょうししたものをつかもうとしてもおおきく見当けんとうがはずれること、視覚しかくせい注意ちゅうい障害しょうがい注視ちゅうししたせまい視野しや範囲はんいにしか注意ちゅういしめさないことである。

異常いじょう眼球がんきゅう運動うんどう

編集へんしゅう
眼球がんきゅう回転かいてん発作ほっさ
眼球がんきゅうのジスキネジア
オプソクローヌス
不規則ふきそくな、はやい、あらゆる方向ほうこうかう眼球がんきゅう運動うんどう持続じぞくてき出現しゅつげんする。身体しんたいてきミオクローヌス合併がっぺいすることがおおく、小脳しょうのう失調しっちょうともな急性きゅうせい小脳しょうのうえん小児しょうに神経しんけい細胞腫さいぼうしゅ代謝たいしゃせい脳症のうしょうはた腫瘍しゅようせい神経しんけい症候群しょうこうぐんなどでみとめられる。
眼球がんきゅうミオクローヌス
1 - 3Hzへるつ律動りつどうてき眼球がんきゅう運動うんどうでありしばしば口蓋こうがいのミオクローヌスと合併がっぺいする。随意ずいい運動うんどうことなりねむりでも消失しょうしつしない。じょうかくあかかくしもオリーブかくむすぶGuillain-Mollarretの三角さんかく(ギラン・モラレの三角さんかく)の障害しょうがいによる。

うちすじについて

編集へんしゅう

眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがい瞳孔どうこう異常いじょうすなわうちすじ障害しょうがい合併がっぺいすることもおおいため、まとめる。瞳孔どうこう自律じりつ神経しんけい支配しはいける。交感神経こうかんしんけいひとみを、ふく交感神経こうかんしんけいちぢみひとみになう。交感神経こうかんしんけい走行そうこう以下いかとおりである。視床ししょう下部かぶに1ニューロン、だい1むねずい中心ちゅうしんはいしろしつちゅうあいだ外側そとがわかくに2ニューロン、うえ頚部けいぶ交感神経こうかんしんけいぶしほしじょう神経しんけいぶし)に3ニューロンがある。3ニューロンのじくさくうち頸動みゃく周囲しゅうい交感神経こうかんしんけいくさむら形成けいせい頭蓋とうがいないはいり、その眼窩がんかいたって瞳孔どうこう散大さんだいすじ眼瞼がんけんいたすじ支配しはいする。この経路けいろたいがわ交叉こうさせず、その障害しょうがいどうがわホルネル症候群しょうこうぐんしょうじる。ふく交感神経こうかんしんけい瞳孔どうこう中枢ちゅうすうちゅうのう上丘かみおかエディンガー・ウェストファルかく(EWかく)である。そのじくさくどう神経しんけいとして眼窩がんかいたり、もうさまたい神経しんけいぶしわる。そこからたんさまたい神経しんけい瞳孔どうこう括約筋かつやくきん支配しはいする。この経路けいろたいひかり反射はんしゃ遠心えんしんであり、障害しょうがいされるとたいひかり反射はんしゃ消失しょうしつと、ひとみしょうじる。注意ちゅういてんとしてはどう神経しんけいふく交感神経こうかんしんけい)はうえ眼瞼がんけんきょすじ交感神経こうかんしんけいまぶたいたすじ支配しはいしているのでどちらが障害しょうがいされても眼瞼がんけん下垂かすいしょうじる。また、眼底がんてい検査けんさするときは、薬物やくぶつひとみさせるのでこういった瞳孔どうこう検査けんさができなくなる。眼底がんていきょうまえ十分じゅうぶん瞳孔どうこう観察かんさつしなければならない。

