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全体ぜんたい戦争せんそう」のはんあいだ差分さぶん

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| 出典しゅってん明記めいき = 2021ねん4がつ21にち (水)すい 13:43 (UTC)
'''全体ぜんたい戦争せんそう'''(ぜんたいせんそう、general war)とは存続そんぞく危機ききひんしている主要しゅよう国家こっかあいだであらゆる資源しげん投入とうにゅうしてたたかわれる武力ぶりょく紛争ふんそうである。
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==概要がいよう==
==概要がいよう==
全体ぜんたい戦争せんそうとは大国たいこくあいだだい規模きぼな[[軍事ぐんじりょく]]を行使こうしし、かつ[[国家こっか]]にとって死活しかつてきな[[国益こくえき]]をめぐって積極せっきょくてきたたかわれる[[戦争せんそう]]である。[[戦略せんりゃく]]の概念がいねんとしての全体ぜんたい戦争せんそうは[[核兵器かくへいき]]の攻撃こうげきてき使用しようをめぐる議論ぎろん関連かんれんしており、[[大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイル]]、[[ばくげき]]、[[潜水せんすいかん]]などによるかく攻撃こうげき想定そうていされている。[[だいいち世界せかい大戦たいせん]]ののちに[[エーリヒ・ルーデンドルフ|ルーデンドルフ]]により理論りろんされた[[国家こっかそう力戦りきせん]]の概念がいねんとの相違そういは、全体ぜんたい戦争せんそう理論りろんてき前提ぜんていとしてかく攻撃こうげき選択肢せんたくしがあることである。したがって、全体ぜんたい戦争せんそうもっと強度きょうどたか武力ぶりょく紛争ふんそうであり、軍事ぐんじてきエスカレーションの最終さいしゅうてき段階だんかい、すなわち[[かく戦争せんそう]]の状態じょうたいであると位置いちづけることができる。全体ぜんたい戦争せんそうでは軍事ぐんじ基地きち戦闘せんとう部隊ぶたいへの攻撃こうげきだけでなく、相手あいて戦争せんそう能力のうりょく基盤きばんである首都しゅと商業しょうぎょう都市とし工業こうぎょう地帯ちたいたいする攻撃こうげき実行じっこうされる。
全体ぜんたい戦争せんそうとは大国たいこくあいだだい規模きぼな[[軍事ぐんじりょく]]を行使こうしし、かつ[[国家こっか]]にとって死活しかつてきな[[国益こくえき]]をめぐって積極せっきょくてきたたかわれる[[戦争せんそう]]である。[[戦略せんりゃく]]の概念がいねんとしての全体ぜんたい戦争せんそうは[[核兵器かくへいき]]の攻撃こうげきてき使用しようをめぐる議論ぎろん関連かんれんしており、[[大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイル]]、[[ばくげき]]、[[潜水せんすいかん]]などによるかく攻撃こうげき想定そうていされている。[[だいいち世界せかい大戦たいせん]]ののちに[[エーリヒ・ルーデンドルフ|ルーデンドルフ]]により理論りろんされた[[国家こっかそう力戦りきせん]]の概念がいねんとの相違そういは、全体ぜんたい戦争せんそう理論りろんてき前提ぜんていとしてかく攻撃こうげき選択肢せんたくしがあることである{{Efn|一般いっぱんてき日本語にほんご用語ようごとしては「全体ぜんたい戦争せんそう」のかたりにこのような用例ようれいはあまりられず、むしろ全体ぜんたい戦争せんそう核兵器かくへいきによって過去かこものとなったとする見解けんかいられる<ref>{{Cite book|title=世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん|publisher=平凡社へいぼんしゃ|url=https://www.excite.co.jp/dictionary/ency/content/%E6%88%A6%E4%BA%89|accessdate=2021-04-21|chapter=戦争せんそう-かく時代じだい戦争せんそう|quote=「かくのもつ破壊はかいりょく地球ちきゅうじょうのどの地点ちてんにも瞬時しゅんじ運搬うんぱんできるミサイルの出現しゅつげんは,ふたつの大戦たいせんにみられた工業こうぎょう諸国しょこく総動員そうどういんによる全体ぜんたい戦争せんそう過去かこのものにした」}}</ref>。}}。したがって、全体ぜんたい戦争せんそうもっと強度きょうどたか武力ぶりょく紛争ふんそうであり、{{よう出典しゅってん範囲はんい|軍事ぐんじてきエスカレーションの最終さいしゅうてき段階だんかい、すなわち[[かく戦争せんそう]]の状態じょうたいである|date=2021ねん4がつ}}位置いちづけることができる{{Efn|実際じっさいにはかく戦争せんそうつね全面ぜんめんかく戦争せんそう意味いみするとはかぎらない。冷戦れいせん研究けんきゅうされていた{{かりリンク|たい兵力へいりょく戦略せんりゃく|en|Counterforce}}はてきかく戦力せんりょくおよびじゅん軍事ぐんじ目標もくひょう対象たいしょうとしたかく攻撃こうげき戦争せんそうわらせることを期待きたいして立案りつあんされており、民間みんかんじん敵国てきこく自国じこくふくめて)被害ひがい局限きょくげんするものと(すくなくとも理念りねんじょうは)されていた<ref>{{Kotobank|1=たい兵力へいりょく戦略せんりゃく}}</ref>。}}全体ぜんたい戦争せんそうでは軍事ぐんじ基地きち戦闘せんとう部隊ぶたいへの攻撃こうげきだけでなく、相手あいて戦争せんそう能力のうりょく基盤きばんである首都しゅと商業しょうぎょう都市とし工業こうぎょう地帯ちたいたいする攻撃こうげき実行じっこうされる。


