Sons
『Sons』(サンズ ムーン・ライティング・シリーズ)は
概要
本 作品 の位置 づけ
『はみだしっ
あらすじ
1つはD.D.
2つめは
3つめはトマスの
4つめはウィリアムの「
変身 について
トマスの
登場 人物
D.D.とトマスの世界
- D.D.
- ダドリー・デヴィッド・トレバー。11
歳 。本 作品 のナレーター。トマスは彼 のことを「D」、トマス以外 の人 は「D.D.」とイニシャルで呼 ぶ。イニシャルをすべて書 くと「D.D.T.」になり、農薬 としてかつて使 われたDDTと同 じになるのは作者 三原 順 のお遊 びである。 - ピーターとエレの
次男 として暮 らしているが、彼 らは祖父母 でありかつ養父母 であり、実 親 は彼 らの娘 のジニーと、彼女 の従兄 妹 であるウィリアムの父 違 いの弟 :ジャスティン(現在 は改名 してクリストファー・ロンバート)である。 地元 から遠 く離 れた寄宿 制 の学校 に通 っていたが騒動 を起 こして退学 。地元 の学校 に転入 した。アウトドアを好 み、動植物 と戯 れるのを好 む。直観 で行動 しがち。- トマス
- トマス・リブナー。11
歳 。D.D.と同 時期 に転入 してきた祖父 が狼 男 の少年 。父親 は祖父 の死後 、半月 (はんげつ)の夜 に猪 に変身 するようになった。インドア好 きで汗 をかくのが嫌 い。料理 に興味 を持 つものの母親 に理解 されず不満 を募 らせていたがD.D.家 で毎週 末 料理 をすることをD.D.の母 に認 められ、「叔母 様 」となつくようになる。考 えず直観 で行動 するD.D.に振 り回 される。父親 が猪 の状態 で見 かけられ、村 が猪狩 に湧 いたため再 び引越 し。以後 はD.D.や他 の級友 とも(『ムーン・ライティング』のときまで)連絡 を取 らなかった。 - ウィリアム
- ウィリアム・ジョンソン。D.D.の「
従兄 」であり「伯父 」であり「祖母 の甥 」。ムーン・ライティング・シリーズにおいて、文明 社会 ・資本 主義 社会 における成功 者 を体現 した人物 として描 かれる。父親 の小 さな靴 屋 を引 き継 いで、革 製品 一般 を扱 う企業 に成長 させ、町 に工場 をつくり数 多 くの町 の人 を雇 っている町 の名士 。工場 が火事 で焼 け落 ちるとその保険 金 で委任 状 争奪 (プロキシー・ファイト) (en:Proxy fight) によるM&Aに乗 り出 す。 反面 、家族 関係 では不幸 が続 く。父親 は泥酔 して凍死 、妻 のマギーは精神 のバランスを崩 した後 離別 、長男 のジュニアはピストル自殺 で失 う。2度目 の妻 アイダは自 ら離別 するなど、あえてそうしている節 もある。- スティン
- ジャスティン・ジョンソン、24
歳 。現在 は改名 してクリストファー・ロンバート。ウィリアムの父 違 いの弟 。幼少 期 はウィリアムとともにジョンソン家 で暮 らすが、養父 (ウィリアムの父 )に虐待 され、トレーバー家 によく避難 しジニーと仲良 くなる。実父 の家 に養子 になる際 に、ジャスティン家 との絆 を断 つために母 の企 みで死 に至 る病 に罹 ったと噂 を広 められ、自身 もそれを信 じ込 んで絶望 し、ジニーと子 を作 る。ロンバート家 に養子 に入 った後 、D.D.が生 まれたことを知 り、何 度 か彼 と接触 する。独身 主義 者 。 - ジュニア
- ウィリアム・ジョンソン・ジュニア。14
歳 。ウィリアムの長男 。父 を越 えられないことを気 づき、父 とは違 う何 かになろうと抗 った。6歳 のときに祖母 の死 を目撃 し、父 が殺害 したとの疑 いを持 ち心 に傷 を負 う。それを克服 するために作家 になろうとしたり、街 の不良 と付 き合 って父 の枠 から外 れようとしたが事故 を起 こし、逆 に裁判 等 のために父 に世話 になる。父 とは違 うことを証明 するため、また生 き続 ける理由 を見 つけるためにロシアンルーレットで拳銃 自殺 。D.D.に借 りた本 に暗号 めいた方法 で日記 をつけたためにD.D.らを事件 に巻 き込 むことになった。 - ケビン
- ケビン・ジョンソン。ウィリアムの
次男 。D.D.と同 い年 (11歳 )。偉大 な父 と同等 、あるいはそれを越 えようと努力 するが、その努力 のために周囲 との軋轢 を生 む、いつでも自分 が勝 たなければ気 が済 まない少年 。ジュニアの事故 に同席 し、ジュニアの無実 を証言 する。そのためにジュニアのかつての仲間 達 に誘拐 され、脅迫 をうけた。 - ダニエル
