陸軍りくぐん兵器へいき行政ぎょうせい本部ほんぶ

陸軍りくぐん兵器へいき行政ぎょうせい本部ほんぶ（りくぐんへいきぎょうせいほんぶ）は、1942年ねんから1945年ねんまで日本にっぽん陸軍りくぐんに設もうけられた機関きかんで、陸軍りくぐん省しょうの外局がいきょくである。陸軍りくぐんの兵器へいきについて、製造せいぞう・補給ほきゅう、研究けんきゅう開発かいはつ・試験しけん、教育きょういくを一元いちげん的てきに統括とうかつした。

概要がいよう

太平洋戦争たいへいようせんそうの戦局せんきょく悪化あっかに伴ともない、陸軍りくぐんはさらなる兵器へいき関係かんけい機関きかんの統合とうごうに迫せまられた。1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）10月がつ15日にち、「陸軍りくぐん兵器へいき行政ぎょうせい本部ほんぶ令れい」（昭和しょうわ17年ねん10月がつ10日とおか勅みことのり令れい第だい674号ごう）により、陸軍りくぐん省しょう兵器へいき局きょく、陸軍りくぐん技術ぎじゅつ本部ほんぶの総務そうむ部ぶ・第だい1部ぶから第だい3部ぶ、陸軍りくぐん兵器へいき本部ほんぶを統合とうごうし、陸軍りくぐん兵器へいき行政ぎょうせい本部ほんぶを新設しんせつ。陸軍りくぐん兵器へいき学校がっこうを隷下れいかとし、さらに、陸軍りくぐん兵器廠へいきしょう内うちの造兵ぞうへい廠しょう・補給ほきゅう廠しょう、技術ぎじゅつ本部ほんぶ内ないの第だい1から第だい9研究所けんきゅうじょを独立どくりつさせ兵器へいき行政ぎょうせい本部ほんぶ長ちょうの直属ちょくぞくとした。本部ほんぶ長ちょうは陸軍りくぐん大臣だいじんに隷した。

戦局せんきょくの悪化あっかに伴ともない、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）5月がつ、満州まんしゅうの造兵ぞうへい廠しょう・兵器へいき補給ほきゅう廠しょうを関東軍かんとうぐんの隷下れいかとした。さらに同年どうねん6月がつ、朝鮮ちょうせんの造兵ぞうへい廠しょう・兵器へいき補給ほきゅう廠しょう、台湾たいわん・九州きゅうしゅう・四国しこくの兵器へいき補給ほきゅう廠しょうを、それぞれ現地げんち軍ぐん管区かんく司令しれい官かんの隷下れいかとした。

終戦しゅうせんを迎むかえ、「陸軍りくぐん兵器へいき行政ぎょうせい本部ほんぶ令れい」は1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）11月がつ10日とおか勅みことのり令れい第だい631号ごうにより廃止はいしされた。

歴代れきだい本部ほんぶ長ちょう

• 小須田こすだ勝造かつぞう 中将ちゅうじょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
• （兼けん）木村きむら兵太郎へいたろう 中将ちゅうじょう：1943年ねん3月がつ11日にち -
• 菅かん晴はる次じ 中将ちゅうじょう：1944年ねん8月がつ30日にち -

