夜よる

夜よる（よる）または夜間やかん（やかん）は、日没にちぼつから日ひの出でまでの時間じかんのことである。太陽たいようが地平線ちへいせんや水平すいへい線せんの向むこう側がわにある時とき間あいだ帯たいである。宵よい（よい）ともいう。反対はんたいに日ひの出でから次つぎの日没にちぼつまでの間あいだの時間じかんは昼ひる・昼間ひるまという。

夜よるの港みなと（フランス・オーレー）。

夜間やかん（イタリア・ナポリ湾わん）。

十じゅう二に時じ辰たつでは酉とり・戌いぬ・亥い・子こ・丑うし・寅とら（午後ごご5時じから午前ごぜん5時じ）が夜よる枠わくとなる。

神話しんわと伝承でんしょう

様々さまざまな神秘しんぴが起おきるとされる夜よる

世界せかいの創造そうぞうの神話しんわや伝説でんせつは天地てんちや日月じつげつの創造そうぞうに加くわえ、夜よるや昼ひるの創造そうぞうを伴ともなっている。

古代こだいインド

古代こだいインドの神話しんわでは、夜よるの女神めがみラートリー（Rātrī）は太陽たいようの母親ははおやであり、毎夜まいよのこと太陽たいようを身みごもって大切たいせつにはぐくみ出生しゅっしょうさせるが、太陽たいようが分娩ぶんべんされると同時どうじにラートリー（夜よる）は消きえなければならないので、彼女かのじょは自分じぶんの愛児あいじを自分じぶんの乳ちちを与あたえて育そだてることはできない。そこでその子こを代かわりに育そだてるのが、彼女かのじょの妹いもうとにあたる曙あけぼのの女神めがみウシャスであり、彼女かのじょはまた同時どうじに、闇やみの悪魔あくまたちに激はげしい攻撃こうげきを加くわえて西にしの果はてに追おい払はらい、世界せかいに夜明よあけをもたらす。

マオリ族ぞくの神話しんわ

マオリ族ぞくの神話しんわではヒネ・ヌイ・テ・ポが夜よるの女神めがみである。 天てんと地ちを分離ぶんりさせた森もりの神かみタネが、あるときのこと土どで女おんなを造つくり、生命せいめいを吹ふき込こんで自分じぶんの妻つまにし、ヒネ・イ・タウ・イラという娘むすめを産うませ、この娘むすめが成長せいちょうすると今度こんどは彼女かのじょを妻つまにした。だがタネが自分じぶんの父親ちちおやであることを知しると、彼女かのじょはその関係かんけいを恥はじて自殺じさつし、地下ちかの冥府めいふへ行いき、偉大いだいな夜よるの女神めがみヒネ・ヌイ・テ・ポになった。タネはヒネの死しを悲かなしんで彼女かのじょを追おい冥府めいふに行いき、彼女かのじょに一緒いっしょに地上ちじょうに帰かえるようもとめたが、ヒネはそれを断ことわり、「わたしはこのまま地下ちかにとどまり、タネが地上ちじょうで養やしなう子孫しそんの人間にんげんたちを、暗黒あんこくと死しへと引ひき下おろす」と宣言せんげんし、死しの女神めがみとなったという。

ギリシア神話しんわ

月つき明あかりに照てらされた夜景やけい

ギリシア神話しんわでは、夜よる Nyx ニュクスは、原初げんしょの時ときにカオスから生うまれた偉大いだいな女神めがみであり、その力ちからたるや神かみ々の王おうゼウスも恐おそれるほどである。ニュクスは自分じぶんの兄弟きょうだいにあたる地下ちかの闇やみ エレボスと結婚けっこんし、昼ひるの女神めがみHemera ヘメラを産うんだ。母ははニュクスと娘むすめヘメラは西にしの果はてにある夜よるの館かんに住すんでいるが、一方いっぽうが帰かえってくる時ときは他方たほうは館かんから出でてゆくので、二人ふたりはすれ違ちがうたびに挨拶あいさつはかわすものの一緒いっしょにいることはけっしてない。ニュクスには、エレボスの種たねによらず自分じぶんだけで産うんだ多おおくの子供こどもたちがおり、そのうちのひとりはどこにでもニュクスのお供ともとしてついてくる眠ねむりの神かみHypnosヒュプノスであり、その双子ふたごの兄弟きょうだいは死しの神かみタナトスで、二人ふたりは一緒いっしょに夜よるの館かんの隣となりに居きょを構かまえている。また、ニュクスの子こには、女神めがみエリスがおり、ヒュプノス・タナトスの妹いもうとにあたり、彼女かのじょから人間にんげんの死しと苦くるしみの原因げんいんとなるあらゆる災わざわいが生うまれることになった。

