オランダ西にしインド会社かいしゃ

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オランダ西にしインド会社かいしゃ
現地げんち語ご社名しゃめい
 Geoctrooieerde Westindische Compagnie
元もとの種類しゅるい
 勅許ちょっきょ会社かいしゃ
設立せつりつ 1621年ねん6月がつ3日にち (1621-06-03)
創業そうぎょう者しゃ Willem Usselincxほか
解散かいさん 1792年ねん1月がつ1日にち (1792-1-1)
本社ほんしゃ オランダ（ネーデルラント連邦れんぽう共和きょうわ国こく）、
アムステルダム、ホールン、ロッテルダム、フローニンゲン、ミデルブルフ
主要しゅよう人物じんぶつ
 19人にん会かい（Heeren XIX）
親会社おやがいしゃ オランダ東ひがしインド会社かいしゃ ウィキデータを編集

オランダ西にしインド会社かいしゃ（オランダにしインドがいしゃ、オランダ語ご: Geoctrooieerde Westindische Compagnie, オランダ語ご発音はつおん: [ɣəʔɔktroːˈjeːrdə ʋɛstˈɪndisə kɔmpɑˈɲi]; 英語えいご: Chartered West India Company）は、17世紀せいきオランダの勅許ちょっきょ会社かいしゃ（略称りゃくしょうGWCまたはWIC）。

1621年ねんにオランダ政府せいふから特許とっきょ状じょうを受うけて設立せつりつされた。その設立せつりつは17世紀せいきのかなり早はやい時期じきに提案ていあんされていたが、1609年ねんにスペインと12年ねん停戦ていせん協定きょうてい（英語えいご版ばん）が締結ていけつされたために遅おくれた[1]。オランダ人じん商人しょうにんだけでなく、外国がいこく人じんからも多おおくの投資とうしがあった。

創設そうせつ者しゃの中なかには、ウィレム・ウセリンクス（Willem Usselincx、1567年ねん–1647年ねん）とジェッセ・デ・フォレスト（Jessé de Forest、1576年ねん–1624年ねん）がいた[2]。

1621年ねん6月がつ3日にち、「西にしインド」における貿易ぼうえき独占どくせんを記しるした「オランダ西にしインド会社かいしゃ特許とっきょ状じょう」がネーデルラント連邦れんぽう共和きょうわ国こくから付与ふよされ、大西洋たいせいよう奴隷どれい貿易ぼうえき、ブラジル、カリブ海かりぶかい、および北きたアメリカへのオランダ商人しょうにんの参入さんにゅうを管轄かんかつした。会社かいしゃが事業じぎょうを展開てんかいできる地域ちいきは、西にしアフリカ（北回帰線きたかいきせん以南いなん、喜き望もち峰ほうまでの間あいだ）と、太平洋たいへいようとニューギニア東部とうぶをも含ふくむ南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりくだった。特許とっきょ状じょうの目的もくてきは競争きょうそうの排除はいじょによる独占どくせん、特とくにスペインとポルトガルを排除はいじょすることだった。会社かいしゃは、17世紀せいき、ニューネーデルラントを含ふくむアメリカ大陸あめりかたいりくの各地かくちの一時いちじ的てきなオランダの植民しょくみん地ち化かに貢献こうけんした。1624年ねんから1654年ねんまで行おこなわれたオランダ・ポルトガル戦争せんそうで、GWCはブラジル北東ほくとう部ぶのポルトガル領りょうを占領せんりょうしていたが、激はげしい抵抗ていこうを受うけて撃退げきたいされた[3]。

何なん度どかの変転へんてんの後のち、GWCは再さい編成へんせいされ、大西洋たいせいよう奴隷どれい貿易ぼうえきを主おもな理由りゆうに、1675年ねんに新あたらしい特許とっきょ状じょうが付与ふよされた。この「新あたらしい」会社かいしゃは、第だい4次じ英えい蘭らん戦争せんそうが終おわるまで、1世紀せいき以上いじょう続つづいた。その間あいだに会社かいしゃのほとんどの資産しさんは失うしなわれた。

起源きげん[編集へんしゅう]

アムステルダムの西にしインド館かん（West-Indisch Huis）。1623年ねんから1647年ねんまでオランダ西にしインド会社かいしゃの本社ほんしゃとして使用しようされた