全体ぜんたい戦争せんそう概念がいねんはアメリカとソビエトの全面ぜんめんてきかく戦争せんそう危険きけんせい背景はいけいとする冷戦れいせん構造こうぞうなか形成けいせいされてきたものである。全体ぜんたい戦争せんそう概念がいねん歴史れきしてき発端ほったんもとめれば[[だい世界せかい大戦たいせん]]において戦略せんりゃくてき重要じゅうよう役割やくわりたした航空こうくう戦力せんりょくとその戦略せんりゃく理論りろんをめぐる議論ぎろんもとめることができる。イタリアの[[ジュリオ・ドゥーエ|ドゥーエ]]が提案ていあんした[[戦略せんりゃくばくげき]](strategic bombardment)の方法ほうほうはアメリカの[[ウィリアム・ミッチェル|ミッチェル]]やイギリスの[[ヒュー・トレンチャード|トレンチャード]]にも共有きょうゆうされ、戦略せんりゃくばくげき航空こうくう戦略せんりゃく基本きほんてき要素ようそとして位置いちづけられる。核兵器かくへいき開発かいはつされると戦略せんりゃくばくげき手段しゅだんとして応用おうようされ、実際じっさい大戦たいせんちゅうにアメリカにより[[日本にっぽんへの原子げんしばくだん投下とうか]]が実施じっしされた。1960年代ねんだいにおいて全体ぜんたい戦争せんそうかんがかたかく戦略せんりゃくにおけるかく戦争せんそうと[[大量たいりょう報復ほうふく]](massive retaliation)の理論りろんてき基礎きそとなる。大量たいりょう報復ほうふく軍事ぐんじ教義きょうぎにおいてはかく戦争せんそうでの防御ぼうぎょ不可能ふかのうせい大都市だいとし脆弱ぜいじゃくせい奇襲きしゅう有効ゆうこうせい反撃はんげき能力のうりょく必要ひつようせい認識にんしきされる。また1970年代ねんだいには全体ぜんたい戦争せんそうへの抑止よくしのための反撃はんげき能力のうりょく確保かくほ軍事ぐんじりょく柔軟じゅうなん展開てんかい、そしてあらゆる水準すいじゅんにおいて紛争ふんそう遂行すいこうする能力のうりょく保障ほしょうする[[柔軟じゅうなん反応はんのう]](flexible response)の理論りろんってわる。全体ぜんたい戦争せんそう議論ぎろん軍事ぐんじりょくがあくまで政治せいじてき目的もくてき達成たっせいするための合理ごうりてき手段しゅだんとして位置いちづけることが可能かのうであるという立場たちば反映はんえいしてきた。全体ぜんたい戦争せんそう理論りろんでは核兵器かくへいき役割やくわりかく戦争せんそう重要じゅうようせい形態けいたい、そして安全あんぜん保障ほしょう根本こんぽんてき目標もくひょう軍事ぐんじてき脅威きょういつね中心ちゅうしんてき論点ろんてんとなってきている。
