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量子りょうししょく力学りきがく」のはんあいだ差分さぶん

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== 歴史れきし ==
== 歴史れきし ==
つよ相互そうご作用さよう現代げんだいてきイメージの起源きげんはクォーク模型もけいである。1964ねん[[マレー・ゲルマン|ゲルマン]]<ref name="Gell-Man1964">
=== 原型げんけい ===
1932ねん、[[ジェームズ・チャドウィック]]により[[原子核げんしかく]]を構成こうせいする[[中性子ちゅうせいし]]が発見はっけんされたことで、原子核げんしかく物理ぶつりでは[[かくりょく]]を解明かいめいしようという風潮ふうちょうこった。1933ねん-1935ねんかくりょくのうちのつよ相互そうご作用さようは、[[湯川ゆかわ秀樹ひでき]]([[エルンスト・シュテュッケルベルク]]も独立どくりつ発見はっけん)によってつよちからつたえる[[中間子ちゅうかんしろん]]ではじめて定式ていしきされた。1947ねんに[[パイ中間子ちゅうかんし]]が発見はっけんされ、この理論りろん実証じっしょうされた。粒子りゅうし対応たいおう一般いっぱんみとめられるのは中間子ちゅうかんしろん中間子ちゅうかんし発見はっけんによる。[[湯川ゆかわ相互そうご作用さよう]]は、相互そうご作用さよう数式すうしき原型げんけいとして、おおくの相互そうご作用さよう名前なまえのこす。

=== 量子りょうし電磁でんじ力学りきがく ===
{{see also|量子りょうし電磁でんじ力学りきがく#歴史れきし}}
1927ねんから1928ねん、[[ポール・ディラック]]および[[ヴェルナー・ハイゼンベルク]]が[[生成せいせい消滅しょうめつ演算えんざん]]にもとづいた[[量子りょうしろん]]の基礎きそ確立かくりつし、[[古典こてん電磁気でんじきがく|古典こてん電磁場でんじば]]を[[量子りょうし]]する[[量子りょうし電磁でんじ力学りきがく]]を創始そうしする。1927ねんには、[[フリッツ・ロンドン]]が(かわ)[[ゲージ理論りろん]]を形成けいせいした。1940年代ねんだいになって、[[朝永あさなが振一郎しんいちろう]]、[[リチャード・ファインマン]]および[[ジュリアン・シュウィンガー]]は、それまでの量子りょうしろんうえ相対そうたいろんてききょう変性へんせい相対そうたいろんてきゲージおよび[[み]]の方法ほうほう確立かくりつし、量子りょうし電磁でんじ力学りきがく完成かんせいさせた。

量子りょうし電磁でんじ力学りきがくは、驚異きょういてき精度せいど実験じっけん一致いっちし、{{よう出典しゅってん範囲はんい|素粒子そりゅうしあいだ相互そうご作用さようすべてゲージ理論りろん構成こうせいすべし、との機運きうん理論りろん物理ぶつり学界がっかいひろまった。|date=2010ねん11月}}

量子りょうしろんうえに"ゲージ"および"み"を指導原理しどうげんりとする量子りょうし電磁でんじ力学りきがくは、こうよわちからつよちから量子りょうしろん枠組わくぐみであつか模範もはんとなり、[[ワインバーグ=サラム理論りろん]]や量子りょうししょく力学りきがく理論りろん形成けいせいへとつながった。
{{see also|じょう量子りょうしろん|ゲージ理論りろん|み}}