光ひかりの創造そうぞう("The Creation of Light")

聖書せいしょ

『創世そうせい記き』には以下いかのように記しるされている。

はじめに神かみは天てんと地ちを創造そうぞうされた。地ちは混沌こんとんとしており、闇やみが淵ふちのおもてにあり、神かみの霊れいが水みずのおもてをうごいていた。神かみは言いわれた。「光ひかりあれ」。かくして光ひかりがあった。神かみはその光ひかりを見みて、良いしとされた。神かみはその光ひかりと闇やみを分わけ、光ひかりを昼ひると呼よび、闇やみを夜よると呼よんだ。 — 『創世そうせい記き』第だい1章しょう 1-5

『ヨハネの黙示録もくしろく』では、夜よるは、闇やみと同おなじく神かみの救済きゅうさいが届とどかない、悪あくの支配しはい領域りょういきとされている。

西欧せいおうの伝承でんしょう

魔法まほうや魔術まじゅつは、夜間やかんにその力ちからが発揮はっきされると考かんがえられていることが多おおい。また吸血鬼きゅうけつきは夜よるに活動かつどうすると信しんじられているし、狼おおかみ男おとこは満月まんげつの夜よるに狼おおかみに変身へんしんするという伝承でんしょうがある。

日本にっぽん

「逢魔時おうまがとき」『今昔こんじゃく画図えず続ぞく百ひゃく鬼おに』：鳥山とりやま石燕せきえん

日本にっぽんでは昼ひると夜よるの境さかいである《たそがれ時じ》は神隠かみがくしなどの不思議ふしぎな出来事できごとのよく起おきる時刻じこくとされた。（《たそがれ》は「誰だれ（た）そ彼かれ」で、夕方ゆうがたうす暗くらくて人ひとの見分みわけのつかない時ときのことで、一方いっぽう《かわたれ》は「彼かれは誰だれ」で主しゅとして明あけ方がたの薄暗うすぐらい時ときを言いう）。このような物事ものごとの見分みわけがつかない時間じかんは、いわばこの世よと異こと界かいがまじわる時ときでもあったから、異こと界かいから神かみや魔物まものや妖怪ようかいが多おおく出現しゅつげんしたのである。

この時間じかん帯たいを「逢魔時おうまがとき（おうまがとき）」とも言いう。電灯でんとうなど無ない時代じだい、夜よるはまさに闇やみの世界せかいであり、人々ひとびとの家いえのすぐそばまで異こと界かいの境さかいは近ちかづいていたのである。「百鬼夜行ひゃっきやこう」という言葉ことばがあるように、夜よるはさまざまな魔物まものや妖怪ようかいが出没しゅつぼつする時とき間あいだ帯たいであったのである。『日本書紀にほんしょき』の伝説でんせつには、夜よるは神かみがつくり昼ひるは人ひとがつくった、とある。夜よるは神かみの世界せかいであったから、祭まつりや神事しんじの多おおくは、日没にちぼつからあかつきにかけて行おこなわれる。

時代じだいと夜よる

月明つきあかり

もともと人ひとというのは日ひの出でとともに起おき、日没にちぼつとともに寝ねるという、自然しぜんのリズムで生活せいかつすることが主おもであった。

ただし、夜よるは全まったく活動かつどうしなかったわけでもない。月つきが出でている夜よるは月明つきあかりのもと活動かつどうすることができた。 火ひを使つかうようになってからは、月つきが出でていない夜よるでも、夜よるの比較的ひかくてき早はやい段階だんかいでは一定いっていの活動かつどうがあったものと考かんがえられる。

昔むかしも今いまも、人ひとの性的せいてきな営いとなみは夜よるに行おこなわれることが多おおい。むしろ闇やみによって引ひき起おこされる活動かつどうもまたあったものと考かんがえられるのである。