全体ぜんたい戦争せんそう概念がいねんはアメリカとソビエトの全面ぜんめんてきかく戦争せんそう危険きけんせい背景はいけいとする冷戦れいせん構造こうぞうなか形成けいせいされてきたものである。全体ぜんたい戦争せんそう概念がいねん歴史れきしてき発端ほったんもとめれば[[だい世界せかい大戦たいせん]]において戦略せんりゃくてき重要じゅうよう役割やくわりたした航空こうくう戦力せんりょくとその戦略せんりゃく理論りろんをめぐる議論ぎろんもとめることができる。イタリアの[[ジュリオ・ドゥーエ|ドゥーエ]]が提案ていあんした[[戦略せんりゃくばくげき]](strategic bombardment)の方法ほうほうはアメリカの[[ウィリアム・ミッチェル|ミッチェル]]やイギリスの[[ヒュー・トレンチャード|トレンチャード]]にも共有きょうゆうされ、戦略せんりゃくばくげき航空こうくう戦略せんりゃく基本きほんてき要素ようそとして位置いちづけられる。核兵器かくへいき開発かいはつされると戦略せんりゃくばくげき手段しゅだんとして応用おうようされ、実際じっさい大戦たいせんちゅうにアメリカにより[[日本にっぽんへの原子げんしばくだん投下とうか]]が実施じっしされた。1960年代ねんだいにおいて全体ぜんたい戦争せんそうかんがかたかく戦略せんりゃくにおけるかく戦争せんそうと[[大量たいりょう報復ほうふく]](massive retaliation)の理論りろんてき基礎きそとなる。大量たいりょう報復ほうふく軍事ぐんじ教義きょうぎにおいてはかく戦争せんそうでの防御ぼうぎょ不可能ふかのうせい大都市だいとし脆弱ぜいじゃくせい奇襲きしゅう有効ゆうこうせい反撃はんげき能力のうりょく必要ひつようせい認識にんしきされる。また1970年代ねんだいには全体ぜんたい戦争せんそうへの抑止よくしのための反撃はんげき能力のうりょく確保かくほ軍事ぐんじりょく柔軟じゅうなん展開てんかい、そしてあらゆる水準すいじゅんにおいて紛争ふんそう遂行すいこうする能力のうりょく保障ほしょうする[[柔軟じゅうなん反応はんのう]](flexible response)の理論りろんってわる。全体ぜんたい戦争せんそう議論ぎろん軍事ぐんじりょくがあくまで政治せいじてき目的もくてき達成たっせいするための合理ごうりてき手段しゅだんとして位置いちづけることが可能かのうであるという立場たちば反映はんえいしてきた。全体ぜんたい戦争せんそう理論りろんでは核兵器かくへいき役割やくわりかく戦争せんそう重要じゅうようせい形態けいたい、そして安全あんぜん保障ほしょう根本こんぽんてき目標もくひょう軍事ぐんじてき脅威きょういつね中心ちゅうしんてき論点ろんてんとなってきている。
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*[[限定げんてい戦争せんそう]] - [[冷戦れいせん]] - [[軍縮ぐんしゅく]] - [[軍備ぐんび管理かんり]]
*[[限定げんてい戦争せんそう]] - [[冷戦れいせん]] - [[軍縮ぐんしゅく]] - [[軍備ぐんび管理かんり]]
*[[ジュリオ・ドゥーエ]] - [[ハーマン・カーン]] - [[ヘンリー・キッシンジャー]]
*[[ジュリオ・ドゥーエ]] - [[ハーマン・カーン]] - [[ヘンリー・キッシンジャー]]

