GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊こうかくきどうたい

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『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊こうかくきどうたい』（ゴースト イン ザ シェル / こうかくきどうたい）は、1995年ねん11月18日にちに公開こうかいされた日本にっぽんの劇場げきじょう用ようアニメ映画えいが。また、CG映像えいぞうを中心ちゅうしんにリニューアルされた『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊こうかくきどうたい2.0』が、2008年ねん7月がつ12日にちから全国ぜんこく5都市としで公開こうかいされた。Production I.G 制作せいさく。原作げんさくは士郎しろう正宗まさむねの漫画まんが『攻殻機動隊こうかくきどうたい』。監督かんとくは押井おしい守まもる。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊こうかくきどうたい
監督かんとく	押井おしい守まもる
脚本きゃくほん	伊藤いとう和典かずのり
原作げんさく	士郎しろう正宗まさむね『攻殻機動隊こうかくきどうたい』
製作せいさく	宮原みやはら照夫てるお 渡辺わたなべ繁しげる ANDY FRAIN
出演しゅつえん者しゃ	田中たなか敦子あつこ 大塚おおつか明夫あきお 山寺やまでら宏一こういち
音楽おんがく	川井かわい憲次けんじ
撮影さつえい	白井しらい久男ひさお
編集へんしゅう	掛かけ須秀一いち
制作せいさく会社かいしゃ	Production I.G
製作せいさく会社かいしゃ	講談社こうだんしゃ バンダイビジュアル MANGA ENTERTAINMENT
配給はいきゅう	松竹しょうちく（1995年版ねんばん） MANGA ENTERTAINMENT（1995年版ねんばん） Palm Pictures（1995年版ねんばん） ワーナー・ブラザース映画えいが（2.0）
公開こうかい	1995年ねん11月18日にち（1995年版ねんばん） 1995年ねん12月8日にち（1995年版ねんばん） 1996年ねん2月がつ2日にち（1995年版ねんばん） 2008年ねん7月がつ12日にち（2.0）
上映じょうえい時間じかん	85分ふん
製作せいさく国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
製作せいさく費ひ	3億おく円えん（1995年版ねんばん）
次つぎ作さく	イノセンス

概要がいよう

漫画まんがの1巻かんを原作げんさくとする。当時とうじの香港ほんこんを参考さんこうにした世界せかい観かんやSF小説しょうせつ的てきな内容ないようで、アメリカではビルボード誌しのビデオ週間しゅうかん売上うりあげ1位いとなる（1996年ねん8月がつ24日にち付づけ）。全ぜん世界せかいでのビデオ・DVDの売上うりあげは130万まん本ほん（日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 2002年ねん7月がつ21日にち付づけ 朝刊ちょうかん）。続編ぞくへんは2004年ねん公開こうかいの『イノセンス』である。

2008年ねんに、押井おしいの新作しんさく映画えいが『スカイ・クロラ』上映じょうえい記念きねんとして、本ほん作さくのリニューアル版ばん『攻殻機動隊こうかくきどうたい2.0』を上映じょうえいした。『2.0』では新作しんさくカットが使用しようされ一部いちぶが3DCGとなり、さらに全体ぜんたい的てきな色調しきちょうがブルー/グリーン系けいから、イノセンスと同様どうようのアンバー（オレンジ）系けいとなった。また、音響おんきょうがサラウンド（5.1ch/6.1ch）化かされ、キャストの一部いちぶ・台詞せりふ・音楽おんがく・SEが、アメリカのスカイウォーカー・サウンドの協力きょうりょくのもと、リニューアルされている。

原作げんさくの漫画まんが『攻殻機動隊こうかくきどうたい』からは、2017年ねんにアメリカで スカーレット・ヨハンソン主演しゅえんで『ゴースト・イン・ザ・シェル』も制作せいさくされた。日本にっぽんでは2017年ねん4月がつ7日にちに公開こうかい。なお、講談社こうだんしゃとProduction I.Gは攻殻機動隊こうかくきどうたい原作げんさくの実写じっしゃ化か権けんをハリウッドに売却ばいきゃくしており、ハリウッド版ばんはアニメ映画えいが版ばんとは独立どくりつに、漫画まんがを原作げんさくとして制作せいさくされた。アニメ映画えいが版ばんの影響えいきょうは受うけているにしても、アニメ映画えいが版ばんを原作げんさくとしているわけではない。

あらすじ

電脳でんのう化かやサイボーグの技術ぎじゅつが飛躍ひやく的てきに進すすんだ近きん未来みらい。

テロなどの犯罪はんざいを未然みぜんに防ふせぐ、内務省ないむしょう直属ちょくぞくの組織そしき「公安こうあん9課か」に所属しょぞくする草薙くさなぎ素子もとこ（通称つうしょう「少佐しょうさ」）は、認定にんていプログラマーの他国たこくへの亡命ぼうめいに関かかわった外交がいこう官かん暗殺あんさつの任務にんむを遂行すいこうし、亡命ぼうめいを未然みぜんに阻止そしする。

後日ごじつ、外務がいむ大臣だいじんの通訳つうやくが電脳でんのうをハッキングされる事件じけんが起おき、他人たにんの電脳でんのうをゴーストハックして人形にんぎょうのように操あやつる国際こくさい手配てはい中ちゅうの凄腕すごうでハッカー「人形にんぎょう使づかい」の犯行はんこうである可能かのう性せいが浮上ふじょう。素子そし、バトー、トグサを初はじめとする公安こうあん9課かは捜査そうさを開始かいしするが、容疑ようぎをかけられ逮捕たいほされた人物じんぶつはいずれもゴーストハックを受うけて操あやつられたに過すぎず、人形にんぎょう使づかい本人ほんにんの正体しょうたいを掴つかむことが出来できない。