灯火ともしびが発達はったつするにつれ、夜間やかんに明あかりをつけた下したで活動かつどうが行おこなわれるようになった。人ひとと人ひとのつながりが夜よるに結むすばれるようにもなった。イスラム教いすらむきょうのラマダーンの期間きかん中ちゅうは、昼間ひるまは断食だんじきが義務ぎむづけられていて静しずかで、夜間やかんに親族しんぞく・知人ちじんが会かいして食事しょくじをにぎやかにとる。西欧せいおうには「歴史れきしは夜よる作つくられる」との言葉ことばも生うまれた。

夜よるの地球ちきゅう(1994.10.1 - 1995.03.31)

世界せかい各国かっこくを見渡みわたせば、夜よるはやはり大半たいはんの人々ひとびとにとって自宅じたくで静しずかに過すごす時間じかん帯たいである。 （あくまで少数しょうすう派はにすぎないが）近きん・現代げんだい、しかも特とくに大都市だいとしなどでは、夜よるの前半ぜんはんには活発かっぱつに活動かつどうする人ひともいる。仕事しごとや学校がっこうを終おえた後のちに、遊あそぶ時間じかんに使つかっている人ひとも多おおい(このため、娯楽ごらく施設しせつなどは夜よるの料金りょうきんを昼間ひるまよりも高たかめに設定せっていしている場合ばあいがある)。だがそうした人ひとでも、夜よるも半なかばを過すぎると睡眠すいみんをとる時とき間あいだ帯たいとなる。

日本にっぽんなどではコンビニエンスストアなど24時じ間あいだ営業えいぎょうする店舗てんぽの数かずは近年きんねん増ふえたが、夜間やかんにこうした施設しせつで照度しょうどの高たかい照明しょうめいに身体しんたいがさらされることが体内たいない時計とけいを狂くるわせ、健康けんこうを害がいし精神せいしん的てきにも不安定ふあんていにさせる元凶げんきょうとなっているとしばしば指摘してきされている。何なに億おく年ねんという生命せいめいの歴史れきしによってもたらされた人ひとの体内たいない時計とけいは、夜よるは暗くらく昼ひるは明あかるいという自然しぜんな状態じょうたいにあって正常せいじょうに機能きのうするものなのである。

交通こうつう網もうが発達はったつしてからは、夜よるは昼ひるに比くらべて車くるまの通行つうこう量りょうや公共こうきょう交通こうつう機関きかんの利用りよう客きゃくが減少げんしょうすることから、道路どうろや線路せんろの保守ほしゅ工事こうじを夜間やかん(特とくに深夜しんや帯たい)に充あてているケースも多おおい。

青少年保護育成条例せいしょうねんほごいくせいじょうれいや風俗ふうぞく営業えいぎょう等とうの規制きせい及および業務ぎょうむの適正てきせい化か等とうに関かんする法律ほうりつ等ひとしにより、夜間やかんは青少年せいしょうねん（概おおむね18歳さい未満みまん）の理由りゆうのない単独たんどくの外出がいしゅつを原則げんそくとして禁止きんししているほか、映画えいが館かん・ボウリング場ば・カラオケボックス・ゲームセンター・インターネットカフェ・まんが喫茶きっさ等ひとしの娯楽ごらく施設しせつは青少年せいしょうねんの夜間やかんの立たち入いりが禁止きんしとなっている（都道府県とどうふけん・店舗てんぽ・時間じかん帯たいによっては、保護ほご者しゃ同伴どうはんでも立たち入いりを禁きんじられる場合ばあいもある）。

天文学てんもんがく的てきにみた夜よる

• 太陽光たいようこうと地軸ちじくによる夜よる時間じかんの変化へんか
• 
  夏至げし
• 
  冬至とうじ

地球ちきゅうは、地軸ちじくを軌道きどう面めんと垂直すいちょくな方向ほうこうから約やく23.4度ど傾かたむけて、太陽たいようの周まわりを自転じてんしながら公転こうてんしている。このため、太陽たいようは、天てんの赤道せきどうから約やく23.4度ど傾かたむいた黄道こうどう上うえを、1年としかけて一周いっしゅうするように見みえ、太陽たいようの赤あか緯ぬきが変化へんかする。これにより、ある地点ちてんでの夜よるの長ながさは1年ねん周期しゅうきで変化へんかする。夏至げしの頃ころには、北半球きたはんきゅうでは夜よるが最もっとも短みじかくなり、逆ぎゃくに南半球みなみはんきゅうでは最もっとも夜よるが長ながくなる。冬至とうじの頃ころにはこの逆ぎゃくになる。夜よると昼ひるの長ながさの変化へんかは高緯度こういど地域ちいきになるほど大おおきくなり、北緯ほくい66.6度ど以北いほく、南緯なんい66.6度ど以南いなんでは、太陽たいようが全まったく沈しずまず、一いち日にち中ちゅう昼ひるとなる白夜はくやと、太陽たいようが全まったく昇のぼらず、一いち日にち中ちゅう夜よるとなる極ごく夜よるが生しょうじる。北極ほっきょくや南極なんきょくに近ちかづくほど、白夜はくやや極きょく夜よるが続つづく期間きかんは長ながくなり、北極ほっきょくと南極なんきょくでは、1年ねんのうち半分はんぶんは夜よるが続つづき、残のこり半分はんぶんは昼ひるとなる。赤道せきどうでは、ほとんど昼夜ちゅうやの長ながさの変化へんかは生しょうじない。

