2ちゃんねる用語ようご

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2ちゃんねる用語ようご（にちゃんねるようご）とは、インターネットスラングの一種いっしゅ。インターネットスラングのうち、巨大きょだいネット掲示板けいじばん群ぐんである2ちゃんねる（現げん・5ちゃんねる）内ないなどで発祥はっしょうし、同どう掲示板けいじばん内ないにおいて頻繁ひんぱんに使用しようされるに至いたったものの一いち群ぐんである。略りゃくして「2ちゃん語ご」と呼よばれることもある^[1]。

もっぱら2ちゃんねらー同士どうしの“業界ぎょうかい用語ようご”的てきな隠語いんごとして使用しようされていた。

概説がいせつ

2ちゃんねる内うちにおける共通きょうつう理解りかい語ごとして多おおくのユーザー（2ちゃんねらー）に認知にんちされ、2ちゃんねる内うちで広ひろく流布るふするに至いたった用語ようごが2ちゃんねる用語ようごとして確立かくりつする。 2ちゃんねる用語ようごは「2典てん」（および後継こうけいの「2典てんPlus」。2014年ねんに閉鎖へいさ。）に登録とうろくされ、用例ようれいのほとんど無なくなった死語しごも掲載けいさいされていたものの、3000語ごほどが登録とうろくされていた。

2ちゃんねる用語ようごとされるものの中なかには「あやしいわーるど」や「あめぞう」といった他所よそのウェブサイトで流行りゅうこうしている用語ようごをそのまま借用しゃくようしていたり、パソコン通信つうしん時代じだいから引ひき継つがれた事例じれいも少すくなくない。一般いっぱんの流行りゅうこう語ごよりも遙はるかに偶発ぐうはつ的てきな発生はっせいの仕方しかたをすることが多おおく、すぐに死語しごと化かした言葉ことばも多おおい。

あくまでも隠語いんごと考かんがえられ、2ちゃんねる外そとで2ちゃんねる用語ようごを使用しようする行為こういは2ちゃんねるユーザー自身じしんからも嫌きらわれる傾向けいこうにある^[2]。2ちゃんねる内部ないぶでのコミュニケーションのあり方かたは、法学ほうがく者しゃの白田しろた秀しげる彰あきら・社会しゃかい学者がくしゃの北田きただ暁あきら大だい・鈴木すずき謙介けんすけなど複数ふくすうの論者ろんしゃから儀礼ぎれい的てき・形式けいしき主義しゅぎ的てきなものであると指摘してきされ^{[注ちゅう 1]}、2ちゃんねる用語ようごという独特どくとくの隠語いんごの使用しようはそれをよく表あらわしたものと論ろんじられる^[6]。

特定とくていのコミュニティにおいて内部ないぶでのみ通用つうようしうる独特どくとくのコミュニケーション様式ようしきを採用さいようすることによって、自身じしんがその共同きょうどう体たいに帰属きぞくすることを確認かくにんしあうという現象げんしょうは2ちゃんねるに限かぎらず頻繁ひんぱんに見受みうけられるもので、例たとえば思春期ししゅんき前後ぜんごの少女しょうじょが年長ねんちょう者しゃには判読はんどくしがたい丸まる文字もじ・ギャル文字もじといった特殊とくしゅ文字もじを使用しようすることと構造こうぞう的てきには同おなじといえる^[7]。

2010年代ねんだいになると、2ちゃんねる用語ようごやそれに類るいする用語ようごの使用しようがインターネットのマスメディアでも見みられるようになった^[8]。2017年ねんには2ちゃんねるの「なんでも実況じっきょうJ板いた」で2008年ねんごろに発祥はっしょうした「ンゴ」（語尾ごびに用もちいる）が女子大じょしだい生せいを中心ちゅうしんに流行りゅうこう語ごになった^[9]。なお、用法ようほうとしてはドミンゴ・グスマン選手せんしゅを揶揄やゆする語源ごげんから考かんがえられるものから大おおきく逸はぐれ、単たんに語尾ごびの響ひびきが面白おもしろいということで使つかわれていると見みられ、このような流行りゅうこうについても2ちゃんねらー（広ひろめた張本人ちょうほんにん達たちの「なんでも実況じっきょうJ板いた」のユーザーは特とくに「なんJ民みん」と呼よばれる）は反発はんぱつする向むきが強つよい^[10]。

