竹輪ちくわ

竹輪ちくわ
竹輪ちくわ
	一般いっぱん的てきな焼やき竹輪ちくわ（生食なましょく用よう）
	テンプレートを表示ひょうじ

竹輪ちくわ（ちくわ）は、魚肉ぎょにくのすり身みを竹たけなどの棒ぼうに巻まきつけて整形せいけい後ごに加熱かねつした加工かこう食品しょくひんであり、魚肉ぎょにく練ねり製品せいひんの一ひとつである。

歴史れきし

竹輪ちくわの起源きげんは弥生やよい時代じだいとも平安へいあん時代じだいともいわれはっきりしないが、いくつかの室町むろまち時代ときよ以降いこうの書物しょもつに「蒲鉾かまぼこ」（かまぼこ）という名なで記しるされている。これは鉾ほこに見立みたてた棒ぼうにすり身みを巻まき付つけた形状けいじょうが蒲がまの穂ほに似にていたことに由来ゆらいする^[1]。

安土あづち桃山ももやま時代じだい後期こうき、平たいらな板いたの上うえにすり身みを盛もり上あげて加熱かねつする板いた蒲鉾かまぼこが現あらわれ、それと区別くべつするために切きり口くちが竹たけを切きった切きり口くちにも見みえる^[1]ことから「竹輪ちくわ蒲鉾かまぼこ」と呼よばれ、省略しょうりゃくして竹輪ちくわになった。明治めいじ時代じだい以前いぜんは白身しろみ魚ぎょ自体じたいが高価こうかな食材しょくざいであったため、蒲鉾かまぼこや竹輪ちくわは高級こうきゅう品ひんという扱あつかいであった。

製法せいほう・種類しゅるい

スケトウダラ（スケソウダラ）・サメ・トビウオ・ホッケなどの魚肉ぎょにくに塩しお・砂糖さとう・デンプン・卵白らんぱくなどを加くわえて練ねり、竹たけ製せいや金属きんぞく製せいの太ふとい串くしに棒状ぼうじょうに塗ぬりつけ、焼やく、蒸ふかす、茹ゆであげたり、油あぶらで揚あげたりする。焼やいたものは焼やき竹輪ちくわと呼よばれ、蒸むしたり茹ゆでたりしたものは蒸むし竹輪ちくわ、白しろちくわ、油あぶらで揚あげたものは揚あげちくわなどと呼よばれる。現代げんだいは流通りゅうつうによる一般いっぱん化かで焼やき竹輪ちくわがほぼ主流しゅりゅうであり、ほとんどの場合ばあい機械きかいによって自動的じどうてきに焼やき上あげられる。保存ほぞんの際さい、冷凍れいとうされる焼やき竹輪ちくわは冷凍れいとう焼やき竹輪ちくわと呼よばれ、冷凍れいとうしないものは生なまちくわと呼よばれる。地域ちいきによって用もちいる魚さかな、形かたち、味あじにそれぞれ特徴とくちょうがある。

