首輪くびわ

首輪くびわ（くびわ、Collar）は、首くびに付つける輪わ。大おおまかに以下いかのような種類しゅるいに分わかれる。

1. ファッションとして人間にんげんが身みにつけるもの。
2. 識別しきべつや誘導ゆうどう用ように動物どうぶつにつけるもの。
3. 刑罰けいばつとして人間にんげんが身みにつけるもの。
4. SMプレイに用もちいるもの。首輪くびわ (BDSM)参照さんしょう。

首長しゅちょう族ぞくの首輪くびわは首くびを長ながく見みせる役割やくわりを持もっている

用途ようと別べつの首輪くびわ

ファッションとしての首輪くびわ

詳細しょうさいは「:en:Choker」を参照さんしょう

13世紀せいきのヨーロッパにおいて中世ちゅうせいのシュミーズの引びき紐ひもをもとに発展はってんした、分離ぶんりした状態じょうたいの襟えり (Collar) のことを指さす。エリザベス朝あさのイギリスにおいても独自どくじの発展はってんを遂とげ、襞ひだ襟えりのようなものが生うまれた。近年きんねんにおいては、襟えりを省略しょうりゃくした着きやすい衣服いふくが主流しゅりゅうになった。

チョーカー 黒くろリボン

チョーカー (Choker) という名称めいしょうで首くびに巻まくリボンのようなものや、ホックで留とめるものが存在そんざいしている。古代こだいエジプトでは主おもに古こ王国おうこく時代じだいに女性じょせいが身みに着つけた装身具そうしんぐであり、19世紀せいきのイギリスではエドワード7世せいの王妃おうひアレクサンドラが首くびの手術しゅじゅつ痕こんを隠かくすために積極せっきょく的てきに利用りようしたほか、真珠しんじゅなどの宝石ほうせきやレースでできた装飾そうしょく的てきなものを使用しようした。

首飾くびかざり（ネックレス）の同義語どうぎごとして使用しようされることもある。また、これとよく似にたスタイルの付つけ襟えりといったものもある。

パンク・ファッションが一般いっぱん化かすると、鋲びょう付つきの首輪くびわが登場とうじょうした。これは欧米おうべいでいうパワーコスチューム（意味いみを持もたせた記号きごう論ろん的てき衣服いふく）として、凶暴きょうぼうさや既存きそんのルールに縛しばられないという決意けついを意味いみしており、ボンデージファッションに拡大かくだいした。

動物どうぶつ用ようの首輪くびわ

「en:Collar (animal)」も参照さんしょう

主おもに犬いぬや猫ねこといったペットに対たいして使用しようされるものを指さす。個体こたいの識別しきべつや、紐ひもや鎖くさりと結むすび付つけて逃亡とうぼうを防ふせぐために用もちいられる。また、首輪くびわの有無うむは人間にんげんの管理かんりの有無うむを示しめすので、野良犬のらいぬや野良猫のらねことの区別くべつに用もちいられることがある。首輪くびわに飼かい主ぬしの氏名しめい・住所じゅうしょ・連絡れんらく先さき等とうを記しるした迷子まいご札さつを付つける場合ばあいもある。犬いぬに散歩さんぽをさせる場合ばあいは、首輪くびわに紐ひもを括くくり付づけ、飼かい主ぬしが紐ひもを持もちながら歩あるかせることが一般いっぱん的てきである。近年きんねんでは無線むせん式しきで電気でんき信号しんごうを飛とばし首輪くびわに振動しんどうを与あたえ、犬いぬに指示しじできる首輪くびわも存在そんざいしている。またノミなどの皮膚ひふ寄生虫きせいちゅう避さけの首輪くびわも存在そんざいしている。夜間やかんの散歩さんぽで自動車じどうしゃなど他者たしゃへの視認しにん性せいを上あげるために充電じゅうでん式しきでLEDで光ひかるセーフティカラーも登場とうじょうした。 かつては牛うしや羊ひつじのような家畜かちくにも用もちいられ、カウベルのように識別しきべつのための道具どうぐを下さげることがあった。近年きんねんでは耳みみにタグを打うっている場合ばあいが多おおい。馬うまは首くびが発達はったつしているため轡くつわを用もちいる。

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  連絡れんらく先さき等とうを記しるした首輪くびわ
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  首輪くびわを装着そうちゃくした犬いぬ
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  首輪くびわのリードを持もつ人ひと
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  とげ付つき首輪くびわ

刑罰けいばつ用ようの首輪くびわ

税金ぜいきん滞納たいのうの科かで、首枷くびかせを嵌はめられた男性だんせい。1870年代ねんだいの清国きよくに

首輪くびわをかけられた囚人しゅうじん

詳細しょうさいは「de:Halseisen」を参照さんしょう

手枷てかせと同様どうように犯罪はんざい者しゃへの刑罰けいばつとしての首枷くびかせが、中国ちゅうごくを初はじめとして、中世ちゅうせいヨーロッパや中世ちゅうせい日本にっぽんでも用もちいられた。

出土しゅつど事例じれいとしては、1962年ねんの中国ちゅうごくで、漢かん代だいの刑けい徒との墓はかが522基き発見はっけんされたが、その内うちの一基いっきの墓はかセンから、南陽なんよう郡ぐん宛あて県けん出身しゅっしんの陳ひね便びんという刑けい徒とが頭髪とうはつを剃そられ、鉗（けん）＝鉄てつの首枷くびかせをされたこと、永えい初はじめ元年がんねん（107年ねん）5月がつ25日にちに埋葬まいそうされたことが記しるされており、鉗自体じたいも出土しゅつどしている。

手枷てかせと一体化いったいかしたものが多おおく、おしゃべり、飲酒いんしゅ、博打ばくち、追突ついとつへの刑罰けいばつに対たいし用もちいられている。奴隷どれいが存在そんざいしていた時代じだいには自由じゆうを奪うばうために拘束こうそく具ぐとして首輪くびわが用もちいられた。見みせしめとしての意味いみも大おおきい。文献ぶんけん例れいとして、14世紀せいき成立せいりつの『太平たいへい記き』二に巻かんに首枷くびかせの記述きじゅつが見みられるが、手枷てかせ孔あなは頭あたまの前後ぜんごにあり、「縦たて型がた」で、西洋せいようのような頭あたまの横よこに手枷てかせ孔あながある「横型よこがた」ではない。

首輪くびわの役割やくわり

もともと首輪くびわは装飾そうしょく品ひんであったが、呼吸こきゅうをする部位ぶいを締しめることから重要じゅうような部分ぶぶんを抑おさえている、という記号きごう論ろん的てきな意味いみを内包ないほうする。特とくに犬いぬに対たいして用もちいられる首輪くびわは、被ひ支配しはい者しゃの象徴しょうちょうとしての意味合いみあいが強つよく、「飼かい犬いぬ」を示しめす記号きごうでもある。そのため首輪くびわをしていることは自由じゆう意志いしを持もたない、支配しはいされているという意味合いみあいを示しめすことが多おおい。

動物どうぶつ用よう首輪くびわには首輪くびわにつなげたリードを引ひくことによって、動物どうぶつに飼かい主ぬしの意思いしを伝つたえる働はたらきがある。特とくに犬いぬにはそうした調教ちょうきょうが施ほどこされることが多おおい。動物どうぶつ愛護あいごの観点かんてんから、首輪くびわを強つよく引ひくことがペットに必要ひつよう以上いじょうの苦痛くつうを与あたえる可能かのう性せいが指摘してきされている。近年きんねんではボディハーネス(en)も普及ふきゅうし始はじめている。