2ちゃんねる用語ようごの分類ぶんるい

評論ひょうろん家かの鈴木すずき淳史あつしは、2ちゃんねる用語ようごを以下いかの4つに分類ぶんるいしている^[11]。

当あて字じ: 「空気くうき読よめ」を「空気くうき嫁よめ」と表記ひょうきするように、誤あやま変換へんかんした単語たんごをそのまま修正しゅうせいせずに使用しようするものや、「雰囲気ふんいき」を「ふいんき（←なぜか変換へんかんできない）」と表記ひょうきするように、誤解ごかいに基もとづく表記ひょうきをあえて使用しようするもの。後者こうしゃのケースは、「雰囲気ふんいき（ふんいき）」のことを「ふいんき」と誤あやまって覚おぼえていた者ものの書かき込こみが面白おもしろ半分はんぶんに模倣もほうされて拡散かくさんした例れいである。
促音そくおんと長音ちょうおんの法則ほうそく: 「まったり」を「マターリ」のように表記ひょうきするもの。すなわち、元もとの単語たんごの促音そくおん（「っ」「ッ」）を消去しょうきょし、代かわりに元もとの位置いちの一文字ひともじ後ごのところに長音ちょうおん（「ー」）を配置はいちさせる。場ばに弛緩しかんした雰囲気ふんいきを形成けいせいする効果こうかがある。
類似るいじしたカナの使用しよう: 「ン」と「ソ」、「シ」と「ツ」のように、視覚しかく的てきに類似るいじした別べつの文字もじを代用だいようとして使用しようする。例たとえば魅力みりょくを感かんじるキャラクターなどに使つかう接尾せつび語ごの「〜タン」を「〜タソ」と表記ひょうきするなどの例れいがある。
省略しょうりゃく: 「無理むりっぽい」を「無理むりぽ」と表記ひょうきするように一部いちぶを省略しょうりゃくするもの。他ほかにも命令めいれい文ぶんにおいて「寝ねろ」を「寝ねれ」、「食たべろ」を「食たべれ」のように表記ひょうきする例れいがあるが、これらは日本語にほんごの動詞どうしでの命令めいれい形がたの文法ぶんぽう規則きそくにおいて、本来ほんらいであれば上うえ一いち段だん活用かつようや下した一いち段だん活用かつようのルールを適用てきようすべき場合ばあいであるにもかかわらずすべて五ご段だん活用かつようの規則きそくで代用だいようしてしまうという省略しょうりゃくが行おこなわれると解釈かいしゃくすることができる。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

^ 北田きただは「つながりの社会しゃかい性せい」^[3]、鈴木すずきは「ネタ的てきコミュニケーション」^[4]^[5]と表現ひょうげんしている。

出典しゅってん

^ 秋月あきづき高太郎たかたろう『日本語にほんごヴィジュアル系けい ―あたらしいにほんごのかきかた』角川かどかわグループパブリッシング、2009年ねん、37頁ぺーじ。ISBN 978-4047101586。
^ 鈴木すずき淳史あつし『「電車でんしゃ男おとこ」は誰だれなのか―“ネタ化か”するコミュニケーション』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ、2005年ねん、135頁ぺーじ。ISBN 978-4120036064。
^ 北田きただ暁あきら大だい『嗤う日本にっぽんの「ナショナリズム」』日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい、2005年ねん、203-208頁ぺーじ。ISBN 978-4140910245。
^ 鈴木すずき謙介けんすけ『暴走ぼうそうするインターネット―ネット社会しゃかいに何なにが起おきているか』イーストプレス、2002年ねん、211頁ぺーじ。ISBN 978-4872573022。
^ 「インターネットにおける私的してき領域りょういきについて」『ised 情報じょうほう社会しゃかいの倫理りんりと設計せっけい倫理りんり篇へん』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2010年ねん、213頁ぺーじ。ISBN 978-4309244426。
^ 白田しろた秀しげる彰あきら『インターネットの法ほうと慣習かんしゅう　かなり奇妙きみょうな法学ほうがく入門にゅうもん』ソフトバンククリエイティブ、2006年ねん、134-135頁ぺーじ。ISBN 978-4797334678。
^ 濱野はまの智史さとし『アーキテクチャの生態せいたい系けい――情報じょうほう環境かんきょうはいかに設計せっけいされてきたか』エヌ・ティ・ティ出版しゅっぱん、2008年ねん、100-101頁ぺーじ。ISBN 978-4757102453。
^ 「新聞しんぶん社しゃニュースサイトタイトルの2ちゃんねる化かが激はげしい」『web R25』Yahoo! JAPAN、2011年ねん3月がつ1日にち。2014年ねん9月がつ1日にち閲覧えつらん。
^ “女子大じょしだい生せいの間あいだで流行りゅうこう中ちゅう？なんJ発はつ「ンゴ」の意味いみと使つかい方かた”. ねとらぼ. 2020年ねん4月がつ29日にち閲覧えつらん。
^ “「ンゴ」が流行りゅうこう語ご大賞たいしょうになる可能かのう性せいが...？なんJ語ごブーム拡大かくだい、大学生だいがくせい「使つかうンゴ」”. J-CAST ニュース (2017年ねん9月がつ9日にち). 2020年ねん4月がつ29日にち閲覧えつらん。
^ 『「電車でんしゃ男おとこ」は誰だれなのか―“ネタ化か”するコミュニケーション』18-26頁ぺーじ。