X-47 (航空機こうくうき)

X-47 ペガサス

空中くうちゅう給油きゅうゆを受うけるX-47B

• 用途ようと：無人むじん戦闘せんとう攻撃こうげき機き
• 分類ぶんるい：UCAV
• 製造せいぞう者しゃ：ノースロップ・グラマン社しゃ、 スウィフト・エンジニアリング社しゃ
• 運用うんよう者しゃ： アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく（アメリカ海軍かいぐん）
• 初はつ飛行ひこう：
  X-47A：2003年ねん2月がつ23日にち
  X-47B：2011年ねん2月がつ4日にち
• 運用うんよう状じょう況きょう：開発かいはつ中止ちゅうし

X-47 ペガサス（Northrop Grumman X-47 Pegasus）は、ノースロップ・グラマン社しゃがアメリカ海軍かいぐん向むけに開発かいはつをしていたステルス性せいを備そなえた無人むじん戦闘せんとう攻撃こうげき機き(UCAV)である。

開発かいはつ

米国べいこくの無人むじん攻撃こうげき機きの開発かいはつでは、ボーイング社しゃがDARPAの委託いたくを受うけて米べい空軍くうぐん向むけに2機き製作せいさくされた概念がいねん実証じっしょう機きX-45Aが最初さいしょの成果せいかである。X-45Aは原寸げんすん大だいで作つくる前まえの縮小しゅくしょう版ばんの機体きたいであり、2002年ねん5月がつ22日にちに初号しょごう機きが初はつ飛行ひこうした。本来ほんらいなら、X-45Aから元もとの設計せっけいサイズまで拡大かくだいしたX-45Bと、X-45Bからさらに燃料ねんりょう搭載とうさい量りょうを3倍ばいに増ふやしたX-45Cが製作せいさくされる予定よていであったが、米べい空軍くうぐんはコストや実用じつよう性せい、戦闘せんとう倫理りんりを問題もんだいとして、X-45Aに続つづくB型がたとC型がたを作つくらないまま開発かいはつ計画けいかくを終了しゅうりょうした。

米べい空軍くうぐんの計画けいかくと並行へいこうしてDARPAから米べい海軍かいぐん向むけのUCAV開発かいはつ計画けいかくを受うけたのが当時とうじのノースロップ社しゃ（現げんノースロップ・グラマン社しゃ）である。ノースロップ社しゃの開発かいはつ試作しさく機きには"X-47"の名称めいしょうが与あたえられ、その基本形きほんけいであるX-47Aが2003年ねん2月がつ23日にちに初はつ飛行ひこうした。

X-47A

X-47A ペガサス

概念がいねん実証じっしょう機きのX-47Aはバート・ルータン率ひきいるスケールド・コンポジッツ社しゃで製造せいぞうされ、2003年ねん2月がつ23日にちにモハーヴェ砂漠さばくで初はつ飛行ひこうした。 X-47Aはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製せいのJT15D ターボファン・ジェットエンジン1基きを搭載とうさいし、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう2.7t程度ていどの全ぜん翼つばさ機きで、機体きたい平面へいめん形がたは四よん辺へん形がたであった。

続つづいて実用じつよう型がたのX-47Bが製造せいぞうされることになっていたが、2006年ねん、米国防総省べいこくぼうそうしょうの「四よん年ねんごとの国防こくぼう計画けいかく見直みなおし」(QDR:Quadrennial Defense Review)において計画けいかくは一旦いったんキャンセルされた。しかし、2007年ねん8月がつ1日にち、米べい海軍かいぐん省しょうはノースロップ・グラマン社しゃの開発かいはつ計画けいかく案あんを承認しょうにんし、「統合とうごう無人むじん戦闘せんとう航空こうくうシステム」"J-UCAS"(Joint Unmanned Combat Air Systems)計画けいかくを再編さいへんした米べい海軍かいぐん独自どくじの「無人むじん艦上かんじょう監視かんしおよび打撃だげき機き」"UCLASS"(Unmanned Carrier-Launched Airborne Surveillance and Strike)の開発かいはつ計画けいかくを決定けっていした。最低さいてい6億おく3,580万まんドル（約やく762億おく円えん）が拠出きょしゅつされ、X-47Aをベースにした無人むじん戦闘せんとう攻撃こうげき機きの実証じっしょう機きの開発かいはつが継続けいぞくされることとなる。

