EP-4

EP-4（イーピー・フォー）は、日本にっぽんのニュー・ウェイヴ音楽おんがくユニットである。

EP-4
出身しゅっしん地ち	日本にっぽん 京都きょうと府ふ
ジャンル	ニュー・ウェイヴ、ファンク
活動かつどう期間きかん	1980年ねん -
レーベル	日本にほんコロムビア
メンバー	佐藤さとう薫かおる 川島かわしま裕二ゆうじ 佐久間さくまコウ ユン・ツボタジ
旧きゅうメンバー	鈴木すずき創はじめ士し 好機こうきタツオ 三条さんじょう通どおり

1980年代ねんだいの結成けっせい当時とうじは京都きょうと市しに本拠ほんきょを構かまえ、カセットテープやレコードを発表はっぴょう。エキセントリックかつゲリラ的てきな戦略せんりゃくで、自主じしゅ制作せいさく音楽おんがく業界ぎょうかいの話題わだいの中心ちゅうしんに存在そんざいした。

歴史れきし

京都きょうと市内しないにあったニュー・ウェイヴ系けいディスコ「クラブ・モダーン」に集あつまっていた佐藤さとう薫かおるを中心ちゅうしんとするメンバーによって、1980年ねんに結成けっせいされた。佐藤さとう薫かおる自身じしんのインディーズレーベル「Skating Pears」、写真しゃしん家かの地引じびき雄一ゆういちが主催しゅさいする東京とうきょうのインディーズレーベル「テレグラフ」や、出版しゅっぱん社しゃのペヨトル工房こうぼうから音源おんげんをリリースしていた。

佐藤さとう薫かおるはEP-4としての活動かつどうと並行へいこうして、山崎やまざき春美はるみの前衛ぜんえい的てきロックバンド「TACO」にも参加さんか。TACOのセカンド・アルバムの参加さんかメンバーは佐藤さとう薫かおるを含ふくめて山崎やまざき春美はるみ、大里おおさと俊晴としはる、野々村ののむら文宏ふみひろの4名めいのみで、EP-4の別べつユニットとしての側面そくめんも強つよい。

1983年ねん、アルバム『リンガ・フランカ-1 昭和しょうわ大赦たいしゃ』をリリース（詳細しょうさいは後述こうじゅつ）。

1980年代ねんだいには高たかい音楽おんがく性せいと独自どくじのセルフプロモーションで「謎なぞのバンド」として話題わだいを呼よんだが、1990年代ねんだいにはリーダーの佐藤さとう薫かおるが表おもて舞台ぶたいから退しりぞいていたため、バンド活動かつどうは停止ていししていた。

2012年ねん、30年ねんぶりにEP-4としてバンド編成へんせいでの活動かつどうを再開さいかいし「5・21」ライブを行おこなった。

音楽おんがくスタイルと影響えいきょう

毛利もうり嘉孝よしたかは、EP-4の音楽おんがくを「ファンクとはいえあくまで都会とかい的てきで無機質むきしつな冷つめたさを保たもったもの」と評ひょうしている。また、「実験じっけん的てきなインダストリアル・ノイズ系けいバンドの影響えいきょうが、ダンスミュージック以上いじょうに色濃いろこい」と指摘してきしている。

音楽おんがく以上いじょうに「その独自どくじのメディア戦略せんりゃく」に注目ちゅうもくする毛利もうりは、EP-4を有名ゆうめいにした事柄ことがらとして1983年ねん5月がつ21日にちのプロジェクトを挙あげている。その日ひはEP-4のアルバムの発売はつばいが予定よていされており、題名だいめいなどは伏ふせられたまま、ゲリラ的てきな宣伝せんでん活動かつどうとして「EP-4 5・21」とだけ書かかれた6万まん枚まいのステッカーを街中まちじゅうの至いたる場所ばしょに貼はったため、テロの予告よこくや政治せいじ集会しゅうかいかと誤解ごかいされ注目ちゅうもくを集あつめた。5月21日にち、EP-4は京都きょうと、名古屋なごや、東京とうきょう（渋谷しぶや）の3か所しょでライブを行おこなった。このプロジェクトについて、毛利もうりは「日本にっぽんにおける数少かずすくないシチュアシオニスト（状況じょうきょう主義しゅぎ者しゃ）的てき実践じっせんと呼よべるかもしれない」と述のべている。

