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IMS - Wikipedia

IMS英語えいご: Information Management System、アイエムエス)は、IBMが1968ねん発表はっぴょうしたメインフレームようトランザクション・マネージャーおよび階層かいそうデータベース・マネージャー[2]。IMSはz/OSうえ稼働かどうするミドルウェアで、IMSトランザクション・マネージャー (IMS TM)とIMSデータベース・マネージャー (IMS DB)の2つのコンポーネントがふくまれる。

Information Management System (IMS)
開発元かいはつもと IBM
最新さいしんばん
V15.4 / 2023ねん6がつ発表はっぴょう[1]
対応たいおうOS z/OS
種別しゅべつ トランザクションモニター / DBMS
ライセンス プロプライエタリ (IPLA)
公式こうしきサイト IMS family
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概要がいよう

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IMSは、商用しょうようでははじめての本格ほんかくてきなデータ管理かんりシステム(情報じょうほう管理かんりシステム)であり、とくたか信頼しんらいせい可用性かようせい処理しょり速度そくど容量ようりょうもとめられるデータ処理しょり使用しようされる。

IMSは以下いかの2機能きのうから構成こうせいされる。

  • IMS Transaction Server
トランザクション処理しょりシステム。IMS Transaction Manager (IMS TM)により実現じつげんされる。旧称きゅうしょうはIMS Data Communication(IMS DC)。
  • IMS Database Server
階層かいそうがたデータモデルデータベース管理かんりシステム。IMS Database Manager (IMS DB)により実現じつげんされる。

上記じょうき2機能きのうは、1機能きのうのみの使用しようもできるため、2機能きのうをまとめてIMS TM/DB(旧称きゅうしょうIMS DB/DC)ともぶ。IMS DBをべつのトランザクション処理しょりシステム(CICSなど)とわせることもできる。関係かんけいデータベース管理かんりシステム(RDBMS) であるDB2も、IMSに搭載とうさいされるDBMSとして開発かいはつされてきたとわれる。

IMSは、IBMメインフレーム専用せんようオペレーティングシステムである、MVSOS/390z/OSうえでのみ稼動かどうする。おなじIBMメインフレーム専用せんようOSでも、VMVSEでは稼動かどうしない。(MVSけい基本きほん機能きのうである、複数ふくすうアドレス空間くうかん使用しようしているため。)

特徴とくちょう

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以下いか理由りゆうから、非常ひじょうだい規模きぼ情報じょうほうシステム使つかわれる。

  • データベースが階層かいそうがたデータモデルであり、応答おうとう時間じかん(レスポンスタイム)をかなり正確せいかく見積みつもれる
  • とく参照さんしょう頻度ひんどたかいDB(テーブル)はメモリうえ展開てんかいできる
  • 高機能こうきのうクラスタであるXRF(専用せんようのネットワーク機器きき連携れんけいし、引継ひきつ瞬断しゅんだんがほとんどい)
  • (IMSにかぎらないが)修正しゅうせいプログラム (FIX) とう単体たんたい取寄とりよせ・適用てきようできる

ただし以下いかのように専用せんよう知識ちしき(スキル)が必要ひつようである。

  • プログラム開発かいはつにはデータ照会しょうかい言語げんごDL/I使用しようする
  • 運用うんよう管理かんりにはメインフレーム知識ちしき費用ひよう必要ひつよう

だい規模きぼなシステムでは、IMS/ESAに金融きんゆう機関きかんけパッケージ「SAIL/ESA」(System Development Aid for IMS/ESA On-Line Applications) [3]わせ、SAIL/ESA の提供ていきょうするAPI(マクロ)でアプリケーションを構築こうちくする場合ばあいおおい。

実績じっせき

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日本にっぽん金融きんゆう機関きかんでの実績じっせき勘定かんじょうけいシステム#おも銀行ぎんこう勘定かんじょうけいシステム参照さんしょう

IBM1966ねんロックウェル・インターナショナルキャタピラーしゃとともに、アポロ計画けいかくのために IMS の設計せっけいはじめた。IMSは、サターンVロケットサターンロケット)やアポロ宇宙船うちゅうせん膨大ぼうだいなパーツを整理せいりしその目録もくろくつくるために開発かいはつされた。