そんな中なか、政府せいふ御用達ごようたしである義ぎ体たいメーカー「メガテク・ボディ社しゃ」の製造せいぞうラインがひとりでに稼動かどうし、女性じょせい型がたの義ぎ体たい（人工じんこう身体しんたい）を一体いったい作つくりだした。義ぎ体たいは動うごき出だして逃走とうそうするが、交通こうつう事故じこに遭あい公安こうあん9課かに運はこび込こまれる。調しらべてみると、生身なまみの脳のうが入はいっていないはずの義ぎ体たいの補助ほじょ電脳でんのうにはゴーストのようなものが宿やどっていた。9課かを訪おとずれた外務省がいむしょう条約じょうやく審議しんぎ部ぶ（公安こうあん6課か）の中村なかむら部長ぶちょうは、その義ぎ体たいこそが、6課かの追跡ついせきに追おい詰つめられた人形にんぎょう使づかいのデータが逃にげ込こんだものであることを明あかす。一方いっぽう、中村なかむらの突然とつぜんの訪問ほうもんを怪あやしんだトグサは、中村なかむらが光学こうがく迷彩めいさいで身みを隠かくした数すう名めいを帯同たいどうしていることを突つき止とめる。

自律じりつ的てきに目覚めざめた人形にんぎょう使づかいは、自みずからが情報じょうほうの海うみで発生はっせいした、肉体にくたいの存在そんざいしない生命せいめい体たいであることを主張しゅちょうし、いち生命せいめい体たいとしてこの国くにへの政治せいじ的てき亡命ぼうめいを要求ようきゅうしはじめる。さらに、人形にんぎょう使づかいは自みずからを「プロジェクト2501」と名乗なのった。その直後ちょくご、人形にんぎょう使づかいの義ぎ体たいは何者なにものかに拉致らちされてしまう。この状況じょうきょうを読よんでいたトグサとバトーは襲撃しゅうげき者しゃの追跡ついせきを開始かいし。更さらにイシカワの捜査そうさにより、外務省がいむしょうが一いち年ねん前まえに始はじめていたプロジェクト「2501」の存在そんざいが明あきらかになる。元々もともと人形にんぎょう使づかいは外務省がいむしょうが各種かくしゅ工作こうさくのために作成さくせいしたAIだが、自我じがを持もって制御せいぎょ不能ふのうになってしまったため、外務省がいむしょうは強引ごういんに回収かいしゅうを図はかっていたのだ。

バトーが追跡ついせきした襲撃しゅうげき者しゃたちの車くるまは囮おとりだった。海上かいじょうへ逃のがれようとする本命ほんめいを追おった素子そしは、襲撃しゅうげき者しゃを支援しえんに来きた多た脚あし戦車せんしゃに苦戦くせんを強しいられ大破たいはするが、駆かけ付つけたバトーが戦車せんしゃを撃破げきはしたことで事ことなきを得える。義ぎ体たいを確保かくほした素子そしはその場ばで人形にんぎょう使づかいの電脳でんのうにダイブする。人形にんぎょう使づかいは以前いぜんから素子そしを認識にんしきしており、9課かに運はこび込こまれるよう図はかったのも、彼女かのじょに自身じしんとの融合ゆうごうを提案ていあんするためであった。人形遣にんぎょうつかいは「死し」の概念がいねんと自分じぶんの子孫しそん（データ）を残のこす能力のうりょくを手てに入いれ、素子そしはネットと一体化いったいかし、自分じぶんの殻からを解とき放はなった存在そんざいとなる。しかし直後ちょくごに2体たいの義ぎ体たいは外務省がいむしょうの派遣はけんした部隊ぶたいに狙撃そげきされ、破壊はかいされる。

20時じ間あいだ後ご、バトーが庇かばったことで損傷そんしょうを免まぬかれた素子そしの脳のう殻からは、闇やみルートで入手にゅうしゅされた少女しょうじょの義ぎ体たいに移植いしょくされ、バトーのセーフハウスで目覚めざめる。一連いちれんの事件じけんはテロとして公表こうひょうされ、素子そしは行方ゆくえ不明ふめい扱あつかいになり、一方いっぽうで外務がいむ大臣だいじんが辞任じにん、中村なかむらを始はじめとする関係かんけい者しゃは査問さもんにかけられることになり、内務省ないむしょうと外務省がいむしょうの痛いたみ分わけとして処理しょりされた。人形にんぎょう使づかいと融合ゆうごうを果はたした素子そしはバトーと再会さいかいを約やくして別わかれ、広大こうだいなネットの海うみへと旅立たびだつのだった。

製作せいさく

背景はいけい

『機動きどう警察けいさつパトレイバー 2 the Movie』の制作せいさくが終おわり、熱海あたみに建たてた家いえに引ひっ越こして、住宅じゅうたくローンの返済へんさいに悩なやんでいた頃ころに『犬いぬ狼おおかみ伝説でんせつ』のOVA化かの企画きかく書しょを持もち込こんだ押井おしいに石川いしかわ光久みつひさが本ほん作さくの映像えいぞう化かの企画きかく書しょを出だした。偶然ぐうぜんにも事前じぜんに原作げんさくを読よんでいた押井おしいは「原作げんさくで扱あつかっている世界せかいが『今いま、語かたられるべき世界せかい』『一種いっしゅの予よ感かん』として語かたるのに相応ふさわしい」「アメリカ映画えいがでは、コンピューターの存在そんざいを十分じゅうぶんな説得せっとく力りょくを持もって描えがき切きった作品さくひんは多おおくない。このテーマはアニメで表現ひょうげんするべきだ」と思おもっていた押井おしいは、「映画えいがにできるタイムリーな企画きかく」と確信かくしんし、住宅じゅうたくローンを返済へんさいするためもあり、その場ばで石川いしかわのオファーを承諾しょうだくした。押井おしい側がわが出だした『犬いぬ狼おおかみ伝説でんせつ』の企画きかくは後のちに『人ひと狼おおかみ JIN-ROH』として形かたちを変かえて実現じつげんする。

当初とうしょはOVAとして発表はっぴょうする予定よていだった。

製作せいさく委員いいん会かい

レコード会社かいしゃ「ポリグラム」によって「ジャパニメーションを中心ちゅうしんにアニメの世界せかい市場いちばを形成けいせいする」ことを指針ししんに「MANGA ENTERTAINMENT」を設立せつりつ。本ほん作さくが製作せいさく第だい1作さく目めになった。

