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貿易 - Wikipedia

貿易ぼうえき

国家こっかあいだおこなわれる商品しょうひん売買ばいばい
輸出入ゆしゅつにゅうから転送てんそう

貿易ぼうえき(ぼうえき、えい: international tradeえい: trade)とは、あるくに(またはそれにじゅんずる地域ちいき)とべつくにどう)とのあいだおこなわれる商品しょうひん売買ばいばい商品しょうひん外国がいこくたいしておく取引とりひき輸出ゆしゅつ外国がいこくから導入どうにゅうする取引とりひき輸入ゆにゅうという。通常つうじょうは、かたちのある商品しょうひん財貨ざいか)の取引とりひきすが、サービス貿易ぼうえき技術ぎじゅつ貿易ぼうえきのように無形むけいぶつ取引とりひきふくめる場合ばあいもある。

概説がいせつ

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貿易ぼうえき」の概念がいねん

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日本語にほんごの「貿易ぼうえき」は、外国がいこくとの取引とりひきについてもちいられる言葉ことばであり、国内こくない完結かんけつする取引とりひきにはもちいられない。このため、「外国がいこく貿易ぼうえき」という表現ひょうげんは、同義語どうぎご反復はんぷくであるが、公式こうしき文書ぶんしょなどでもあえてこの表現ひょうげんもちいられる場合ばあいがある(れい外国がいこく為替かわせおよ外国がいこく貿易ぼうえきほう)。貿易ぼうえき国内こくない取引とりひき両方りょうほうふく日本語にほんごとしては「取引とりひき」のほか「交易こうえき」がある。「交易こうえき」は、だい大戦たいせんちゅう占領せんりょう本土ほんどあいだ取引とりひきや、江戸えど時代じだいはんあいだざいうごきなど、「貿易ぼうえき」とも「国内こくない取引とりひき」ともがたいものを表現ひょうげんする場合ばあいにももちいられる。

英語えいごで「trade」という場合ばあいは、国内こくない取引とりひき貿易ぼうえき両方りょうほうふくむため、とく貿易ぼうえきのことを表現ひょうげんする場合ばあいはexternal trade, international tradeなどとするが、tradeいちでも貿易ぼうえき意味いみもちいられることがおおい(れい:U.S. Trade Representative(アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく通商つうしょう代表だいひょう)、World Trade Organization(世界せかい貿易ぼうえき機関きかん))。 米国べいこく場合ばあい商法しょうほうしゅうべつにあるため、しゅうぎわ取引とりひきしゅうない取引とりひき区別くべつする実利じつりがある(しゅうぎわ取引とりひき(interstate trade)、しゅうない取引とりひき(domestic trade))。

中国ちゅうごくの「貿易ぼうえき」は、日本語にほんごことなり、外国がいこく国内こくない取引とりひき双方そうほうふくむため、注意ちゅうい必要ひつようである。

国内こくない取引とりひきとの比較ひかく

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国内こくない取引とりひき貿易ぼうえき取引とりひきにはつぎのようなちがいがある[1]

  1. 企業きぎょうとう取引とりひき主体しゅたい帰属きぞく文化ぶんか使用しよう言語げんご差異さいがある[1]
    このため、国際こくさいてき通用つうようする専門せんもん用語ようごインコタームズひとし)が普及ふきゅうしている。
  2. 地域ちいきにより使用しよう通貨つうか決済けっさい方法ほうほうちがいがある[1]
    通貨つうかことなる相手あいてとの取引とりひきとなることがおおいため、為替かわせレート変動へんどうによるリスクがある。また、国内こくない取引とりひき場合ばあい現金げんきん小切手こぎって約束やくそく手形てがたなどがあるが、貿易ぼうえき取引とりひきでは信用しんようじょう(L/C)、D/PD/Aなどの特殊とくしゅ決済けっさい方法ほうほう発達はったつしている[1]
  3. 地域ちいきにより取引とりひき準拠じゅんきょほうしょう慣習かんしゅうちがいがある[1]
  4. 地域ちいきにより商品しょうひん輸送ゆそう時間じかんちがいがある[1]
    遠距離えんきょり輸送ゆそうとなるため、運賃うんちん上乗うわのせコストとなるほか、商品しょうひん海上かいじょう事故じこなどに被災ひさいするリスクがたかいため、保険ほけんりょうもコストとなる。
  5. 通関つうかん存在そんざいする[1]
    安全あんぜん管理かんり輸入ゆにゅう関税かんぜい徴収ちょうしゅうなどのため輸出入ゆしゅつにゅう通関つうかん手続てつづき存在そんざいする[1]。この結果けっか関税かんぜいなどの直接的ちょくせつてきなコストのほか、通関つうかん書類しょるいなどの作成さくせいにかかる間接かんせつコストもたかい。

このように、国内こくない取引とりひきくらべてコストぞう要因よういんとなるてんおおいが、国内こくない存在そんざいしない希少きしょう価値かちのある商品しょうひん輸入ゆにゅうすれば(あるいは、その商品しょうひん希少きしょう価値かち市場いちば輸出ゆしゅつすれば)貿易ぼうえきにかかるコストを上回うわまわ利益りえきられる可能かのうせいがあり、その場合ばあい貿易ぼうえきおこなわれることになる。