オランダ東ひがしインド会社かいしゃ（VOC）が1602年ねんに設立せつりつされたとき、アムステルダムの一部いちぶの貿易ぼうえき業者ぎょうしゃはその独占どくせん的てきな方針ほうしんに同意どういしなかった。天文学てんもんがく者しゃ、地図ちず製作せいさく者しゃ、牧師ぼくしであるフランドル人じんのペトルス・プランシウスの助たすけを借かりて、彼かれらはVOCの独占どくせんを回避かいひするためにアジアへの北東ほくとう航路こうろまたは北西ほくせい航路こうろを求もとめた。 1609年ねん、VOCに雇やとわれていたイングランド人じん探検たんけん家かヘンリー・ハドソンは、ニューイングランドの海岸かいがんに上陸じょうりくし、アジアへの北西ほくせい航路こうろを求もとめて現在げんざいのハドソン川がわを遡上そじょうした。しかし、彼かれは航路こうろを見みつけることができなかった。その結果けっか、1615年ねんにアイザック・ルメール（Isaac Le Maire）とサミュエル・ブロマート（Samuel Blommaert）は、VOCの独占どくせんを回避かいひするために南みなみアメリカのティエラ・デル・フエゴ群島ぐんとうを抜ぬける南西なんせい航路こうろを見みつけることに狙ねらいを定さだめた。

オランダ商人しょうにんで最初さいしょにアフリカとの貿易ぼうえきに注目ちゅうもくしたのはバルタザール・デ・ムヘロン（Balthazar de Moucheron）で、彼かれはセネガンビア地域ちいきで最初さいしょのオランダの拠点きょてんを築きずいた[4]。アフリカとの貿易ぼうえきは、交易こうえき所しょや商館しょうかんを設立せつりつする可能かのう性せいを提供ていきょうした。1612年ねん、オランダ領りょう黄金おうごん海岸かいがんのモリー（英語えいご版ばん）にオランダの要塞ようさいが建設けんせつされた。

カリブ海かりぶかいとの塩しお、砂糖さとう、タバコの貿易ぼうえきはスペインによって妨さまたげられ、和平わへい交渉こうしょうのために遅おくれた。スペインは、オランダ共和きょうわ国こくがアジアやアメリカとの貿易ぼうえきから撤退てったいすることを条件じょうけんに和平わへいを申もうし出でた。スペインは、西にしインド会社かいしゃが設立せつりつされる場合ばあいは、平和へいわ条約じょうやくへの署名しょめいを拒否きょひするとした。この時とき、スペインとオランダ共和きょうわ国こくの間あいだでオランダ独立どくりつ戦争せんそう（1568年ねん–1648年ねん）が起おきていた。ホラント州しゅう法律ほうりつ顧問こもんのヨハン・ファン・オルデンバルネフェルト（英語えいご版ばん）は、 12年間ねんかんの停戦ていせん（英語えいご版ばん）と引ひき換かえに西にしインドとの貿易ぼうえきのみを停止ていしすることを申もうし出でた。その結果けっか、何なん年間ねんかんかは、オランダ船せんは南みなみアメリカ海域かいいきでは外国がいこくの旗はたを掲かかげて航海こうかいした。しかし、10年ねん後ご、オランダ総督そうとくのマウリッツはスペインとの戦争せんそうを提案ていあんしたが、スペインから共和きょうわ国こくへの注目ちゅうもくをそらすことも提案ていあんした。 1619年ねん、彼かれの政敵せいてきのヨハン・ファン・オルデンバルネフェルトは処刑しょけいされ、2年ねん後ごに休戦きゅうせんが終おわると、西にしインド会社かいしゃが設立せつりつされた。

西にしインド会社かいしゃ[編集へんしゅう]