最初さいしょの「IMS READY」というメッセージは、1968ねん8がつ14にちカリフォルニアしゅう Downey のIBM 2740端末たんまつあらわれた。以来いらいIMSは40ねん以上いじょうわたって、System/360うご重要じゅうようミドルウェアの1つとしてまれてから、2000年代ねんだい初頭しょとうz/OSSystem z9うご2005ねん現在げんざいいたるまで、稼動かどうつづけている。IMS は2024ねん現在げんざいJavaJDBCXMLWebサービスをサポートする。

ヴァーン・ワッツ (Vern Watts) はIMSのチーフ・アーキテクトである。ワッツは1950年代ねんだい後半こうはんに IBM に参加さんかし、2005ねん現在げんざいも IBM のシリコンバレー研究所けんきゅうじょはたらいている。かれは、1960年代ねんだいからずっとIMSにかかわる仕事しごとをしている。

1987ねんにはIMSのクラスタリングであるExtended Recovery Facility(XRF、拡張かくちょう回復かいふく機能きのう)が登場とうじょうした[4]

DEDBはVSAMうえにのみ作成さくせいすることができる。DL/IデータベースはVSAM、OSAM両方りょうほううえ作成さくせいすることができる。どのアクセス方式ほうしきにデータベースを作成さくせいできるかは、データベースの編成へんせいによってまる。2005ねん現在げんざいではz/OSのVSAMデータセットのサイズは最大さいだい128テラバイトだが、IMSがあつかえるVSAMデータセットのおおきさは4ギガバイト、OSAMデータセットは8ギガバイトに制限せいげんされている。これはIMSのユーザーが、大量たいりょうのデータをあつか場合ばあいはマルチ・データセットを使つかうことによる。「VSAM」や「OSAM」は通常つうじょう、アクセス方式ほうしきれいとして言及げんきゅうされる言葉ことばである。IMSデータベースの論理ろんりてきなVIEWとしては、データベースの編成へんせいとして言及げんきゅうされる(HDAM、HIDAM、HISAM、ほか)。内部ないぶのデータは、4バイトのポインターまたはアドレスによってリンクされる。データベースが作成さくせいされているデータセットじょうではRBA (relative byte addresses) として言及げんきゅうされる。

IMSの基本きほんてきな3つの階層かいそうがたデータベース

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フル・ファンクション・データベース

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DL/Iデータベースと同様どうように、アポロ計画けいかくのために開発かいはつされた。フル・ファンクション・データベースは、プライマリ/セカンダリ インデックスをつことができ、業務ぎょうむアプリケーションプログラムからは DL/Iコール でアクセスする。DB2Oracle DatabaseのようなSQLコールとはことなっている。

フル・ファンクション・テータベースは複数ふくすうのアクセス方式ほうしき (access method) をつ。HDAM (Hierarchical Direct)、HIDAM (Hierarchical Indexed Direct) が主要しゅようなアクセス方式ほうしきである。に、SHISAM (Simple Hierarchical Indexed Sequential)、HSAM (Hierarchical Sequential)、HISAM (Hierarchical Indexed Sequential) がある。

フル・ファンクション・テータベースのデータはz/OSネイティブなアクセス方式ほうしきVSAMか、OSAM (Overflow Sequential) を使つかってストアされる。これらはIMSのアクセスパターンようの I/Oチャネルプログラムに最適さいてきなものである。とりわけOSAMはIMSデータベースへのシーケンシャルなアクセスにパフォーマンスじょうおおきな利益りえきをもたらす (OSAM Sequential Buffering)。

ファスト・パス・データベース

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ファスト・パス・データベースは、トランザクションを高速こうそく処理しょりすることを目的もくてきとして開発かいはつされたデータベースのタイプである。ファスト・パス・データベースとしては、DEDB (Data Entry Databases) およびMSDB (Main Storage Databases) の2つの種類しゅるい編成へんせい方式ほうしき存在そんざいする。どちらの編成へんせいもインデックスをつことは出来できないが、DEDBはインデックスのわりにランダマイザとばれるプログラムをもちいて、キーからレコードの位置いち特定とくていする。MSDBはレコードをすべてメモリじょう展開てんかいするDBであり、小規模しょうきぼとくにアクセス頻度ひんどたかいDBにいている。IMSの最新さいしんのバージョンでは、DEDBにおいてもVSO (Virtual Storage Option) 機能きのうによりDBをメモリじょう展開てんかいすることが可能かのうとなっている。またそれにくわえ、MSDBはSYSPLEX環境かんきょうでの共用きょうよう不可能ふかのうなため、MSDBは徐々じょじょ姿すがたしつつある。