貿易ぼうえき形態けいたい

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直接ちょくせつ貿易ぼうえき間接かんせつ貿易ぼうえき

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直接ちょくせつ貿易ぼうえきちょく貿)とは、海外かいがい輸入ゆにゅうしゃ輸出ゆしゅつしゃ直接ちょくせつ貿易ぼうえきをすることをいい[2]間接かんせつ貿易ぼうえきあいだ貿)とは商社しょうしゃなどの仲介ちゅうかいしゃ経由けいゆして貿易ぼうえきおこなうことをいう[3]

輸出ゆしゅつ貿易ぼうえき輸入ゆにゅう貿易ぼうえき仲介ちゅうかい貿易ぼうえき中継ちゅうけい貿易ぼうえき

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相手あいてこくものおく貿易ぼうえき形態けいたい輸出ゆしゅつ貿易ぼうえき(Export Trade)、相手あいてこくからモノがおくまれてくる貿易ぼうえき形態けいたい輸入ゆにゅう貿易ぼうえき(Import Trade)という[4]

また、仲介ちゅうかいしゃ契約けいやく当事とうじしゃとなって外国がいこく相互そうごあいだおこなわれる取引とりひきおこな貿易ぼうえき形態けいたい仲介ちゅうかい貿易ぼうえきまたはさんこくあいだ貿易ぼうえき[5](Intermediary Trade または Triangle Business)という[4]

なお、Aこくからの貨物かもつを、Cこく輸入ゆにゅう加工かこうし、Bこくさい輸出ゆしゅつする貿易ぼうえき中継ちゅうけい貿易ぼうえきという[5]

委託いたく加工かこう貿易ぼうえき

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委託いたくしゃ外国がいこく業者ぎょうしゃ加工かこうしゃ)に原材料げんざいりょう全量ぜんりょうまたは一部いちぶ供給きょうきゅうし、製品せいひん委託いたくこくまたは第三国だいさんごくおく貿易ぼうえき形態けいたい委託いたく加工かこう貿易ぼうえき(Improvement Trade)という[4]外国がいこく業者ぎょうしゃ加工かこう委託いたくするぎゃく委託いたく加工かこう貿易ぼうえき自国じこく業者ぎょうしゃ加工かこう受託じゅたくするじゅん委託いたく加工かこう貿易ぼうえきがある[5][4]

委託いたく販売はんばい貿易ぼうえき

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委託いたくしゃから販売はんばい委託いたくけた受託じゅたくしゃ商品しょうひん輸入ゆにゅうして販売はんばいし、げた代金だいきん送金そうきんするとともに、のこった商品しょうひん委託いたくしゃまたは委託いたくしゃ指示しじしたものもどして販売はんばい手数料てすうりょう貿易ぼうえき形態けいたい[6]

対象たいしょうによる分類ぶんるい

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サービス貿易ぼうえき
輸送ゆそう旅行りょこう通信つうしん建設けんせつ金融きんゆう保険ほけん特許とっきょけん使用しようりょうなど、モノのうごきではなく、サービスの提供ていきょうによるカネの支払しはらいまたはりのこと。日本にっぽん旅行りょこうしゃ海外かいがいでホテルだい支払しはらえばサービスの輸入ゆにゅう外国がいこくじん旅行りょこうしゃ日本にっぽんでホテルだい支払しはらえばサービスの輸出ゆしゅつとなる。貿易ぼうえき統計とうけいではなく国際こくさい収支しゅうし統計とうけい把握はあくされる。
技術ぎじゅつ貿易ぼうえき
国際こくさいてき技術ぎじゅつ提供ていきょう契約けいやくによるカネのうごきをいう。サービス貿易ぼうえき一種いっしゅ

その分類ぶんるい

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企業きぎょうない貿易ぼうえき
国籍こくせき企業きぎょうのAこく拠点きょてんからBこく拠点きょてんけて輸出ゆしゅつおこなわれること。取引とりひき価格かかく企業きぎょうないめられるため、節税せつぜい目的もくてき恣意しいてき価格かかく操作そうさすることによる移転いてん価格かかく問題もんだいこる可能かのうせいがある。
求償きゅうしょう貿易ぼうえき
輸入ゆにゅう代金だいきん通貨つうか支払しはらうのではなく、等価とうか貨物かもつ輸出ゆしゅつすることで相殺そうさいする物々交換ぶつぶつこうかんバーター貿易ぼうえき冷戦れいせん時代じだいソ連それん中心ちゅうしんとした社会しゃかい主義しゅぎブロックでさかんにおこなわれた。
個人こじん輸入ゆにゅう
消費しょうひしゃが、海外かいがいのカタログ販売はんばい業者ぎょうしゃなどから国際こくさい郵便ゆうびん小包こづつみとう商品しょうひん直接ちょくせつせること。えんだかにもかかわらずえんだか差益さえきがあまり還元かんげんされなかった1980年代ねんだい後半こうはんにブームとなる。
国境こっきょう貿易ぼうえき
ひと自由じゆう移動いどう制限せいげんされている国家こっかあいだにおいて、ハンドキャリーではこばれた商品しょうひん国境こっきょう付近ふきん取引とりひきすること。中越なかごえ国境こっきょう中国ちゅうごく・ロシア・北朝鮮きたちょうせん国境こっきょうのものが有名ゆうめい