=== つよちからかわゲージ ===
{{see also|ゲージ理論りろん#歴史れきし}}
電磁でんじ相互そうご作用さよう量子りょうしろんである量子りょうし電磁でんじ力学りきがくでは、ちからつたえる理論りろんてき指導原理しどうげんりは"かわ"[[ゲージ理論りろん]]であった。
<!--
歴史れきしてきには、[[フリッツ・ロンドン]]が1927ねんに(かわ)ゲージ理論りろん形成けいせいし、1943ねんに[[朝永あさなが振一郎しんいちろう]]が[[ちょう時間じかんろん]]において相対そうたいろんてききょうへんかわゲージをろんじた([[量子りょうし電磁でんじ力学りきがく]])。-->
1954ねんつよ相互そうご作用さようあつかうためのつよちからの[[ヤン=ミルズ理論りろん|かわゲージ理論りろん]]が[[楊振やすし]]および[[ロバート・ミルズ]]によって発表はっぴょうされた<ref name=ym>
{{Citation
|first1=C. N. |last1=Yang
|first2=R.
|last2=Mills
|year=1954
|title=Conservation of Isotopic Spin and Isotopic Gauge Invariance
|journal=[[Physical Review]]
|volume=96
|issue=1
|pages=191–195
|doi=10.1103/PhysRev.96.191 }}</ref>。これにより、量子りょうししょく力学りきがくかわゲージ理論りろんはじまった。なお、[[内山うちやま龍雄たつお]]も独立どくりつして、重力じゅうりょくふくむよりひろ形式けいしきかわゲージ理論りろん発見はっけんいたっている([[ヴォルフガング・パウリ]]や南米なんべい研究けんきゅうしゃ{{だれ|date=2011ねん9がつ}}もそれぞれ独立どくりつ発見はっけんしている)。
<!--
ただし、ゲージ理論りろんでは粒子りゅうし質量しつりょうがゼロとなり、ちから到達とうたつ範囲はんい無限むげんになる。(湯川ゆかわ中間子ちゅうかんし質量しつりょうちから到達とうたつめるのとおな機構きこう)。このため、ゲージじょう粒子りゅうし質量しつりょうあつかうには、ヒッグス機構きこう([[南部なんぶ陽一郎よういちろう]]の自発じはつてき対称たいしょうせいやぶれがもと)が必要ひつようである。
# QCDにはヒッグズはあらわれないので、誤解ごかいあたえないようコメントアウト-StaggeredFermion
-->