製作せいさく委員いいん会かいは講談社こうだんしゃ・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENTの3社しゃであり、Production I.Gはスポンサーとして参加さんかしていない。しかし、過去かこに講談社こうだんしゃが別件べっけんでI.Gに制作せいさくを頼たのんでいたが、別べつの作品さくひんの制作せいさく途中とちゅうだったために断ことわった過去かこがあったために、講談社こうだんしゃ側がわは本ほん作さくの企画きかくに対たいして石川いしかわに「できればやってほしい」と頭あたまを下さげた。そのため、石川いしかわは強気つよきな立場たちばで交渉こうしょうに臨のぞむことができ、講談社こうだんしゃからI.G・押井おしい・伊藤いとう等ひとしに支払しはらわれる制作せいさく者しゃ印税いんぜいとして2%をもらえる条件じょうけんを引ひき出だせた。

脚本きゃくほん

押井おしいは脚本きゃくほん制作せいさくにあたって、「自分じぶんの作つくる作品さくひんは脇役わきやくの視点してんで物語ものがたりが進すすんでいくものばかりなので、原作げんさくの主人公しゅじんこうが能動のうどう的てきに関かかわっていく物語ものがたりを作つくる」「原作げんさくにある台詞ぜりふは極ごく力ちからいっぱい使つかう」「ハッカー・疑似ぎじ体験たいけん・ネットワーク等とう、専門せんもん技術ぎじゅつに関かかわる部分ぶぶんを掘ほり下さげる」と決きめた。

原作げんさくを読よんだ時とき、押井おしいは「これは結婚けっこんして、主人公しゅじんこうが変かわる話はなしだ」と解釈かいしゃくし、「教会きょうかい」「祭壇さいだん」「ウェディングベル」等とう結婚けっこんをモチーフにした演出えんしゅつを施ほどこし、人形にんぎょう使づかいと素子そしのドラマとしてまとめる様ように集中しゅうちゅうした。実際じっさいの脚本きゃくほん制作せいさく作業さぎょうは、事前じぜんにテーマが固かたまった上うえで、原作げんさくを改あらためて20～30回かい熟読じゅくどくし直なおし、単行本たんこうぼんの欄外らんがいに書かいてあった参考さんこう文献ぶんけんを入手にゅうしゅ可能かのうな品物しなものは全すべて手しゅに入いれて読よみ込こみ、原作げんさくから使つかえる台詞せりふを全部ぜんぶ抜ぬき出だして、再さい構成こうせいするという「執筆しっぴつ」というよりは「編集へんしゅう」「コラージュ」に近ちかい方法ほうほうで行おこなわれた。伊藤いとうはそれに合あわせて、「素子そしの性格せいかくのアレンジ」「原作げんさくの序盤じょばんのエピソードを人形にんぎょう使づかいが絡からんでいる様ように改変かいへん」「聖書せいしょからの引用いんよう」というアイディアを出だし、押井おしいと士郎しろうの仲介ちゅうかい役やくを務つとめた。

押井おしいは「マスコットとしての印象いんしょうが強つよいので、どうしても可愛かわいくなってしまう。声こえは決定的けっていてきになってしまうだろう」「アクションシーンが素子そしのアクションではなく、戦車せんしゃのアクションになってしまう」「人間にんげんの自我じがの同一どういつ性せいを巡めぐる物語ものがたりなのに、人工じんこう知能ちのうなんて出だしたら、尺しゃくの中なかで解決かいけつできないし、人形にんぎょう使づかいが出でる意義いぎがなくなってしまう」という理由りゆうから、原作げんさくの人工じんこう知能ちのうを搭載とうさいした戦車せんしゃであるフチコマを抹消まっしょうする決断けつだんを下くだした。密ひそかにフチコマの設定せってい画がを描えがき上あげていた竹内たけうち敦志あつしはそれを聞きいてショックを受うけた。

その結果けっか、最終さいしゅう的てきには「物語ものがたり・台詞せりふはほとんど変かわらないけど、キャラクター・世界せかい観かんを微妙びみょうに変化へんかさせることで全然ぜんぜん違ちがう方向ほうこうに持もっていく」という構成こうせいになった。押井おしいは「普通ふつうの原作げんさく者しゃなら一番いちばん嫌いやがりそうな作つくり方かたなのに、士郎しろうさんは我慢がまんしてくれた。僕ぼくだったら怒いかりまくっていた」と振ふり返かえっている。

制作せいさく体制たいせい

映像えいぞう演出えんしゅつとしては「キャラクターは骨格こっかくが透すけて見みえるように描えがき、筋肉きんにくの動うごきまで表現ひょうげんする」「電脳でんのう空間くうかんという架空かくうの純粋じゅんすい概念がいねんみたいな世界せかいはどうしようもないので、『人間にんげんの眼めが見みている世界せかい』ではなく、『人間にんげんの脳のうが見みている世界せかい』をどの様ように絵えにするか」「キャラクターの普通ふつうのアニメーションでは、物ものを食たべる・走はしる・歩あるく・まばたきをする等ひとしという生命せいめい感かんを出だす演出えんしゅつをしているが、今回こんかいはそういう『普通ふつうの人間にんげん』として描えがくことを全部ぜんぶやめて一いち種しゅの『人形にんぎょう』の様ように描えがく。特とくに草薙くさなぎにはそれを徹底てっていさせる」「銃じゅうを持もつことによって生しょうじる動うごきを『戦闘せんとう行為こうい』としての重おもさを出だし、且かつ『アクション』『殺陣さつじん』としての理屈りくつを持もたせる為ために、アクションシーン自体じたいを少すくなくする。銃じゅうを扱あつかう描写びょうしゃも『引ひき金がねを引ひけば弾たまが出でる』という簡単かんたんなものではなく、道具どうぐとして扱あつかうためのノウハウも描写びょうしゃする」「人形にんぎょう使づかいは自意識じいしきを持もったプログラム。ただのロボットではないから色々いろいろな形かたちで登場とうじょうするけど、人間にんげん的てきな意識いしきとは違ちがう意識いしきを持もった存在そんざいであり、素子そしと一種いっしゅのメロドラマを展開てんかいする。それを観客かんきゃくに気きづいてもらうために、『水面すいめん』『鏡かがみ』を通とおして『もう一人ひとりの自分じぶん』という虚像きょぞうが浮うかび上あがるイメージを視覚しかく的てきに描えがく」等ひとしの様々さまざまなコンセプトを用意よういし、それらの表現ひょうげんに苦心くしんした。