貿易ぼうえきかんする理論りろん政策せいさく

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(政策せいさく論議ろんぎのぞく)国際こくさい貿易ぼうえき理論りろんは、デヴィッド・リカード主著しゅちょ政治せいじ経済けいざいがく課税かぜい原理げんりだい7しょう提示ていじした数値すうちれいからはじまる[7]。リカードは、貿易ぼうえき比較ひかく優位ゆういによりこるもので、絶対ぜったい優位ゆういによるものでないことをあかりかにした。これにより、国際こくさい貿易ぼうえきじょうきょう国内こくない理論りろんとはことなる論理ろんりもとづくものであることがあかりかになった(国際こくさい貿易ぼうえき理論りろん成立せいりつ)。以後いご、19世紀せいきには古典こてん貿易ぼうえき理論りろん、20世紀せいきにはヘクシャー・オリーン理論りろん、21世紀せいきにはしんしん貿易ぼうえき理論りろんなどおおくの理論りろん研究けんきゅうまれている。

貿易ぼうえきによる価格かかく変動へんどう

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たとえば小麦こむぎがあまりれないので小麦こむぎ価格かかくたかくにAが、小麦こむぎおおれるので小麦こむぎ価格かかくやすくにBから小麦こむぎ輸入ゆにゅうする場合ばあいかんがえる。

Aこくでは輸入ゆにゅうにより、小麦こむぎ以前いぜんよりもおお出回でまわことになるので、小麦こむぎ価格かかくがる。一方いっぽうBこくでは輸出ゆしゅつにより小麦こむぎりょうるので、小麦こむぎ価格かかくがる。しかしAこくでの小麦こむぎ価格かかくとBこくでの小麦こむぎ価格かかく逆転ぎゃくてんすることはない。Bこくのほうが小麦こむぎやすいからこそ輸出ゆしゅつ利益りえきられるのであるから、価格かかく逆転ぎゃくてんするまえ輸出ゆしゅつまるためである。なお自由じゆう貿易ぼうえきで、かつ関税かんぜい輸出入ゆしゅつにゅうのコストが無視むしできるほどちいさければ、輸出入ゆしゅつにゅうにより両国りょうこくでの小麦こむぎ価格かかく一致いっちする。

貿易ぼうえき利益りえき

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貿易ぼうえきは(完全かんぜん競争きょうそうしたでは)それにかかわった双方そうほうくに利益りえきそう余剰よじょう)をもたらすことられている。貿易ぼうえき利益りえきには、さまざまなタイプがある。以下いかはそのいちれいである[8]

これをふたた小麦こむぎれいにして説明せつめいする。簡単かんたんため両国りょうこくではおな通貨つうか使つかっているものとしてはなしをすすめるが、べつ通貨つうか使つかっていたとしても結論けつろんおなじである。

輸入ゆにゅうによりAこくでは小麦こむぎ価格かかくがる。かりいちふくろあたり100えん価格かかくがったとする。するとAこく小麦こむぎ農家のうか利益りえきは1ふくろあたり100えんすくなくなってしまうが、この減少げんしょうぶん価格かかく低下ていかによりAこく消費しょうひしゃ小麦こむぎを100えんやすえるぶん利益りえき相殺そうさいされる。しかも小麦こむぎ価格かかくがったのであるから、Aこく消費しょうひしゃ小麦こむぎたんやすえるだけでなく、以前いぜんよりおおくの小麦こむぎえるという利益りえきられる。よってくに全体ぜんたい場合ばあい、Aこくでは貿易ぼうえきにより利益りえきしょうじる。

Bこくではぎゃく小麦こむぎ値段ねだんがる。かりいちふくろあたり50えん価格かかくがったとする。するとBこく消費しょうひしゃいちふくろ小麦こむぎうのに50えんおおはらわねばならず、そんをする。しかしそのぶん、Bこく小麦こむぎ農家のうかもうけはいちふくろあたり50えんおおくなるので、消費しょうひしゃそん小麦こむぎ農家のうかもうけにより相殺そうさいされる。

また値段ねだんがったせいでB国内こくない小麦こむぎれるりょう減少げんしょうしてしまうが、あまった小麦こむぎは、よりきがよいAこくことができる。しかも前述ぜんじゅつのように、Aこくほう小麦こむぎ値段ねだんはBこくのそれを下回したまわらない。よって小麦こむぎ農家のうか利益りえき貿易ぼうえきにより増加ぞうかする。したがってくに全体ぜんたい場合ばあい、Bこくでも貿易ぼうえきにより利益りえきしょうじている。

以上いじょうのように、くに全体ぜんたい場合ばあい貿易ぼうえきかかわったAこく、Bこく双方そうほう利益りえきる。しかし国内こくないでの利益りえきにはかたよりがしょうじる。Aこくでは、小麦こむぎ農家のうかそんしているが、消費しょうひしゃはそれを上回うわまわとくをしている。一方いっぽうぎゃくにBこくでは消費しょうひしゃそんをしているが、小麦こむぎ農家のうかはそれを上回うわまわとくをしている。

