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ESCRT - Wikipedia

ESCRT(endosomal sorting complexes required for transport)は細胞さいぼうしつタンパク質たんぱくしつふく合体がったいで、ESCRT-0、ESCRT-I、ESCRT-II、ESCRT-IIIという種類しゅるい存在そんざいする。これらのESCRTふく合体がったいは、補助ほじょタンパク質たんぱくしつとともに独特どくとく形式けいしき細胞さいぼうまくのリモデリングをおこない、まく屈曲くっきょくさせたりはなしたりする[1][2]酵母こうぼやヒトをふくおおくの生物せいぶつで、ESCRTの構成こうせい要素ようそたんはなれ研究けんきゅうおこなわれている[3]

ESCRTは、胞体(multivesicular body)のなま合成ごうせい細胞さいぼうしつ分裂ぶんれつウイルス出芽しゅつがなど、多数たすう細胞さいぼう過程かてい重要じゅうよう役割やくわりたす。胞体のなま合成ごうせいとは、ユビキチンでタグけされたタンパク質たんぱくしつしょう形成けいせいかいしてエンドソームばれる細胞さいぼうしょう器官きかんはい過程かていである。この過程かていは、あやまったフォールディングをしたタンパク質たんぱくしつ損傷そんしょうしたタンパク質たんぱくしつ破壊はかいするために必須ひっす過程かていである[4]。ESCRTがなければこれらのタンパク質たんぱくしつ蓄積ちくせきし、神経しんけい変性へんせい疾患しっかんこされる。たとえば、ESCRT-IIIの構成こうせい要素ようそ異常いじょう遺伝いでんせい痙性たい麻痺まひ英語えいごばんなどの神経しんけい疾患しっかんこす可能かのうせいがある[5]細胞さいぼうのabscission(切断せつだん分離ぶんり)はまく連結れんけつされている2つのむすめ細胞さいぼうはな過程かていであり、これもESCRTによって媒介ばいかいされる。ESCRTがなければむすめ細胞さいぼう分離ぶんりすることができず、2倍量ばいりょうDNAふく異常いじょう細胞さいぼう形成けいせいされる。このような細胞さいぼうアポトーシスによって破壊はかいされる。最後さいごに、ウイルスの出芽しゅつが特定とくていのタイプのウイルスが細胞さいぼう過程かていであり、ESCRTがなければこらない。その結果けっか、ウイルスは細胞さいぼうから細胞さいぼう拡散かくさんすることができなくなる。

胞体のなま合成ごうせいのシャトリング

編集へんしゅう
 
ESCRTを利用りようした、まく結合けつごうタンパク質たんぱくしつのリソソームへの輸送ゆそうまく結合けつごうタンパク質たんぱくしつエンドサイトーシスによって細胞さいぼうないまれる。タンパク質たんぱくしつのユビキチンタグがESCRTによって認識にんしきされ、エンドソームへリクルートされる。胞体が形成けいせいされ、タンパク質たんぱくしつ分解ぶんかいおこなわれるリソソームと融合ゆうごうする[1]

胞体は、ユビキチンされたタンパク質たんぱくしつ受容じゅようたいのリソソームへの輸送ゆそうおおきな役割やくわりたす[6]。ESCRTふく合体がったいは、ユビキチンされたをエンドソーム区画くかくない直接ちょくせつ出芽しゅつがするしょう胞へ運搬うんぱんし、胞体を形成けいせいする[6]最終さいしゅうてき胞体はリソソームと融合ゆうごうし、分解ぶんかいこす[7]。より詳細しょうさい過程かていつぎのようになる。

  1. ESCRT-0ふく合体がったい構成こうせい要素ようそであるVps27とHse1がユビキチンされた結合けつごうする[1][6]
  2. Vps27がエンドソームの脂質ししつホスファチジルイノシトール-3-リンさん結合けつごうし、ふく合体がったい全体ぜんたいがエンドソームへリクルートされる[1][6]
  3. Vps27がESCRT-IのVps23サブユニットに結合けつごうし、ESCRT-Iがエンドソームへもたらされる。ESCRT-Iはユビキチンされたタンパク質たんぱくしつにも結合けつごうする[1][6]
  4. Vps36がESCRT-IのサブユニットVps28に結合けつごうし、ESCRT-IIふく合体がったいがリクルートされる[1]
  5. ESCRT-IIのVps25サブユニットがESCRT-IIIふく合体がったいのVps20に結合けつごうし、活性かっせいする[1][6][7]
  6. Vps20がSnf7多量たりょうたいくさり形成けいせいかくとなり、そのVps24によってキャップされる[7]
  7. Vps24がVps2をリクルートし、Vps4がふく合体がったいへもたらされる[7]
  8. Vps4は、Vta1の結合けつごうともなって2つのろくりょうからだリングからなるポアを形成けいせいする[1]。Vps4-Vta1ふく合体がったいは、ESCRT-IIIの解体かいたい開始かいしし、胞体形成けいせい終結しゅうけつしるしとなる[2]