- ダニエル・ジョンソン。ウィリアムの
三男 。Sonsの作中 では赤 ん坊 で殆 ど関 わってこないが、最後 (時間 軸 的 にはムーン・ライティングでの一連 の騒 ぎの後 )ウィリアムと喧嘩 した形 で、妹 ・シャーリーと共 にD.D.を訪 ねてくる。一緒 に会 ったトマスに、赤 ん坊 だった自分 と会 ったことがあると聞 いて「僕 の母 さん知 ってる?」と尋 ねていた。そんな彼 にD.D.が彼女 の話 をするシーンでこの物語 は終 わる。 - マギー
- ウィリアムの
前妻 。ジュニアとケビンの母 。幼少 期 のD.D.が懐 いていた。ウィリアムの母 の死亡 事故 を目撃 し、心 のバランスを崩 す。離別 後 に回復 するが、ジュニアの自殺 を目撃 して再 び入院 。 - アイダ
- ウィリアムの2
番目 の妻 。ウィリアムの三男 ダニエルを産 む。自分 に正直 で思 ったことはすぐに口 にするため、町 の人 たちと齟齬 を生 んだ。ウィリアムがM&Aに乗 り出 す際 にその性格 が禍 すると考 えたウィリアムによって離別 され、ダニエルを奪 われる。 - サラ
- ウィリアムの
秘書 で3番目 の妻 。ウィリアムのM&Aを手伝 い、妊娠 したがウィリアムの功利 主義 的 性格 のため一 度 は堕胎 を決心 するが、心 を変 えウィリアムの長女 シャーリーを産 む。 - ロジャー
- ウィリアムの
顧問 弁護士 。ウィリアムのM&Aおよびアイダとの離婚 協議 を担当 。ロボに懐 かれている。D.D.の良 き話 し相手 。 - エレ
- エレ・トレーバー。D.D.の「
母 」であるが実際 には祖母 。D.D.からの呼 び名 は「お母 ちゃん」。可哀想 な子 は放 っておけない。どんなことに対 しても相手 に同情 し受 け入 れる。 - ピーター
- ピーター・トレーバー。D.D.の「
父 」あるが実際 には祖父 。D.D.からの呼 び名 は「お父 ちゃん」。農夫 であり自宅 に同居 しているジムとともに農業 を営 む。 - クリント
- クリント・トレーバー。24
歳 。D.D.の「兄 」であるが実際 には伯父 。D.D.からの呼 び名 は「兄貴 」。双子 の妹 ジニーが妊娠 し後 に死亡 したことが心 の傷 となり、残 されたD.D.に対 して厳 しく躾 ける。海洋 調査 会社 に務 め、実家 からは離 れて暮 らしている。物語 中盤 でヘレン・カーターという女性 と婚約 。 - ジニー
- ジニー・トレーバー。ピーターとエレの
娘 でクリントの双子 の妹 。D.D.の実母 。13歳 でスティンの子 を身 ごもり、D.D.を出産 。スティンに会 うためにジョンソン家 を尋 ね、ウィリアムの母 に罵倒 されて、錯乱 。D.D.を森 の中 で殺 しかけ、川 にはまって死亡 。 - リチャード
- リチャード・ジョンソン。ウィリアムの
父 。本人 によれば靴 職人 として「腕 はいい」のだが、大 恐慌 のために職 を失 い、小 さな町 の小 さな店 で終 わった。アルコール依存 症 であり、妻 が余所 の男 と作 ったスティンを虐待 する。最期 は酔 ったまま雪 の中 で寝込 み、凍死 。 - ドナ
- ドナ・ジョンソン。ウィリアムの
母 。酒乱 気味 の夫 リチャードを嫌 い度々 家出 する。家出 の途中 で出会 った富裕 なロンバートの子 を身 ごもり、ジョンソン家 に戻 ってからスティンを出産 。夫 の死後 、子 がもうけられなかったロンバート家 にスティンを養子 に入 れようと画策 。出身 の町 との縁 を切 らせるためにスティンが死病 に罹 り死 んだことにする。その真実 を知 ったウィリアムがスティンにD.D.の出生 を知 らせようと出発 するのを阻止 しようと殺 そうとまでしたが、逆 に自分 が死 んでしまう。 - タイラー
- タイラーは
姓 。名 は物語 では出 てこない。マギーの兄 。息子 がジュニアの拳銃 自殺 を目前 で目撃 しており、息子 とマギーの心 の傷 を癒 すためにジュニアの自殺 の原因 を探 ろうと探偵 を雇 う。ウィリアムが原因 だと思 い込 んでおり、自殺 に用 いた拳銃 もウィリアムが渡 したと考 えて手段 を問 わず証拠 を集 めている。 - トマスの
祖父 - ジョセフ・リブナー。