星ほしの動うごき

日ひの出で、日ひの入いりの定義ていぎが、太陽たいようの中心ちゅうしんが地平線ちへいせんまたは水平すいへい線せんに重かさなった瞬間しゅんかんではなく、太陽たいようの上端じょうたんが地平線ちへいせんまたは水平すいへい線せんに重かさなった瞬間しゅんかんであること、さらに地平線ちへいせん、水平すいへい線せん付近ふきんでは大気たいきの影響えいきょうで太陽たいようが実際じっさいよりも上うえに見みえることから、春分しゅんぶん、秋分しゅうぶんの日ひでも、昼ひると夜よるは同おなじ長ながさにならず、夜よるが少すこし短みじかくなる。

太陽たいようが沈しずんだ後のち、または昇のぼってくる前まえに、まだ夜よるなのに空そらが明あかるく昼ひるに近ちかい状態じょうたいになることがある。これを薄明はくめいという。高緯度こういど地域ちいきでは、太陽たいようが地平線ちへいせんと浅あさい角度かくどをもって移動いどうするようにみえるため、低てい緯度いど地域ちいきに比くらべて薄明はくめいが長ながく続つづく。

夜よるになると、空そらには恒星こうせいや惑星わくせい、月つきなどが明あかるく輝かがやくようになる。昼ひるでも見みえる月つきなどごく一部いちぶの天体てんたいの観測かんそくや、流星りゅうせいの電波でんぱ観測かんそくなどを除のぞけば、天体てんたい観測かんそくはもっぱら夜よるに行おこなわれることになる。

夜空よぞらに浮うかびあがる天あまの川がわ

気象きしょうから見みた夜よる

夜明よあけ

気象きしょう面めんから見みれば、夜よるは何なにより太陽たいようが見みえない時間じかんである。太陽たいようは地表ちひょうの熱源ねつげんであるので、夜間やかんは気温きおんや地温ちおんが下さがる。気温きおんの低下ていかは太陽たいようが姿すがたを現あらわすまで続つづき、もっとも気温きおんが低ひくくなるのは夜明よあけ寸前すんぜんであり、この時ときに一いち日にちの最低さいてい気温きおんとなる。

気温きおんが下さがると空気くうきの飽和ほうわ水蒸気すいじょうき量りょうは低ひくくなるので、夜間やかんは相対そうたい的てきに湿度しつどが高たかくなる。露点ろてん以下いかとなれば水蒸気すいじょうきは凝結ぎょうけつして水みずとなる。暖あたたかい季き節ぶしであればこれは露ろの形かたちを取とり、冬ふゆには霜しもとなる。あるいは霧きりの形かたちを取とる場合ばあいもある。

また、地表ちひょうでは放射ほうしゃ冷却れいきゃくのために空気くうきより冷ひえやすい。そのため、地表ちひょう近ちかくの空気くうきの方ほうがより高たかいところの空気くうきより温度おんどの低下ていかが激はげしい。そのため地表ちひょう近ちかくが先さきに露点ろてんに達たっする。その結果けっか、山頂さんちょうから見み降おろした場合ばあい、谷間たにまに一いち面めんに雲くもができているのが見みえる場合ばあいがある。これを雲海うんかいという。なお、自動車じどうしゃなどのまわりに早はやく霜しもが付ついたりするのは、地面じめんよりさらに放射ほうしゃ冷却れいきゃくが激はげしいからである。

なお、晴天せいてんにより星ほしが見みえる状態じょうたいを星空ほしぞら（ほしぞら）という。また、月つきが出でている状態じょうたいを月夜つきよ（つきよ）といい、月つきは出でているが霞かすんでいる状態じょうたいを朧月夜おぼろづきよ（おぼろづきよ）という。