ESCRTふく合体がったい補助ほじょタンパク質たんぱくしつ

編集へんしゅう
 
ESCRTと補助ほじょタンパク質たんぱくしつ概要がいよう[3][5]

かくESCRTふく合体がったい補助ほじょタンパク質たんぱくしつは、ことなる生化学せいかがくてき機能きのう可能かのうにする独特どくとく構造こうぞうっている。ESCRTを構成こうせいするかくタンパク質たんぱくしつには、酵母こうぼ後生ごしょう動物どうぶつ双方そうほう多数たすうシノニム存在そんざいする。これらのタンパク質たんぱくしつをすべてまとめたひょうみぎしめされている。

酵母こうぼでは、つぎげるふく合体がったいまたは補助ほじょタンパク質たんぱくしつ存在そんざいしている。

ESCRT-0ふく合体がったいは、ユビキチンされたタンパク質たんぱくしつ細胞さいぼう表面ひょうめん受容じゅようたい結合けつごうして密集みっしゅうすることで、胞体の形成けいせい重要じゅうよう役割やくわりたす。そのふく合体がったいはエンドソームのまく脂質ししつへの結合けつごうにない、これらタグけされたタンパク質たんぱくしつをエンドソームへリクルートする[8]適切てきせつ局在きょくざいおこなわれると、これらのタンパク質たんぱくしつしょう胞をかいしてエンドソームへまれて胞体を形成けいせいし、最終さいしゅうてきリソソームはこばれて分解ぶんかいされる。この経路けいろは、ゴルジたい通過つうかした傷害しょうがいタンパク質たんぱくしつ分解ぶんかい主要しゅよう経路けいろである[4]

ESCRT-0ふく合体がったいは、Vps27とHse1が1:1で結合けつごうしたヘテロりょうたいである[1][5]。Vps27とHse1はぎゃく平行へいこうコイルドコイル形成けいせいするGATドメインをかいしてりょうからだする[1]。Vps27とHse1の双方そうほうN末端まったんVHSドメイン英語えいごばんっている[9]。これらのVHSドメインは、細胞さいぼう分解ぶんかいしようとするタンパク質たんぱくしつ付加ふかされたユビキチンに結合けつごうする。また、ユビキチンはHse1に1つ、またはVps27のりょう側面そくめんにそれぞれ存在そんざいするユビキチン相互そうご作用さようモチーフにも結合けつごうする。Vps27には、VHSドメインとユビキチン相互そうご作用さようモチーフにはさまれてFYVEドメイン英語えいごばん存在そんざいする[5][10]。エンドソームの一般いっぱんてき脂質ししつであるホスファチジルイノシトール-3-リンさんは、このFYVEドメインに結合けつごうしてESCRT-0をエンドソームへリクルートする[5]

ESCRT-Iふく合体がったい役割やくわりは、ユビキチンされたタンパク質たんぱくしつ密集みっしゅうし、ESCRT-0ふく合体がったいとESCRT-IIふく合体がったいのブリッジとして機能きのうすることで胞体の形成けいせいたすけることである[11]。またESCRT-Iはまくのabscissionのさい分裂ぶんれつしている細胞さいぼう中央ちゅうおうたい(midbody)の両側りょうがわにリングを形成けいせいし、まく認識にんしきとリモデリングに機能きのうたす。ESCRT-Iは、細胞さいぼう分裂ぶんれつする直前ちょくぜん狭窄きょうさくたい形成けいせいするESCRT-IIIのリクルートもにな[12]。さらに、ESCRT-Iは特定とくていのウイルスタンパク質たんぱくしつ相互そうご作用さようしてウイルスの出芽しゅつがにも関与かんよし、ウイルス放出ほうしゅつ部位ぶいのESCRTふく合体がったいをリクルートする[13]

