国際 こくさい 純正 じゅんせい ・応用 おうよう 化学 かがく 連合 れんごう (こくさいじゅんせい・おうようかがくれんごう、英 えい : International Union of Pure and Applied Chemistry 、IUPAC (アイユーパック))は、各国 かっこく の化学 かがく 者 しゃ を代表 だいひょう する国内 こくない 組織 そしき の連合 れんごう である国際 こくさい 科学 かがく 会議 かいぎ の参加 さんか 組織 そしき である[ 2] 。国際 こくさい 純粋 じゅんすい および応用 おうよう 化学 かがく 連合 れんごう などとも訳 やく される。IUPACの事務 じむ 局 きょく はノースカロライナ大学 だいがく チャペルヒル校 こう ・デューク大学 だいがく ・ノースカロライナ州立 しゅうりつ 大学 だいがく が牽引 けんいん するリサーチ・トライアングル・パーク (アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく ノースカロライナ州 しゅう )にある。また、本部 ほんぶ は、スイス のチューリッヒ にある[ 3] 。2023年 ねん 8月 がつ 1日 にち 現在 げんざい の事務 じむ 局長 きょくちょう は、Javier Garcia Martinez が務 つと めている。
IUPACは、1919年 ねん に設立 せつりつ された。1911年 ねん 4月 がつ に設立 せつりつ されていた[ 4] 国際 こくさい 応用 おうよう 化学 かがく 協会 きょうかい (International Association of Chemical Societies) を継承 けいしょう した[ 5] 。会員 かいいん となる各国 かっこく の組織 そしき は、各国 かっこく の化学 かがく 会 かい や科学 かがく アカデミー、または化学 かがく 者 しゃ を代表 だいひょう するその他 た の組織 そしき である。54カ国 かこく の組織 そしき と3つの関連 かんれん 組織 そしき が参加 さんか している[ 2] 。IUPACの内部 ないぶ 組織 そしき である命名 めいめい 法 ほう 委員 いいん 会 かい は、元素 げんそ や化合 かごう 物 ぶつ の命名 めいめい の標準 ひょうじゅん (IUPAC命名 めいめい 法 ほう )として世界 せかい 的 てき な権威 けんい として認知 にんち されている。創設 そうせつ 以来 いらい 、IUPACは、各々 おのおの の責任 せきにん を持 も つ多 おお くの異 こと なる委員 いいん 会 かい によって運営 うんえい されてきた[ 6] 。これらの委員 いいん 会 かい は、命名 めいめい 法 ほう の標準 ひょうじゅん 化 か を含 ふく む多 おお くのプロジェクトを走 はし らせ[ 7] 、化学 かがく を国際 こくさい 化 か する道 みち を探 さが し[ 8] 、また出版 しゅっぱん 活動 かつどう を行 おこな っている[ 9] [ 10] [ 11] 。
IUPACは、化学 かがく やその他 た の分野 ぶんや での命名 めいめい 法 ほう の標準 ひょうじゅん 化 か で知 し られている。また、化学 かがく ・生物 せいぶつ 学 がく ・物理 ぶつり 学 がく を中心 ちゅうしん に多 た 分野 ぶんや で出版 しゅっぱん 物 ぶつ を発行 はっこう している[ 12] 。これらの分野 ぶんや でIUPACが行 おこな った重要 じゅうよう な仕事 しごと として、核酸 かくさん 塩基 えんき 配列 はいれつ コード名 めい の標準 ひょうじゅん 化 か や、環境 かんきょう 科学 かがく 者 しゃ や化学 かがく 者 しゃ 、物理 ぶつり 学 がく 物 ぶつ のための本 ほん の出版 しゅっぱん 、科学 かがく 教育 きょういく の改善 かいぜん の主導 しゅどう 等 とう があげられる[ 12] [ 13] 。また、「元素 げんそ の原子 げんし 量 りょう の標準 ひょうじゅん 化 か 」は、最古 さいこ の委員 いいん 会 かい の1つである原子 げんし 量 りょう 及 およ び同位 どうい 体 たい 存在 そんざい 度 ど 委員 いいん 会 かい (英語 えいご 版 ばん ) がおこなったものである。
アウグスト・ケクレ