気象庁きしょうちょうの予報よほう用語ようご

気象庁きしょうちょうでは、混乱こんらんや誤解ごかいを避さけるため、天気てんき予報よほうなどで用もちいる用語ようごを定さだめている。府県ふけん天気てんき予報よほうの用語ようごでは、「夜よる」は日付ひづけが変かわる前まえの18時じから24時じのみを指さしている。日にち界かいをはさんで「夜よる」を用もちいた場合ばあい、たとえば21日にちの明あけ方がたに発表はっぴょうする気象きしょう情報じょうほうで「昨夜さくや（から）」を用もちいたときに、20日はつかの日ひの出でまでの夜よるを指さすのか、21日にちの日ひの出でまでの夜よるを指さすのかが不明ふめい確かくになるためである（気象庁きしょうちょうは「20日はつかの夜よる（から）」のように具体ぐたい的てきな日付ひづけを用もちいることを勧すすめている）。17時じ発表はっぴょうの天気てんき予報よほうでの「今夜こんや」は「発表はっぴょう時刻じこくから24時じまで」である。

1日にちを昼夜ちゅうやに二分にぶんする場合ばあい、「夜よる」という語かたりは18時じから翌日よくじつ6時じまでを指さして用もちいる。ただし予報よほう用語ようごとしては、対象たいしょうとする時間じかんが長ながいために単体たんたいでは用もちいないことが推奨すいしょうされている。広義こうぎの「夜よる」は3時じ間あいだごとに、「夜よるのはじめ頃ころ」（18時じから21時じ）、「夜よる遅おそく」（21時じから24時じ）、「未明みめい」（0時じから3時じ）、「明あけ方がた」（3時じから6時じ）に区分くぶんされる。

18時じから21時じについて、かつては予報よほう用語ようごとして「宵よいのうち」が用もちいられたが、「宵よい」がもっと遅おそい時間じかんを指さす理解りかいがあるとして、2007年ねんの用語ようご改正かいせいによって「夜よるのはじめ頃ごろ」に改あらためられた。「夜よる更ふけて」は「対象たいしょう時間じかんが不ふ明確めいかくな用語ようご」として、「夜半やはん」を含ふくむ表現ひょうげんは「日常にちじょう的てきに使つかわれることが少すくなくなっている用語ようご」として「用もちいない」とされている。

生物せいぶつと夜よる

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  夜よるに光ひかりを放はなつlampyris noctiluca
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  コウモリは夜行やこう性せい動物どうぶつの1つである

動物どうぶつの中なかには、夜よるに主おもに活動かつどうするものと、昼ひるに主おもに活動かつどうするものがいる。これをそれぞれ、夜行やこう性せい、昼ひる行ぎょう性せいという。ヒトは元々もともと昼ひる行ぎょう性せい動物どうぶつであるが、火ひを使用しようし、さらに電灯でんとうなどを用もちいるようになり、現在げんざいでは昼夜ちゅうやを問とわず活発かっぱつに活動かつどうしているが、基本きほん的てきには昼ひる行ぎょう性せいは維持いじされていると見みて良よい。

植物しょくぶつは光合成こうごうせいで生活せいかつしているから、基本きほん的てきには昼間ひるまに活動かつどうするものと考かんがえられ、中なかには夜間やかんは葉はを閉とじるものもある。ネムノキなどが有名ゆうめいで、このような葉はの動うごきを就眠しゅうみん運動うんどうという。花はなにも夜間やかんは閉とじるものが多おおい。これは傾かたぶけ性せいによる。しかし、中なかには夜間やかんに花はなを開ひらくものがある。これらは、夜行やこう性せいの動物どうぶつを花粉かふん媒介ばいかいに利用りようするものと考かんがえられる。

植物しょくぶつは、昼ひるは光合成こうごうせいと呼吸こきゅうをしているが、夜よるになると動物どうぶつと同おなじように呼吸こきゅうのみをするようになる。そのため、夜よるになると、昼ひるに比くらべて大気たいき中なかの酸素さんそ濃度のうどはわずかに減少げんしょうし、二酸化炭素にさんかたんそ濃度のうどは増加ぞうかする。野外やがいにおいてはこの差さはそれほど大おおきいものではないが、アクアリウムのようなほぼ閉とじた環境かんきょうでは、影響えいきょうも大おおきい。

