経済の発展に欠かせない資金調達と資本運用の双方が効率的に行われるようにするため、株式および債券の需給を取引所に集中させ、流動性の向上と安定した価格形成を図ることがその主な役割である。
日本国内では元来は金融商品取引法(旧証券取引法)で認められた特別法人であったが、株式会社金融商品取引所への移行が進んでいる(→後述の#証券取引所の形態参照)。
なお、証券取引法の金融商品取引法への改正に伴い、日本では法律上「金融商品取引所」と規定されているが、名称又は商号に「取引所」という文字を用いなければならないとされるにとどまるため、各証券取引所においては、東京証券取引所との経営統合に伴い、デリバティブ取引専門取引所に転換した大阪取引所(旧大阪証券取引所)を除いて従来どおりの名称が2015年現在も利用されている。
株式および債券の購入や売却について、一般の投資家(個人投資家、取引所会員証券会社以外の機関投資家)が証券取引所で直接取引を行うことはできず、会員である証券会社を通じて取引を行う(委託売買)か、直接当事者間で取引を行う相対売買で取引することになる。
戦時中までの日本における制度では、1875年の株式条例では、取引所の組織は株式会社と規定され、最初に設立した株式取引所が株式組織取引所であった。1887年5月、会員組織化を目的とする取引所条例(ブルース条例)が発布され、取引所は凡て会員組織で経営しなければいけないと定めたが、ブルース条例は、取引所側の猛烈な反対により間もなく廃止され、1893年に会員組織でも株式組織でもよいとする取引所法が発布された。
現在では、証券取引所は金融商品会員制法人(旧称:証券会員制法人)または株式会社でなければ開設できない(金融商品取引法に規定)。金融商品会員制法人とは、金融商品取引業者(証券会社など)を会員とする社団である。以前は全ての証券取引所が証券会員制法人であったが、2001年4月に大証、同年11月に東証、2002年4月に名証がそれぞれ株式会社に組織変更している。過去独立して存在していたジャスダックも株式会社形態であった。
また、近年は私設取引システム(PTS)による取引形態も現れてきた。私設取引システムは1998年12月施行の金融システム改革法で証券会社にその開設と運営が認められたもので、時間外取引市場(主に夜間)として機能している。
- エイミー・バトラー・グリーンフィールド 著、佐藤桂 訳『完璧な赤 -「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語』2006年。