=== クォーク模型もけい ===
{{see also|クォーク模型もけい#歴史れきし}}
ちからつたえる理論りろんである量子りょうしろんたいして、つよちから作用さようする素粒子そりゅうし現代げんだいてき構造こうぞうモデル[[クォーク模型もけい]]である。1964ねん[[マレー・ゲルマン]]<ref name="Gell-Man1964">
{{cite journal
{{cite journal
|author=M. Gell-Mann
|author=M. Gell-Mann
|title=A Schematic Model of Baryons and Mesons
|title=A Schematic Model of Baryons and Mesons
|journal=[[Physics Letters]]
|journal=[[Physics Letters]]
|volume=8
|volume=8 |issue=3 |pages=214–215
|issue=3
|pages=214–215
|year=1964
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|doi=10.1016/S0031-9163(64)92001-3
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}}</ref>と[[ジョージ・ツワイク]]<ref name="Zweig1964a">
}}</ref>と[[ジョージ・ツワイク|ツワイク]]<ref name="Zweig1964a">
{{cite journal
{{cite journal
|author=G. Zweig
|author=G. Zweig
81ぎょう: 43ぎょう:
|url=http://lib-www.lanl.gov/la-pubs/00323548.pdf
|url=http://lib-www.lanl.gov/la-pubs/00323548.pdf
|year=1964
|year=1964
}}</ref>によりクォーク導入どうにゅうされた。そのち、クォークの束縛そくばく状態じょうたいであるハドロンの[[パウリの排他はいた原理げんり|パウリ統計とうけい]]の問題もんだいからあたらしい[[自由じゆう]]カラーが[[南部なんぶ陽一郎よういちろう|南部なんぶ]]<ref>
}}</ref>および[[ユヴァル・ネーマン]]により各々おのおの独立どくりつして[[クォーク模型もけい]]が導入どうにゅうされた。その原型げんけいは[[西島にししま和彦かずひこ]]やゲルマンの[[ストレンジネス]]を利用りようした、[[陽子ようこ|P]]、[[中性子ちゅうせいし|N]]、[[ラムダ粒子りゅうし|Λらむだ]] を[[基本きほん粒子りゅうし]]とする[[坂田さかた昌一しょういち]]の[[坂田さかた模型もけい]]である<ref>{{Cite journal|和書わしょ|author=小川おがわ修三しゅうぞう |title=坂田さかた学派がくは素粒子そりゅうし模型もけい進展しんてん |date=1996-02-05 |publisher=社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん物理ぶつり学会がっかい |journal=日本にっぽん物理ぶつり學會がっかい |volume=51 |number=2 |naid=110002068935 |pages=90-94 |url=http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/jps/butsuri/50th/50(2)/50th-p90.html |ref=harv}}</ref>。その数学すうがくが、1959ねん小川おがわ修二しゅうじ池田いけだ峰夫みねお・[[大貫おおぬき義郎よしお]]により、素粒子そりゅうしかんがえられていた P、N、Λらむだ対称たいしょうせいもとづく[[坂田さかた模型もけい|IOO理論りろん]] (SU<3> - U<3>)(山口やまぐち嘉夫よしお独立どくりつに)として実現じつげんされる。これは[[ぐん (数学すうがく)|ぐん]]による[[対称たいしょうせい]]の記述きじゅつがクォーク模型もけい原型げんけい本格ほんかくてき使つかわれた最初さいしょ事例じれいである<ref>{{Cite journal|和書わしょ|author=大貫おおぬき義郎よしお |title=対称たいしょうせい理論りろん事始ことはじめ |date=1991-03-20 |publisher=素粒子そりゅうしろんグループ 素粒子そりゅうし研究けんきゅう編集へんしゅう |journal=素粒子そりゅうしろん研究けんきゅう |volume=82 |number=6 |naid=110006408072 |pages=503-547 |ref=harv}}
</ref>。(ただし、[[量子力学りょうしりきがく]]にはじめて[[群論ぐんろん]]を使つかった事例じれいは、1927ねんにヘルマン・ワイルが[[原子げんしスペクトル]]の対称たいしょうせい記述きじゅつしたものである<ref>[http://www.gap-system.org/~history/Biographies/Wigner.html Wigner Biography]</ref>。また、1939ねんには[[ユージン・ウィグナー]]による[[原子核げんしかく]]をSU(4) で記述きじゅつする重要じゅうよう論文ろんぶんている<ref>Ann. of Math. (2) 40 (1939), 149-204</ref>。IOO対称たいしょうせいは、これらの理論りろんからよりクォーク模型もけいちかづいたものと位置付いちづけられる。)