制作せいさく中ちゅうにスタッフの間あいだで「バーチャファイター」が流行はやり、仕事しごとの合間あいまにゲームセンターに通かよっていた。そこから、押井おしいは絵えコンテに表現ひょうげんしたい動うごきの指定していとして「『バーチャファイター』の連続れんぞく技わざみたいな感かんじで」と指定していし、それは光学こうがく迷彩めいさいをまとったキャラクターの表現ひょうげんに反映はんえいされた。

スケジュールについては「その時ときの最新さいしんテクノロジーを使つかって画面がめんに詰つめ込こんだ緻密ちみつな情報じょうほう量りょうによるリアリティで、どれだけ観客かんきゃくを圧倒あっとうできるか」を考かんがえ、10か月げつの実じつ制作せいさくスケジュールの内うち、3か月げつをレイアウトシステム制作せいさくに集中しゅうちゅうさせて、作画さくが作業さぎょうは3か月げつもなかった。押井おしいは「指針ししんを出だしてしまうから、無駄むだな作業さぎょうを一切いっさいさせない。それがよかった」と振ふり返かえっている。実際じっさいの作業さぎょうでも、原画げんがに入はいる前まえに大おおきな紙かみに各かくカットの背景はいけいと人物じんぶつを同一どういつのパースで精密せいみつに描えがくことが求もとめられ、事ことあるごとに定規じょうぎでパースをとりながら作業さぎょうする必要ひつようがあった。押井おしいは「カメラを下さげて広角こうかくのレンズを使つかうと空間くうかんを広ひろく取とれて、画面がめんに奥行おくゆきが出でやすい」ローアングルを好このみ、レイアウトをチェックした後のちに「もう少すこしカメラを下さげて」と注文ちゅうもんすることが多おおかった。

当初とうしょは沖浦おきうらはキャラクターデザイン作業さぎょうに専念せんねんさせて、作画さくが監督かんとくは黄瀬きのせのみが担当たんとうする予定よていだったが、画面がめんの情報じょうほう量りょうが1人ひとりではスケジュールの締しめ切きりまでに対応たいおうできない程ほどに多おおかったことから、沖浦おきうらとの共同きょうどうになった。実際じっさいの作画さくが作業さぎょうでは沖浦おきうら・黄瀬きのせが2人ふたりで話はなし合あって決きめて、押井おしいは一切いっさい分担ぶんたんの割わり振ふりの話はなし合あいには介入かいにゅうしなかった。

黄瀬きのせは「自分じぶんの絵えを沖浦おきうらのレベルに持もっていくことが精一杯せいいっぱいで、楽たのしむ余裕よゆうなんてなかった」と振ふり返かえっている。

人間にんげんの手てで書かいたアニメーションは様々さまざまな暖あたたかみのあるニュアンスを出だしやすい反面はんめん、どうしても余分よぶんな効果こうかが出でてしまうことがあった。冷つめたい質感しつかんが重要じゅうようなテーマを持もつシーン、モニター・ホログラフィー・電脳でんのう映像えいぞう等とうデジタルアニメーションで表現ひょうげんすること自体じたいを目的もくてきとしたシーンを制作せいさくし、セルアニメーターの負担ふたんを和やわらげることを目的もくてきに3DCGを導入どうにゅうした。「CG制作せいさくの経験けいけん値ちを得えるために使つかってほしい」という現場げんば的てきな要請ようせいもあったため、機会きかいがある毎ごとに様々さまざまな表現ひょうげんを制作せいさくした。

デザイン

「あまり未来みらい的てき過すぎない、現実げんじつ感かんがあるけど、現実げんじつからちょっと離はなれた」銃器じゅうきのデザインを開発かいはつし、世界せかい観かんを掴つかむために、メインスタッフ全員ぜんいんで香港ほんこん・グアムへ行いき、本物ほんものの銃じゅうを試射ししゃし、実じつ銃じゅうとモデルガンの質感しつかんの差異さいを体感たいかんした。その後ご、押井おしい・磯いそ光雄みつお・納富のうとみ貴久たかひさ男おとこからなる銃器じゅうきデザイン開発かいはつチームを結成けっせいし、押井おしいの注文ちゅうもんを元もとに磯いそがマニアックなデザインを施ほどこし、そこに納富のうとみが厳きびしくチェックする作業さぎょうを繰くり返かえし、デザイン決定けっていまでに4ヶ月かげつかけた。その作業さぎょうはアニメーションそのものにも反映はんえいされ、マズルフラッシュ（銃じゅうを撃うった時ときの閃光せんこう）の質感しつかん・着弾ちゃくだんの表現ひょうげん等とうそれまでの方法ほうほう論ろんから脱却だっきゃくすることに成功せいこうした。

拳銃けんじゅうは全すべて現実げんじつに存在そんざいしているのを、そのまま設定せってい表ひょうに起おこした。素子そしの使用しよう武器ぶきはFN P90とFA-MASのデザインを意識いしきしている。完全かんぜんにオリジナルとしてデザインした武器ぶきは、バトーが使つかった「サイボーグでなければまともに打うてない様ように」と注文ちゅうもんした対たい戦車せんしゃ用ようのライフルだけである。

押井おしいは「原作げんさくの素子そしでは、どう考かんがえてもあの胸むねで銃じゅうが構かまえられない。銃器じゅうきを日常にちじょう的てきに扱あつかうには首くびも太ふとくしないと変へんだし、肩幅かたはばも当然とうぜんあるだろう」と考かんがえながら、キャラクターデザイナーの沖浦おきうらと相談そうだんして、海外かいがいのボディビルダーの女性じょせいの写真しゃしん集しゅうを集あつめたりしながら、デザインを開発かいはつしていった。作画さくがの作業さぎょうに入はいったところで、アニメーター達たちから「素子そしの胸むねが小ちいさい」という不満ふまんの声こえがあがった。それに対たいして「本当ほんとうはもっと小ちいさくしたかった。これでもかなり妥協だきょうしている。筋骨きんこつで体からだを描えがいてほしい」と説得せっとくした。

