設定せってい (物語ものがたり)

設定せってい（せってい）とは、物語ものがたりを構築こうちくする作業さぎょうの中なかで最もっとも初期しょきの段階だんかいで行おこなわれる、基盤きばん作づくりもしくは基盤きばんそのものを意味いみする。

概要がいよう

設定せっていと呼よばれるものは多岐たきにわたり、時代じだい・場所ばしょ（舞台ぶたい）・登場とうじょう人物じんぶつ（人間にんげん関係かんけい）などが主おもな例れいとして挙あげられる。これらはほんの僅わずかしか出番でばんのない登場とうじょう人物じんぶつや場所ばしょであっても確立かくりつされており、それを基もとに物語ものがたりの制作せいさくが行おこなわれることになる。

また、現実げんじつとは違ちがった架空かくう世界せかいが舞台ぶたいである場合ばあい、その世界せかいと現実げんじつ世界せかいとの相違そうい点てんや、世界せかいにおける一般いっぱん常識じょうしき、歴史れきしなども設定せっていとして含ふくめられる。それらと先さきに挙あげた時代じだい、場所ばしょとを含ふくめて世界せかい観かんと括くくる場合ばあいもある（ただし厳密げんみつに言いえばこの場合ばあい「世界せかい観かん」という語かたりの使用しようは誤用ごようである）。

設定せっていの主おもな項目こうもくと具体ぐたい例れい

時代じだい

• 物語ものがたりが紡つむがれるのがいつであるのかを明確めいかくにさせる。複数ふくすうの時代じだいが出でてくる場合ばあいもある。
• 具体ぐたい例れいとしては、「現代げんだい」「江戸えど時代じだい」「戦国せんごく時代じだい」等とうのい方いかたや、「2000年ねん」「2XXX年ねん」など場合ばあいによって様々さまざまである。ただ単たんに、「夏なつ」や「8月がつ」といっただけの場合ばあいもある。
• 縄文じょうもん式しきの土器どきが使つかわれていたから縄文じょうもん時代じだいのように、象徴しょうちょうする小道具こどうぐから時代じだいの名前なまえがつけられることも多おおい。
• 鎌倉かまくら時代じだいのように統治とうちしている場所ばしょや王族おうぞくの名前なまえから時代じだいの名前なまえを付つけることもある。

場所ばしょ・舞台ぶたい

• 物語ものがたりが進行しんこうする場所ばしょが何処どこであるかを確定かくていする。複数ふくすうの場所ばしょが出でてくる場合ばあいが多おおく1箇所かしょであることの方ほうが稀まれである。

　その地域ちいき特有とくゆうの環境かんきょう的てき特徴とくちょうや地方ちほうルールなどが盛もり込こまれる場合ばあいもある。

• 具体ぐたい例れい：「東京とうきょう」「日本にっぽん」「宇宙うちゅうコロニー」「魔法まほうの王国おうこく」など。これも場合ばあいによって明細めいさいであったり大雑把おおざっぱであったりする
• 具体ぐたい例れい２：舞台ぶたいに仕掛しかけがしており、物語ものがたりが進すすむにつれてそれが解明かいめいされるケースが多おおい。映画えいが猿さるの惑星わくせいで例たとえると、違ちがう惑星わくせいだと思おもっていたら、未来みらいの地球ちきゅうであったという風ふうに。

登場とうじょう人物じんぶつ・人間にんげん関係かんけい

• 物語ものがたりに登場とうじょうする人物じんぶつの名前なまえ、性別せいべつ、年齢ねんれい、容姿ようし、性格せいかくなどその人間にんげんを構築こうちくしている要素ようそを取とり決きめたもの。アニメ作品さくひんでは一般いっぱん的てきにキャラクター設定せっていと言いわれる。
• 上記じょうきした人物じんぶつたちの関係かんけいをまとめたものが人間にんげん関係かんけいである。親子おやこ、幼馴染おさななじみ同士どうしといったものや、ある人物じんぶつがまたある人物じんぶつに恋心こいごころを抱だいている、などといったものがこれに含ふくまれる。

ルール・システム

• 物語ものがたりの中なかでの法則ほうそく。例たとえばサイキックもので超ちょう能力のうりょく者しゃのタイプや種類しゅるいなど。
• 昔話むかしばなしなどでよくあるルールシステムが欠落けつらく、禁止きんし、違反いはん、回復かいふく、行おこなって帰かえってくるである。
• 推理すいり小説しょうせつでよくあるルールシステムが謎なぞ、隠蔽いんぺい工作こうさく、偽にせのアリバイ、真相しんそう、依頼いらいと代行だいこうである。
• ルールシステムのサブシステムとしてよく使つかわれるのが、シミュレーショニズムであり、登場とうじょう人物じんぶつがルールシステムをカットアップ、サンプリング、リミックスする。心理しんり学がくで言いうならば分離ぶんりと代用だいようと再さい構成こうせいである。

制作せいさくにおける設定せっていの重要じゅうよう性せい

設定せっていがないと物語ものがたりは全まったく進行しんこうしないことになる。2人ふたりの人間にんげんがいて相手あいての名前なまえを呼よぶだけでも「名前なまえ」という設定せっていが必要ひつようであるし、2人ふたりが居いるのがどこであるかも決きめなければならない。更さらにそこにいる2人ふたりの服装ふくそうを決きめるためには時代じだい設定せっていや人物じんぶつ設定せっていが必要ひつようである。

このように「いつ・どこで・誰だれと・誰だれが・なぜ・何なにをして・どうなった」という要素ようそのうち、最低限さいていげん「いつ・どこで・誰だれと・誰だれが」という部分ぶぶんに設定せっていというものが直接ちょくせつ関かかわってくるし、「なぜ・何なにをして」の部分ぶぶんには人物じんぶつの性別せいべつや性格せいかく、趣味しゅみ、趣おもむき好このみなどが影響えいきょうしてくることになる。

そういったように物語ものがたりの構成こうせいを決きめる上うえで重要じゅうような項目こうもくであることから、一度いちど設定せっていをしたものは気軽きがるには変かえることができない。

日本にっぽんを主おもな舞台ぶたいにしていたはずの物語ものがたりがいきなりヨーロッパに移うつったり、男おとこであったはずの登場とうじょう人物じんぶつがいきなり女おんなになっているということがあっては物語ものがたりの整合せいごう性せいが取とれなくなり、物語ものがたりそのものが破綻はたんしてしまうことになるのである。

また、物語ものがたりの整合せいごう性せいを取とるために後ごから設定せっていが加くわえられたり、無なかったことにされたりする場合ばあいもあり、それを一般いっぱん的てきに後こう付つけ設定せっていという。