=== カラー・グルーオン ===
クォーク模型もけい発見はっけん同年どうねん1964ねん[[クォーク]][[束縛そくばく状態じょうたい]]である[[ハドロン]]の[[パウリの排他はいた原理げんり|パウリ統計とうけい]]の問題もんだい解析かいせきから、「あたらしい[[自由じゆう]]である[[いろ|カラー]]オスカー・グリーバーグ ([[:en:Oscar W. Greenberg]]) <ref>O. W. Greenberg Spin and Unitary-Spin Independence in a Paraquark Model of Baryons and Mesons
Physical Review Letters 13(1964) 598-602 </ref>、かんしげるさかえ ([[:en:Moo-Young Han]]) 、南部なんぶ陽一郎よういちろう<ref>
{{cite journal
{{cite journal
|author=M.Y. Han, Y. Nambu
|author=M.Y. Han, Y. Nambu
92ぎょう: 49ぎょう:
|title=Three-Triplet Model with Double SU(3) Symmetry
|title=Three-Triplet Model with Double SU(3) Symmetry
|journal=[[Physical Review]]
|journal=[[Physical Review]]
|volume=139
|volume=139 |pages=B1006
|pages=B1006
|doi=10.1103/PhysRev.139.B1006
|doi=10.1103/PhysRev.139.B1006
}}</ref>、グリーンバーグにより提唱ていしょうされた。一方いっぽうで、QCDの理論りろんてき基礎きそは1954ねん発表はっぴょうされていた、[[ヤン=ミルズ理論りろん|ヤン=ミルズのかわゲージ理論りろん]]<ref name=ym>
}}</ref>、および宮本みやもとべいほり尚一しょういち<ref>{{Cite journal|和書わしょ|author=小川おがわ修三しゅうぞう |title=坂田さかた学派がくは素粒子そりゅうし模型もけい進展しんてん |date=1996-02-05 |publisher=社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん物理ぶつり学会がっかい |journal=日本にっぽん物理ぶつり學會がっかい |volume=51 |number=2 |naid=110002068935 |pages=90-94 |ref=harv}} </ref>により独立どくりつして提唱ていしょうされ、1973ねんに[[w:William A. Bardeen|ウィリアム・バーディーン]]、[[w:Harald Fritzsch|ハラルト・フリッチ]]および[[マレー・ゲルマン]]によって共同きょうどうかれた論文ろんぶんによって明確めいかく確立かくりつされた<ref>
{{Citation
{{cite conference
|first1=C. N. |last1=Yang
|author=W. Bardeen, H. Fritzsch, M. Gell-Mann
|first2=R. |last2=Mills
|year=1973
|year=1954
|title=Light cone current algebra, ''&pi;''<sup>0</sup> decay, and ''e''<sup>+</sup> ''e''<sup>−</sup> annihilation
|title=Conservation of Isotopic Spin and Isotopic Gauge Invariance
|url=http://arxiv.org/abs/hep-ph/0211388v1
|journal=[[Physical Review]]
|editor=R. Gatto
|volume=96 |issue=1 |pages=191–195
|booktitle=Scale and conformal symmetry in hadron physics
|doi=10.1103/PhysRev.96.191 }}</ref>である。しかし、この理論りろん質量しつりょうゼロのベクトル粒子りゅうし(つまり、長距離ちょうきょり相互そうご作用さようする粒子りゅうし)<ref>なお、この粒子りゅうし(グルーオンそのものである)が観測かんそくされない理由りゆうは、やはり[[クォークのめ]]による。電気でんきてき中性ちゅうせい光子こうしことなり、グルーオンはいろつ。</ref>をふくみ、1fm以下いかのスケールの現象げんしょう記述きじゅつ目指めざ理論りろんとしては不満足ふまんぞくなものだった。さらにこの当時とうじかわ理論りろん[[み]]可能かのうせい証明しょうめいされていなかった。そして南部なんぶは[[カイラ対称たいしょうせい]]やそ[[はつてき対称たいしょうせいやぶれ]]どを提唱ていしょうし、1970年代ねんだいはいると、かわゲージ理論りろん可能かのうせい<ref>
|page=139
|publisher=[[John Wiley & Sons]]
|id=ISBN 0-471-29292-3
}}</ref>。カラーの概念がいねん確立かくりつは、つよちからのゲージ理論りろん端緒たんしょとなる<ref>[http://www.jikkyo.co.jp/downloadcontents/4584871344.pdf 実教出版じつきょうしゅっぱん]</ref>。

量子りょうししょく力学りきがくにおいて、カラーはクォークの3粒子りゅうし対応たいおうするのにたいし、[[ゲージ粒子りゅうし]]は[[グルーオン]]とばれる。グルーオンは、マレー・ゲルマンらによって理論りろんされた<ref>
{{cite journal
|author=M. Gell-Mann
|year=1962
|title=Symmetries of Baryons and Mesons
|journal=[[Physical Review]]
|volume=125 |pages=1067–1084
|doi=10.1103/PhysRev.125.1067
|bibcode = 1962PhRv..125.1067G }}</ref><ref>
{{cite journal
|author=H. Fritzsch, Murray Gell-Mann, H. Leutwyler
|year=1973
|title=Advantages of the Color Octet Gluon Picture.
|journal=[[Phys.Lett.B]]
|volume=47
|pages=365-368
|doi=
|bibcode = }}</ref>。