所属しょぞく組織そしき

• 総務そうむ部長ぶちょう
  • 菅かん晴はる次じ 中将ちゅうじょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
  • 伊藤いとう鈴りん嗣 少将しょうしょう：1944年ねん8月がつ30日にち -
• 技術ぎじゅつ部長ぶちょう
  • 小池こいけ国こく英えい 中将ちゅうじょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
  • 本部ほんぶ長ちょう事務じむ取扱とりあつかい：1945年ねん4月がつ1日にち -
• 造兵ぞうへい部長ぶちょう
  • 長谷川はせがわ治良はるよし 中将ちゅうじょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
  • 武田たけだ信男のぶお 少将しょうしょう：1943年ねん12月27日にち -
• 補給ほきゅう部長ぶちょう
  • 平野ひらの熙 少将しょうしょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
  • 権藤ごんどう恕じょ 少将しょうしょう：1945年ねん5月がつ23日にち -
• 教育きょういく部長ぶちょう
  • 船引ふねひき正之まさゆき 中将ちゅうじょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
  • 鹿島かしま秀雄ひでお 少将しょうしょう：1943年ねん6月がつ10日とおか -
• 調査ちょうさ部長ぶちょう
  • 井上いのうえ作さく巳み 中将ちゅうじょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
  • （兼けん）鹿島かしま秀雄ひでお 少将しょうしょう：1943年ねん11月25日にち -
• 経理けいり部長ぶちょう
  • 井上いのうえ議ぎ作さく 主計しゅけい少将しょうしょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
• 医務いむ部長ぶちょう
  • 松村まつむら桓 軍医ぐんい少将しょうしょう：1942年ねん10月がつ15日にち -
  • 大森おおもり東一郎とういちろう 軍医ぐんい少将しょうしょう：1945年ねん2月がつ6日にち -
• 幹部かんぶ候補こうほ生せい隊たい
• 陸軍りくぐん兵器へいき学校がっこう
• 第だい1陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい2陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい3陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい4陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい5陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい6陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい7陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい8陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい9陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 第だい10陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 多摩たま陸軍りくぐん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ
• 東京とうきょう第だい1陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう
  • 東京とうきょう第だい1造兵ぞうへい廠しょう研究所けんきゅうじょ
  • 大宮おおみや製造せいぞう所しょ（光学こうがく）
  • 仙台せんだい製造せいぞう所しょ（銃弾じゅうだん）
  • 川越かわごえ製造せいぞう所しょ（銃弾じゅうだん）
  • 第だい1製造せいぞう所しょ（銃弾じゅうだん）
  • 第だい2製造せいぞう所しょ（通信つうしん）
  • 第だい3製造せいぞう所しょ（弾丸だんがん）
  • 小杉こすぎ製造せいぞう所しょ（信管しんかん）
• 東京とうきょう第だい2陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう
  • 坂市さかいち製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 宇治うじ製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 荒尾あらお製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 岩鼻いわはな製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 曽根そね製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 多摩たま製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 深谷ふかや製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 忠海ただのうみ製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 香里かおり製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 板橋いたばし製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 櫛挽くしびき製造せいぞう所しょ（火薬かやく）
  • 東京とうきょう第だい2造兵ぞうへい廠しょう研究所けんきゅうじょ
• 相模さがみ陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう
  • 第だい1製造せいぞう所しょ（戦車せんしゃ）
  • 第だい2製造せいぞう所しょ（弾丸だんがん）
• 名古屋なごや陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう
  • 熱田あつた製造せいぞう所しょ（小しょう口径こうけい砲ほう）
  • 鳥居松とりいまつ製造せいぞう所しょ（銃器じゅうき）
  • 鷹来たかぎ製造せいぞう所しょ（銃弾じゅうだん）
  • 高藪たかやぶ製造せいぞう所しょ（弾丸だんがん）
  • 千種ちくさ製造せいぞう所しょ（機き砲ほう）
  • 駿河するが製造せいぞう所しょ（機き砲ほう）
  • 楠くすのき製造せいぞう所しょ（機き砲ほう）
  • 柳津やないづ製造せいぞう所しょ（機き砲ほう）
• 大阪おおさか陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう
  • 枚方ひらかた製造せいぞう所しょ（弾薬だんやく）
  • 白浜しらはま製造せいぞう所しょ（舟艇しゅうてい）
  • 石見いわみ製造せいぞう所しょ（薬莢やっきょう）
  • 播磨はりま製造せいぞう所しょ（素材そざい）
  • 第だい1製造せいぞう所しょ（砲ほう）
  • 第だい4製造せいぞう所しょ（素材そざい）
• 小倉おぐら陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう
  • 春日しゅんじつ製造せいぞう所しょ（機き砲ほう）
  • 糸いと口山くちやま製造せいぞう所しょ（機き砲ほう）
  • 第だい1製造せいぞう所しょ（部品ぶひん）
  • 第だい2製造せいぞう所しょ（機き砲ほう）
  • 第だい3製造せいぞう所しょ（弾丸だんがん）
• 仁川にがわ陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう → 朝鮮ちょうせん軍ぐん管区かんくへ移管いかん（1945.6.）
  • 平壌ぴょんやん製造せいぞう所しょ
  • 第だい1製造せいぞう所しょ
• 南みなみ満まん陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう（奉天ほうてん）→ 関東軍かんとうぐんへ移管いかん（1945.5.）
  • 第だい1製造せいぞう所しょ
  • 第だい2製造せいぞう所しょ
  • 第だい3製造せいぞう所しょ
• 東京とうきょう陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう
• 千葉ちば陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう
• 名古屋なごや陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう
• 大阪おおさか陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう
• 岡山おかやま陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう
• 広島ひろしま陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう
• 小倉おぐら陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう → 西部せいぶ軍ぐん管区かんくへ移管いかん（1945.6.）
• 平壌ぴょんやん陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう → 朝鮮ちょうせん軍ぐん管区かんくへ移管いかん（1945.6.）
• 南みなみ満まん陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう（奉天ほうてん）→ 関東かんとう軍ぐんへ移管いかん（1945.5.）
• 台湾たいわん陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう（台北たいぺい） → 台湾たいわん軍ぐん管区かんくへ移管いかん（1945.6.）
• 北海道ほっかいどう陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう
• 仙台せんだい陸軍りくぐん兵器へいき補給ほきゅう廠しょう

関連かんれん項目こうもく

• 防衛ぼうえい装備そうび庁ちょう
• ドイツ陸軍りくぐん兵器へいき局きょく

参考さんこう文献ぶんけん

• 秦はた郁いく彦編へん『日本にっぽん陸海りくかい軍ぐん総合そうごう事典じてん』第だい2版はん、東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、2005年ねん。
• 外山とやま操みさお・森松もりまつ俊夫としお編著へんちょ『帝国ていこく陸軍りくぐん編制へんせい総覧そうらん』芙蓉ふよう書房しょぼう出版しゅっぱん、1987年ねん。
• 原はら剛つよし・安岡やすおか昭男あきお編へん『日本にっぽん陸海りくかい軍ぐん事典じてんコンパクト版ばん（上うえ）』新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ、2003年ねん。
• 防衛ぼうえい研修けんしゅう所しょ戦史せんし室しつ『陸軍りくぐん軍ぐん戦備せんび』 朝あさ雲くも新聞しんぶん社しゃ〈戦史せんし叢書そうしょ〉、1979年ねん。