保護ほご貿易ぼうえき

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自由じゆう貿易ぼうえき利益りえき偏在へんざいさせ、比較ひかく劣位れつい産業さんぎょうなど一部いちぶ人々ひとびと損失そんしつとなるためときとして反発はんぱつまねく。このため一部いちぶ産業さんぎょうにおける輸入ゆにゅう規制きせいし、国内こくない産業さんぎょう保護ほごしようとする政策せいさく保護ほご貿易ぼうえき保護ほご主義しゅぎ)が存在そんざいする。保護ほご貿易ぼうえき手段しゅだんとしては、関税かんぜい賦課ふかアンチ・ダンピング課税かぜい相殺そうさい関税かんぜいひとし)や、輸入ゆにゅう数量すうりょう規制きせい輸入ゆにゅう割当わりあてセーフガードひとし)などがもちいられる。世界せかい主要しゅようこく自由じゆう貿易ぼうえき標榜ひょうぼうしているものの、国内こくない有力ゆうりょく産業さんぎょう衰退すいたい産業さんぎょう保護ほごする政治せいじてき目的もくてきなんらかの規制きせいおこなっている。

貿易ぼうえき促進そくしん政策せいさく

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貿易ぼうえきは、外貨がいか獲得かくとくつうじて直接ちょくせつ国富こくふ増大ぞうだいにつながると同時どうじに、安価あんか輸入ゆにゅうひん流入りゅうにゅうによる物価ぶっか抑制よくせい食料しょくりょうやエネルギーとう必需ひつじゅひん安定あんていてき確保かくほなどの観点かんてんから、各国かっこく政府せいふくに政策せいさくとして促進そくしんおこなっている。貿易ぼうえき促進そくしんのありかたくにによってことなる。

具体ぐたいてきには、以下いかのような施策しさくおこなわれる。

輸出ゆしゅつひんたいして直接ちょくせつ補助ほじょきん付与ふよすることは、WTOルールで禁止きんしされている。

近年きんねんのアメリカ、イギリス、日本にっぽんでは国民こくみん産出さんしゅつりょうのそれぞれ10%、26%、12%が輸出ゆしゅつされている[9]。このため貿易ぼうえき完全かんぜん遮断しゃだんしてしまうこと破滅はめつてき結末けつまつをもたらしかねない。たとえばだい恐慌きょうこうのち各国かっこく自国じこく産業さんぎょうまもためブロック経済けいざいへと移行いこうしたが、これは貿易ぼうえきによる利益りえきてること意味いみし、かえって経済けいざい悪化あっかさせてだい世界せかい大戦たいせん遠因えんいんとなった[よう出典しゅってん]。この経験けいけんから、GATTWTO自由じゆう貿易ぼうえき活動かつどう理念りねんとしている。

相互そうご主義しゅぎ

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相互そうご主義しゅぎにもとづき、互恵ごけいてき関係かんけいむすんだ国家こっかあいだにおいて貿易ぼうえきおこな政策せいさくがある。近代きんだい以前いぜん贈与ぞうよ貿易ぼうえき管理かんり貿易ぼうえきには、紛争ふんそう防止ぼうし友好ゆうこう関係かんけいむすぶという政治せいじてき目的もくてきふくまれる場合ばあいがあった。

貿易ぼうえきかんする論争ろんそう

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各国かっこく産業さんぎょう生産せいさんしゃ消費しょうひしゃをめぐってさまざまな論争ろんそうおこなわれており、とく自由じゆう貿易ぼうえき保護ほご貿易ぼうえき主張しゅちょう対照たいしょうてきとなる。

自由じゆう貿易ぼうえきがわ主張しゅちょうについては以下いか参照さんしょう

保護ほご貿易ぼうえきがわ主張しゅちょうについては以下いか参照さんしょう

リカードのモデル

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リカードの貿易ぼうえき理論りろんは、教科書きょうかしょてきには、2こく2ざい1生産せいさん要素ようそのモデルとして普及ふきゅうしている。これは比較ひかく優位ゆうい概念がいねんおしえるものとしてはただしいが、リカード自身じしんおよびその発展はってん無視むしするものである[10]。とくにリカード理論りろん労働ろうどうのみを投入とうにゅうする1生産せいさん要素ようそモデル(生産せいさん労働ろうどうのみを投入とうにゅうする経済けいざい)であるという理解りかいは、間違まちがいである[注釈ちゅうしゃく 1]>。リカードがかんがえていたのは、ざい生産せいさんざい投入とうにゅうされる循環じゅんかん構造こうぞうである[注釈ちゅうしゃく 2]マッケンジーは、原材料げんざいりょう機械きかい投入とうにゅうされる経済けいざいでも、直接ちょくせつ間接かんせつ労働ろうどう投入とうにゅうりょう単位たんいあたりの投入とうにゅう係数けいすうかんがえればリカード理論りろん拡張かくちょうできることをしめした[11]

リカード理論りろんは、1950年代ねんだいから60年代ねんだいはじめにかけてマッケンジージョーンズにより、多数たすうこく多数たすうざい場合ばあい拡張かくちょうされた。この場合ばあい、「多数たすう」とは3こくあるいは3ざい以上いじょうをいう。2こく多数たすうざいあるいは2ざい多数たすうこく場合ばあいは、2こく2ざい分析ぶんせき容易ようい拡張かくちょうできるが、3こく3ざい以上いじょうでは本質ほんしつてきことなる分析ぶんせき方法ほうほう必要ひつようとされるためである[12]

