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GCOS - Wikipedia

GCOS(ジーコス、General Comprehensive Operating System)は、メインフレームけのオペレーティングシステム (OS) のファミリー。1962ねんゼネラル・エレクトリック (GE) が開発かいはつしたものが起源きげんとなっており、当初とうしょ名称めいしょうは GECOS (the General Electric Comprehensive Operating Supervisor)であった。

今日きょうでもごく一部いちぶ使用しようされている。このOSじょうプログラムは GMAPアセンブラCOBOLFORTRANALGOLなどでかれることがおおい。日本電気にほんでんきACOSはGCOSから派生はせいしたOSである。

システムアーキテクチャとコンセプト

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GCOSではプロセスという概念がいねん使用しようする。これはプロセッサうえ実行じっこうされる命令めいれいれつ対応たいおうするデータの集合しゅうごうである。マルチスレッド概念がいねんもある。また、プロセスグループ相当そうとうする概念がいねんもあり、同時どうじにロードされスケジュールされるプロセスぐん意味いみする(その意味いみでは、UNIXのプロセスグループではなく、ギャングスケジューリングにちかい。→スケジューリング)。GCOSにはセマフォもあり、プロセスあいだ同期どうき使用しようする。

かくプロセスは自身じしんアドレス空間くうかんち、そこでのアクセスけんREADWRITEEXECUTE混合こんごうである。アドレス空間くうかんセグメントされており、プロセスあいだデータ共有きょうゆうすることもできる。特権とっけん管理かんりリングプロテクションである。かくプロセスはいずれかのリングにぞくし、ひくいリングであれば、よりたか特権とっけんつことになる。

このOSは対称たいしょうがたマルチプロセッシングをサポートしている。これはファームウェアまれたマイクロカーネルもとづくものである。また、ファームウェアにその機能きのうくともエミュレーションで実現じつげんしてもそれほど性能せいのう低下ていかしない。

GEは36ビットのGE-635けに GECOS-IIを開発かいはつした(1962ねん1964ねん)。うわさはんして GECOS はSystem/360のクローンではなかった(ジャーゴンファイルではうわさしんけて「System/360の素早すばやきたないクローン」としていたため、このうわさ長生ながいきしてしまった)。GE-635 のアーキテクチャは360とはまったことなり、GCOSも360のOSとはまったちがう。その歴然れきぜんとするのは、だい世代せだいタイムシェアリングシステム (TSS) とバッチ処理しょり同時どうじにサポートしたてんである。

GEのコンピュータ部門ぶもんハネウェルのものとなったのち、GECOS-IIIはGCOS-3に改名かいめいされた。対応たいおうハードウェアもハネウェル6000シリーズとなった。1974ねん、ハネウェルは自社じしゃ従来じゅうらいからのコンピュータなどとの統一とういつせいをもたせるため、「シリーズ60」という名称めいしょう統一とういつし、6000シリーズはそのなかの「レベル66」とされた。ハネウェルのヨーロッパでの系列けいれつ会社かいしゃハネウェル-ブルおなじシリーズ60の「レベル64」というあたらしい系列けいれつ開発かいはつ開始かいしした(のちに DPS-7 となった)。

それにともなってGCOSという名称めいしょうは、ハネウェルのぜん製品せいひん使つかわれることになった。

GCOS-3
レベル66(つまりGE-600シリーズの後継こうけい)ようDTSS影響えいきょうがある。ACOS-6相当そうとう
GCOS-64
レベル64よう。ハネウェルとハネウェル-ブルの開発かいはつあらたに開発かいはつされたシリーズであり、GCOS-3をベースとしている。ACOS-4相当そうとう
GCOS-62
レベル62ようイタリア開発かいはつされた32ビット小型こがたけOS。ACOS-2相当そうとう
GCOS-61
レベル61ようフランス開発かいはつした卓上たくじょうけOS
GCOS-6
レベル6よう。16ビットミニコンピュータもちいOS

1979ねん再度さいどシリーズ名称めいしょう変更へんこうおこなわれた。

  • レベル66→DPS-8:対応たいおうOSは GCOS-3→GCOS-8
  • レベル64→DPS-7:対応たいおうOSは GCOS-64→GCOS-7
  • レベル62→DPS-4:対応たいおうOSは GCOS-62→GCOS-4
  • レベル6→DPS-6:対応たいおうOSは GCOS-6

