連用形れんようけい

連用形れんようけい（れんようけい）とは、日本語にほんごの用言ようげんにおける活用かつよう形かたちの一ひとつ。日本語にほんごの動詞どうしや形容詞けいようしなどは語形ごけい変化へんかを起おこすが、活用かつよう形がたとは学校がっこう文法ぶんぽうにおいて語形ごけい変化へんか後ごの語形ごけいを6つに分類ぶんるいしたものであり、連用形れんようけいはそのうちの一ひとつで前まえから2番目ばんめに置おかれる。

定義ていぎ

連用れんようとは「用言ようげんに連つらなる」という意味いみであり、用言ようげん（動詞どうし・形容詞けいようし・形容動詞けいようどうし）の前まえで現あらわれる語形ごけいをもとに作つくられている。この名なは東条とうじょう義よし門もんが『和語わご説せつ略図りゃくず』（1833年ねん）において連用れんよう言ごととして立たてて以来いらいのものである。

他たの用言ようげんの前まえで四よん段だん動詞どうしはイ段だん音おととなり、一段いちだん動詞どうしと二に段だん動詞どうしはイ段だん音おとあるいはエ段だん音おとになる。また形容詞けいようしは「く」の形かたちをとり、形容動詞けいようどうしは「に」の形かたちを取とる。このように定義ていぎを定さだめると助詞じょしや助動詞じょどうしの方ほうの分類ぶんるいにも使つかわれるようになり、連用形れんようけいに接続せつぞくする助詞じょし・助動詞じょどうしとして「て」「つつ」「ながら」「き」「けり」「つ」「ぬ」「たり」……といったものがあるとされた。またここから逆ぎゃくに、これらの助詞じょし・助動詞じょどうしの前まえで現あらわれる語形ごけいも連用形れんようけいに含ふくまれることになり、形容詞けいようしは「かり」、形容動詞けいようどうしは「なり」が現あらわれ、動詞どうしでは音便おんびん形かたちがこれに相当そうとうする。

文語ぶんご					口語こうご
品詞ひんし	活用かつようの種類しゅるい	例れい語ご	語形ごけい		活用かつようの種類しゅるい	例れい語ご	語形ごけい
動詞どうし	四よん段だん活用かつよう	書かく	かき	-i	五ご段だん活用かつよう	書かく	かき かい	-i っ/ん/い
	ラ行ぎょう変格活用へんかくかつよう	あり	あり	-i
	ナ行ぎょう変格活用へんかくかつよう	死しぬ	しに	-i
	下した一いち段だん活用かつよう	蹴ける	け	-e	下した一いち段だん活用かつよう	受うける	うけ	-e
	下した二に段だん活用かつよう	受く	うけ	-e
	上うえ一いち段だん活用かつよう	着きる	き	-i	上うえ一いち段だん活用かつよう	起おきる	おき	-i
	上うえ二に段だん活用かつよう	起おこりく	おき	-i
	カ行ぎょう変格活用へんかくかつよう	来き	き	-i	カ行ぎょう変格活用へんかくかつよう	来くる	き	-i
	サ行ぎょう変格活用へんかくかつよう	す	し	-i	サ行ぎょう変格活用へんかくかつよう	する	し	-i
形容詞けいようし	ク活用かつよう	なし	なく なかり	く かり		ない	なく なかっ	く かっ
	シク活用かつよう	美うつくし	うつくしく うつくしかり	しく しかり
形容動詞けいようどうし	ナリ活用かつよう	静しずかなり	しずかに しずかなり	に なり		静しずかだ	しずかに しずかだっ しずかで	に だっ で
	タリ活用かつよう	堂々どうどうたり	どうどうと どうどうたり	と たり