オランダ西にしインド会社かいしゃの創設そうせつ者しゃ、ウィレム・ウスセリンクス
デラウェアのズワネンデール入植にゅうしょく地ち（現げんデラウェア州しゅうルイス）

オランダ西にしインド会社かいしゃは、オランダ東ひがしインド会社かいしゃ（VOC）と同様どうように組織そしきされた。 VOCと同様どうように、GWCはアムステルダム、ロッテルダム、ホールン、ミデルブルフ、フローニンゲンにおかれた支社ししゃ（カーメル）と呼よばれる5つの事業じぎょう所しょからなり、そのうちアムステルダムとミデルブルフの支社ししゃが会社かいしゃに最もっとも貢献こうけんした。取締役とりしまりやく会かいは、19人にん会かい（Heeren XIX）として知しられ19人にんのメンバーで構成こうせいされていた[5]。GWCの統治とうち機構きこうは、ネーデルラント連邦れんぽうのそれに似にていた。連邦れんぽう政府せいふでは、決定けってい時じには地域ちいき代表だいひょうによる広範こうはんな議論ぎろんが必要ひつようだった。19人にんの内訳うちわけはアムステルダムから8人にん、ゼーラントから4人にん、ノーザンクォーター（ホールンとエンクホイゼン）とマース（ロッテルダムとドルトレヒト）とフローニンゲンからそれぞれ2人にん、そして政府せいふからの1人ひとりだった。各かく地域ちいき独自どくじの支社ししゃにはそれぞれ取締役とりしまりやく会かいがあった[6]。特許とっきょ状じょうの有効ゆうこう期間きかんは24年ねんに設定せっていされた。

1623年ねんは資金しきん調達ちょうたつのみが行おこなわれた。オランダ議会ぎかいとVOCは、資本しほんと助成じょせい金きんの形かたちで100万まんギルダーを拠出きょしゅつした。ゾンバルトらは隠かくれユダヤ教徒きょうと（英語えいご版ばん）やマラーノがVOCとGWCの両方りょうほうの形成けいせいに重要じゅうような役割やくわりを果はたしたとの伝説でんせつを広ひろめたが、調査ちょうさによれば当初とうしょはユダヤ人じんは小ちいさな役割やくわりしか果はたしておらず、オランダ領りょうブラジル時代じだい（後述こうじゅつ）に拡大かくだいした。当初とうしょはスペイン領りょうネーデルラントを脱出だっしゅつして移住いじゅうした新しん教徒きょうと（カルヴァン主義しゅぎ者しゃ）がGWCに多額たがくの投資とうしをした[7]。

1621年ねんの設立せつりつ後ごも、一般いっぱん投資とうし家かはそこまで積極せっきょく的てきに会社かいしゃに資金しきんを投入とうにゅうしなかったので、オランダ議会ぎかいは投資とうしを促うながした。個人こじん投資とうし家かの動うごきが遅おそかったのは、株主かぶぬしが「取締役とりしまりやくの方針ほうしんや普通ふつうの投資とうし家かの資金しきんの扱あつかいをコントロールできない」ことと、「取締役とりしまりやくがその縁故えんこにポストを提供ていきょうするのは詐欺さぎ的てきだ」というものだった[8]。VOCの取締役とりしまりやくは、株主かぶぬしに相談そうだんすることなくGWCに資金しきんを投資とうししたため、多おおくの株主かぶぬしの間あいだで意見いけんの相違そういが生しょうじた[9]。外国がいこく人じん株主かぶぬしを引ひき付つけるために、GWCはオランダ人じんと同等どうとうの立場たちばを外国がいこく人じん投資とうし家かに提供ていきょうし、フランス、スイス、ヴェネツィアからの出資しゅっしを得えた。元もとの1621年ねんの特許とっきょ状じょうは、英訳えいやくされ「Orders and Articles granted by the High and Mightie Lords the States General of the United Provinces concerning the erecting of a West-Indies Companie, Anno Dom. MDCXII」の題だいで公示こうじされた[10]。1623年ねん時点じてんのGWCの資本しほん金きん280万まんフロリンは、VOCの当初とうしょの資本しほん金きん650万まんほど大おおきくはなかったにせよ、かなりの金額きんがくだった。 GWCには15隻せきの貿易ぼうえき船せんがあり、西にしアフリカの海岸かいがんとブラジルに定期ていき的てきに運航うんこうしていた[11]。

VOCとは異ことなり、GWCには軍隊ぐんたいを配備はいびする権利けんりがなかった。 1621年ねんに12年ねん停戦ていせんが終おわったとき、共和きょうわ国こくはスペインとの戦争せんそうを再開さいかいするためのフリーハンドを有ゆうしていた。会社かいしゃの計画けいかく、グルートデセイン（英語えいご版ばん）（「グランドデザイン」）は、砂糖さとう生産せいさんと奴隷どれい貿易ぼうえきを支配しはいするという目的もくてきの下した、アフリカと南北なんぼくアメリカのポルトガル植民しょくみん地ちを占領せんりょうするために立案りつあんされた。この計画けいかくが失敗しっぱいしたとき、 私わたし掠かすめ船せんはGWCの主要しゅよう事業じぎょうの一ひとつとなった。もとよりスペイン船せんから身みを守まもるため、大砲たいほうや兵士へいしといった商船しょうせんの武装ぶそうは非常ひじょうに重要じゅうようだった。1623年ねんにはほぼすべての船ふねに、おそらく（自衛じえいのためだけでなく）敵てき船せんの捕獲ほかくを支援しえんするために、40〜50人にんの兵士へいしが乗のり込こんでいた[12]。