ESCRT-Iふく合体がったいは、Vps23、Vps28、Vps37、Mvb12が1:1:1:1で結合けつごうしたヘテロよんりょうたいである[3]てられたヘテロよんりょうたいは、Vps23、Vps37、Mvb12からなる棒状ぼうじょうのストークに、Vps23、Vps28、Vps37のヘリックスからなる扇型おうぎがたのキャップが結合けつごうしたような形状けいじょうをしている[3][5]。Vps23はユビキチンE2バリアントドメインをっており、ユビキチン、ESCRT-0ふく合体がったい、そして、ウイルスのgagタンパク質たんぱくしつ英語えいごばんPTAPモチーフとの結合けつごうにな[3][5]。このユビキチンE2バリアントドメインの直後ちょくごにはプロリンリッチモチーフ(GPPX3Y)が存在そんざいしており、まくのabscissionのさいにESCRT-Iを中央ちゅうおうたいける[5]。Mvb12もC末端まったんかいしてユビキチンに結合けつごうすることができる。Vps28はESCRT-IとESCRT-IIあいだ相互そうご作用さようにない、C末端まったん4ヘリックスバンドルドメインをかいしてESCRT-IIのVps36のGLUEドメインへ結合けつごうする[1]

ESCRT-IIふく合体がったいおもに、胞体のなま合成ごうせいとユビキチンされたタンパク質たんぱくしつのエンドソームへの輸送ゆそうさい機能きのうする。ユビキチンタグのいたタンパク質たんぱくしつはESCRT-0からESCRT-Iへ、そしてそのESCRT-IIへとわたしされる。ESCRT-IIは、ふくしょう胞をくびりふく合体がったいESCRT-IIIと結合けつごうする[5]

ESCRT-IIは、2つのVps25サブユニット、1つのVps22サブユニット、そして1つのVps36サブユニットからなるヘテロよんりょうたいである[3]。Vps25のPPXYモチーフはVps22とVps26のwinged-helix(WH)モチーフと結合けつごうし、Vps22とVps36が基部きぶ、2つのVps25分子ぶんしがアームとなるYがたふく合体がったい形成けいせいする[3][5]。Vps25もWHモチーフをふくんでおり、ESCRT-IIとESCRT-IIIのあいだ相互そうご作用さようになう。Vps36はGLUEドメインをふくんでおり、ホスファチジルイノシトール-3-リンさんとESCRT-IのVps28に結合けつごうする[3][5]酵母こうぼのVps36では、GLUEドメインないのループには2つのジンクフィンガードメインが存在そんざいしている。これらのジンクフィンガードメインの一方いっぽうはVps28のC末端まったんドメインを、もう一方いっぽうはユビキチンを結合けつごうする[5]

ESCRT-IIIふく合体がったいはESCRTが媒介ばいかいするすべての過程かてい関与かんよし、おそらくもっと重要じゅうようである[14]まくのabscissionとウイルスの出芽しゅつがにおいて、まく切断せつだん直前ちょくぜんにESCRT-IIIはまく狭窄きょうさく部位ぶいながいフィラメントを形成けいせいする[12][15]まくのabscissionの媒介ばいかいは、セントラルスピンドリン英語えいごばんふく合体がったいとの相互そうご作用さようによっておこなわれる[16]。ESCRT-IIIのフィラメント構造こうぞう胞体の形成けいせいにも存在そんざいし、タンパク質たんぱくしつ細胞さいぼうしつ流出りゅうしゅつするのをふせぐために出芽しゅつがしょう胞にせんをするリングじょうしがらみとして機能きのうする[12]