瞳孔どうこう反射はんしゃ

編集へんしゅう

たいひかり反射はんしゃ輻輳ふくそう調節ちょうせつ反射はんしゃがある。たいひかり反射はんしゃとは、いちがわ瞳孔どうこうひかりてると両側りょうがわちぢみひとみきる反射はんしゃである。これは求心きゅうしん視神経ししんけいからの神経しんけい線維せんいちゅうのう上丘かみおかぶたとおって両側りょうがわのE.Wかくわるからである。輻輳ふくそう調節ちょうせつ反射はんしゃ眼前がんぜんちかくのものせるとりょう眼球がんきゅううちてん輻輳ふくそう反射はんしゃ)してちぢみひとみする(調節ちょうせつ反射はんしゃ反射はんしゃである。この反射はんしゃ経路けいろ複雑ふくざつ網膜もうまくからひかり刺激しげき同様どうよう外側そとがわひざじょうからだかいしてこうあたま視覚しかくったのちぶたぜんかくき、どう神経しんけいかくとE.Wかく入力にゅうりょくをする。このように、りょう反射はんしゃ経路けいろことなるため、たいひかり反射はんしゃではちぢみひとみがなく、輻輳ふくそう調節ちょうせつ反射はんしゃではちぢみひとみられることがある。アディー瞳孔どうこうアーガイル・ロバートソン瞳孔どうこうどう神経しんけいことしょせい再生さいせいがそのれいである。EMDとして、たいひかり反射はんしゃ異常いじょうではないひとたいして、輻輳ふくそう調節ちょうせつ反射はんしゃをみる診断しんだんがくてき価値かちはない。

瞳孔どうこう異常いじょう

編集へんしゅう

おおきさ、かたち位置いち異常いじょうがある。おおきさの異常いじょうにはちぢみひとみひとみ瞳孔どうこう不同ふどうがある。瞳孔どうこう不同ふどう正常せいじょうじんやく20%にみられ、かならずしも、病的びょうてき病態びょうたいではない。かたち正常せいじょうではせいえんであるが、楕円だえん(アディー瞳孔どうこう)や不整ふせい(アーガイル・ロバートソン瞳孔どうこう)がある。正常せいじょう瞳孔どうこうみちよわいとともに減少げんしょうする。10さいでは7mm、30さいで6mm、80さいで4mmである。

ちぢみひとみこす病態びょうたい

編集へんしゅう

片側かたがわちぢみひとみでは、交感神経こうかんしんけい障害しょうがいによるホルネル症候群しょうこうぐんだいいちかんがえる。ホルネル症候群しょうこうぐん特有とくゆう症状しょうじょうていするので診断しんだん容易よういである。両側りょうがわせいちぢみひとみでは高齢こうれいしゃ、アーガイル・ロバートソン瞳孔どうこうふく交感神経こうかんしんけい刺激しげき作用さようゆうする麻薬まやく有機ゆうきリンフェノチアジンなどの中毒ちゅうどくでみられる。はし出血しゅっけつでははりさき瞳孔どうこう(pin-point pupil)とばれるりょういちじるしいちぢみひとみきる。これは交感神経こうかんしんけいいちニューロン行路こうろ障害しょうがいによる。