ジャック・エルミテによるチリ、ペルー、ボリビアの沿岸えんがんへの遠征えんせいは総督そうとくマウリッツが議会ぎかいとVOCの支援しえんを受うけて準備じゅんびしたものだった。

1628年ねんにスペインの銀ぎん艦隊かんたいを捕獲ほかくしたGWC提督ていとくのピート・ハイン。

会社かいしゃは当初とうしょ、費用ひようのかかるプロジェクトという点てんでは悲惨ひさんな失敗しっぱいであり、取締役とりしまりやくは領土りょうどの征服せいふくよりもスペイン海運かいうんからの略奪りゃくだつに重点じゅうてんを移うつした。 GWCの最もっとも目覚めざましい成功せいこうは、新大陸しんたいりくのスペイン植民しょくみん地ちからスペインに銀ぎんを運はこんでいたスペインの銀ぎん艦隊かんたいのピート・ハイン（英語えいご版ばん）による捕獲ほかくだった。彼かれはまた、ブラジルの砂糖さとうとか、ホンジュラスからカカオ、インディゴ、その他たの貴重きちょうな商品しょうひんを満載まんさいしたガレオン船せんを拿捕だほした。私わたし掠かすめ船せんは1620年代ねんだい後半こうはん、最もっとも収益しゅうえき性せいの高たかい事業じぎょうだった[13]。しかしハインの掠奪りゃくだつ行ぎょうの成功せいこうにもかかわらず、会社かいしゃの取締役とりしまりやくは、それが長期ちょうき的てきな利益りえきを構築こうちくするための基礎きそではないことに気きづき、南北なんぼくアメリカのイベリア連合れんごうの領土りょうどを占領せんりょうする試こころみを新あらたにした。彼かれらはブラジルを目標もくひょうに定さだめた[14]。

オランダのさまざまな地域ちいきの取締役とりしまりやくの間あいだで対立たいりつがあった。アムステルダムは会社かいしゃをあまり支持しじしていなかった。ハールレム、ライデン、ゴーダなどの非ひ港湾こうわん都市としは、エンクホイゼンとホールンとともに、領土りょうどの占領せんりょうに熱心ねっしんだった。彼かれらは艦隊かんたいをブラジルに送おくり、1630年ねんにオリンダとペルナンブコを占領せんりょうしてオランダ植民しょくみん地ちを創設そうせつしたが、ポルトガルの強つよい抵抗ていこうのために保持ほじすることはできなかった[15]。会社かいしゃの船ふねはカリブ海かりぶかいで私わたし掠かすめ活動かつどうを続つづけ、重要じゅうような土地とち資源しげん、特とくに塩田えんでんを占領せんりょうした[16]。しかし会社かいしゃは全体ぜんたいとしては成功せいこうしておらず、彼かれらの株かぶは急落きゅうらくした。オランダとスペインは1633年ねんに停戦ていせん交渉こうしょうを再開さいかいした[17]。

1629年ねん6月がつ7日にちにオランダ議会ぎかいによって自由じゆう・免除めんじょ勅許ちょっきょ状じょう（英語えいご版ばん）が承認しょうにんされ、GWCはパトルーン制度せいど（英語えいご版ばん）を創設そうせつして、ニューネーデルラントへの投資とうしを集あつめようとした。これは植民しょくみん地ちの人口じんこう増加ぞうかを助たすけるために創設そうせつされたもので、主おもにニューネーデルラント地域ちいきで、「15歳さい以上いじょうの」住民じゅうみん50人にんが居住きょじゅうする植民しょくみん地ちを建設けんせつした投資とうし家かをパトルーンと認みとめ、その周辺しゅうへんの土地とちを領地りょうちとして与あたえるものだった[5] [18]。パトルーンは、「海岸かいがん、または航行こうこう可能かのうな川かわの片岸かたぎしに沿そって」最大さいだい4マイル (6.4 km)までの土地とちを領地りょうちにできた。レンセラー家か（英語えいご版ばん）はオランダ西にしインド会社かいしゃの最もっとも成功せいこうしたパトルーンだった[5]。