色彩しきさい設定せっていは「色いろは状況じょうきょう・シチュエーションでどんどん変かわっていく。現実げんじつの世界せかいからして、同おなじ肌はだの色いろなんて厳密げんみつには存在そんざいしない」という西久保にしくぼ・遊佐ゆさの意向いこうから、シーン・展開てんかいに合あわせて臨機応変りんきおうへんに変かえていき、設定せってい表通おもてどおりに塗ぬられたカットはわずか2カットしかない。

世界せかい観かん

世界せかい観かん・ネットワークの描写びょうしゃは「サイボーグ・コンピューター・ネットワークに興味きょうみの無ない人ひとにも分わかりやすく伝つたわる様ようにする」「近代きんだいを超こえるイメージを無理矢理むりやり出だすと必かならず前ぜん時代じだい的てきなものになってしまうから、あまりこだわらないことにする」という方針ほうしんから、都会とかいの風景ふうけいを丹念たんねんに写うつすことで「人間にんげんの意識いしきが広ひろがって、情報じょうほう量りょうで溢あふれかえる」様さまにイメージ先行せんこうで描写びょうしゃしていく様ようにした。

どの街まちをモデルにしようかと西久保にしくぼと話はなし合あい、「香港ほんこんしかない」という結論けつろんになった時ときに押井おしいは「あれをパクらなかったアニメはない」と断言だんげんした「ブレードランナー」と差別さべつ化かするために、「一部いちぶ水没すいぼつしている」「運河うんがを出だす」「中国人ちゅうごくじんが沢山たくさん出でてくる」「英語えいご・ハングル・中国ちゅうごく語ごの看板かんばんを出だす」というアイディアを出だし、看板かんばんに詳くわしいアニメーターを看板かんばんの専せん門もんのレイアウトマンとして起用きようした。アニメーターも次第しだいに楽たのしくなって大量たいりょうの素材そざいを作つくり上あげ、押井おしいも「どこをどう見みても格好かっこう良よかった」「圧倒的あっとうてきな存在そんざい感かんと情報じょうほう量りょうがあった」「やっぱり『ブレードランナー』が自分じぶんにとってどれ程ほど大おおきかったがわかった」と大笑おおわらいしたが、小倉おぐらは「どうして誰だれも止とめないんだ!どんどん大変たいへんになるじゃないか!」と怒いかり、細こまかい部分ぶぶんを没ぼつにしていった。

音楽おんがく

劇げき伴とも制作せいさくのコンセプトは「絶対ぜったいに洋楽ようがくにしない」ことであり、基本きほんは民族みんぞく音楽おんがくだが、ピアノ・ハープはもちろん、金管楽器きんかんがっき・木管もっかん楽器がっきの大だい部分ぶぶんを禁止きんしし、ガムランを重視じゅうしした音おと作づくりをした。メロディも普段ふだん川井かわいがパターン化かさせていたストリングスで使つかうフレーズを、押井おしいが躊躇ちゅうちょなく「クサいから直なおしてよ」と指摘してきした。川井かわいは「恥はじをさらす恐おそれがありますね。民謡みんようだけだなんて、失敗しっぱいしたら想像そうぞうするだけでも恐おそろしいですよ」と言いいながらも、最後さいごまでレコーディングに立たち会あったことに、押井おしいは「本来ほんらいだったら『僕ぼくの仕事しごとではありません』と辞やめられても仕方しかたがないのに、一生懸命いっしょうけんめい直なおしてくれた」と感謝かんしゃを示しめしている。

当初とうしょはブルガリアン・ヴォイスの予定よていだったが、「現地げんちの歌うたい手てが譜面ふめんを読よめないから収録しゅうろくできない」という問題もんだいから行いき詰づまった。その時ときに「もしかしたら国内こくないで民謡みんようをやっている人達ひとたちだったらいけるんじゃないか」と思おもい立たち、西田にしだ和枝かずえ社中しゃちゅうが洋楽ようがくの譜面ふめんを読よめたためにすぐに歌うた録ろくりを行おこなうことができた。

メインテーマの作詞さくしは伊藤いとうが揃そろえていた日本にっぽん神話しんわ・アニミズム・和歌わか・祝詞のりと等ひとしの資料しりょうを最初さいしょから読よみ漁あさり、語感ごかんのいいのを拾ひろって、川井かわいに送おくった後のちに押井おしいと図書館としょかんに1週間しゅうかん通かよいながら作つくり上あげた。最終さいしゅう的てきには川井かわいがメロディに使つかえる部分ぶぶんをはめていった。

樋口ひぐち沙絵子さえこによるイメージソング「未来みらいへの約束やくそく」に関かんしては、押井おしいは「『風ふうの谷たにのナウシカ』みたいなもの。エンディングで誰だれかが歌うたうのだけは絶対ぜったいいやだった。川井かわい君くんの音楽おんがくが海外かいがいでも有名ゆうめいになり始はじめている時ときだったので、彼かれの音楽おんがく以外いがいありえなかった」と楽曲がっきょくそのもの以前いぜんに当時とうじから流行りゅうこうし始はじめていた「映画えいがのエンディングテーマが主題歌しゅだいか」という風潮ふうちょうに嫌気いやけが差さしていた事ことを告白こくはくしている。

海外かいがい展開てんかい

海外かいがい展開てんかいに対たいして押井おしいは「香港ほんこんをイメージして、いかにもデジタルな生活せいかつ環境かんきょうはあまり作つくらなかったことで、一種いっしゅの普遍ふへん性せいを獲得かくとくできた」「億おく単位たんいの予算よさんをかけて日本にっぽんだけで作品さくひんを作つくるのは難むずかしくなってきました。『いずれは製作せいさく予算よさんも変かわってくるだろう』とは思おもっていたから、風潮ふうちょう自体じたいは歓迎かんげいしています」「制作せいさくの過程かていで色々いろいろと介入かいにゅうされて、『監督かんとくの権限けんげんが侵おかされるのではないか』という不安ふあんがありました。ところが実際じっさいは非常ひじょうに紳士しんし的てきで制作せいさく現場げんばの意図いとを最大限さいだいげんに尊重そんちょうしてくれました。逆ぎゃくにこちらが拍子抜ひょうしぬけするくらいに」「世界せかい配給はいきゅうに関かんしては考かんがえても仕方しかたがないので、とにかく自分じぶん達たちが作つくりたいものを作つくって、出来上できあがったものをどこまでわかってくれるかはあちら任まかせです」と語かたっている。

