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第11族元素 - Wikipedia

だい11ぞく元素げんそ(だいじゅういちぞくげんそ、Group 11 element)はIUPAC形式けいしきでの周期しゅうきひょうにおいてだい11ぞくぞくする元素げんそ総称そうしょうどうぎんきむレントゲニウムがこれに分類ぶんるいされる。どうぞく元素げんそ貨幣かへい金属きんぞく(coinage metal)ともばれる。

閉殻していないs軌道きどうち、遷移せんい元素げんそとしてあつかわれる。となりだい12ぞく元素げんそにおいてs軌道きどうまる。

性質せいしつ

編集へんしゅう

だい11ぞく元素げんそではあたい電子でんしおよびうちからは(f14)d10s1構造こうぞうをとり、うちからは閉殻の電子でんし配置はいちっている。

どう
29Cu
ぎん
47Ag
きむ
79Au
電子でんし配置はいち [Ar]3d104s1 [Kr]4d105s1 [Xe]4f145d106s1
だい1イオン化いおんかエネルギー
(kJ/mol)
745.5 731.0 890.1
だい2イオン化いおんかエネルギー
(kJ/mol)
1957.9 2074 1980
電子でんし親和力しんわりょく
電子でんしボルト)
1.228 1.302 2.30863
電気でんき陰性いんせい
(Allred-Rochow)
1.75 1.42  
イオン半径はんけい
(pm; M+
60(2はい
74(4はい
91(6はい
108(6はい 151(6はい
金属きんぞく結合けつごう半径はんけい
(pm)
128 144 144
融点ゆうてん
(K)
1357.6 1234.93 1337.33
沸点ふってん
(K)
2840 2435 3129
酸化さんか還元かんげん電位でんい E0 (V) −0.520(M+/M) 0.7991
(M+/M)
1.83
(M+/M)

だい11ぞく元素げんそだい1ぞく元素げんそおなあたい電子でんし構成こうせいち+1のイオンを形成けいせいする。しかし、d軌道きどう電子でんし空間くうかん分布ぶんぷ上位じょういs軌道きどうよりもひろがることにより、s電子でんしへのかく電荷でんか有効ゆうこう遮蔽しゃへいよわいためにつよ原子核げんしかく束縛そくばくされる。その結果けっかだい11ぞく元素げんそだい1ぞく元素げんそは、+1のイオンを形成けいせいしやすいことをのぞいて、物理ぶつりてき性質せいしつ大分だいぶことなることになる。すなわち、だい11ぞく元素げんそ+1のイオンはつよかく電荷でんかけにより、だい1ぞく元素げんそよりもイオン半径はんけいちいさく(Cu+ 60 pm; Na+ 113 pm; K+152 pm)、だい1イオン化いおんかエネルギーがおおきい(Cu 745.5 kJ/mol; Na 495.8 kJ/mol)。単体たんたい金属きんぞく結合けつごうにはs電子でんしのみならずd電子でんし関与かんよするため、昇華しょうかエンタルピーや融点ゆうてんだい1ぞく元素げんそよりもかなりたかい。このつよ金属きんぞく格子こうしエネルギーは、だい11ぞく元素げんそイオンがみずによってほとんど安定あんていされないこととあいまって、腐食ふしょくされにくいとか電気でんき分解ぶんかいさいして陽極ようきょく析出せきしゅつしやすいなど、だい11ぞく元素げんそ貴金属ききんぞくせいしめ要因よういんになっている。

天然てんねんにおける存在そんざいりょうは、どう7×10−3 %, ぎん2×10−5 %, きむ5×10−7 %(それぞれ岩石がんせきけん存在そんざい)であり、単体たんたい金属きんぞく産出さんしゅつすることもある。とくかね場合ばあいほとんどの場合ばあい単体たんたい産出さんしゅつする。ぎんかねとは性質せいしつているが、それにくらべてどう性質せいしつ大分だいぶことなる。とくかねランタニド収縮しゅうしゅく影響えいきょうにより金属きんぞく半径はんけいぎんとほとんどわらない。

だい11ぞく元素げんそのイオンは+1, +2, +3をりうるとかんがえられるが、どうぎんが+2比較的ひかくてき安定あんていであるのにたいして、きむは+2状態じょうたいることはほとんどなく、+3安定あんていイオンしゅとなる。そしてどのイオンもイオン半径はんけいちいさく、格子こうしエンタルピーがおおきい。そのため、Ag+例外れいがいとして、だい11ぞく元素げんそのイオンはみずによる安定あんてい寄与きよちいさく、しお錯塩)のおおくはみずなん溶性ようせいである。いいかえるならば、錯塩をのぞくとAg(+1)しおのみが比較的ひかくてき水溶すいようせいたかい。いくつかの錯塩は水溶すいようせいしめし、とく無機むきシアンイオン(CN)とだい11ぞく元素げんそのイオンとの錯塩はみずたいする溶解ようかいせいだいであるため、精錬せいれんやメッキなど、だい11ぞく元素げんそのシアノ錯体さくたい工業こうぎょうてき利用りようされている。ほかにアンモニアやアミンなどとも錯体さくたい形成けいせいする。

引用いんよう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  1. 日本にっぽん学会がっかいへん,『化学かがく便覧びんらん 基礎きそへん改訂かいてい5はん, 丸善まるぜん
  2. R.B.ヘスロップ, K. ジョーンズ, 『無機むき化学かがく』, 東京とうきょう化学かがく同人どうじん
  3. F.A.コットン, G.ウイルキンソン, 『無機むき化学かがく』, 培風館ばいふうかん ISBN 4-563-04066-5