ESCRT-IIIふく合体がったい一過いっかてきにしか存在そんざいしないというてんのESCRTふく合体がったいをはことなっており、必須ひっすサブユニットと必須ひっすサブユニットをふくんでいる[1][12]ふく合体がったい機能きのうするためには、必須ひっすサブユニットは適切てきせつ順序じゅんじょ(Vps20、Snf7、Vps24、そのにVps2)で集合しゅうごうしなければならない[5]必須ひっすサブユニットにはVps60、Did2、Ist1がふくまれる[12]。Vps20は、Snf7の多量たりょうたいかくとして機能きのうすることでESCRT-IIIのてを開始かいしする。そのVps24がSnf7に結合けつごうし、ふく合体がったいのキャップとなってVps2をリクルートする[1][3]。Vps2はそのVps4をふく合体がったいへリクルートする[7]細胞さいぼうしつ遊離ゆうりがたかくサブユニットたんりょうたいは「じた」構造こうぞうであるとかんがえられている。すなわち、かくサブユニットのC末端まったん部分ぶぶん自身じしんうえたたまれ、自己じこ阻害そがいてきたんりょうたいサブユニットを安定あんていしている[1][3]。ESCRT-IIIのサブユニットのC末端まったんは、必須ひっすサブユニットも必須ひっすサブユニットも、MIMモチーフをふくんでいる[17]。このモチーフはVps4やAAA-ATPアーゼ英語えいごばんスパスチン英語えいごばんとの結合けつごうにな[3]

Vps4-Vta1タンパク質たんぱくしつふく合体がったいは、特定とくてい過程かてい完了かんりょうまくからESCRT構成こうせい要素ようそ通常つうじょうはESCRT-III)を除去じょきょするさい必要ひつようとされる。Vps4がESCRT-IIIふく合体がったい切断せつだんするのか、それとも構成こうせい要素ようそ特定とくてい時期じき切断せつだんされるようふく合体がったいをリモデリングするのかについては議論ぎろんがある[13]。Vta1はVps4の活性かっせい因子いんしとして機能きのうし、てを補助ほじょしてAAA-ATPアーゼ活性かっせい向上こうじょうさせるとかんがえられている[14][18]

Vps4サブユニットは2つの機能きのうてきドメイン、N末端まったんのMITドメインと中心ちゅうしんのAAA-ATPアーゼドメインをっている[3]。MITドメインはVps2のMIMモチーフとの相互そうご作用さようにな[1]。AAA-ATPアーゼドメインは、ATP加水かすい分解ぶんかいしてESCRT-IIIふく合体がったい解体かいたい動力どうりょくとなる[12]。ESCRT-IIIは除去じょきょされて、すべての結合けつごうサブユニットはさい利用りようされる[12][13]。Vta1はりょうからだタンパク質たんぱくしつで、VSLドメインがVps4との結合けつごうにない、MITドメインがESCRT-IIIのサブユニットVps60に結合けつごうする。Vta1は必須ひっすではないものの、Vps4のリングじょう構造こうぞうてをたすけ、ATPアーゼ活性かっせい促進そくしんし、ESCRT-IIIの解体かいたい促進そくしんすることがしめされている[5]

Bro1の主要しゅよう機能きのうは、だつユビキチン酵素こうそをESCRT-IIIふく合体がったいへリクルートすることである[19]。その結果けっか、リソソームでの分解ぶんかい標的ひょうてきとなったタンパク質たんぱくしつからユビキチンタグが胞体の形成けいせい直前ちょくぜん除去じょきょされる。Bro1はタンパク質たんぱくしつからユビキチンが除去じょきょされるあいだ、ESCRT-IIIの安定あんていたすけていると想定そうていされている[19]

Bro1のN末端まったんドメインはESCRT-IIIのSnf7に結合けつごうする[20]。この結合けつごうによってBro1はまくのabscission部位ぶいにリクルートされる。Bro1はだつユビキチン酵素こうそDoa4の触媒しょくばいドメインにも結合けつごうし、Doa4をまくのabscission部位ぶいへリクルートする。Doa4はリソソームへおくられるタンパク質たんぱくしつからユビキチンを除去じょきょする[20]

まくのabscission

編集へんしゅう
 
ESCRTふく合体がったい中央ちゅうおうたいへのリクルート。Cep55はMKLP1に結合けつごうする。Cep55はESCRT-IとALIXをリクルートする。ESCRT-IとALIXはESCRT-IIIをリクルートする。ESCRT-IIIはむすめ細胞さいぼうあいだまくのネックでらせんを形成けいせいし、狭窄きょうさく切断せつだんこす[21]

細胞さいぼうしつ分裂ぶんれつにおけるまくのabscissionは、細胞さいぼう分裂ぶんれつさいに2つのむすめ細胞さいぼう連結れんけつしているまく切断せつだんされる過程かていである。この過程かていかく生物せいぶつちか一部いちぶ細菌さいきんでも保存ほぞんされており、ESCRTの最古さいこ役割やくわりであるとかんがえられている[5]2分岐ぶんきせつしたがえば、プロテオ細菌さいきん祖先そせんがESCRTを獲得かくとくし、アスガルド細菌さいきん段階だんかいでESCRTシリーズをほぼすべそなえた。