スペック

• 乗員じょういん：無人むじん
• 全長ぜんちょう：5.95m
• 全幅ぜんぷく：5.94m
• 全高ぜんこう：1.86m
• 空虚くうきょ重量じゅうりょう：1,740kg
• 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう：2,678kg
• 動力どうりょく：プラット・アンド・ホイットニー・カナダJT15D-5C ターボファン（14.2kN）
• 航続こうぞく距離きょり：1,500nm（2,778km）以上いじょう
• 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど：12,192m以上いじょう
• 推力すいりょく重量じゅうりょう比ひ：0.65

X-47B

X-47B ペガサス

J-UCAS計画けいかくを引ひき継ついだ米べい海軍かいぐんは X-47Aより大おおきな搭載とうさい量りょうと航続こうぞく距離きょりを求もとめられたX-47Bでは、エンジンはプラット・アンド・ホイットニー F100の単発たんぱつとされ、機体きたい規模きぼは格段かくだんに大おおきくなった。また、平面へいめん形がたも翼つばさ幅はば・翼つばさ面積めんせき・アスペクト比ひがより大おおきなものとされた。

2008年ねん3月がつ21日にち付づけの「アビエーション・ウィーク」によると、将来しょうらいのX-47は操縦そうじゅう士し抜ぬきで航空こうくう母艦ぼかんからの発はつ艦かん・着ちゃく艦かんが可能かのう、連続れんぞく飛行ひこう可能かのう時間じかんは50-100時じ間あいだ。最大さいだいの特徴とくちょうは、レーザー光線こうせんと高こう出力しゅつりょくマイクロ波は（HPM）で敵てきのミサイルや通信つうしん施設しせつを破壊はかいすることができることにあるという。ミサイル防衛ぼうえいシステムとは異ことなり発射はっしゃ段階だんかいにある敵てきの弾道だんどうミサイルをレーザーで迎撃げいげきすることで敵てきのミサイル発射はっしゃ基地きちまでも一挙いっきょに破壊はかいすることができるとのこと。空そら対空たいくうミサイル（最大さいだい搭載とうさい重量じゅうりょう：2,045kg）も装備そうびし、多様たような方法ほうほうで敵てきのミサイルを迎撃げいげきすることも可能かのうとなる予定よていであるとされた。

政府せいふ関連かんれんの事業じぎょう計画けいかくの評価ひょうかを行おこなっている戦略せんりゃく予算よさん評価ひょうかセンターでは、米べい海軍かいぐんの空母くうぼ打撃だげき群ぐんでは伝統でんとう的てきに戦闘せんとう機きパイロットが重視じゅうしされる組織そしき上じょうの傾向けいこうがあり、無人むじん攻撃こうげき機きの導入どうにゅうには現場げんばからの反発はんぱつがあり、更さらにはイラクやアフガニスタンでの戦争せんそう継続けいぞくを受うけて予算よさん上じょうの問題もんだいなどから、この計画けいかくが2009年度ねんどで廃案はいあんとなる可能かのう性せいがあることが指摘してきされた。戦略せんりゃく予算よさん評価ひょうかセンターでは、米国べいこくの国防こくぼう戦略せんりゃく上じょう重要じゅうようなこの計画けいかくを進行しんこうさせるためには、米べい海軍かいぐん内ないに存在そんざいする無人むじん攻撃こうげき機きに対たいする心理しんり的てき障壁しょうへきを取とり除のぞく事ことが必要ひつようだと論ろんじている。

米べい海軍かいぐんが2009年度ねんど予算よさんで申請しんせい中ちゅうの無人むじん戦闘せんとう攻撃こうげき機き開発かいはつのために必要ひつよう経費けいひは約やく2億おく7,600万まんドル（約やく295億おく円えん）、計画けいかくを通とおしての総そう開発かいはつ費用ひようは15億おくドル（1,600億おく円えん）となる見通みとおし。