マッケンジーらの理論りろんは、完成かんせいざいのみを貿易ぼうえきし、中間なかまざい貿易ぼうえきゆるさない理論りろんであった。中間なかまざい(投入とうにゅうざい資本しほんざい)の貿易ぼうえきふく理論りろんは、塩沢しおざわゆかりてんにより2007ねん構成こうせいされた[13]塩沢しおざわゆかりてん(2014)『リカード貿易ぼうえき問題もんだい最終さいしゅう解決かいけつ岩波書店いわなみしょてんは、2007ねん成果せいか国際こくさい価値かちろん立場たちばから学説がくせつ史上しじょう意義いぎをもふくめて再説さいせつしたものである。これによりリカードやマルクスが目指めざして出来できなかった国際こくさい価値かちろん古典こてん経済けいざいがく伝統でんとううえ構成こうせいされた。

ヘクシャー・オリーンのモデル

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古典こてん傾向けいこうのあるリカード・モデルにたいする代替だいたいあんとしてまれた。エリ・ヘクシャーベルティル・オリーンかんがえをポール・サミュエルソン現代げんだいてき定式ていしきした。ヘクシャー・オリーン・サミュエルソン理論りろん(HOS理論りろん、HOSモデル)ともわれる。しん古典こてん主義しゅぎてき価格かかく形成けいせいのメカニズムを国際こくさい貿易ぼうえき理論りろん援用えんようしてエレガントな解決かいけつあん提示ていじしたことに意味いみがある。

その基本きほんかんがえはつぎの2てんにある。

  1. 貿易ぼうえきは、各国かっこく存在そんざいする生産せいさん要素ようそ比率ひりつことなることからしょうずる。
  2. 各国かっこくは、おなじ生産せいさん関数かんすうをもつ。

1.より、ヘクシャー・オリーンのモデルは、要素ようそそん理論りろん要素ようそ比率ひりつ理論りろんなどともばれる。国際こくさい貿易ぼうえき各国かっこく生産せいさん要素ようそ交換こうかんであるという観点かんてんは、ヴァネクによりヘクシャー・オリーン・ヴァネク理論りろん(HOV理論りろん)に拡張かくちょうされた[14]

この理論りろん問題もんだいにするのは、国際こくさい貿易ぼうえきのパターンが要素ようそそんにより決定けっていされるというてんである。各国かっこく自国じこく潤沢じゅんたく要素ようそ重点的じゅうてんてき使つかった商品しょうひん輸出ゆしゅつし、自国じこく欠乏けつぼうする要素ようそ重点的じゅうてんてき使つか商品しょうひん輸入ゆにゅうするという予測よそくてる。この理論りろんについては、おおくの実証じっしょう研究けんきゅうがあるが、その予測よそく能力のうりょくはきわめてわるいか、とき間違まちがっている。ワシリー・レオンチェフは、産業さんぎょう連関れんかんひょうもちいて経験けいけんろんてき検証けんしょうおこない、他国たこくくらべてそん資本しほん比率ひりつたかいと予想よそうされるアメリカがむしろ労働ろうどう集約しゅうやくてき商品しょうひん輸出ゆしゅつする傾向けいこう指摘してきした(レオンチェフ・パラドックス)。リーマー(E. Leamer)は、レオンチェフの解釈かいしゃく反対はんたいして、多数たすう生産せいさん要素ようそ考慮こうりょするHOVモデルによれば、要素ようそそん貿易ぼうえきパターンを説明せつめいしていると結論けつろんした[15]。しかし、トレフラーらは、その研究けんきゅうにおいて、(1)HOV理論りろん予測よそくする貿易ぼうえきパターンはくじき(硬貨こうかげ)とおな程度ていど予測よそく能力のうりょくしかたないこと[16]、(2)HOV理論りろんは、各国かっこくあいだ貿易ぼうえきりょうおおきさをただしく予測よそくしない[17] ことをしめした。トレフラーは、これらを「ミステリー」とんだが、コンウェイは、「ミステリー」というのは、理論りろん棄却ききゃくされたという暗号あんごうめいであると指摘してきしている[18]。トレフラーは、HOV理論りろんかんがえられる修正しゅうせい拡張かくちょうについても検証けんしょうしているが、どれもかんばしい結果けっかられなかった[19][20]

特殊とくしゅ要素ようそモデル

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このモデルでは短期間たんきかん産業さんぎょうあいだ資本しほん移転いてんしないかぎ産業さんぎょうあいだ労働ろうどうりょく流動りゅうどうするという仮説かせつてている。特殊とくしゅ要素ようそという名称めいしょうは、物的ぶってき資本しほんのような特殊とくしゅ生産せいさん要素ようそ短期間たんきかん容易ようい産業さんぎょうあいだ移転いてんできないという意味いみあたえられたものである。この理論りろん示唆しさするのは、商品しょうひん価格かかく上昇じょうしょうがこの商品しょうひん特殊とくしゅ生産せいさん要素ようそ所有しょゆうするものにリアルタームで利益りえきをもたらすということである。さらに、労働ろうどうしゃ資本しほんなど特殊とくしゅ生産せいさん要素ようそ所有しょゆうしないものは、労働ろうどうしゃ産業さんぎょうあいだ移動いどう統制とうせいしようとするロビー活動かつどう意義いぎとなえるだろう。てんじて資本しほん労働ろうどうしゃ双方そうほう資本しほんそん増大ぞうだいによるリアルタームで利益りえきにする。このモデルは個々ここ産業さんぎょう分野ぶんや(または企業きぎょう)には適用てきようしやすい。所得しょとく分配ぶんぱい理解りかいには好適こうてきだが、貿易ぼうえきパターンの議論ぎろんにはかない。