英語えいご吹ふき替かえのダビング作業さぎょうに立たち会あった際さいには、事前じぜんに制作せいさく陣じんの意志いし・キャラクターの台詞せりふの意図いとを伝つたえ、押井おしいと女性じょせいの翻訳ほんやく者しゃの2人ふたりでスタジオの会議かいぎ室しつで3日程にってい缶詰かんづめで翻訳ほんやく作業さぎょうを行おこなったが、英語えいごとの微妙びみょうなニュアンスの違ちがいで完全かんぜんには翻訳ほんやくし切きれず、婉曲えんきょく的てきな表現ひょうげんや微妙びみょうない回いまわしが、結局けっきょくはストレートな仕上しあがりになってしまった。

例たとえば、「日本語にほんごで『そいつ』にあたる言葉ことばが英語えいごではないため、『彼女かのじょ』『彼かれ』『it』『thet』のどのニュアンスにすればいいのか」「バトーは人形にんぎょう使づかいをどう意識いしきしているのか」の表現ひょうげんに悩なやんだ。

押井おしいは「作中さくちゅうの台詞せりふとその意図いとが翻訳ほんやくでどこまで再現さいげんできて、伝つたえる事ことができるのかを試ためせる良よい機会きかいになった」「向むこうの翻訳ほんやく者しゃもずいぶんと奮闘ふんとうしてくれたんですけど、アメリカ映画えいが全般ぜんぱんが目指めざしている『如何いかにストーリーをわからせて、キャラクターを立たてるか』『お金かねを払はらって見みに来きてくれるお客きゃくさんに十分じゅうぶん楽たのしんでもらおう』『どんな人種じんしゅ、どんな階層かいそうの人ひとが見みに来きても必かならず理解りかいさせて帰きす』という意識いしきやエネルギーが非常ひじょうに強つよかったんでしょうね。アメリカ映画えいがのパワーの片鱗へんりんを見みた気きがしますね」「台詞せりふのシチュエーションに対たいしてはどうしても絶対ぜったいに伝つたわらないのがあった」「解釈かいしゃくが食くい違ちがっているからこそ、全まったく別べつのニュアンスが浮うかび上あがった」「日本語にほんごの口くちパクで作つくったのに、英語えいごの口くちパクでも見事みごとに合あっていたのは向むこうのキャストの技術ぎじゅつがすごい。けれど、どんな人ひとが聞きいてもわかる英語えいご・正ただしい英語えいごを使つかっていて、芝居しばいのニュアンスがメタメタで、セリフとしても全然ぜんぜんいいのがなかった。逆説ぎゃくせつ的てきに『わずか2日間にちかんという限かぎられた時間じかんで、役やくを掴つかみ、セリフ・呼吸こきゅう・セリフとセリフの間あいだ等とう、全部ぜんぶ含ふくめて芝居しばいで正まさしく吹ふき込こんでいく』とまずできる人じんがいない作業さぎょうをこなす日本にっぽんの専業せんぎょう声優せいゆうの皆様みなさまは『偉大いだいな仕事しごとをしているな』と思おもった」と振ふり返かえっている。

キャスト

役名やくめい	日本語にほんご版ばん		英語えいご版ばん
	1995年版ねんばん	2.0
草薙くさなぎ素子もとこ	田中たなか敦子あつこ		ミミ・ウッズ
バトー	大塚おおつか明夫あきお		リチャード・ジョージ
トグサ	山寺やまでら宏一こういち		クリストファー・ジョイス
イシカワ	仲野なかの裕ひろし		マイク・ソリッチ
荒巻あらまき大輔だいすけ	大木おおき民夫たみお		ウィリアム・フレデリック
中村なかむら公安こうあん6課か部長ぶちょう	玄田げんだ哲章てっしょう		ベン・アイザックソン
ウィリス博士はかせ	生木なまき政せい壽ことぶき	小林こばやし勝也かつや	フィル・ウィリアムズ
外務がいむ大臣だいじん	山内やまうち雅人まさと	勝部かつべ演えんじ之これ	マイク・レイノルズ
外交がいこう官かん	小川おがわ真司しんじ		スティーヴ・デイヴィス
台田だいだ瑞穂みずほ	宮本みやもと充たかし	保ほ村むら真しん	スティーヴ・デイヴィス
清掃せいそう局員きょくいん	山路やまじ和弘かずひろ	目黒めぐろ光ひかり祐ゆう	トム・カールトン
清掃せいそう局員きょくいん	千葉ちば繁しげる	中なか博史ひろふみ	ダグ・ストーン
検死けんし官かん	家中いえじゅう宏ひろし	斧おのアツシ	スティーヴ・ブーレン
オッサン	松尾まつお銀ぎん三さん	立木たちき文彦ふみひこ	ジョージ・セリック
実行じっこう犯はん	松山まつやま鷹たか志こころざし		ジョン・スナイダー
技師ぎし	小高おだか三良さぶろう		スティーヴン・プラット
技師ぎしA		東ひがし地ち宏樹ひろき
技師ぎしB		杉山すぎやま大まさる
運転うんてん手しゅ	佐藤さとう政道まさみち		ジョー・マイケルズ
オペレーター	林田はやしだ篤子あつこ	大野おおのエリ	ドロシー・ガブリエル
通信つうしんの声こえ	上田うえだ祐司ゆうじ		リア・サージェント
狙撃そげき手しゅ	亀山かめやま俊樹としき		スティーヴ・デイヴィス
指揮しき官かん	後藤ごとう敦あつし	三宅みやけ健太けんた
少女しょうじょ（草薙くさなぎ）	坂本さかもと真しん綾あや		ミミ・ウッズ
人形にんぎょう使づかい	家いえ弓ゆみ家正いえまさ	榊原さかきばら良子りょうこ	エイブ・ラッサー
その他た	魏ぎ敬けい坪つぼ 頼よりゆき宝たから玲れい 錢せん行こう Glen Wood 黄き慧とし羚 細江ほそえいづみ 郭かく仲なか堅けん Jeffrey Kelsch 鄭てい立だて偉えら 蘇そ望のぞむ麟 太田おおた元子もとこ 蔡珏玲れい 黄き美び児じ 李り冬ふゆ梅うめ Tracy Murphy 樋上ひがみ晴彦はるひこ 譚たん毅あつし 戦たたかえ麗うらら妹いもうと 石いし良友りょうゆう 増山ますやま賢治けんじ		ロジャー・キャンフィールド ジナ・コネル レオ・グレイ メグ・ハミルトン ミルトン・ジェームス ジョアン・メイソン ギルバート・ナヴァロ トニ・バーク グロリア・オールドマン ベン・パークス スコット・プレンソア S・J・ シャルヴァン ドナルド・セイリン サム・シェーファー エイミー・ウォン