ニューアムステルダムを含ふくむニューネーデルラント地域ちいきは、現在げんざいのアメリカで言いうと、ニューヨーク州しゅう、コネチカット州しゅう、デラウェア州しゅう、およびニュージャージー州しゅうの一部いちぶに相当そうとうした[5]。他たの入植にゅうしょく地ちとしては、オランダ領りょうアンティル、南米なんべいのオランダ領りょうブラジル、スリナム、ガイアナが設立せつりつされた。アフリカでは、オランダ領りょう黄金おうごん海岸かいがん（現在げんざいのガーナの一部いちぶ）、オランダ領りょう奴隷どれい海岸かいがん（現在げんざいのベナンの一部いちぶ）、そしてアンゴラに設立せつりつされた。それは新あらたな封建ほうけん制度せいどであり、パトルーンは海外かいがい植民しょくみん地ちを支配しはいするかなりの権限けんげんを認みとめられていた。

南北なんぼくアメリカでは、毛皮けがわ（北きたアメリカ）と砂糖さとう（南みなみアメリカ）が最もっとも重要じゅうような貿易ぼうえき商品しょうひんだったが、アフリカの拠点きょてんは奴隷どれい（主おもにアンティル諸島しょとうとスリナムのプランテーション向むけ）、金きむ、象牙ぞうげを貿易ぼうえきしていた。

衰退すいたい[編集へんしゅう]

レシフェまたはMauritsstad –ニューホランドの首都しゅと

北米ほくべいでは、アルベルト・バーフ、サミュエル・ブロマート、サミュエル・ゴーディン、ヨアネス・デ・ラエ（Albert Burgh, Samuel Blommaert, Samuel Godijn, Johannes de Laet）らが、ニューネーデルラントへの入植にゅうしょくに挑いどんだが、移民いみん集あつめの意味いみでもネイティブアメリカンからの防衛ぼうえいという意味いみでもほぼ失敗しっぱいに終おわった。キリヤン・ヴァン・レンセラー（英語えいご版ばん）だけが、ハドソン川がわ沿ぞいの北部ほくぶに入植にゅうしょく地ちを維持いじすることができた。サミュエル・ブロマートは、南部なんぶのデラウェア・バレーにニュースウェーデン植民しょくみん地ちを設立せつりつすることで、密ひそかに彼かれ自身じしんの利益りえきを確保かくほしようとした。 GWCの主おもな目標もくひょうは当時とうじブラジルにあった。

1630年ねんになって初はじめて、西にしインド会社かいしゃはブラジルの一部いちぶを征服せいふくすることができた。ポルトガルから奪うばった領土りょうどに、1630年ねん、ニューホランド植民しょくみん地ち（首都しゅとマウリッツタッド、現在げんざいのレシフェ）が設立せつりつされた。しかし戦争せんそうは非常ひじょうに多おおくの戦力せんりょくを要求ようきゅうしたので、会社かいしゃは破産はさんの恒常こうじょう的てきな脅威きょういの下したで活動かつどうしていた[19]。実際じっさい、GWCは1636年ねんに破産はさんし、再建さいけんの試こころみはすべて失敗しっぱいする運命うんめいにあった[20]。

アムステルダムのGWCの倉庫そうこ

ブラジルで進行しんこう中ちゅうの戦争せんそうのため、特許とっきょ状じょうの期限きげんの終おわりの1645年ねんのGWCの状況じょうきょうは非常ひじょうに悪わるかった。VOCの取締役とりしまりやくが望のぞんでいなかったため、GWCの損失そんしつをVOCの利益りえきで補おぎなう試こころみは失敗しっぱいした[21]。両社りょうしゃの合併がっぺいは実現じつげん不可能ふかのうだった。アムステルダムはポルトガルとの和平わへいと健全けんぜんな貿易ぼうえき関係かんけいに強つよい関心かんしんがあり、助すけようとはしなかった。アムステルダムのこの無関心むかんしんな態度たいどは、やがて植民しょくみん地ちを失うしなうことにつながる、ゆっくりとした中途半端ちゅうとはんぱな政策せいさくの主因しゅいんだった[22]。1647年ねんに会社かいしゃはVOCの資本しほん150万まんギルダーを投入とうにゅうすることで再生さいせいされた。総督そうとくはブラジルでの戦争せんそうに責任せきにんを負おった。