しかし、この理論りろん質量しつりょうゼロのベクトル粒子りゅうし(つまり、長距離ちょうきょり相互そうご作用さようする粒子りゅうしふく<ref>なお、この粒子りゅうし(グルーオンそのものである)が観測かんそくされない理由りゆうは、やはり[[クォークのめ]]による。電気でんきてき中性ちゅうせい光子こうしことなり、グルーオンはいろつ。</ref>、1fm以下いかのスケールの現象げんしょう記述きじゅつ目指めざ理論りろんとしては不満足ふまんぞくなものだった。さらにこの量子りょうししょく力学りきがくカラめ(ていエネルギー領域りょういき)は不完全ふかんぜんながらも説明せつめいできたが、[[み]]可能かのうせい証明しょうめいされていこうエネギーで漸近ぜんきんゆかりせい解明かいめいできかった。

=== 完成かんせい ===
1970年代ねんだいはいると、1971ねん[[ヘーラルト・トホーフト]]によるかわゲージ理論りろん可能かのうせい証明しょうめいがなされる<ref>
{{cite journal
{{cite journal
|author='t Hooft, G.
|author='t Hooft, G.
144ぎょう: 73ぎょう:
|title=Renormalizable Lagrangians for massive Yang-Mills fields
|title=Renormalizable Lagrangians for massive Yang-Mills fields
|journal=[[Nuclear Physics B]]
|journal=[[Nuclear Physics B]]
|volume=35
|volume=35 |pages=167–448
|pages=167–448
|doi=10.1016/0550-3213(71)90139-8
|doi=10.1016/0550-3213(71)90139-8
}}</ref>や漸近ぜんきんてき自由じゆうせい<ref>
}}</ref>。さらに、1973ねんには[[デイビッド・グロス]]、[[フランク・ウィルチェック ]]および[[H. デビッド・ポリツァー]]によりこうエネルギーでのかわゲ-ジの[[漸近ぜんきんてき自由じゆうせい]]が[[ぐん]]を使つかってに形成けいせいされ<ref>
{{cite journal
{{cite journal
|author=D.J. Gross, F. Wilczek
|author=D.J. Gross, F. Wilczek
161ぎょう: 89ぎょう:
|title=Reliable perturbative results for strong interactions
|title=Reliable perturbative results for strong interactions
|journal=[[Physical Review Letters]]
|journal=[[Physical Review Letters]]
|volume=30
|volume=30 |issue= |pages=1346–1349
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|pages=1346–1349
|doi=10.1103/PhysRevLett.30.1346
|doi=10.1103/PhysRevLett.30.1346
}}</ref>がようやく証明しょうめいされ、QCDは脚光きゃっこうびるようになる。
}}</ref>、QCDが確立かくりつする。グロス、ウィルチェクそしてポリツァーはこの漸近ぜんきん自由じゆうせいにより、また、トホーフトは可能かのうせいにより、[[ノーベル物理ぶつりがくしょう]]をける。


== 定式ていしき ==
== 定式ていしき ==

2012ねん10がつ19にち (金)きん 10:30時点じてんにおけるはん

標準ひょうじゅん模型もけい
標準ひょうじゅん模型もけい素粒子そりゅうし

量子りょうししょく力学りきがく(りょうしいろりきがく、quantum chromodynamics)とは「つよ相互そうご作用さよう」を説明せつめいする、 SU(3) ゲージ対称たいしょうせいもとづくゲージじょう量子りょうしろんである。