ホルネル症候群しょうこうぐん
ホルネル症候群しょうこうぐん症状しょうじょうちぢみひとみ瞳孔どうこう散大さんだいすじ麻痺まひ)、軽度けいど眼瞼がんけん下垂かすいまぶたいたすじ麻痺まひ)およびまぶたきれ狭小きょうしょうしも眼瞼がんけんきょじょうしょうじる)である。眼窩がんかない平滑へいかつすじ発達はったつしたいえうさぎではその麻痺まひによる眼球がんきゅうおちいへこしょうじるが、発達はったつのヒトでは眼球がんきゅうおちい凹はこらない。交感神経こうかんしんけい高次こうじ中枢ちゅうすうである視床ししょう下部かぶよりはっし、脳幹のうかん下降かこう頚椎けいついC1、C2、胸椎きょうついT1、T2のもうさま脊髄せきずい中枢ちゅうすうでシナプスをかえる。した中部ちゅうぶ交感神経こうかんしんけいぶし通過つうか交感神経こうかんしんけいみきうえぎょうじょう頚部けいぶ交感神経こうかんしんけいぶしはいる。ここでシナプスを形成けいせいぶし神経しんけいになり交感神経こうかんしんけいとしてうち頸動みゃくとともに頭蓋とうがいないはいり、瞳孔どうこう散大さんだいすじまぶたいたすじにいたる。病変びょうへん部位ぶい診断しんだんほうとしてうえ頚部けいぶ神経しんけいぶしさかいにしてふしぜん障害しょうがいふし線維せんい鑑別かんべつする。ホルネル症候群しょうこうぐんこす病変びょうへん中枢ちゅうすうせい障害しょうがい視床ししょう下部かぶ脳幹のうかん脊髄せきずい)としてはワレンベルグ症候群しょうこうぐん脊髄せきずい疾患しっかん腫瘍しゅよう多発たはつせい硬化こうかしょう血管けっかん障害しょうがいられている。ふしまえせいもうさま脊髄せきずい神経しんけいからうえ頚部けいぶ神経しんけいぶし)としては胸部きょうぶ腫瘍しゅよう、すなわちパンコースト症候群しょうこうぐんたてへだた腫瘍しゅようなどがられている。ふしせいうえ頚部けいぶ神経しんけいぶしから眼球がんきゅう)では頸部の腫瘍しゅよう血管けっかん障害しょうがい外傷がいしょうなどがられている。鑑別かんべつには顔面がんめん発汗はっかん障害しょうがい薬物やくぶつ点眼てんがん試験しけん有用ゆうようである。瞳孔どうこう支配しはい顔面がんめん汗腺かんせん支配しはい交感神経こうかんしんけいふしまえでは併走へいそうしているが、ふしでは瞳孔どうこう支配しはいうち頸動みゃく汗腺かんせん支配しはいではそと頸動みゃくとともに走行そうこうする。したがって、顔面がんめん発汗はっかん障害しょうがいがあればふしぜん障害しょうがいである。薬物やくぶつ点眼てんがん試験しけんでは、正常せいじょうでは反応はんのうしない、0.1%濃度のうどのアドレナリン点眼てんがんおこなう。ふし障害しょうがいではだつ神経しんけい支配しはいによる過敏かびん反応はんのうしょうじており、ひとみがおきる。ぎゃくに、神経しんけい終末しゅうまつ作用さようして交感神経こうかんしんけい作用さよう発揮はっきする1%コカイン点眼てんがんでは、ふしぜん障害しょうがいでは正常せいじょうひとみきるが、神経しんけい終末しゅうまつ破壊はかいされているふし障害しょうがいではひとみはみられない。
アーガイル・ロバートソン瞳孔どうこう
ちぢみひとみたいひかり反射はんしゃ消失しょうしつ輻輳ふくそう調節ちょうせつ反射はんしゃ正常せいじょう基本きほん症候しょうこうである。ちゅうのう上丘かみおかぶたぜんいきたいひかり反射はんしゃ求心きゅうしん障害しょうがいこるので、通常つうじょう両側りょうがわせいである。神経しんけい梅毒ばいどく徴候ちょうこうとして有名ゆうめいであるが、多発たはつせい硬化こうかしょうなど疾患しっかんでもきる。

ひとみこす病態びょうたい

編集へんしゅう

ひとみではどう神経しんけい麻痺まひ緊張きんちょう瞳孔どうこうアディー瞳孔どうこう)、パリノー症候群しょうこうぐんなどふく交感神経こうかんしんけい障害しょうがいだいいちかんがえる。酸素さんそ脳症のうしょうなどののう広汎こうはん障害しょうがいでもひとみしょうじる。アトロピン、さんたまきけいこううつやくこうヒスタミンやくなどのこうコリン作用さよう薬剤やくざいでもひとみこす。