化学 かがく における国際 こくさい 的 てき な標準 ひょうじゅん の必要 ひつよう 性 せい は、1860年 ねん にドイツの化学 かがく 者 しゃ アウグスト・ケクレ が主宰 しゅさい する委員 いいん 会 かい により初 はじ めて提唱 ていしょう された。この委員 いいん 会 かい は、有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ に対 たい する国際 こくさい 的 てき な命名 めいめい システムを作 つく るための初 はじ めての国際 こくさい 会議 かいぎ だった[ 12] 。この会議 かいぎ で検討 けんとう されたアイデアは、有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ のIUPAC命名 めいめい 法 ほう の元 もと になった[ 12] 。IUPACは、この会議 かいぎ を引 ひ き継 つ いで設立 せつりつ され、最 もっと も重要 じゅうよう な、歴史 れきし 的 てき な化学 かがく 者 しゃ の国際 こくさい 連携 れんけい の1つとなった[ 12] 。この時 とき から、IUPACは、公式 こうしき な有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ 命名 めいめい 法 ほう を発展 はってん 、維持 いじ する責任 せきにん を持 も つ公式 こうしき 機関 きかん となった[ 14] 。IUPACは、そのようなものとして1919年 ねん に設立 せつりつ された[ 15] 。この初期 しょき のIUPACから除外 じょがい された有力 ゆうりょく な国 くに の1つは、ドイツである。ドイツの除外 じょがい は、第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご の連合 れんごう 国 こく からのドイツへの嫌悪 けんお 感 かん のためだった[ 16] 。ドイツは最終 さいしゅう 的 てき に1929年 ねん にIUPACに加盟 かめい した。しかし、ナチス・ドイツ は、第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 なか にIUPACから除名 じょめい された。
第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 ちゅう 、IUPACは連合 れんごう 国 こく 側 がわ についたが、戦争 せんそう 自体 じたい にはほとんど巻 ま き込 こ まれなかった。戦後 せんご 、西 にし ドイツ はIUPACへの復帰 ふっき を許 ゆる された[ 16] 。第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 以降 いこう 、IUPACは、妨害 ぼうがい なしに科学 かがく の命名 めいめい や方法 ほうほう を標準 ひょうじゅん 化 か することに注力 ちゅうりょく している。
IUPACは、各々 おのおの 異 こと なる責任 せきにん を持 も つ複数 ふくすう の委員 いいん 会 かい により運営 うんえい されている。委員 いいん 会 かい は、以下 いか の通 とお りである:CHEMRAWN(世界 せかい のニーズへの化学 かがく 研究 けんきゅう の適用 てきよう )委員 いいん 会 かい 、化学 かがく 教育 きょういく 委員 いいん 会 かい 、化学 かがく と産業 さんぎょう 委員 いいん 会 かい 、出版 しゅっぱん 及 およ び電子 でんし 出版 しゅっぱん 委員 いいん 会 かい 、評価 ひょうか 委員 いいん 会 かい 、執行 しっこう 委員 いいん 会 かい 、財務 ざいむ 委員 いいん 会 かい 、術語 じゅつご ・命名 めいめい 法 ほう ・記号 きごう のための部会 ぶかい 間 あいだ 委員 いいん 会 かい 、プロジェクト委員 いいん 会 かい 、諮問 しもん 委員 いいん 会 かい [ 6] 。各 かく 委員 いいん 会 かい の委員 いいん は、異 こと なる国 くに の組織 そしき から選出 せんしゅつ される[ 17] 。
IUPACから、化学 かがく に関 かん する規定 きてい などを定 さだ めたルールブックが発行 はっこう されている。これらの書籍 しょせき はまとめて、「カラーブック」と呼 よ ばれている[ 18] 。
カラーブック一覧 いちらん
愛称 あいしょう
正式 せいしき 名称 めいしょう
説明 せつめい
ゴールドブック
Compendium of Chemical Terminology 化学 かがく 用語 ようご 集 しゅう
化学 かがく 者 しゃ Victor Goldによって編集 へんしゅう された化学 かがく 用語 ようご 辞典 じてん
グリーンブック
Quantities, Units and Symbols in Physical Chemistry 物理 ぶつり 化学 かがく における量 りょう 、単位 たんい 、および、記号 きごう