いろ

クォークグルーオンは、カラーチャージ(color charge、いろ)とばれる量子りょうしすうつ。カラーチャージは、ひかり三原色さんげんしょくからの類推るいすいにより「あか」、「みどり」、「あお」とばれることがある。カラーチャージをたない状態じょうたいは「白色はくしょく」であるともばれる。これは SU(3) リー代数だいすう表現ひょうげんかりやすい言葉ことばあらわしたものである。クォークは SU(3) の基本きほん表現ひょうげん 3三重みえこう)をつくり、はんクォークは基本きほん表現ひょうげん 3はん三重みえこう)をなす。3 は「いろ」の類推るいすいえば「補色ほしょく」に対応たいおうしている。グルーオンは随伴ずいはん表現ひょうげん 8はちじゅうこう)で、「いろ」と「補色ほしょく」をともつ8つの状態じょうたいがある(3 × 3 から、「白色はくしょく」(いちじゅうこう)となるわせがのぞかれる)。

カラーチャージはグルーオンゲージ粒子りゅうし交換こうかんすることでやりりされ、これがつよ相互そうご作用さようみなもとになっている。この相互そうご作用さようはカラーチャージあいだ距離きょりちいさくなる(交換こうかんされる運動うんどうりょうたかくなる)とよわくなるという、漸近ぜんきんてき自由じゆうせいしめす。ぎゃく距離きょりおおきくなると相互そうご作用さようつよまり一定いっていちからちかづく。この結果けっかクォークを単体たんたいすことはできない。これは、現実げんじつ観測かんそくされるハドロン状態じょうたいは「白色はくしょく」にかぎられるという、クォークの現象げんしょう説明せつめいする。

白色はくしょく状態じょうたいつくるには、三原色さんげんしょくクォークと「補色ほしょく」となるカラーチャージをもつはん粒子りゅうしとでペアをつくる(メソン)か、3つのクォークについて3つの三原色さんげんしょくかさねて「白色はくしょく」となるようにトリオをつくる(バリオン)かがかんがえられる。SU(3) の表現ひょうげんろん言葉ことばえば、

3 × 3 = 1 + 8
3 × 3 × 3 = 1 + 8 + 8 + 10

あらわれる 1 がそれぞれメソンとバリオンに対応たいおうしている。グルーオンのみからも「白色はくしょく」の状態じょうたいつくることができる。そのような粒子りゅうしグルーボールばれる。もっと簡単かんたんなグルーボールをSU(3) の表現ひょうげんろん言葉ことばえば、

8 × 8 = 1 + 8 + 8 + 10 + 10 + 27

あらわれる1対応たいおうしている。また、これらのほかに「白色はくしょく」となる状態じょうたい可能かのうせいもあり、それらはエキゾチックであるとばれる。2003ねん報道ほうどうされたペンタクォークテトラクォークはエキゾチックな粒子りゅうしエキゾチックハドロン)のれいである。 テトラクォークをSU(3) の表現ひょうげんろん言葉ことばえば、

3 × 3 × 3 × 3 = 1 + 8 + 8 + 10 + 8 + 10 + 1 + 8 + 27

あらわれる1対応たいおうしている。

カラーチャージをつことは、つよ相互そうご作用さようをするということとおなじことである。それゆえ、電子でんしニュートリノなどのレプトン電磁でんじ相互そうご作用さようのゲージ粒子りゅうしである光子こうしはカラーチャージをっていない。

歴史れきし

つよ相互そうご作用さよう現代げんだいてきイメージの起源きげんはクォーク模型もけいである。1964ねんゲルマン[1]ツワイク[2][3]によりクォークが導入どうにゅうされた。その、クォークの束縛そくばく状態じょうたいであるハドロンのパウリ統計とうけい問題もんだいから”あたらしい”自由じゆう、カラーがハン、南部なんぶ[4]、グリーンバーグにより提唱ていしょうされた。一方いっぽうで、QCDの理論りろんてき基礎きそは1954ねん発表はっぴょうされていた、ヤン=ミルズのかわゲージ理論りろん[5]である。しかし、この理論りろん質量しつりょうゼロのベクトル粒子りゅうし(つまり、長距離ちょうきょり相互そうご作用さようする粒子りゅうし[6]をふくみ、1fm以下いかのスケールの現象げんしょう記述きじゅつ目指めざ理論りろんとしては不満足ふまんぞくなものだった。さらにこの当時とうじかわゲージ理論りろん可能かのうせい証明しょうめいされていなかった。そして、南部なんぶカイラル対称たいしょうせいやその自発じはつてき対称たいしょうせいやぶなどを提唱ていしょうし、1970年代ねんだいはいると、かわゲージ理論りろん可能かのうせい[7][8]漸近ぜんきんてき自由じゆうせい[9][10]がようやく証明しょうめいされ、QCDは脚光きゃっこうびるようになる。