High Availability Large Databases (HALDB)

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IMS V7から実装じっそうされた。フル・ファンクション・データベースの可用性かようせいたかめ、巨大きょだいなデータベースをあつかうことを可能かのうにしたものである。IMS V9からオンライン再編さいへんをサポートするようになった(サードパーティーによる製品せいひんではIMS V9よりまえからオンライン再編さいへん実施じっしするツールはった)。

IMSはまた、強力きょうりょくトランザクション処理しょりソフトウェアとしてられる(IMS TMまたはIMS DC)。CICS (Customer Information Control System)、Jakarta EEとくWebSphere Application Serverうえ稼動かどうする)とならんで、3だいトランザクション処理しょりソフトウェアの1つといわれている。トランザクションマネージャーは、エンドユーザー業務ぎょうむ処理しょりおこな業務ぎょうむアプリケーション(たとえば銀行ぎんこう預金よきんしシステム)とのあいだち(VTAMTCP/IP3270Webユーザインタフェースとおして)、業務ぎょうむアプリケーションがレコード処理しょりし、まさしくデータストアに格納かくのうし、プロセス終了しゅうりょうするまでその状態じょうたい維持いじする。IMS TM (IMS DC) はデータベースわせ、更新こうしんするインタフェースを提供ていきょうするというてんにおいて、たとえばCGIプログラムで稼動かどうするウェブアプリケーションている。IMS TM (IMS DC) のバックエンドデータベースとしてはIMS DBかDB2かれるのが典型てんけいてきなパターンである。

IMS TM (IMS DC) はメッセージングとキューイングのパラダイムもちいる。IMSのコントロールプログラムは端末たんまつから入力にゅうりょくされた(打鍵だけんされた)トランザクションをり、メモリまたはデータセットに用意よういされたメッセージキューにストアする。つぎにIMSはメッセージ・キューに格納かくのうされたトランザクションにたいするスケジューラーをし、メッセージ・プロセッシング・リージョンに展開てんかいされている業務ぎょうむ処理しょりアプリケーションを起動きどうさせる。メッセージ・プロセッシング・リージョンはIMSのメッセージ・キューに格納かくのうしたそのトランザクションを検索けんさくしこれを処理しょりし、IMSまたはDB2のデータベースをみ、更新こうしんし、そのトランザクションのただしいレコーディングを保証ほしょうする。そして、もし要求ようきゅうがあれば、IMS は、応答おうとうメッセージを IMS メッセージ・キューに格納かくのうする。そのメッセージはメッセージ・キューからされ、IMS のコントロールプログラムはトランザクションが入力にゅうりょくされた(打鍵だけんされた)最初さいしょ端末たんまつへ、そのメッセージをおくかえす。IMS TM (IMS DC) は、1秒間びょうかんなんせんなんまんという単位たんいで、このプロセス全体ぜんたいをハンドリングする。

ビジネス行政ぎょうせいは、そのトランザクションを処理しょりする環境かんきょう必要ひつようとした。IMS TM (IMS DC) は、簡単かんたんに、使つかいやすいかたちで、信頼しんらいせいたかく、効率こうりつてきなトランザクション処理しょりおこなうスタンダードな環境かんきょう提供ていきょうする。実際じっさい世界中せかいじゅう銀行ぎんこう業界ぎょうかいはこのIMSにたよっている。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう準備じゅんび制度せいどもそうである。現金げんきん自動じどうあづばら (ATM) からの預金よきん要求ようきゅうは、IMSトランザクションのトリガーである。最近さいきん(2005ねんからて)、急速きゅうそく発展はってんするくに金融きんゆうぎょうささえるため、中国ちゅうごくすうぎょう銀行ぎんこうがIMSを購入こうにゅうした。報道ほうどうによれば、そのときのIMS単体たんたい価格かかくは、1年間ねんかんで10おくUSドルだそうである。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ IBM Information Management System 15.4 brings further enhancements to support application modernization, performance, and serviceability
  2. ^ IBM 情報じょうほう管理かんりシステム (IMS)
  3. ^ 日本にっぽんIBM SAIL/ESA 概説がいせつしょ”. 2008ねん3がつ21にち閲覧えつらん
  4. ^ IMS XRF and Parallel Sysplex: A Positioning Paper

外部がいぶリンク

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