物理 ぶつり 化学 かがく で使 つか われる多数 たすう の量 りょう の名前 なまえ ・記号 きごう ・単位 たんい ・定義 ていぎ と使 つか い方 かた などを採録 さいろく [ 19] 。
オレンジブック
Compendium of Analytical Nomenclature 分析 ぶんせき 化学 かがく 用語 ようご 集 しゅう
分析 ぶんせき 化学 かがく の用語 ようご についての規定 きてい などを採録 さいろく
パープルブック
Compendium of Macromolecular Terminology and Nomenclature 高分子 こうぶんし 化学 かがく 用語 ようご 集 しゅう
高分子 こうぶんし 化学 かがく についての規定 きてい などを採録 さいろく
レッドブック
Nomenclature of Inorganic Chemistry 無機 むき 化学 かがく 用語 ようご 集 しゅう
無機物 むきぶつ の命名 めいめい 規則 きそく についての規定 きてい を採録 さいろく
ブルーブック
Nomenclature of Organic Chemistry 有機 ゆうき 化学 かがく 用語 ようご 集 しゅう
有機物 ゆうきぶつ の命名 めいめい 規則 きそく についての規定 きてい を採録 さいろく
シルバーブック
Compendium of Terminology and Nomenclature of Properties in Clinical Laboratory Sciences 臨床 りんしょう 化学 かがく 用語 ようご 集 しゅう
臨床 りんしょう 化学 かがく についての規定 きてい を採録 さいろく
ホワイトブック
Biochemical Nomenclature and Related Documents 生化学 せいかがく 用語 ようご と関係 かんけい 文書 ぶんしょ
生化学 せいかがく についての規定 きてい を採録 さいろく
そのほかにも、Pure and Applied Chemistry (英語 えいご 版 ばん ) という公式 こうしき ジャーナルが、Walter de Gruyter 出版 しゅっぱん から毎月 まいつき 発刊 はっかん されている。
前述 ぜんじゅつ のように、IUPAC委員 いいん 会 かい は、有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ や無機 むき 化合 かごう 物 ぶつ の公式 こうしき な命名 めいめい について、長 なが い歴史 れきし を持 も つ。IUPAC命名 めいめい 法 ほう は、全 すべ ての化合 かごう 物 ぶつ を一式 いっしき の規則 きそく に基 もと づいて一意 いちい に命名 めいめい するために発展 はってん してきた。最初 さいしょ の版 はん は国際 こくさい 応用 おうよう 化学 かがく 会議 かいぎ からの情報 じょうほう に基 もと づくもので[ 20] 、1900年 ねん に出版 しゅっぱん されたA Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds である。
有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ の命名 めいめい は、置換 ちかん 基 もと 、炭素 たんそ 鎖 くさり 、接尾 せつび 辞 じ の3つの部分 ぶぶん からなる[ 14] 。置換 ちかん 基 もと は、主要 しゅよう な炭素 たんそ 鎖 くさり に結合 けつごう する官能 かんのう 基 もと であり、主要 しゅよう な炭素 たんそ 鎖 くさり は、最 もっと も長 なが い連続 れんぞく する鎖 くさり である。接尾 せつび 辞 じ は、分子 ぶんし の種類 しゅるい を示 しめ す。例 たと えば、-アン という接尾 せつび 辞 じ は、ヘキサン のように、単 たん 結合 けつごう の炭素 たんそ 鎖 くさり であることを表 あらわ す[ 21] 。
シクロヘキサノール を例 れい に取 と り、IUPAC命名 めいめい 法 ほう の構造 こうぞう を示 しめ す。
シクロヘキサノール
「シクロ」は、環 たまき 式 しき 化合 かごう 物 ぶつ を示 しめ す置換 ちかん 基 もと 名 めい である。
「ヘキサ」は、炭素 たんそ 鎖 くさり 長 ちょう が6つであることを示 しめ す。
「アン」は、炭素 たんそ 鎖 くさり が単 たん 結合 けつごう であることを示 しめ す。
「オール」は、分子 ぶんし の種類 しゅるい がアルコール であることを示 しめ す。