定式ていしき

数学すうがくてきには、量子りょうししょく力学りきがく以下いか、QCDと表記ひょうき)はSU(3)対称たいしょうぐんかわゲージ理論りろんである。カラーチャージつディラックじょうクォークじょう同士どうし相互そうご作用さよう媒介ばいかいするゲージじょうグルーオンじょうである。

グルーオンじょう相互そうご作用さようするディラックじょうについてのQCDラグランジアン密度みつど以下いかのように表記ひょうきされる。

ここで、

ガンマ行列ぎょうれつ
はカラーチャージ ディラックじょう(ただし、iは3成分せいぶん
はディラックじょう随伴ずいはんスピノル
きょうへん微分びぶん
はグルーオンじょう結合けつごう定数ていすう
はSU(3)の生成せいせい(ただし、aは8成分せいぶん
はグルーオンじょう電磁場でんじばにおける電磁でんじポテンシャル相当そうとう
はグルーオンじょうテンソル(電磁場でんじばにおける電磁場でんじばテンソル相当そうとう
はSU(3)の構造こうぞう定数ていすう

である。

脚注きゃくちゅう

  1. ^ M. Gell-Mann (1964). “A Schematic Model of Baryons and Mesons”. Physics Letters 8 (3): 214–215. doi:10.1016/S0031-9163(64)92001-3. 
  2. ^ G. Zweig (1964). “An SU(3) Model for Strong Interaction Symmetry and its Breaking”. CERN Report No.8182/TH.401. http://cdsweb.cern.ch/record/352337/files/CM-P00042883.pdf. 
  3. ^ G. Zweig (1964). “An SU(3) Model for Strong Interaction Symmetry and its Breaking: II”. CERN Report No.8419/TH.412. http://lib-www.lanl.gov/la-pubs/00323548.pdf. 
  4. ^ M.Y. Han, Y. Nambu (1965). “Three-Triplet Model with Double SU(3) Symmetry”. Physical Review 139: B1006. doi:10.1103/PhysRev.139.B1006. 
  5. ^ Yang, C. N.; Mills, R. (1954), “Conservation of Isotopic Spin and Isotopic Gauge Invariance”, Physical Review 96 (1): 191–195, doi:10.1103/PhysRev.96.191 
  6. ^ なお、この粒子りゅうし(グルーオンそのものである)が観測かんそくされない理由りゆうは、やはりクォークのによる。電気でんきてき中性ちゅうせい光子こうしことなり、グルーオンはいろつ。
  7. ^ 't Hooft, G. (1971). “Renormalization of massless Yang-Mills fields”. Nuclear Physics B 33: 173–177. doi:10.1016/0550-3213(71)90395-6. 
  8. ^ 't Hooft, G. (1971). “Renormalizable Lagrangians for massive Yang-Mills fields”. Nuclear Physics B 35: 167–448. doi:10.1016/0550-3213(71)90139-8. 
  9. ^ D.J. Gross, F. Wilczek (1973). “Ultraviolet behavior of non-abeilan gauge theories”. Physical Review 30: 1343–1346. doi:10.1103/PhysRevLett.30.1343. 
  10. ^ H.D. Politzer (1973). “Reliable perturbative results for strong interactions”. Physical Review Letters 30: 1346–1349. doi:10.1103/PhysRevLett.30.1346. 

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