Marcus Gunn瞳孔どうこう(RAPD)
視神経ししんけいえん網膜剥離もうまくはくりなど視神経ししんけい求心きゅうしん障害しょうがいがあるときはライトのひかりりょうてることをかえすと患側のひかりがあたっているのにもかかわらず、ややひとみすることがある。注意深ちゅういぶかると、わずかに収縮しゅうしゅくしたあとにぎゃくひとみきている。これは相対そうたいてき求心きゅうしんせい瞳孔どうこう障害しょうがい(RAPD)またはMarcus Gunn瞳孔どうこうばれる。視神経ししんけい線維せんい減少げんしょうたいひかり反射はんしゃげんよわしているためにき、軽微けいび視神経ししんけい障害しょうがい特有とくゆう症候しょうこうである。
アディー瞳孔どうこう
ひとみ楕円だえんがた)、たいひかり反射はんしゃ消失しょうしつ輻輳ふくそう徐々じょじょちぢみひとみすればアディー瞳孔どうこうである。わか女性じょせいおおく、片側かたがわせい急性きゅうせい発症はっしょうする。正常せいじょう反応はんのうしない2.5%メコリールまたは0.125%ピロカルピン(ふく交感神経こうかんしんけい作動さどうやく点眼てんがん過敏かびん反応はんのうしてちぢみひとみするので、もうさまたい神経しんけいぶし以降いこうふし線維せんい障害しょうがい原因げんいんである。アディー瞳孔どうこうくわえてけん反射はんしゃ消失しょうしつ下痢げり起立きりつせいてい血圧けつあつ発汗はっかん異常いじょうなど自律じりつ神経しんけい障害しょうがいがあればアディー症候群しょうこうぐんという。
パリノー症候群しょうこうぐん
ひとみたいひかり反射はんしゃ輻輳ふくそう調節ちょうせつ反射はんしゃ消失しょうしつ上方かみがた注視ちゅうし麻痺まひていする。垂直すいちょく注視ちゅうし中枢ちゅうすうどう神経しんけいかく存在そんざいするなかのう上丘かみおか障害しょうがいこり、まつはてたい腫瘍しゅようだいさんのうしつ腫瘍しゅよう多発たはつせい硬化こうかしょうなどでみられる。

薬物やくぶつ点眼てんがん試験しけん

編集へんしゅう

薬物やくぶつ点眼てんがん試験しけん適応てきおう疾患しっかんにはホルネル症候群しょうこうぐん、アディー瞳孔どうこうなどがある。にはどう神経しんけい麻痺まひ薬物やくぶつせいひとみ(アトロピンなど)の鑑別かんべつで0.5%ピロカルピン点眼てんがん試験しけんおこなわれることがある。

ホルネル症候群しょうこうぐん
点眼てんがん試験しけんではコカインチラミンのほか交感神経こうかんしんけい作動さどうやくとしてはフェニレフリン(ネオシネジン)あるいは塩酸えんさんジピベフリンなどをもちいる。
点眼てんがんやく ふし障害しょうがい過敏かびんせい獲得かくとくあり ふしぜん障害しょうがい過敏かびんせい獲得かくとくあり 中枢ちゅうすう障害しょうがい過敏かびんせい獲得かくとくなし 判定はんてい時間じかん
フェニレフリン(1%) 点眼てんがん10ふんほどで患側のうえ眼瞼がんけんきょじょうされ眼瞼がんけん下垂かすい消失しょうしつ 点眼てんがん10ふんほどで患側のうえ眼瞼がんけんきょじょうされ眼瞼がんけん下垂かすい消失しょうしつ 眼瞼がんけん不変ふへん 60ふん
チラミン(5%) ひとみ反応はんのうげんじゃく消失しょうしつ ひとみ反応はんのう正常せいじょう ひとみ反応はんのう正常せいじょう 45ふん
コカイン(5%) ひとみ反応はんのう消失しょうしつ ひとみ反応はんのう消失しょうしつ ひとみ反応はんのうげんじゃく 90 - 120ふん
アディー瞳孔どうこう
アディー瞳孔どうこう点眼てんがん試験しけん目的もくてきは患眼におけるてい濃度のうどコリン作動さどうやくにたいする過敏かびんせい証明しょうめいである。古典こてんてきには2.5%メコリールもちいられていたが、ピロカルピンもちいられることがおおい。0.125%ピロカルピンは1%ピロカルピンを生理せいりしょく塩水えんすい人工じんこうなみだえきで3段階だんかいばい希釈きしゃくして調剤ちょうざいする。0.125%ピロカルピンをりょうに5ふん間隔かんかくで2かい点眼てんがんし60ふん判定はんていおこなう。陽性ようせいりつは90%とたか有効ゆうこうせい強調きょうちょうされている。

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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