重力じゅうりょくモデル

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ヤン・ティンバーゲンやポリホーネンにより1960年代ねんだいはじめに提唱ていしょうされた[21]。これまでべた理論りろんモデルと比較ひかくすると、貿易ぼうえき重力じゅうりょくモデルは貿易ぼうえきパターンの経験けいけんてき分析ぶんせきおもきをくのが特徴とくちょうである。このモデルはその基本きほん形態けいたいにおいて国家こっか国家こっか経済けいざい規模きぼとの空間くうかんてき相互そうご作用さようもとづいて貿易ぼうえき予測よそくする。このモデルはニュートンの万有引力ばんゆういんりょく法則ほうそく重力じゅうりょく法則ほうそく)をまねてふたつの対象たいしょう物理ぶつりサイズと距離きょりについて考察こうさつするものである。計量けいりょう経済けいざいがくてき分析ぶんせきちから発揮はっきすることが経験けいけんてき証明しょうめいされている[22]。このモデルをさらに拡張かくちょうしたモデルには、所得しょとく水準すいじゅん国家こっかあいだ外交がいこう関係かんけい貿易ぼうえき政策せいさくといった要素ようそまれている[23]

しん貿易ぼうえき理論りろん

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1970年代ねんだいになると、Grubel and Lloyd (1975)などにより、先進せんしんこくあいだどういち産業さんぎょうない国際こくさい貿易ぼうえき比重ひじゅうえていることが注目ちゅうもくされた[24]。これにたいし、ポール・クルーグマン生産せいさんにおける収穫しゅうかく逓増ていぞう独占どくせん競争きょうそう理論りろんわせて、産業さんぎょうない貿易ぼうえきこりうることをしめした[25]その、クルーグマンの基本きほんモデルにもとづく研究けんきゅう活発かっぱつし、しん貿易ぼうえき理論りろんばれるようになった。

クルーグマンらの理論りろんは、産業さんぎょうないしょ企業きぎょう同一どういつ生産せいさん関数かんすう仮定かていするものであった。これにたいし、2000年代ねんだいはいると、どういち産業さんぎょうない企業きぎょうちがいに注目ちゅうもくするメリッツらの実証じっしょう研究けんきゅう理論りろん研究けんきゅうあらわれるようになった[26]。これは、しん貿易ぼうえき理論りろん対比たいひしてしんしん貿易ぼうえき理論りろん(New new trade theory)とばれている

新々しんしん貿易ぼうえき理論りろん

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クルーグマンらの理論りろんは、産業さんぎょうないしょ企業きぎょう同一どういつ生産せいさん関数かんすう仮定かていするものであった。これにたいし、2000年代ねんだいはいると、どういち産業さんぎょうない企業きぎょうちがいに注目ちゅうもくするメリッツらの実証じっしょう研究けんきゅう理論りろん研究けんきゅうあらわれるようになった。これは、しん貿易ぼうえき理論りろん対比たいひして、「しんしん貿易ぼうえき理論りろん」あるいは「新々しんしん貿易ぼうえき理論りろん」とばれている[27]

企業きぎょう異質いしつせい企業きぎょう輸出ゆしゅつ差異さいをもたらすことに理論りろんてき基礎きそあたえたのは Melitz [2003] である[28]。Helpman, Melitz and Yeaple [2004] は、輸出ゆしゅつ企業きぎょう輸出ゆしゅつ企業きぎょうかんする分析ぶんせき発展はってんさせ、国内こくない企業きぎょう輸出ゆしゅつ企業きぎょう、FDI 企業きぎょう国際こくさいモードの差異さい生産せいさんせいにおける企業きぎょう異質いしつせいによるものであることあきらかにした[29]。しかし、Melitz [2003] や Helpman, Melitz and Yeaple [2004] による理論りろんモデルは、かく企業きぎょうは「くじき」をくようにしてランダムに格差かくさあたえられた生産せいさん技術ぎじゅつもちいて、差別さべつされたざい供給きょうきゅうする独占どくせんてき競争きょうそうモデルである[30]

貿易ぼうえき歴史れきし

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世界せかい貿易ぼうえき

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2007ねん世界せかい貿易ぼうえきがく(ドル輸出ゆしゅつベース)は13ちょう7477おくドル。

  • 主要しゅよう輸出ゆしゅつこく地域ちいきEU世界せかい輸出ゆしゅつがく全体ぜんたいの38.7%)、アメリカ(8.5%)、中国ちゅうごく(8.9%)、日本にっぽん(5.1%) とう
  • 主要しゅよう輸入ゆにゅうこく地域ちいきEU世界せかい輸入ゆにゅうがく全体ぜんたいの39.3%)、アメリカ(13.5%)、中国ちゅうごく(6.4%)、日本にっぽん(4.1%) とう

参考さんこう:ジェトロ世界せかい貿易ぼうえきマトリクス)

日本にっぽん貿易ぼうえき

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2007ねん日本にっぽん貿易ぼうえきがくは、輸出ゆしゅつが7127おく3496まんドル、輸入ゆにゅうが6210おく8409まんドル。

