高倉たかくら下か

凡例はんれい高倉たかくら下命かめい
時代じだい	弥生やよい時代じだい、上古じょうこ
生誕せいたん	不ふ詳しょう
死没しぼつ	不ふ詳しょう
別名べつめい	手栗てぐり彦命
主君しゅくん	神武じんむ天皇てんのう
氏族しぞく	尾張おわり連れん（尾張おわり国造くにのみやつこ）祖そ
父母ちちはは	父ちち：天火てんか明あかり命いのちあるいは饒にょう速そく日び命いのち、母はは：天道てんとう日び女おんな命いのち
妻つま	穂ほ屋や媛ひめ命いのち
子こ	天てん村雲むらくも命いのち
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高倉たかくら下か（たかくらじ、生なま没年ぼつねん不ふ詳しょう）は、古代こだい日本にっぽんの人物じんぶつで尾張おわり連れんの遠祖えんそ。夢ゆめで見みた神託しんたくにより、神武じんむ天皇てんのうに霊剣れいけん布ぬの都と御ご魂たましいをもたらした。

神話しんわの記述きじゅつ

記紀きき

『古事記こじき』、『日本書紀にほんしょき』によれば、神武じんむ天皇てんのうとその軍ぐんは東征とうせい中ちゅう、熊野くまので熊くままたは悪神あくじんの毒気どくけにより倒たおれた。しかし、高倉たかくら下かが剣けんをもたらすと覚醒かくせいしたという。高倉たかくら下かがこの剣けんを入手にゅうしゅした経緯けいいは次つぎのようなものである。高倉たかくら下かの夢ゆめの中なかで、天照大御神あまてらすおおみかみと高木たかぎ神かみが、葦原よしわら中国ちゅうごくが騒さわがしいので建たて御ご雷神らいじんを遣つかわそうとしたところ、建たて御ご雷神らいじんは「自分じぶんがいかなくとも、国くにを平定へいていした剣けんがあるのでそれを降くだせばよい」と述のべ、高倉たかくら下かに「この剣けんを高倉たかくら下かの倉くらに落おとし入いれることにしよう。お前まえは朝あさ目覚めざめたら、天津てんしん神しんの御子みこに献上けんじょうしろ」と言いった。そこで高倉たかくら下かが目覚めざめて倉くらを調しらべたところ、はたして本当ほんとうに倉くらの中なかに剣けんが置おいてあったため、それを献上けんじょうしたのである。この剣けんは佐さ士し布ぬの都と神かみといい、甕う布ぬの都と神かみとも布ぬの都と御ご魂たましいともいい、石上いしがみ神宮じんぐうに祀まつられている。

先代せんだい旧きゅう事こと本紀ほんぎ

『先代せんだい旧きゅう事こと本紀ほんぎ』巻まき5天孫てんそん本紀ほんぎでは、物部ものべ氏しの祖神そしんである饒にょう速そく日び命いのちの子こで尾張おわり連れんらの祖そ天香てんこう語ご山やま命いのち（彌彦やひこ神社じんじゃの御ご祭神さいじん）の割わり註に「天降あまくだり以後いごの名なは手栗てぐり彦命または高倉たかくら下命かめいである」としている。その後ご『日本書紀にほんしょき』と同様どうようの内容ないようが記述きじゅつされる。

系図けいず史料しりょうの記述きじゅつ

海部かいふ氏し勘かん注ちゅう系図けいず

『海部かいふ氏し系図けいず』の「勘かん注ちゅう系図けいず」においては、始祖しそ彦火明あかり命いのちの児こ天香てんこう語ご山やま命いのちの註に、大屋おおや津つ比ひ賣うり命いのちを娶めとり高倉たかくら下かを生うんだと記述きじゅつされている。始祖しその孫まご（天香てんこう語ご山やま命いのちの子こにあたる）天てん村雲むらくも命いのちの弟おとうととして、“弟おとうと熊野くまの高だか倉下くらした　母はは大屋おおや津つ比ひ賣うり命いのち”と表記ひょうきされている。

解説かいせつ

「高倉たかくら下か」という名前なまえは「高たかい倉くらの主あるじ」の意いである。

布ぬの都と御ご魂たましいが祀まつられている石上いしがみ神宮じんぐうは、物部ものべ氏しに関係かんけいの深ふかい神社じんじゃである。

神倉かみくら神社じんじゃ及および熊野くまの速玉はやたま大社たいしゃの神倉かみくら宮みやに祀まつられているほか、三重みえ県けん伊賀いが市し（旧きゅう上野うえの市し）西高倉にしたかくらの高倉たかくら神社じんじゃなどに祀まつられている。

高倉たかくら神社じんじゃ（三重みえ県けん伊賀いが市し）は高倉たかくら下命かめいの七なな代だいの後のちの子孫しそんである倭やまと得とく玉だま彦命がこの地ちに移うつり住すんで高倉たかくら下命かめいを祖神そしんとして祭祀さいしした事ことを起源きげんとする社しゃである。

なお、高倉たかくら下命かめいはしばしば天香てんこう語ご山やま命いのちと同一どういつ神しんであると解釈かいしゃくされるが、粟田あわた寛ひろしは『国造くにのみやつこ本紀ほんぎ考こう』（明治めいじ36年ねん）38ページで天香てんこう語ご山やま命いのちが高倉たかくら下命かめいとは信しんじられないとする。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]