スタッフ

• 原作げんさく - 士郎しろう正宗まさむね（講談社こうだんしゃ ヤングマガジンKCDX）
• 監督かんとく・絵えコンテ - 押井おしい守まもる
• 脚本きゃくほん - 伊藤いとう和典かずのり
• 演出えんしゅつ - 西久保にしくぼ利彦としひこ
• キャラクターデザイン - 沖浦おきうら啓之ひろゆき
• 作画さくが監督かんとく - 黄瀬きのせ和哉かずや、沖浦おきうら啓之ひろゆき
• メカニックデザイン - 河かわ森もり正治しょうじ、竹内たけうち敦志あつし
• 銃器じゅうきデザイン - 磯いそ光雄みつお
• 原画げんが - 井上いのうえ俊之としゆき、川崎かわさき博嗣ひろつぐ、岡村おかむら天たかし斎とき、江村えむら豊秋とよあき、竹内たけうち敦志あつし、安藤あんどう真しん裕ひろし、新井あらい浩一こういち、江口えぐち寿志ひさし、村木むらき靖やすし、磯いそ光雄みつお、荒川あらかわ真しん嗣、星ほし和伸かずのぶ、丹沢たんざわ学まなぶ、大島おおしま康弘やすひろ、石井いしい明治あきはる、谷津たにつ美弥子みやこ、大川おおかわ弘義ひろよし、川名かわな久美子くみこ、伊藤いとう嘉之よしゆき、吉原よしはら正行まさゆき、田中たなか雄一ゆういち、斎藤さいとう哲人てつと、小村こむら方ほう宏治こうじ、佐々木ささき守まもる、橋本はしもと敬たかし史し、浜はま洲しま英喜ひでき、黄瀬きのせ和哉かずや、沖浦おきうら啓之ひろゆき
• レイアウト - 渡部わたなべ隆たかし、黄瀬きのせ和哉かずや、沖浦おきうら啓之ひろゆき、竹内たけうち敦志あつし、末すえ武たけ康光やすみつ
• 美術びじゅつ設定せってい - 渡部わたなべ隆たかし
• 美術びじゅつ監督かんとく - 小倉おぐら宏昌ひろあき
• 撮影さつえい - 白井しらい久男ひさお（スタジオ・コスモス）
• 編集へんしゅう - 掛かけ須秀一いち（ジェイ・フィルム）
• 音楽おんがく - 川井かわい憲次けんじ
• 音響おんきょう監督かんとく - 若林わかばやし和弘かずひろ（オムニバスプロモーション）
• 日本語にほんごイメージソング （宣伝せんでんCM楽曲がっきょく）- 樋口ひぐち沙絵子さえこ「未来みらいへの約束やくそく」
• 色彩しきさい設定せってい - 遊佐ゆさ久美子くみこ
• CG制作せいさく - オムニバス・ジャパン
• アニメーション制作せいさく - Production I.G
• 製作せいさく - 講談社こうだんしゃ、バンダイビジュアル、MANGA ENTERTAINMENT
• 配給はいきゅう - 松竹しょうちく（1995年版ねんばん）、ワーナー・ブラザース映画えいが（2.0）

サウンドトラック

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊こうかくきどうたい オリジナル・サウンドトラック

『ネットの海うみ』をイメージしたプリントパターンに草薙くさなぎ素子もとこのバストアップがあしらわれたカバーアートには、サブタイトルとして People love machines in 2029 A.D. "Who are you? Who slips into my robot body and whispers to my ghost?" と記しるされている。

作曲さっきょく・演奏えんそう・編曲へんきょく：川井かわい憲次けんじ

発売はつばい：1995.11.22 アルバムCD

BMGファンハウス（ASIN B0000076D8）

• 1.M01 謡うたいI - Making of Cyborg
• 2.M02 Ghosthack（本編ほんぺん未み使用しよう）
• 3.EXM Puppetmaster
• 4.M04 Virtual Crime
• 5.M05 謡うたいII - Ghost City
• 6.M06 Access
• 7.M07 Nightstalker
• 8.M08 Floating Museum
• 9.M09 Ghostdive
• 10.M10 謡うたいIII - Reincarnation
• 11.Bonus track 挿入歌そうにゅうか 毎ごと天見あまみ一見いっけん!（Vo:Fang Ka Wing ； 作詞さくし：Pong Chack Man）

受賞じゅしょう歴れき

• 1995年ねん 第だい5回かい東京とうきょうスポーツ映画えいが大賞たいしょう - 作品さくひん賞しょう、主演しゅえん女優じょゆう賞しょう
• 1996年ねん12月8日にち 第だい1回かいアニメーション神戸こうべ賞しょう - 作品さくひん賞しょう
• 1997年ねん 第だい4回かいジュラルメール・ファンタスティック映画えいが祭さい（FESTIVAL DE GERARDMER FANTASTIC ARTS）ノミネート
• International Fantasy Film 最優秀さいゆうしゅうフィルム賞しょう

