オランダ西インド会社

アムステルダムのオランダ西にしインド会社かいしゃ館かん

オランダ西にしインド会社かいしゃ（蘭らん：West-Indische Compagnie）は、1621年ねんにオランダ（ネーデルラント連邦れんぽう共和きょうわ国こく）で設立せつりつされた貿易ぼうえき会社かいしゃ。当時とうじオランダはスペインとの間あいだで八はち十じゅう年ねん戦争せんそうを継続けいぞく中ちゅうであったが、中南米ちゅうなんべいから流ながれ込こむ大量たいりょうの銀ぎんがスペインの富とみの源泉げんせんとなっていたことから、この資金しきん源げんを叩たたくことが設立せつりつの狙ねらいだった。

略歴りゃくれき

1621年ねん6月がつに連邦れんぽう議会ぎかいが特許とっきょ状じょうを交付こうふしたが、この特許とっきょ状じょうで会社かいしゃはアフリカ西海岸にしかいがん、アメリカなどとの24年間ねんかんにわたる貿易ぼうえき独占どくせん権けんを認みとめられた。オランダ東ひがしインド会社かいしゃと同様どうように支社ししゃ制せいがとられ、アムステルダム、ホールン、ロッテルダム、ミデルブルフ、フローニンゲンに支社ししゃが置おかれた。資本しほん金きんは約やく710万まんフルデンで、これは東ひがしインド会社かいしゃを上回うわまわるものだった。設立せつりつ目的もくてきから、会社かいしゃは貿易ぼうえきや植民しょくみん活動かつどうよりむしろ、スペインおよび当時とうじスペインとの同君どうくん連合れんごうにあったポルトガルの艦隊かんたいを標的ひょうてきとした私わたし掠かすめ船せん活動かつどうに力ちからを入いれていた。しかし成果せいかは期待きたいしたようには上あがらず、経営けいえいは赤字あかじ状態じょうたいであった。

植民しょくみん活動かつどうとしては、オランダ領りょうブラジルの経営けいえいが挙あげられる。1630年ねん初はじめ、会社かいしゃはブラジルのペルナンブーコ州しゅうを占領せんりょうし、さらに支配しはい地域ちいきを4州しゅうへと拡大かくだいした。この占領せんりょう地ちがオランダ領りょうブラジルとなり、ニーウ・ホラント（Nieuw Holland、新しんホラント）と名付なづけられて本格ほんかく的てきな植民しょくみん事業じぎょうが開始かいしされた。1636年ねんにはオラニエ＝ナッサウ家か傍系ぼうけい（ナッサウ＝ディレンブルク伯はくヨハン6世せいの孫まご）のナッサウ＝ジーゲン伯はくヨハン・マウリッツが総督そうとくとして送おくり込こまれた。しかしポルトガル人じんの抵抗ていこうも大おおきく、占領せんりょう地ちの維持いじは会社かいしゃの経営けいえいを大おおいに圧迫あっぱくした。会社かいしゃはサトウキビ農園のうえんの経営けいえいを目指めざしたが、労働ろうどう力不足ちからぶそくのため、アフリカから黒人こくじん奴隷どれいを輸入ゆにゅうすることになった。そのためにアフリカのポルトガル植民しょくみん地ちを奪取だっしゅし、大だい規模きぼな奴隷どれい貿易ぼうえきを展開てんかいした。

1640年ねんにポルトガルがスペインとの同君どうくん連合れんごうを解消かいしょうして独立どくりつを回復かいふくしたことは、会社かいしゃにとって転機てんきとなった。ポルトガルがオランダとの間あいだに休戦きゅうせん条約じょうやくを結むすび、会社かいしゃはポルトガル船せんやポルトガル植民しょくみん地ちに対たいする攻撃こうげきや侵略しんりゃくを行おこなうことができなくなったからである。1645年ねんにはオランダ領りょうブラジルで大だい規模きぼな反乱はんらんが起おこり、オランダ人じんは1654年ねんにブラジルから追放ついほうされた（以後いご中南米ちゅうなんべいのオランダの植民しょくみん地ちはオランダ領りょうギアナ（現げんスリナム）、オランダ領りょうアンティルのみとなった）。1648年ねんにはヴェストファーレン条約じょうやくでスペインとも講和こうわが成立せいりつしたため、スペイン船せんの攻撃こうげきもできなくなり、存続そんぞく意義いぎを失うしなった会社かいしゃは、1674年ねんに2度目どめの特許とっきょ期限きげんが切きれるとともに解散かいさんした。

ただし、同年どうねん9月がつに奴隷どれい貿易ぼうえき会社かいしゃとしての新あらたな西にしインド会社かいしゃが設立せつりつされている。この会社かいしゃは1791年ねんまで存続そんぞくした。

関連かんれん項目こうもく

• 西にしインド会社かいしゃ
• 東ひがしインド会社かいしゃ
• オランダ海上かいじょう帝国ていこく