暖地だんちの砂漠さばくでは、夜行やこう性せいの動物どうぶつが圧倒的あっとうてきに多おおい。昼間ひるまは活動かつどうするには過酷かこくだからである。植物しょくぶつにおいては、光合成こうごうせいは当然とうぜん昼間ひるまに行おこなわなければならないが、その時ときに気孔きこうを開あけては水分すいぶんが放出ほうしゅつされてしまう。そのため夜間やかんに二酸化炭素にさんかたんそを取とり込こむCAM型がた光合成こうごうせいをおこなうものが知しられる。

文化ぶんか

ゴッホの『星月夜ほしづきよ』
(ニューヨーク近代きんだい美術館びじゅつかん所蔵しょぞう)

英語えいご

Eveningという字じは、古こ英語えいごで夜よるを意味いみする æfen（「均等きんとうにする」の古こ英語えいご efen と違ちがうことに注意ちゅうい）から来きている。それが「夜よるに向むかう」という進行しんこう形がたで æfnungとなり、現在げんざいのEveningとなった。その途中とちゅうで、夜よるを Even としていたのが、nが何なにかしらの理由りゆうで抜ぬけて、現在げんざいのクリスマス・イブやニューイヤー・イブのイブとなった。

日本にっぽんの古来こらいの夜よるの時刻じこくの呼よび名な

十じゅう二に時じ辰たつの鐘かねの数かずによる呼よび名なでは、暮くれ六むつから明あけ六むつまでの夜よる間あいだを6等分とうぶんし、暮くれ六むつ、夜よる五いつつまたは宵よい五いつつ、夜よる四よっつ、夜よる九ここのつまたは暁あかつき九ここのつ（真夜中まよなか）、夜よる八やっつまたは暁あかつき八やっつ、暁あかつき七ななつ、明あけ六むつと呼よぶ。ここで真夜中まよなかから夜明よあけ前まえまで「暁あかつき」と呼よぶのは、現代げんだい語ごの「暁あかつき」は「夜明よあけ」「明あけ方がた」（太陽たいようは出でていないが、空そらが明あかるくなり出だしている状態じょうたい）を指さすが、古語こごでは「未明みめい」（空そらが明あかるくなる前まえの状態じょうたい）を表あらわすためである。

また、それとは別べつに夜間やかん専用せんようの時刻じこくの呼よび方かたとして、更さら点てん法ほうというものもあった。これは日暮ひぐれを一いち更さら（初更しょこう）とし、二に更さら、三更さんこう、四よん更さら、そして夜明よあけ前まえの五更ごこうと5等分とうぶんし、一ひとつの更さらはさらに一いち点てん（初はつ点てん）から五ご点てんまで5等分とうぶんされ、夜明よあけは五更ごこう五ご点てんとなるというものである。漢字かんじ「更さら」は中国ちゅうごくにおいて更さら夫おっと（夜番よばん）が更さら代だいする意味いみから、夜間やかんの時刻じこくの呼称こしょうに用もちいられるようになった。「更さら」がそこからさらに転てんじて「夜よるがふける」の意味いみに用もちいられるようになったのは日本にっぽん独自どくじの用法ようほうである。

音楽おんがく

夜よるをテーマとした個々ここの楽曲がっきょくは枚挙まいきょに暇ひまがない。形式けいしきとして夜よるを意識いしきしたものには以下いかのようなものがある。

• 夜想曲やそうきょく（ノクターン）
• 小夜曲さよきょく（セレナーデ）
  • アイネ・クライネ・ナハトムジーク - モーツァルト作曲さっきょくのセレナーデ、かつては小夜曲さよきょくと直訳ちょくやくされたが、小夜曲さよきょくがセレナーデの訳わけとして定着ていちゃくしたため区別くべつされる。セレナーデ自体じたいは、ラテン語らてんごで「穏おだやかな」を意味いみする serenus を語源ごげんとする。
• 夜よるの音楽おんがく（バルトーク・ベーラを参照さんしょう）

「夜よる」を題名だいめいとする作品さくひん

• 夜よる (フルート協奏曲きょうそうきょく) - アントニオ・ヴィヴァルディの楽曲がっきょく
• 夜よる (映画えいが)

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 朝あさ
• 昼ひる
• 夕方ゆうがた
• 闇やみ
• 夜景やけい
• 百鬼夜行ひゃっきやこう
• 白夜はくや