評価ひょうか

押井おしいは「『とりあえず、予算よさんと時間じかんの許ゆるす範囲はんいで出来できたかな』と結構けっこう満足まんぞくしています。特とくにドルビーサラウンドを使つかった音響おんきょう演出えんしゅつに関かんしては、川井かわいさんの音楽おんがくも含ふくめてかなりうまくいった」と嬉うれし気きに振ふり返かえっている。反面はんめん、「アニメーションは結局けっきょく、人間にんげんがある決きまった大おおきさの紙かみの上うえに描えがいていくので、絵えで作つくられた映像えいぞうには臨場りんじょう感かんの表現ひょうげんに対たいする物理ぶつり的てきな限界げんかいがあるんですよ。コンピューターのデジタルツールを使つかって、多少たしょう拡張かくちょうできたけど、無む制限せいげんに広ひろげていけるわけではない」と表現ひょうげんの行いき詰づまりについて語かたっている。

原作げんさくの士郎しろう正宗まさむねは「原作げんさく者しゃが横よこから口くちを出だすとかえってややこしくなる」と危惧きぐし、企画きかく段階だんかいから「原作げんさくを気きにしないで欲ほしい」と要望ようぼうを出だしており、その後ごも度々たびたび制作せいさくについて相談そうだんして、押井おしいの演出えんしゅつプランを見みる度たびに、段々だんだんと心配しんぱいがなくなっていった。試写ししゃ後ごに押井おしいと会あっても挨拶あいさつしかしなかったというが、後のちに本ほん作さくに対たいして「気きに入いっているシーンは、夜よるに素子そしがバトーに海うみに潜くぐる理由りゆうを語かたる所ところと、素子そしが自分じぶんと同型どうけいの義ぎ体たいを使つかっている人物じんぶつと目めが合あう所ところ」「もっと押井おしい監督かんとくの意向いこうを全面ぜんめんに出ださせる様ように働はたらきかけるべきだった」「時間じかんがあれば、自分じぶんの手てで映画えいが化かしたかった」「CGの技術ぎじゅつ課題かだいもあるもののそれを忘わすれる程ほど優すぐれた演出えんしゅつだった」と複雑ふくざつな胸中きょうちゅうを吐露とろしている。

ジェームズ・キャメロンは、「大人おとなのSFに刺激しげきを受うけた。素晴すばらしい作品さくひんだと思おもう。いろんな点てんで最高さいこう」と語かたっている。お気きに入いりのシーンは水面すいめんに浮上ふじょうするシーンと博物館はくぶつかんの銃撃じゅうげき戦せん、ネットワークに入はいり込こむシーンで、ガンアクションには「『どうやって映像えいぞう化かしたんだ?』と感嘆かんたんした」・水面すいめんに映うつるビルや信号しんごうには「詩的してきさを与あたえている」と述のべており、自みずからの映画えいが『アバター』もその影響えいきょうを受うけたとしている。

ウォシャウスキー姉妹しまいは、『マトリックス』を監督かんとくするにあたって製作せいさくのジョエル・シルバーに本ほん作さくを実写じっしゃ化かしたいと語かたっていたという。マトリックスではオープニングの黒くろい画面がめんにグリーンの文字もじが流ながれる通称つうしょう「マトリックスコード」、後頭部こうとうぶにプラグを挿さす、ビルの屋上おくじょうに着地ちゃくちした際さいに地面じめんのコンクリートがめくれ上あがる、ロビーでの銃撃じゅうげき戦せんで柱はしらが粉砕ふんさいされる、市場いちばでの銃撃じゅうげきシーンでスイカが被弾ひだんして割われる、全裸ぜんらで水溶液すいようえきに浸つかる人間にんげんなどは本ほん作さくと共通きょうつうしている。

関連かんれん書籍しょせき

• 『攻殻機動隊こうかくきどうたい』（アニメコミックス） （講談社こうだんしゃ、発売はつばい日び：1995年ねん11月22日にち、ISBN 978-4061744806） 全ぜんカラー、映画えいがのシーンから全ぜんセリフを採録さいろく
• 『THE ANALYSIS OF攻殻機動隊こうかくきどうたい―GHOST IN THE SHELL』ムック（講談社こうだんしゃ、発売はつばい日び：1995年ねん11月、ISBN 978-4063196405）　映画えいがの原画げんが、レイアウト収録しゅうろく
• 『攻殻機動隊こうかくきどうたい絵え コンテ集しゅう』 ペーパーバック（キネマ旬報社きねまじゅんぽうしゃ、発売はつばい日び：1995年ねん11月28日にち、ISBN 978-4873761473）
• 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊こうかくきどうたい 原画げんが集しゅう -Archives-』（マッグガーデン、発売はつばい日び：2014年ねん8月がつ8日にち、ISBN 978-4800003539）

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• ぱふ編集へんしゅう部ぶ「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊こうかくきどうたい 劇場げきじょう公開こうかい直前ちょくぜんSPECIAL」『ぱふ』1995年ねん12月がつ号ごう、雑草ざっそう社しゃ、1995年ねん12月。 
• ユリイカ編集へんしゅう部ぶ「映画えいがとは実じつはアニメーションだった 押井おしい守まもる 伊藤いとう和典かずのり 上野うえの俊哉としや 徹底てってい討議とうぎ」『ユリイカ』1996年ねん8月がつ号ごう、青土おうづち社しゃ、1996年ねん8月がつ。 
• 押井おしい守まもる、竹内たけうち敦志あつし『押井おしい守まもる・映像えいぞう機械きかい論ろん 「メカフィリア」』大だい日本にっぽん絵画かいが、2004年ねん。ISBN 978-4-49-922754-4。 
• アニメージュ編集へんしゅう部ぶ『ロマンアルバム イノセンス 押井おしい守まもるの世界せかい PERSONA 増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』徳間書店とくましょてん、2004年ねん。ISBN 978-4-19-720229-4。 
• 押井おしい守まもる『押井おしい言論げんろん 2012 - 2015』サイゾー、2016年ねん。ISBN 978-4904209936。 

外部がいぶリンク

• Production I.G
• Movie Review Query Engine - Kôkaku kidôtai（1995）
• GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊こうかくきどうたい2.0 - allcinema
• GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊こうかくきどうたい2.0 - IMDb（英語えいご）