問題もんだい点てん

「連用れんよう」といい、用言ようげんに連つらなるという並ならびは確たしかに同おなじであるが、形容詞けいようし、形容動詞けいようどうしが修飾しゅうしょく語ごの働はたらきをして主要しゅよう部ぶが後うしろの用言ようげんにあるのに対たいし、動詞どうしは複ふく合あい動詞どうしなどの前項ぜんこう要素ようそとして主要しゅよう部ぶが前まえの動詞どうしにあり、文法ぶんぽう的てき機能きのうは異ことなっている。

動詞どうしの連用形れんようけいはそのままで名詞めいしにもなる（「つなぎ」「賭かけ」「救すくい」など）。連用形れんようけいとしての機能きのうもこの名詞めいし化か機能きのうが元もとになっていると思おもわれる。それに対たいし、形容詞けいようしの連用形れんようけいは一般いっぱんには名詞めいしにならない（ただし「近ちかく」「奥深おくふかく」「朝あさ早はやく」など、時間じかん・空間くうかん的てきな程度ていどを表あらわす形容詞けいようしは名詞めいし化かが可能かのう）。

言語げんご学がくから見みた連用形れんようけい

語形ごけい変化へんかのある語かたりにおいて変化へんかしない部分ぶぶんは語幹ごかんと呼よばれ、それに付属ふぞくすることで文法ぶんぽう的てき機能きのうを担にない、語形ごけいに変化へんかをもたらすものを語尾ごびと呼よぶ。形態けいたい論ろんにより日本語にほんごの語形ごけいを音素おんそレベルまで分解ぶんかいして考かんがえると、動詞どうしは子音しいん語幹ごかん動詞どうしと母音ぼいん語幹ごかん動詞どうしに分わけられる。子音しいん語幹ごかん動詞どうしは四よん段だん動詞どうし、ラ変動へんどう詞し、ナ変動へんどう詞しのことをいい、ロろーマ字まじ分析ぶんせきすると変化へんかしない語幹ごかん部分ぶぶんは子音しいんで終おわっている。一方いっぽう、母音ぼいん語幹ごかん動詞どうしは一段いちだん動詞どうし、二に段だん動詞どうしである。ただし、現代げんだい口語こうごにおいては母音ぼいん交替こうたいは起おこらず語幹ごかんは一定いっていであるが、文語ぶんごにおいては語幹ごかん母音ぼいんは母音ぼいん交替こうたいを起おこして2通とおりの語形ごけいをもっている。尚なお、いわゆるサ変さへん動詞どうし、カ変動へんどう詞しは不規則ふきそくな変化へんかをする不規則ふきそく動詞どうしである。

このように見みる時とき、連用形れんようけいに現あらわれる -i- や -u- の音おとは、子音しいん語幹ごかんが子音しいんで始はじまる語尾ごびや用言ようげんに結合けつごうする際さいに子音しいんの連続れんぞくを避さけるためつなぎとして挿入そうにゅうされたものに由来ゆらいしている。例たとえば「食たべます」は tabe-mas-u のように直接ちょくせつ語幹ごかんにつくが、「書かきます」は kak-i-mas-u のようにiが生しょうじている。また四よん段だん動詞どうしにおけるウ音便うおんびん、促音便そくおんびん、撥音便はつおんびんは、つなぎの -i- が挿入そうにゅうされないことによって生しょうじている。例たとえば「立たって」は tat-te である。

また形容詞けいようしと形容動詞けいようどうしは文語ぶんごにおいてカリ活用かつようやナリ活用かつようと言いわれる活用かつようをもつが、これは語幹ごかんと語尾ごびとの間あいだに-ar-（あり）が入はいるものをいっている。「あり」は単体たんたいでは存在そんざいを表あらわす語かたりであるが、語尾ごびとして使つかわれると指定してい、措定そていの文法ぶんぽう機能きのうを果はたしている。よってその活用かつようは子音しいん語幹ごかん動詞どうし「あり」と同おなじく「～かり～」や「～かった」となる。

関連かんれん項目こうもく

• 活用かつよう