満月 の夜 に狼 に変身 する狼 男 。ただ、一般 的 なイメージの狼 男 とは違 い、変身 した際 には完璧 に狼 の形状 をとり4足 歩行 する。新月 の日 に友人 宅 を訪 れた際 にガス爆発 事故 に巻 き込 まれて死亡 した(遺体 は行方 不明 )。 - トマスの
父 - アレックス・リブナー。
父親 (トマスの祖父 )の死後 、半月 の夜 に猪 に変身 するようになった。これも完璧 に猪 の形状 をとり4足 歩行 するため、外見 的 には野生 の猪 と区別 が着 かない。川 に落 ちたD.D.を救 ったりなど物語 中 で活躍 するが、人間 のときの顔 は一 度 もでなかった。 - フォルナーの
婆 さん - エリザベス・フォルナー。D.D.の
呼 び名 は「ばあちゃん」であるが血縁 関係 はない。D.D.が幼少 のときよりなついていた近所 でも有名 な偏屈 な老女 。100歳 まで生 きることを公言 し、実際 に100歳 の誕生 日 に亡 くなった。幼 いD.D.が現在 の父母 (ピーターとエレ)が実 の父母 でないことを知 っていることを知 り、彼 の居場所 として彼 を肯定 的 に受 け止 める心 の拠 り所 となった。死後 、D.D.の実父 スティンにD.D.の様子 を知 らせていたことが(本人 の意志 より早 く)D.D.に知 らされた。 - ロージー
- D.D.の
想 い人 だが、当初 の彼女 の想 い人 はトマス。美人 の姉 と病弱 な弟 に挟 まれた、そばかすで鼻 ペチャの活発 な少女 。サッカーが好 きで負 けん気 が強 い。
「狼 男 の物語 」キャラクター
「
狼 男 全編 にわたってこの物語 の主人公 。いわゆる一般 に想像 されている狼 男 の風貌 (2足 歩行 する狼 顔 +毛 むくじゃらの獣人 体 )であるが、少女 漫画 的 にかわいらしく描 かれている。常時 獣人 体 で、最初 の設定 では「好 きな時 に人間 形態 に戻 れる」だったが、後 に「満月 のときだけ人間 形態 になる」に変更 された。「狼 男 の物語 」においてD.D.が自己 を投影 する自身 の分身 である。物語 においてはトリックスター的 な役割 を担 う。はじめは驚異 的 な身体 能力 をもって「一人 でも生 きていける」ことを象徴 する役割 であったが、案山子 に難題 を突 き付 けられ、アーニィに飼 い慣 らされ文明 化 した。最後 には狼 男 の風貌 を失 い、人間 の子供 の形態 でアーニィに手 を引 かれる。- アーニィ
海 に沈 められていた狼 男 をつり上 げた富裕 な資産 家 。禿 にサングラスが特徴 。狼 男物 語 では文明 側 の象徴 とも言 え、狼 男 とともに暮 らすことで彼 を野生 の世界 から切 り離 して「飼 い慣 らした」。最後 には現実 社会 の文明 の体現 者 ウィリアムと同一 視 されるようになった。案山子 狼 男 に「地球 に帰 る帰 り方 」を教 えるかわりに「なぜおれはここに立 ち続 けなければならないのか」と問 う、物語 においてスフィンクス的 援助 者 の役割 を担 う。「立 ち続 ける」ことは「前 に進 めない」ことの象徴 である(参照 :案山子 )。物語 後半 で、D.D.の日記 に書 かれたジュニアの日記 からジュニアに仮託 されてその問 いがD.D.の中 で問 い直 されていたが、最後 ではD.D.自身 の現状 を象徴 するものとして示 された。
書誌 情報
白泉社 〈ジェッツコミックス〉- 1987
年 7月 初版 ISBN 4-592-13401-X - 1987
年 8月 初版 ISBN 4-592-13402-8 - 1988
年 3月 初版 ISBN 4-592-13403-6 - 1988
年 10月 初版 ISBN 4-592-13404-4 - 1989
年 7月 初版 ISBN 4-592-13405-2 - 1990
年 6月 初版 ISBN 4-592-13406-0 - 1990
年 12月初版 ISBN 4-592-13407-9
- 1987
白泉社 〈白泉社 文庫 〉- 1999
年 6月 初版 ISBN 4-592-88257-1 - 1999
年 6月 初版 ISBN 4-592-88258-X - 1999
年 9月 初版 ISBN 4-592-88259-8 - 1999
年 9月 初版 ISBN 4-592-88260-1
単行本 7巻 に掲載 されている著者 あとがきは、文庫 版 には再 録 されていない
- 1999