2つの接尾 せつび 辞 じ が融合 ゆうごう して「アノール」となっており、単 たん 結合 けつごう の炭素 たんそ 鎖 くさり にアルコール基 もと が結合 けつごう していることを示 しめ している[ 14] [ 22] [ 23] 。
基本 きほん 的 てき なIUPAC無機 むき 化合 かごう 物 ぶつ 命名 めいめい 法 ほう は、カチオン とアニオン の2つの部分 ぶぶん から成 な り立 た っている。カチオンは正 せい 電荷 でんか を帯 お びたイオン 、アニオンは負 ふ 電荷 でんか を帯 お びたイオンの名前 なまえ である[ 14] 。
無機 むき 化合 かごう 物 ぶつ のIUPAC命名 めいめい 法 ほう の例 れい は、塩素 えんそ 酸 さん カリウム (Potassium chlorate)である。
塩素 えんそ 酸 さん カリウム
カリウムはカチオン名 めい である。
塩素 えんそ 酸 さん はアニオン名 めい である[ 14] 。
IUPACは、アミノ酸 あみのさん や核酸 かくさん 塩基 えんき を同定 どうてい するためのコードを与 あた えるシステムも持 も っている。IUPACは、アミノ酸 あみのさん の長 なが い配列 はいれつ を表 あらわ すコードのシステムを必要 ひつよう とした。これにより、配列 はいれつ を比較 ひかく してホモログ を探索 たんさく することが可能 かのう となった[ 24] 。この配列 はいれつ は、1文字 もじ または3文字 もじ のコードから構成 こうせい される。
このコードにより、タンパク質 たんぱくしつ を構成 こうせい するアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ をより簡単 かんたん に短 みじか く記載 きさい できるようになった。核酸 かくさん 塩基 えんき はプリン (アデニン およびグアニン )とピリミジン (シトシン およびチミン またはウラシル )からなり、これらがDNA やRNA を構成 こうせい する。このコードを用 もち いることにより、生物 せいぶつ のゲノム をより容易 ようい に表 あらわ すことができる[ 25] 。
核酸 かくさん コード
意味 いみ
記号 きごう
A
A
アデニン (A denine)
C
C
シトシン (C ytosine)
G
G
グアニン (G uanine)
T
T
チミン (T hymine)
U
U
ウラシル (U racil)
R
AまたはG
プリン (puR ine)
Y
C, TまたはU
ピリミジン (pY rimidines)
K
G, TまたはU
ケトン (K etones)
M
AまたはC
アミノ (aM ino groups)
S
CまたはG
強 つよ 相互 そうご 作用 さよう (S trong interaction)
W
A, TまたはU
弱 じゃく 相互 そうご 作用 さよう (W eak interaction)
B
A以外 いがい (すなわちC, G, TまたはU)
Aの後 のち のB
D
C以外 いがい (すなわちA, G, TまたはU)
Cの後 のち のD
H
G以外 いがい (すなわちA, C, TまたはU)
Gの後 のち のH
V
T、U以外 いがい (すなわちA, CまたはG)
Uの後 のち のV
N
A C G T U
核酸 かくさん (N ucleic acid)
X
マスク
-
中 ちゅう 間 あいだ 長 ちょう ギャップ
アミノ酸 あみのさん のコード(24アミノ酸 あみのさん と3つの特殊 とくしゅ コード)は、以下 いか のとおりである。
世界 せかい 化 か 学年 がくねん のロゴ
2011年 ねん に行 おこな われた世界 せかい 化 か 学年 がくねん は、IUPACとUNESCO が中心 ちゅうしん となって進 すす めた[ 26] [ 27] 。もともとはイタリア のトリノ で行 おこな われたIUPACの総会 そうかい で提案 ていあん され[ 28] 、2008年 ねん のUNESCOの会議 かいぎ で承認 しょうにん された[ 29] 。世界 せかい 化 か 学年 がくねん の主要 しゅよう な目的 もくてき は、公衆 こうしゅう の化学 かがく に対 たい する理解 りかい を深 ふか め、化学 かがく の世界 せかい に対 たい する興味 きょうみ を増 ま すことであった。また若者 わかもの を化学 かがく に関与 かんよ させることや、化学 かがく が人々 ひとびと の生活 せいかつ を改善 かいぜん してきたことを称 たた えることも目的 もくてき の1つであった[ 13] 。
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