ヴェストファーレン条約じょうやくにより、スペイン船せんの捕獲ほかくは許可きょかされなくなった。アムステルダムとゼーラントの多おおくの商人しょうにんは、ハンブルク、グリュックシュタット（当時とうじはデンマーク領りょう）、イギリス、その他たの国くにの海運かいうん業ぎょうや商人しょうにんと協力きょうりょくすることを決定けっていした。 1649年ねん、GWCはアクラ王国おうこく（現在げんざいのガーナ）で金かねおよびアフリカ人じん奴隷どれいの独占どくせん権けんを獲得かくとくした。 1662年ねんに、24,000人にんのアフリカ人じん奴隷どれいを供給きょうきゅうすることを約束やくそくしたアシエントの所有しょゆう者しゃとの接触せっしょくがあった[23]。1663年ねんと1664年ねんに、GWCはポルトガルとイングランドよりも多数たすうのアフリカ人じん奴隷どれいを販売はんばいした[24]。

最初さいしょの西にしインド会社かいしゃは長期間ちょうきかん債務さいむに苦くるしみ、1674年ねんの解散かいさんまで続つづいた[25]。GWCが20年間ねんかん生いき延のびた理由りゆうは奴隷どれい貿易ぼうえきであり、そのための価値かちある西にしアフリカの拠点きょてんの保有ほゆうによる物ものだった。

新あたらしい西にしインド会社かいしゃ[編集へんしゅう]

GWCが1674年ねんに債務さいむを返済へんさいできなかったとき、会社かいしゃは解散かいさんした。しかし、西にしインドとの貿易ぼうえき（主おもに奴隷どれい貿易ぼうえき）に対たいする需要じゅようが高たかく、まだ多おおくの植民しょくみん地ちが存在そんざいしていたため、1675年ねんに第だい2特許とっきょ西にしインド会社かいしゃ（別名べつめい、新西しんにしインド会社かいしゃ）を設立せつりつすることが決定けっていされた。この新しん会社かいしゃは、最初さいしょの会社かいしゃと同おなじ商圏しょうけんを持もっていた。すべての船ふね、要塞ようさいなどは新しん会社かいしゃに引ひき継つがれた。取締役とりしまりやくの数かずは19人にんから10人にんに減へり、役員やくいんの数かずは74人にんから50人にんに減へった。新あたらしいGWCの資本しほん金きんは、1679年ねんに600万まんギルダーをわずかに上回うわまわり、その大だい部分ぶぶんはアムステルダム支社ししゃから供給きょうきゅうされていた。

1694年ねんから1700年ねんまで、GWCは、現在げんざいのガーナである黄金おうごん海岸かいがん沿ぞいのエグアフォ王国おうこくに対たいして長ながい戦争せんそうを繰くり広ひろげた。コメンダ戦争せんそう（英語えいご版ばん）はかなりの数かずの近隣きんりんのアフリカ王国おうこくを引ひき込こみ、金かねの貿易ぼうえきをアフリカ人じん奴隷どれいの貿易ぼうえきに置おき換かえた。