各地かくちの竹輪ちくわ

大手おおてメーカーの竹輪ちくわでは、煮込にこみ用ようの大おおきいサイズ（焼やき色しょくが全体ぜんたいに点在てんざいする）と、主おもに生食なましょく用ようの長ながさ太ふとさ共ともに小ちいさいサイズ（長手ながて方向ほうこうの中央ちゅうおう付近ふきんに焼やき色しょくがつく。5本ほん入いりなどで販売はんばいされる）とがある。
青森あおもり県けんでは、牡丹ぼたん焼やきといわれる独自どくじの製法せいほうで製造せいぞうされる「ぼたんちくわ」（牡丹ぼたんちくわ、ぼたん焼やきちくわ）がある。原料げんりょうは主おもにスケトウダラ。焼やき上あがりが牡丹ぼたんのような鮮あざやかな斑まだら柄がらの仕上しあがりとなる。発祥はっしょうは宮城みやぎ県けん石巻いしのまき市しである。
千葉ちば県けんの銚子ちょうし市しでは、ちくわぶの原型げんけいとされる歯車はぐるま型がたの断面だんめんを持もつ「白しろちくわ」が現在げんざいも製造せいぞうされている。
島根しまね県けんの野焼のやきちくわ、広島ひろしま県けん竹たけ付つき鯛たいちくわ、岡山おかやま県けんの豆まめちくわ、山陰さんいんの手て握にぎりちくわ、とうふ竹輪ちくわ、あご竹輪ちくわ、熊本くまもと県けんの日ひ奈久ちくわ、愛知あいち県けんの豊橋とよはし竹輪ちくわ、徳島とくしま県けんの竹たけちくわなど、日本にっぽんでは各地かくちで作つくられる。下関しものせき市しでは、通常つうじょうのチクワ、竹たけチクワのほかイワシのすり身みで作つくる灰色はいいろのチクワがある。
鳥取とっとり県けん東部とうぶと長崎ながさき県けんの一部いちぶではすり身みに豆腐とうふを加くわえたとうふちくわが製造せいぞうされている。
ビタミンA、ビタミンEなどを含ふくんだ魚油ぎょゆが添加てんかされた「ビタミンちくわ」が、特とくに長野ながの県けんではよく消費しょうひされている。スギヨ（石川いしかわ県けん）が1952年ねんに開発かいはつしたもので（能登のとスギヨ、ちくわ百ひゃく年ねん物語ものがたり）、愛知あいち県けんではヤマヨ食品しょくひん（「丸まる辰たつ」ビタミンちくわ）などが製造せいぞうしており、大手おおての紀文食品きぶんしょくひんも長野ながの県けん向むけに「ビタミンちくわ」を販売はんばいしている。いずれも長野ながの県けん外がいでの生産せいさんであるが、生産せいさん地ちよりも長野ながの県けんでの消費しょうひが多おおいのが共通きょうつうした特徴とくちょうである。
愛媛えひめ県けん八幡浜やわたはま市しの「皮かわちくわ」は、すり身みを用もちいない。魚さかなの鱗うろこを落おとし身みを取とり去さった後のちに残のこる皮かわを10本ほん程ほどを竹たけに巻まき、焼やき上あげたもので、味あじわいが異ことなる。エソやタイなどの皮かわを用もちいる。
愛媛えひめ県けん四国しこく中央ちゅうおう市しには、魚肉ぎょにく以外いがいに、エビのすり身みを数すう％加くわえた「えびちくわ」がある。
徳島とくしま県けん小松島こまつしま市しの名産めいさん品ひんに竹たけに魚さかなのすり身みを巻まきつけて焼やき、竹たけを抜ぬかない竹たけちくわがある。
長崎ながさき県けんでは製造せいぞう工程こうていで油あぶらで揚あげたちくわ（揚あげちくわ）が一般いっぱん的てきであり、通常つうじょうの焼やき竹輪ちくわよりも大おおきいのが特徴とくちょうである。
日本にっぽん以外いがいでは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくなどで製造せいぞうされている。

利用りよう

七なな輪りんで調理ちょうりされる竹輪ちくわ

製造せいぞう例れい

おつまみとしての販売はんばい（横浜よこはまスタジアム、2007年ねん）

どんぐり製せいのちくわパン

そのままで食用しょくようになるほか、おでん、筑前ちくぜん煮に、煮物にもの、ちらし寿司ずし、うどん、焼やきそば、野菜やさい炒いため、カレーなどの具ぐとして使用しようされることが多おおい。煮物にものに使つかうとよく出汁だしが出でる。

青海苔あおのりを加くわえた衣ころもを付つけて天てんぷらにしたものは「ちくわの磯辺いそべ揚あげ」と呼よぶ。よく海苔のり弁当べんとうや学校がっこう給食きゅうしょくのおかずに利用りようされる他ほか、セルフ系けいうどん店てんのトッピングとしてよく用もちいられる。

また、穴あなに細切こまぎりにしたキュウリ、チーズ、ソーセージやマヨネーズ、辛子からし明太子めんたいこなどを詰つめて酒肴さけさかなやおかずにすることもよく行おこなわれる。

七なな輪りんで炙あぶり、食しょくされることもある。