この改称かいしょう顧客こきゃく混乱こんらんさせることになった。たとえば、突然とつぜんGCOS-8となったGCOS-3は、この発表はっぴょうすう年間ねんかんGCOS-3の名前なまえでも保守ほしゅおこなわれた。なお、GCOS-61(レベル61)はマイクロプロセッサ登場とうじょうともえた。

GCOS-3(と後継こうけいのGCOS-7およびGCOS-8)はCODASYLデータベース Integrated Data Store (IDS) をそなえていた。これはのちにさらに成功せいこうしたIDMSのモデルとなった。

いくつかのトランザクション処理しょりモニター(TPモニター)がGCOS-3およびGCOS-8けに設計せっけいされた。最初さいしょのGCOS-3でのこころみは、UNIXふうえばかくトランザクション処理しょりするためにあらたにプロセス生成せいせいする方式ほうしきである。IBMの顧客こきゃくはもっと効率こうりつてき方式ほうしき、すなわちマルチスレッドでリソース共有きょうゆうしてメッセージける方式ほうしきのぞんだ。このような機能きのうはサブシステムとして実装じっそうされた。

GCOS-3はもなくもっと適切てきせつなTPモニター Transaction Driven System (TDS) を装備そうびした。TDS はハネウェルの開発かいはつしたものである。これはのちにTP8としてGCOS-8じょう拡張かくちょうされた。TDSとその開発かいはつは、同様どうようのアーキテクチャであるIBMのCICSより先行せんこうしており、成功せいこうした機能きのうであった。同様どうよう機能きのうがGCOS-7にもTDSとしてまれた。

GCOS-6およびGCOS-4は、MC68000ベースのUNIXけいOSの動作どうさするミニコンピュータでえられた。さらに、そのPowerPCベースのサーバとなっている。GCOS-6はAIXうえエミュレータ動作どうさした。GCOS-7の動作どうさするDPS-7シリーズはDPS-7000ハードウェアに発展はってんした。日本電気にほんでんき (NEC) はACOS-4のCPUをこのシリーズに供給きょうきゅうしたことがある。

1980年代ねんだい後半こうはん、ハネウェルはおもにハードウェアめん開発かいはつおくれが目立めだっていたコンピュータ部門ぶもんをNECおよびBullと共同きょうどう出資しゅっしする合弁ごうべん会社かいしゃというかたち手放てばなした。 開発かいはつおくれを挽回ばんかいしメインフレーム市場いちばでの競争きょうそうりょく維持いじするため、NECはハイエンド (ACOS-6) のメインフレームACOS1000とACOS2000のOEM供給きょうきゅうおこなう。 (ACOS1000シリーズはDPS90、ACOS2000シリーズはDPS9000としてぜん世界せかい販売はんばいされNECの生産せいさん台数だいすうおおきくばすことになる) この過程かていでは特許とっきょ技術ぎじゅつ回避かいひやGCOS8の拡張かくちょう機能きのうへの対応たいおうなど、単純たんじゅんなOEM供給きょうきゅうではないハードウェア、ソフトウェア両面りょうめんでの作業さぎょう必要ひつようとなった。 最終さいしゅうてきにこの合弁ごうべん会社かいしゃはBullが取得しゅとくしている。

1990年代ねんだい終盤しゅうばんから2000年代ねんだいにかけて、Bullはハードウェアベースを1つに統一とういつしようと、インテルのチップを使つかったシステムに集中しゅうちゅうするようになった。Itanium 2ベースで、Microsoft WindowsLinux動作どうさする。ただし、エミュレータでGCOS-7とGCOS-8がこのプラットフォームじょう動作どうさするようにした。Bullは現在げんざいもGCOS-7とGCOS-8をサポートするための開発かいはつ費用ひよう出費しゅっぴつづけており、いくつかのくに顧客こきゃくがいる。

こぼればなし

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ベル研究所けんきゅうじょでは、初期しょきのUNIXシステムでGCOSマシンをプリンタスプーラとして接続せつぞくしていた。このため "/etc/passwd" にGCOSと接続せつぞくするためのID情報じょうほういておくフィールド "GCOSフィールド"がつくられた。このフィールドは今日きょうでも "pw_gecos" としてのこっており、現在げんざいでは人間にんげんんで理解りかいできるユーザー単位たんい情報じょうほう(フルネームとか所属しょぞくなど)をくのに使つかわれている。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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