この過程かていは、中心ちゅうしんたいタンパク質たんぱくしつCep55が、微小びしょうかん結合けつごうするゆういと分裂ぶんれつキネシンようタンパク質たんぱくしつMKLP1との結合けつごうによって、分裂ぶんれつちゅう細胞さいぼう中央ちゅうおうたいへリクルートされることで開始かいしされる[5][22]。その、Cep55はESCRT-IのVps23サブユニットと補助ほじょタンパク質たんぱくしつALIXをリクルートし、中央ちゅうおうたい両側りょうがわにリングを形成けいせいする[5][12][13]。ESCRT-IとALIXはSnf7サブユニットをかいしてESCRT-IIIをリクルートする[5]。ESCRT-IIIのサブユニットVps20、Snf7、Vps24、Vps2、Did2は、Vps23によって形成けいせいされたリングに近接きんせつしてらせんじょう繊維せんい形成けいせいする[1][13][19]。このらせんじょう構造こうぞう形成けいせいによってまく変形へんけいし、中央ちゅうおうたい形成けいせいされた微小びしょうかん切断せつだんするためにAAA-ATPアーゼのスパスチンがDid2とIst1によってリクルートされる[13][19]。その、Vps4がESCRT-IIIふく合体がったい解体かいたい触媒しょくばいし、あらたに分離ぶんりした2つのむすめ細胞さいぼうとなる[19]まくのabscissionの過程かてい後生ごしょう動物どうぶつでより詳細しょうさい研究けんきゅうされているため、後生ごしょう動物どうぶつタンパク質たんぱくしつめいしるしている。

ウイルスの出芽しゅつが

編集へんしゅう
 
HIVの出芽しゅつが。a: 細胞さいぼうまく直下ちょっかへのウイルスタンパク質たんぱくしつ蓄積ちくせきは、ウイルスの外側そとがわへの突出とっしゅつこす。b: まく突出とっしゅつ根元ねもとでESCRTふく合体がったいによって狭窄きょうさく形成けいせいされ、ウイルスをふくしょう胞が形成けいせいされる。c: 出芽しゅつが部分ぶぶん遊離ゆうり細胞さいぼうがいビリオンをのこしてくびりれる。(Photo provided by Dr. Matthew Gonda (Wikimedia Commons: Nov. 1998), National Cancer Institute Image ID: 2382)

ウイルスの出芽しゅつがとしてもられるウイルス粒子りゅうし放出ほうしゅつ過程かていは、宿主しゅくしゅのESCRTをって細胞さいぼうないから遊離ゆうりビリオン放出ほうしゅつされる過程かていである。HIV-1ヒトTリンパこのみせいウイルスなどのレトロウイルスや、エボラウイルスなどエンベロープつウイルスのおおくは、宿主しゅくしゅ細胞さいぼうからるためにESCRTを必要ひつようとする[1]。この過程かていは、レトロウイルスの被覆ひふく主要しゅよう構造こうぞうタンパク質たんぱくしつであるGagタンパク質たんぱくしつによって開始かいしされ、ESCRT-Iふく合体がったいのTSG101、補助ほじょタンパク質たんぱくしつALIXと相互そうご作用さようする[13][14]。ESCRT-IIIのサブユニット(CHMP4とCHMP2のみが必須ひっすである[11])がウイルスの出芽しゅつが部位ぶいにリクルートされ、細胞さいぼうしつ分裂ぶんれつちゅうまくのabscissionと過程かていで、出芽しゅつが部分ぶぶんのネックを狭窄きょうさく切断せつだんする[1][5][13]。そのVps4がESCRT-III構成こうせい要素ようそ細胞さいぼうしつへリサイクルし、ウイルスは細胞さいぼうから放出ほうしゅつされる[5]。ウイルスの出芽しゅつが過程かてい後生ごしょう動物どうぶつでより詳細しょうさい研究けんきゅうされているため、後生ごしょう動物どうぶつタンパク質たんぱくしつめいしるしている。

出典しゅってん

編集へんしゅう
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