統一場理論

統一とういつ場じょう理論りろん（とういつばりろん）とは、様々さまざまな力ちからを統一とういつしようとする場ばの理論りろんのこと。最終さいしゅう的てきには自然しぜん界かいの四よっつの力ちからをすべて統一とういつしようという理論りろん的てき試こころみである。この全すべての力ちからを統一とういつした理論りろんのことを万物ばんぶつの理論りろんと呼よぶ。現在げんざい、万物ばんぶつの理論りろんの候補こうほは、超ちょう弦つる理論りろんのみであると考かんがえられている。

アルベルト・アインシュタインは一般いっぱん相対そうたい論ろんの論文ろんぶんを発表はっぴょうした後のち、重力じゅうりょくと電磁気でんじき力りょくの統一とういつを試こころみたが、当時とうじは完成かんせいさせることはできなかった（現在げんざいでは、超ちょう弦つる理論りろんに重力じゅうりょくと電磁気でんじき力りょくは含ふくまれている）。また、電磁気でんじき力りょくと弱よわい力ちからを統一とういつした電でん弱じゃく統一とういつ理論りろんは、統一とういつ場じょう理論りろんの一いち例れいである。

歴史れきしと背景はいけい

自然しぜん物理ぶつり学がくの歴史れきしは力ちからの統一とういつの歴史れきしといってもよい。アイザック・ニュートンは天体てんたいの力ちからと地上ちじょうの力ちからを万有引力ばんゆういんりょくとして統一とういつした。つまり天体てんたいの重力じゅうりょくも地上ちじょうの重力じゅうりょくも同様どうようなニュートンポテンシャルをもつ運動うんどう方程式ほうていしきで表あらわせる。ジェームズ・クラーク・マクスウェルは電気でんき力りょくと磁気じき力りょくを電磁気でんじき力りょくとして統一とういつした。つまり、電流でんりゅうや時間じかん変動へんどうする電場でんじょうは磁場じばを生しょうじ、時間じかん変動へんどうする磁場じばは電場でんじょうを生しょうじる。

さらにスティーヴン・ワインバーグ、アブドゥス・サラムは電磁気でんじき力りょく（電磁でんじ力りょくとも呼よぶ）と弱よわい力ちからを電でん弱じゃく統一とういつ理論りろんとして統一とういつした。この意味いみは、「電荷でんかをもつ素粒子そりゅうしは必かならず弱じゃく超ちょう電荷でんかもあわせもつ」理論りろん形式けいしきになっているということで、つまり普通ふつうの電荷でんかの定義ていぎに弱じゃく超ちょう電荷でんか演算えんざん子この第だい3成分せいぶんが含ふくまれている。このような電でん弱じゃくの不可分ふかぶんな関係かんけいは実験じっけん事実じじつに基もとづくが、数学すうがく的てきには非ひ可か換かわな2×2行列ぎょうれつであらわされる。ただしこの電でん弱じゃく統一とういつ理論りろんに強つよい力ちからの理論りろんである量子りょうし色しょく力学りきがくを加くわえた標準ひょうじゅん模型もけいでは、電磁気でんじき力りょくと弱よわい力ちから、強つよい力ちからの結合けつごう定数ていすうはそれぞれ異ことなり、合計ごうけい3つある。

ところで「統一とういつ」という言葉ことばは別べつの意味いみで使つかわれることもある。つまり、各々おのおのの力ちからの結合けつごう定数ていすうは現在げんざい観測かんそくされうる限かぎりの低ていエネルギー領域りょういきでは異ことなるが、ある高こうエネルギーの点てんで同一どういつの値ねになると期待きたいされている。繰くり込こみ理論りろんによれば結合けつごう定数ていすうがエネルギーに依存いぞんすることを利用りようして、このような理論りろんを構成こうせいする試こころみがある。この流ながれで電磁気でんじき力りょく、弱よわい力ちから、強つよい力ちからの三みっつが大だい統一とういつ理論りろんとして統一とういつされようとしている。しかし最もっとも単純たんじゅんで美うつくしいと言いわれるSU(5)ゲージ群ぐんに基もとづく大だい統一とういつ理論りろんは、陽子ようし崩壊ほうかいが現在げんざいまでのところ一いち例れいも観測かんそくされていないという実験じっけん事実じじつと矛盾むじゅんし、すでに否定ひていされている。そこで超ちょう対称たいしょう性せいを仮定かていすることによって修正しゅうせいした超ちょう対称たいしょう大だい統一とういつ理論りろんも未み完成かんせいではあるが、20年ねん以上いじょう前まえから考かんがえられている。これらは重力じゅうりょく相互そうご作用さようをのぞいた三みっつの力ちからを全すべて統一とういつしようという試こころみである。

一方いっぽう、素粒子そりゅうしの世界せかいでは効果こうかが小ちいさすぎて観測かんそくの困難こんなんな重力じゅうりょくも含ふくめて、四よっつの力ちからを全すべて統一とういつしようという試こころみは、世界中せかいじゅうの理論りろん物理ぶつり学者がくしゃがこぞって研究けんきゅうしているにも拘かかわらず、現在げんざいのところまだ完成かんせいにはほど遠とおい。これは、重力じゅうりょく相互そうご作用さようのゲージ粒子りゅうしである重力じゅうりょく子こが繰くり込こみ不可能ふかのうであることに起因きいんしている。

しかし、物質ぶっしつの基本きほん的てきな構成こうせい物ぶつである素粒子そりゅうしを「点てん」とせず、ある種しゅの「ひも」とすればこの問題もんだいは解決かいけつできるかもしれないことがわかった。（なお、この「ひも」は宇宙うちゅう論ろんにおける「宇宙うちゅうひも」とは別べつの概念がいねんである）。この弦つる理論りろんで超ちょう対称たいしょう性せいを仮定かていしたものを「超ちょう弦つる理論りろん（超ちょうひも理論りろんともいう）」という。

参考さんこう文献ぶんけん

• 二に間瀬ませ敏史としふみ『図解ずかい雑学ざつがく 素粒子そりゅうし』、ナツメ社しゃ
• 戸塚とつか洋二ようじ『素粒子そりゅうし物理ぶつり』、岩波書店いわなみしょてん
• 九きゅう後ご汰一郎ろう『ゲージ場じょうの量子りょうし論ろん1、2』、培風館ばいふうかん
• 藤川ふじかわ和男かずお『ゲージ場じょうの理論りろん』、岩波書店いわなみしょてん
• S. Weinberg著ちょ、青山あおやま秀明ひであき、 有末ありすえ宏明ひろあき共ども訳やく『場ばの量子りょうし論ろん1-4』、吉岡よしおか書店しょてん

関連かんれん項目こうもく

• 場ばの量子りょうし論ろん
• ワインバーグ・サラム理論りろん
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• 標準ひょうじゅん模型もけい
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