しかし同日どうじつに発売はつばいを予定よていしていたアルバムの発売はつばいは延期えんきされた。インディーズではなくメジャーレーベルの日本にほんコロムビアから発売はつばいされたため、『昭和しょうわ崩御ほうぎょ』というアルバムタイトルが、レコード制作せいさく基準きじゅん管理かんり委員いいん会かい（通称つうしょう「レコ倫りん」）の規定きていに抵触ていしょくしたためだと言いわれる。同どうアルバムはその後ご、ジャケットを軍鶏しゃもの写真しゃしんから、予備校よびこう生せい金属きんぞくバット両親りょうしん殺人さつじん事件じけんが起おきた家いえの写真しゃしん（藤原ふじわら新也しんやの写真しゃしん集しゅう『東京とうきょう漂流ひょうりゅう』に掲載けいさいされたもの）へと差さし替かえた上うえで『リンガ・フランカ-1 昭和しょうわ大赦たいしゃ』の題名だいめいで発売はつばいされた。

1980年代ねんだいには、昭和しょうわ天皇てんのう崩御ほうぎょがいわゆる「Xデー」として取とり沙汰ざたされていたため、あえて皇室こうしつタブーに踏ふみ込こんだところ、レコ倫りんによる表現ひょうげんの自主じしゅ規制きせいに抵触ていしょくしたものである。なお、EP-4の楽曲がっきょくの歌詞かしなどがとりわけ政治せいじ的てきなイデオロギー性せいが強つよいわけではなく、一種いっしゅの「話題わだい作づくり」であった。

1980年代ねんだいの日本にっぽんのインディーズにはこうした傾向けいこうが一定いってい存在そんざいし、同おなじ関西かんさいを拠点きょてんとしていたニュー・ウェイヴ音楽おんがくユニットである4-D（フォーディー）の小西こにし健司けんじは、天皇てんのう制せいや「Xデー」についてもっと直接的ちょくせつてきに楽曲がっきょくやライブパフォーマンスで取とり上あげていた。

一方いっぽうで、1980年代ねんだい当時とうじの日本にっぽん社会しゃかいでは犯罪はんざい報道ほうどうのあり方かたが21世紀せいきと大おおきくかけ離はなれており、殺人さつじん事件じけんの現場げんばとなった個人こじん宅たく（家族かぞく間あいだの事件じけんなので被害ひがい者しゃ宅たくでもある）を撮影さつえいして公開こうかいしたり、その写真しゃしんを報道ほうどう目的もくてきを超こえて「作品さくひん」として扱あつかい、アルバムジャケットに使つかうことに対たいする規制きせいや忌避きひ感かんは現代げんだいと比くらべてはるかに緩ゆるかった。

なお、1993年ねんにペヨトル工房こうぼうから書籍しょせき扱あつかいで発売はつばいされた復刻ふっこく盤ばんでは、オリジナルジャケットの軍鶏しゃもの写真しゃしんが用もちいられている。

メンバー

• 佐藤さとう薫かおる - ボーカル
• 川島かわしま裕二ゆうじ（川島かわしまバナナ）- キーボード
• 佐久間さくまコウ - ベース
• ユン・ツボタジ - パーカッション

旧きゅうメンバー

• 鈴木すずき創はじめ士し - キーボード
• 好機こうきタツオ - ギター
• 三条さんじょう通とおる - ドラム

ディスコグラフィー

カセット・ブック

• 制服せいふく・肉体にくたい・複製ふくせい（1983年ねん、ペヨトル工房こうぼう）

スタジオ・アルバム

• リンガ・フランカ-1 昭和しょうわ大赦たいしゃ（1983年ねん、日本にほんコロムビア）
• リンガ・フランカ-X 昭和しょうわ崩御ほうぎょ（1984年ねん、ペヨトル工房こうぼう）
• Found Tapes（2010年ねん、SUPER FUJI DISCS）
• リ・ン・ガ・フ・ラ・ン・カ DELUXE（2011年ねん、ディスクユニオン）

『リンガ・フランカ-1 昭和しょうわ大赦たいしゃ』『リンガ・フランカ-X 昭和しょうわ崩御ほうぎょ』にボーナス・トラックを追加ついかしてCD化かした、佐藤さとう薫かおる監修かんしゅうによるデラックス・エディション。

ライブ・アルバム

• Multilevel Holarchy（1983年ねん、Skating Pears/テレグラフ）

ジャケットデザインは祖父江そふえ慎まこと。2010年ねんにCD化か。

• A Artaud（2013年ねん、BLACK SMOKER）
• OBLIQUES（φふぁいonon）

関連かんれん項目こうもく

• リンガフランカ（言語げんご学がく用語ようご）
• 川島かわしま裕二ゆうじ

外部がいぶリンク

• EP-4 Official
• EP-4 - Discogs（英語えいご）