第だい四よん次じ英えい蘭らん戦争せんそう以後いご、シント・ユースタティウス島とう、ベルビセ、エセキボ、デメララ、およびオランダ領りょう黄金おうごん海岸かいがんのいくつかの砦とりでがイギリスによって迅速じんそくに占領せんりょうされたため、オランダ西にしインド会社かいしゃはもはや自身じしんの植民しょくみん地ちを守まもることができなくなったことが明あきらかになった。 1791年ねんに、会社かいしゃの株式かぶしきはオランダ政府せいふによって購入こうにゅうされ、1792年ねん1月がつ1日にち、かつてオランダ西にしインド会社かいしゃが所有しょゆうしていたすべての領土りょうどが、オランダ共和きょうわ国こくの総督そうとく支配しはいに戻もどった。 1800年ねん頃ごろ、3番目ばんめの西にしインド企業きぎょうを設立せつりつする試こころみがあったが、成功せいこうしなかった。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Boxer, C. R. (Charles Ralph) (1973). The Dutch seaborne empire, 1600-1800. Harmondsworth: Penguin. pp. 27. ISBN 0140216006. OCLC 16253529. https://archive.org/details/dutchseaborneemp00crbo/page/27 
  2. ^ Franklin J. Jameson (1887). Willem Usselinx, Founder of the Dutch and Swedish West India Companies. Ryan Gregory University, New York.
  3. ^ en:Charles R. Boxer, 'The Dutch in Brazil, 1624-1654'. Oxford: Clarendon Press 1957.
  4. ^ Dirk J. Barreveld (2001) (英語えいご). Henry Hudson and the Rise and Fall of New Amsterdam. iUniverse. p. 21. ISBN 9780595198900. https://books.google.co.jp/books?id=e4b6qndkk08C&lpg=PP1&hl=ja&pg=PA21#v=onepage&q=Senegal&f=false 2020年ねん11月6日にち閲覧えつらん。 
  5. ^ a b c d “Freedoms, as Given by the Council of the Nineteen of the Chartered West India Company to All those who Want to Establish a Colony in New Netherland”. en:World Digital Library (1630年ねん). 2013年ねん7月がつ28日にち閲覧えつらん。
  6. ^ Michiel van Groesen, Amsterdam's Atlantic: Print Culture and the Making of Dutch Brazil. Philadelphia: University of Pennsylvania Press 2017, pp. 37–38.
  7. ^ en:Charles R. Boxer, The Dutch in Brazil, 1724-1654. Oxford: Clarendon Press 1957, pp. 10-11.
  8. ^ Boxer, The Dutch in Brazil, p. 12.
  9. ^ Boxer, The Dutch in Brazil, pp. 12–13.
  10. ^ Boxer, The Dutch in Brazil, p. 13.
  11. ^ Boxer, The Dutch in Brazil, pp. 13–14.
  12. ^ (オランダ語ご)Klein, P.W. (1965) De Trippen in de 17e eeuw, p. 150.
  13. ^ en:Jonathan I. Israel, The Dutch Republic and the Hispanic World, 1606-1661. Oxford: Clarendon Press 1982, p. 197.
  14. ^ Israel, The Dutch Republic and the Hispanic World, pp. 198–99.
  15. ^ Israel, The Dutch Republic and the Hispanic World, pp. 201–02.
  16. ^ Israel, The Dutch Republic and the Hispanic World, p. 203.
  17. ^ Israel, The Dutch Republic and the Hispanic World, p. 204.
  18. ^ “Conditions as Created by their Lords Burgomasters of Amsterdam”. en:World Digital Library (1656年ねん). 2013年ねん7月がつ28日にち閲覧えつらん。
  19. ^ (オランダ語ご)Heijer, H. den (1994) De geschiedenis van de GWC, p. 97.
  20. ^ (オランダ語ご)Dillen, J.G. van, (1970) Van Rijkdom tot Regenten, p. 169.
  21. ^ (オランダ語ご)Dillen, J.G. van, (1970) Van Rijkdom tot Regenten, p. 127.
  22. ^ Boxer, C.R. (1957) The Dutch in Brazil 1624 - 1654. Oxford, Clarendon Press. ISBN
  23. ^ (オランダ語ご) Brakel, S. van (1918) Bescheiden over den slavenhandel der Westindische Compagnie, p. 50, 67. In: Economisch-Historisch Jaarboek IV.
  24. ^ (オランダ語ご)Binder, F. e.a. Archived 2006-05-17 at the Wayback Machine. (1979) Dirck Dircksz. Wilre en Willem Godschalk van Focquenbroch(?) Geschilderd door Pieter de Wit te Elmina in 1669. Bulletin van het Rijksmuseum 27, p.7–29.
  25. ^ (オランダ語ご)Klein, P.W. (1965) De Trippen in de 17e eeuw, p. 182.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

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  • Ebert, Christopher. "Dutch Trade with Brazil before the Dutch West India Company, 1587–1621." Riches from Atlantic Commerce: Dutch Transatlantic Trade and Shipping (2003): 1585–1817.
  • Emmer, Pieter C. "The West India Company, 1621–1791: Dutch or Atlantic?." Companies and trade: Essays on overseas trading companies during the ancien régime (1981): 71–95.
  • Emmer, Pieter C. The Dutch in the Atlantic economy, 1580-1880: Trade, slavery and emancipation. Vol. 614. Variorum, 1998.
  • Frijhoff, W. Th M. "The West India Company and the Reformed Church: Neglect or Concern?." (1997).
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