参考さんこう:ジェトロ「日本にっぽんのドル貿易ぼうえき概況がいきょう」)

国際こくさい貿易ぼうえきのルールづく

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これまで貿易ぼうえきこくあいだ条約じょうやくによりルールづくりがされてきた。じゅうしょう主義しゅぎ信奉しんぽうされたかず世紀せいきあいだこう関税かんぜいすうおおくの関税かんぜい障壁しょうへきもうけるくにおおかった。19世紀せいきにはイギリスで自由じゆう貿易ぼうえき信奉しんぽうするものが急速きゅうそく増加ぞうかし、以来いらい西側にしがわ諸国しょこくではこのかんがかた支配しはいてきになったが、これはまただいえい帝国ていこく凋落ちょうらくをもまねいた。だい大戦たいせん貿易ぼうえき構造こうぞう世界せかい規模きぼのルールを確立かくりつする目的もくてきで、貿易ぼうえき関税かんぜいかんする一般いっぱん協定きょうてい(ガット)や世界せかい貿易ぼうえき機構きこう(WTO)などの多国たこくあいだ協定きょうてい形成けいせいされた。この貿易ぼうえき協定きょうていがもたらすのは当事とうじしゃ不利益ふりえきあたえる公正こうせい貿易ぼうえきであるという不満ふまん一部いちぶたかまり、度々たびたび抗議こうぎ運動うんどうきた。

自由じゆう貿易ぼうえき強力きょうりょく支持しじするのはもっとも経済けいざいりょくがある国家こっかぐんであるのが普通ふつうだが、一方いっぽうでアメリカや欧州おうしゅう連合れんごう農産物のうさんぶつ保護ほごてき関税かんぜいしたように、戦略せんりゃくてき重要じゅうよう産業さんぎょう分野ぶんやについておなこく選択せんたくてき保護ほご主義しゅぎ発動はつどうすることもある。かつて最盛さいせいのオランダとイギリスは自由じゆう貿易ぼうえき推進すいしんしゃだったが、この構成こうせい現在げんざいアメリカ・イギリス・オーストラリア・日本にっぽんわった。またインド・中国ちゅうごく・ロシアなども経済けいざいりょくがつくにつれて徐々じょじょ自由じゆう貿易ぼうえき推進すいしんがわまわってきた。関税かんぜい交渉こうしょう一段落いちだんらくすると、外国がいこく資本しほんによる直接ちょくせつ投資とうし政府せいふ調達ちょうたつ開放かいほう貿易ぼうえき手続てつづきの簡素かんそめぐ交渉こうしょう関心かんしんうつる。手続てつづきの簡素かんそ貿易ぼうえき業務ぎょうむ通関つうかん手続てつづきにかかるコスト削減さくげん見据みすえたものである。

これまでアメリカなどの農業のうぎょう利権りけん一般いっぱん自由じゆう貿易ぼうえき製造せいぞう分野ぶんや保護ほご主義しゅぎ支持しじすることがおおかった。だがこの構図こうず近年きんねんわりつつある。ことに主要しゅよう国際こくさい貿易ぼうえき協定きょうてい農業のうぎょう分野ぶんや保護ほご主義しゅぎてき規制きせいまれた背景はいけいには、アメリカ・欧州おうしゅう連合れんごう日本にっぽん農業のうぎょう利権りけんによる活発かっぱつなロビー活動かつどうがあった。

景気けいき後退こうたいには、国内こくない産業さんぎょうまもるために関税かんぜいげの圧力あつりょくたかまる。だい恐慌きょうこうにはだれもがきょう深刻しんこくうたがわず、各国かっこく関税かんぜいげたため、国際こくさい貿易ぼうえきもろくも崩壊ほうかいした。

国際こくさい貿易ぼうえきのルール策定さくていは、世界せかい規模きぼのものはWTOを舞台ぶたいにした協定きょうていによるが、それ以外いがい地域ちいき協定きょうてい機能きのうしている。南米なんべい南部なんぶ共同きょうどう市場いちば(メルコルスール)、アメリカ・カナダ・メキシコのNAFTA、28の独立どくりつこくからなる欧州おうしゅう連合れんごう東南とうなんアジアのASEANなどがある。2005ねん11月、アルゼンチンのマルデルプラタひらかれた米州べいしゅうサミットでは、FTAA交渉こうしょう再開さいかい議題ぎだいのぼったが、推進すいしん29カ国かこくたいしメルコルスール4カ国かこくとベネズエラが対立たいりつし、マルデルプラタ宣言せんげんには両論りょうろん併記へいきされた。首都しゅとブエノスアイレスでは抗議こうぎデモの一部いちぶ暴徒ぼうとした。また多国たこくあいだ投資とうし協定きょうてい(MAI)も紛糾ふんきゅうした。

国際こくさい貿易ぼうえきのリスク

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国際こくさい貿易ぼうえきちはだかるリスクはおおきく2つのグループに分類ぶんるいされる。

