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腐肉食 - Wikipedia

腐肉ふにくしょく(ふにくしょく)またはかばね肉食にくしょく(しにくしょく)は、動物どうぶつ死体したい動物どうぶつ遺体いたい)をしゅたる食物しょくもつとする性質せいしつつ、肉食にくしょく一群いちぐんである。狭義きょうぎでは腐敗ふはいしたあるいは腐敗ふはい進行しんこうしたにく食物しょくもつとするしょくせい

ヌー死体したいむらがるコシジロハゲワシGyps africanus)。捕食ほしょくしゃのこしをかれらがさらについばめ(つい)ばむことで分解ぶんかいのプロセスがいっそうすすむ。ケニアマサイマラ国立こくりつ保護ほご

英語えいごでは scavenging (スカヴェンジング。「腐肉ふにくい」の)、もしくは necrophagy (ネクラファジー〈日本語にほんごふう:ネクロファジー〉。「かばねにくい」の)とう。

腐肉ふにくしょくせいゆうする動物どうぶつを、日本語にほんごでは「腐肉ふにくしょく動物どうぶつかばね肉食にくしょく動物どうぶつ)」、英語えいごでは scavenger仮名かめい転写てんしゃスカベンジャー、もしくは、スカヴェンジャー)としょうする。

特徴とくちょう

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ちいさなサメ死体したいハシブトガラス日本にっぽん熊本くまもとけん

概要がいよう

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なんらかの事由じゆうによって生命せいめいった動物どうぶつ死体したいがいまだ肉食にくしょく動物どうぶつ消費しょうひされない状態じょうたいのこっていれば、それは「動物どうぶつ遺体いたい」であり、これを主食しゅしょくとする動物どうぶつ腐肉ふにくしょく動物どうぶつかばね肉食にくしょく動物どうぶつ)である。動物どうぶつ死体したいとなる事由じゆうとして、災害さいがいによる過失かしつによる事故死じこし疾病しっぺいによる捕食ほしょくしゃ人間にんげんによるものをふくむ)がもたらすなどがかんがえられるが、腐肉ふにくしょく動物どうぶつはそのようにして環境かんきょうちゅうにある死体したいさがてて食物しょくもつとする。死体したい周囲しゅういにそれをころした捕食ほしょくしゃがいても、生態せいたいてきちから上回うわまわればうばることをつねとする(れいチーターたいするブチハイエナ)。また、生態せいたいてき上位じょういもの摂食せっしょくちゅう死体したいねらい、すき横取よこどりしたり、のこものたりするのも腐肉ふにくしょく動物どうぶつ習性しゅうせいである(れいハイエナたいするジャッカルハゲワシ)。

生態せいたいけいにおける重要じゅうようせい

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くずひろい(くず-ひろい)」「かばねにくあさり(しにく-あさり)」などとも形容けいようされる腐肉ふにくしょく動物どうぶつは、動物どうぶつ遺体いたい分解ぶんかい関与かんよすることによって生態せいたいけい重要じゅうよう役割やくわりになっている。段階だんかいことなる腐肉ふにくしょく動物どうぶつ順次じゅんじ消費しょうひされていくことにより、動物どうぶつ構成こうせいしていた有機ゆうき物質ぶっしつ分子ぶんし分解ぶんかいされて環境かんきょう還元かんげんされるからである。かれらのはたらきがあってはじめて環境かんきょう健全けんぜんたもたれ、食物しょくもつもう食物しょくもつ連鎖れんさ)も機能きのうする。

 
イツスジトカゲきりしたべるザトウムシ

腐肉ふにくしょく動物どうぶつ実際じっさい

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顕著けんちょ腐肉ふにくしょく動物どうぶつとしては、ハゲワシるいシデムシクロバエニクバエクロスズメバチカモメるいヌタウナギなどがげられる。一般いっぱんによくられ、かばねにくいの代表だいひょうのようにかんがえられ代名詞だいめいしまでしているハイエナはじつは、積極せっきょくてきりをすることのおお動物どうぶつであり、イメージにはんして完全かんぜん腐肉ふにくしょく動物どうぶつではない。むしろ、かれらはみずか仕留しとめた獲物えものライオン横取よこどりされる、すなわち、腐肉ふにくしょくされることのおおニッチ生態せいたいてき地位ちい)にかれている。

なるもの

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糞便ふんべんしょくする動物どうぶつは coprovore (「くそしょく動物どうぶつ」)とばれる。また、んだ植物しょくぶつ主食しゅしょくとする動物どうぶつdetritivore (「腐敗ふはいしょく動物どうぶつ」あるいは「腐食ふしょく動物どうぶつ」)、あるいは、「腐植ふしょくしょく動物どうぶつ」とう。

自然しぜんかいでは様々さまざま要因よういん死骸しがい発生はっせいする。そうした死骸しがい一般いっぱんてき移動いどう能力のうりょくたか鳥類ちょうるいによってだい部分ぶぶん処理しょりされるとかんがえられがちだが、サバンナでの調査ちょうさによると実際じっさいにはブチハイエナのような大型おおがたじゅうによって処理しょりされるほうがおおいことが判明はんめいしている[1]

具体ぐたいれい

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現生げんなましゅ

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ヘビ死体したいむらがるアリ

腐肉ふにくしょく動物どうぶつのうちで特筆とくひつあたいするものをここにしめす。

絶滅ぜつめつしゅ

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絶滅ぜつめつしゅについてはあくまでも学術がくじゅつてき推定すいていである。

古人こじんるいかばねにくいであったか

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米国べいこくはユタ大学だいがくのデニス・ブランブル(Dennis Bramble)とハーバード大学だいがくのダニエル・リーバーマン(Daniel Lieberman)は2004ねん初期しょき人類じんるいは、動物どうぶつ遺体いたいからかばねにくあつめ、いし使つかってほねり、栄養えいようたか骨髄こつづいることを生息せいそく手段しゅだんとする、一種いっしゅ腐肉ふにくしょく動物どうぶつであったとの仮説かせつ提唱ていしょうした[2]人類じんるい競合きょうごうしゃ先駆さきがけて動物どうぶつ遺体いたいれるため、発汗はっかんによるたか体温たいおん調整ちょうせい能力のうりょくはじめとし、弾性だんせいのあるアキレス腱あきれすけん頑丈がんじょうあし関節かんせつといった「はやいピッチでの長距離ちょうきょり移動いどう能力のうりょく」を進化しんかさせ、ひろ地域ちいき精力せいりょくてきさがまわものとしてとくしたとするものである。このような適応てきおう傾向けいこう栄養えいようたか食物しょくもつおおきなのう発達はったつ可能かのうにしたのではないかといた。またべつのアプローチから、やはり人類じんるい祖先そせん骨髄こつづいべていたことを示唆しさする2003ねん発行はっこう文献ぶんけんもある[3][信頼しんらいせいよう検証けんしょう]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Carcass size shapes the structure and functioning of an African scavenging assemblage Marcos Moleón
  2. ^ Dennis Bramble and Daniel Lieberman, Endurance running and the evolution of Homo, Nature Vol. 432, pp.345-352, (18 November 2004). DOI:10.1038/nature03052
  3. ^ http://www.wound-treatment.jp/next/dokusho41.htm”. 2018ねん10がつ13にち閲覧えつらん ただし当該とうがいサイトに「骨髄こつづいべていたこと」はせられている

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 親指おやゆびはなぜふといのか―直立ちょくりつそく歩行ほこう起原きげんせまる(中公新書ちゅうこうしんしょしま 泰三たいぞうちょ) 2003ねん ISBN 978-4121017093

関連かんれん項目こうもく

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