X-47Bは2011年ねん2月がつ4日にちにエドワーズ空軍くうぐん基地きちで初はつ飛行ひこうに成功せいこうした。初はつ飛行ひこうは29分ふん、飛行ひこう高度こうど5,000フィート。2012年ねんには地上ちじょうでのカタパルト射出しゃしゅつ試験しけんに成功せいこうし、2013年ねん5月がつ14日にちにはニミッツ級きゅう航空こうくう母艦ぼかん「ジョージ・H・W・ブッシュ」からのカタパルト射出しゃしゅつ試験しけんに成功せいこう。同年どうねん7月がつ10日とおかには、パタクセント・リバー海軍かいぐん航空こうくう基地きちを発たった機体きたいが、バージニア州しゅう沖おきを航行こうこう中ちゅうの「ジョージ・H・W・ブッシュ」への着ちゃく艦かん試験しけんに成功せいこうした。

将来しょうらいは日本にっぽんを拠点きょてんにする第だい7艦隊かんたいの空母くうぼ打撃だげき群ぐんに配備はいびされる予定よてい。また、中国ちゅうごくが開発かいはつ中ちゅうの東風こち21D対たい艦かん弾道だんどうミサイルに対たいする対抗たいこう策さくになりうるとも言いわれている。

2016年ねん3月がつ10日とおか、アメリカ海軍かいぐんは予算よさん上じょうの理由りゆうからX-47Bの開発かいはつ計画けいかくを中止ちゅうししたことを発表はっぴょうした。X-47Bに代かわって無人むじん偵察ていさつ機きであるMQ-25とその空中くうちゅう給油きゅうゆ機き型かたであるRAQ-25の開発かいはつが計画けいかくされており、2017年ねん中ちゅうに飛行ひこう試験しけんを行おこなうことを予定よていしている。

スペック

• 乗員じょういん：無人むじん
• 全長ぜんちょう：11.63m
• 全幅ぜんぷく：18.92m
• 全高ぜんこう：3.10m
• 空虚くうきょ重量じゅうりょう：6,530.29kg
• 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう：20,215kg
• 動力どうりょく：プラット・アンド・ホイットニーF100-220U ターボファン
• 巡航じゅんこう速度そくど：M0.9+
• 航続こうぞく距離きょり：2,100nm（3,889km）以上いじょう
• 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど：12,190m以上いじょう
• 兵へい装そう：GBU-31 JDAM×2

登場とうじょう作品さくひん

映画えいが

『スカイライン -征服せいふく-』

X-47Bが登場とうじょう。ロサンゼルス上空じょうくうに出現しゅつげんしたエイリアンの母船ぼせんを、MQ-9 リーパーとともに攻撃こうげきする。

ゲーム

『コール オブ デューティ ブラックオプス2』

「ロードスター」の名称めいしょうで登場とうじょうする。

『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』

B型がたをモデルとした無人むじん戦闘せんとう機き「MQ-101」が敵てき機きとして登場とうじょう。劇げき中ちゅうでは大型おおがた無人むじん全ぜん翼つばさ機き「アーセナルバード」の搭載とうさい機きとして運用うんようされており、ミサイルや機関きかん砲ほうで攻撃こうげきを行おこなう他ほか、アーセナルバードや軌道きどうエレベーターに向むけ発射はっしゃされたミサイルの射い線せん上じょうに割わり込こんで盾たてとなるなど、無人むじん機きという特性とくせいを生いかした戦術せんじゅつを取とる。

『Modern Warships』

航空こうくう母艦ぼかんに搭載とうさいするドローンにX-47Bとして登場とうじょう。

関連かんれん項目こうもく

• X-45
• 無人むじん航空機こうくうき
  • 軍事ぐんじ用ようロボット
  • UCAV
• ダッソー nEUROn
• タラニス
• 利剣りけん
• スキャット
• スウィフト・エンジニアリング

外部がいぶリンク

• Northrop Grumman X-47B UCAS (英文えいぶん)
• Northrop Grumman UCAS-D Contract (英文えいぶん)
• DARPA J-UCAS (英文えいぶん)