経済けいざいリスク
  • バイヤーの破産はさんリスク
  • バイヤーの支払しはらい繰延くりの不能ふのうリスク・・・・・・支払しはらい期限きげんの6ヵ月かげつまでに完済かんさいできない場合ばあい
  • 手形てがた不渡ふわたりリスク
  • 経済けいざい主権しゅけん放棄ほうき
政治せいじリスク
  • 輸出入ゆしゅつにゅうライセンスのキャンセルまたは更新こうしん拒否きょひのリスク
  • 輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃ資産しさん没収ぼっしゅうリスク
  • 商品しょうひん船積ふなづ輸入ゆにゅう禁止きんし措置そちリスク
  • 為替かわせリスク・・・・・・輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃくに為替かわせ操作そうさ外貨がいか不足ふそくによる負担ふたんぞう
  • 政治せいじ主権しゅけん放棄ほうき

国際こくさい貿易ぼうえき予備よび調査ちょうさ

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国際こくさい貿易ぼうえきでは予備よび調査ちょうさおこなわれるのが一般いっぱんてきであり、一般いっぱん調査ちょうさ商品しょうひんごとの個別こべつ調査ちょうさがある[31]

  • 一般いっぱん調査ちょうさ事項じこう
    • 地理ちり相手あいてこく気候きこう風土ふうど市場いちば規模きぼとう[31]
    • 社会しゃかい相手あいてこく人口じんこう宗教しゅうきょう人種じんしゅ構成こうせい言語げんご所得しょとく水準すいじゅんとう[31]
    • 政治せいじげん政権せいけん構成こうせい安定あんていせい自国じこくしょ外国がいこくとの関係かんけい条約じょうやく締結ていけつじょうきょうとう[31]
    • 経済けいざい相手あいてこく経済けいざい規模きぼ経済けいざい成長せいちょう経済けいざい政策せいさく産業さんぎょう構造こうぞう為替かわせレート、賃金ちんぎん物価ぶっか[31]
  • 個別こべつ調査ちょうさ事項じこう
    • 商品しょうひん流通りゅうつう制度せいど輸入ゆにゅう規制きせい通関つうかん方法ほうほうなど[32]
    • 地場じば産品さんぴん他国たこくからの輸入ゆにゅうなど商品しょうひん競合きょうごうじょうきょう[32]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ これは生産せいさん生産せいさん要素ようそ組合くみあわせによりなされるというしん古典こてん生産せいさん関数かんすうかんがえにもとづくリカード解釈かいしゃくである。
  2. ^ ピエロ・スラッファ指摘してきしたように、リカード経済けいざいは「商品しょうひんによる商品しょうひん生産せいさん」(スラッファの主著しゅちょ表題ひょうだい)である。資本しほんは、投入とうにゅうもちいられる商品しょうひん集合しゅうごう理解りかいされる。したがって、リカード・モデルが資本しほん投入とうにゅうのない19世紀せいきがた理論りろんであるという指摘してき間違まちがっている。

出典しゅってん

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  2. ^ 港湾こうわん用語ようご検索けんさく - ちょく貿・あいだ貿”. 四日市よっかいちこう管理かんり組合くみあい. 2022ねん1がつ23にち閲覧えつらん
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  6. ^ 石原いしはらしんこころざし小林こばやし二三夫ふみお花木はなきただしこう吉永よしなが恵一けいいち改訂かいてい しん貿易ぼうえき取引とりひき基礎きそから最新さいしん情報じょうほうまで 改訂かいていばん経済けいざい法令ほうれい研究けんきゅうかい、2019ねん、3-4ぺーじ 
  7. ^ ポール・サミュエルソンは、これを「4つの魔法まほう数字すうじ」(Four magic numbers)とんだ。Samuelson, Paul A. 1972 “The Way of an Economist.” Reprinted in The Collected Papers of Paul A. Samuelson. Ed. R. C. Merton. Cambridge: Cambridge MIT Press. "four magic numbers"という表現ひょうげんは、p.378にある。
  8. ^ 『クルーグマン マクロ経済けいざいがくだい8しょう
  9. ^ 『スティグリッツ 入門にゅうもん経済けいざいがく だいさんはん』p429
  10. ^ リカード『政治せいじ経済けいざいがく課税かぜい原理げんりだい7しょう後半こうはんでは、多数たすうざい取引とりひきされる状況じょうきょう検討けんとうしている。小島こじまきよしは、リカード理論りろんきむ(貨幣かへい金属きんぞく)の生産せいさん貿易ぼうえき不可欠ふかけつであるとしている。小島こじまきよし(1950)「リカァドォの国際こくさい均衡きんこうろん」『いちきょう論叢ろんそう24(1): 25-26。塩沢しおざわゆかりてんは、リカード貿易ぼうえき理論りろんの「最小さいしょうモデル」は、2こく3ざいでなければならないと指摘してきしている。塩沢しおざわ有賀ありがへん(2014)『経済けいざいがく再建さいけんする』中央大学ちゅうおうだいがく出版しゅっぱんだい5しょうだい2せつ
  11. ^ McKenzie, L. 1954 Specialization and Efficiency in World Production. Review of Economic Studies, 21:147-161.マッケンジーはくわしく説明せつめいしていないが、塩沢しおざわゆかりてん(2014)『リカード貿易ぼうえき問題もんだい最終さいしゅう解決かいけつ岩波書店いわなみしょてんには、だい3しょうだい3せつ解説かいせつがあり、その厳密げんみつ証明しょうめいがpp.130-131にあたえられている。
  12. ^ いけあいだまこと(1993)「国際こくさい生産せいさんとくパターンの確定かくてい : 多数たすうこく多数たすうざいケース」『いちきょう論叢ろんそう110(6): 873-94.
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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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