== 脚注きゃくちゅう ==
=== 注釈ちゅうしゃく ===
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=== 脚注きゃくちゅう ===
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==参考さんこう文献ぶんけん==
==参考さんこう文献ぶんけん==
{{参照さんしょう方法ほうほう|date=2010ねん8がつ}}
*Baylis, J., and K. Boost, et al. 1987. Contemporary strategy. 2 vols. New York: Holmes and Meier.
*Baylis, J., and K. Boost, et al. 1987. Contemporary strategy. 2 vols. New York: Holmes and Meier.
*Brodie, B. 1959. Strategy in the missile age. Princeton, N.J.: Princeton Univ. Press.
*Brodie, B. 1959. Strategy in the missile age. Princeton, N.J.: Princeton Univ. Press.

2021ねん4がつ21にち (水)すい 13:43時点じてんにおけるはん

全体ぜんたい戦争せんそう(ぜんたいせんそう、general war)とは存続そんぞく危機ききひんしている主要しゅよう国家こっかあいだであらゆる資源しげん投入とうにゅうしてたたかわれる武力ぶりょく紛争ふんそう[よう出典しゅってん]である[注釈ちゅうしゃく 1]

概要がいよう

全体ぜんたい戦争せんそうとは大国たいこくあいだだい規模きぼ軍事ぐんじりょく行使こうしし、かつ国家こっかにとって死活しかつてき国益こくえきをめぐって積極せっきょくてきたたかわれる戦争せんそうである。戦略せんりゃく概念がいねんとしての全体ぜんたい戦争せんそう核兵器かくへいき攻撃こうげきてき使用しようをめぐる議論ぎろん関連かんれんしており、大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイルばくげき潜水せんすいかんなどによるかく攻撃こうげき想定そうていされている。だいいち世界せかい大戦たいせんのちルーデンドルフにより理論りろんされた国家こっかそう力戦りきせん概念がいねんとの相違そういは、全体ぜんたい戦争せんそう理論りろんてき前提ぜんていとしてかく攻撃こうげき選択肢せんたくしがあることである[注釈ちゅうしゃく 2]。したがって、全体ぜんたい戦争せんそうもっと強度きょうどたか武力ぶりょく紛争ふんそうであり、軍事ぐんじてきエスカレーションの最終さいしゅうてき段階だんかい、すなわちかく戦争せんそう状態じょうたいである[よう出典しゅってん]位置いちづけることができる[注釈ちゅうしゃく 3]全体ぜんたい戦争せんそうでは軍事ぐんじ基地きち戦闘せんとう部隊ぶたいへの攻撃こうげきだけでなく、相手あいて戦争せんそう能力のうりょく基盤きばんである首都しゅと商業しょうぎょう都市とし工業こうぎょう地帯ちたいたいする攻撃こうげき実行じっこうされる。

全体ぜんたい戦争せんそう概念がいねんはアメリカとソビエトの全面ぜんめんてきかく戦争せんそう危険きけんせい背景はいけいとする冷戦れいせん構造こうぞうなか形成けいせいされてきたものである。全体ぜんたい戦争せんそう概念がいねん歴史れきしてき発端ほったんもとめればだい世界せかい大戦たいせんにおいて戦略せんりゃくてき重要じゅうよう役割やくわりたした航空こうくう戦力せんりょくとその戦略せんりゃく理論りろんをめぐる議論ぎろんもとめることができる。イタリアのドゥーエ提案ていあんした戦略せんりゃく爆撃ばくげき(strategic bombardment)の方法ほうほうはアメリカのミッチェルやイギリスのトレンチャードにも共有きょうゆうされ、戦略せんりゃくばくげき航空こうくう戦略せんりゃく基本きほんてき要素ようそとして位置いちづけられる。核兵器かくへいき開発かいはつされると戦略せんりゃくばくげき手段しゅだんとして応用おうようされ、実際じっさい大戦たいせんちゅうにアメリカにより日本にっぽんへの原子げんしばくだん投下とうか実施じっしされた。1960年代ねんだいにおいて全体ぜんたい戦争せんそうかんがかたかく戦略せんりゃくにおけるかく戦争せんそう大量たいりょう報復ほうふく(massive retaliation)の理論りろんてき基礎きそとなる。大量たいりょう報復ほうふく軍事ぐんじ教義きょうぎにおいてはかく戦争せんそうでの防御ぼうぎょ不可能ふかのうせい大都市だいとし脆弱ぜいじゃくせい奇襲きしゅう有効ゆうこうせい反撃はんげき能力のうりょく必要ひつようせい認識にんしきされる。また1970年代ねんだいには全体ぜんたい戦争せんそうへの抑止よくしのための反撃はんげき能力のうりょく確保かくほ軍事ぐんじりょく柔軟じゅうなん展開てんかい、そしてあらゆる水準すいじゅんにおいて紛争ふんそう遂行すいこうする能力のうりょく保障ほしょうする柔軟じゅうなん反応はんのう(flexible response)の理論りろんってわる。全体ぜんたい戦争せんそう議論ぎろん軍事ぐんじりょくがあくまで政治せいじてき目的もくてき達成たっせいするための合理ごうりてき手段しゅだんとして位置いちづけることが可能かのうであるという立場たちば反映はんえいしてきた。全体ぜんたい戦争せんそう理論りろんでは核兵器かくへいき役割やくわりかく戦争せんそう重要じゅうようせい形態けいたい、そして安全あんぜん保障ほしょう根本こんぽんてき目標もくひょう軍事ぐんじてき脅威きょういつね中心ちゅうしんてき論点ろんてんとなってきている。

関連かんれん項目こうもく

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ 一般いっぱんてき日本語にほんごとしては、「全体ぜんたい戦争せんそう」とはだい1世界せかい大戦たいせん以降いこうそう力戦りきせん国家こっかそう力戦りきせん)の同義語どうぎごとして使つかわれており[1] [2] [3]、このような用例ようれいはあまりられない。
  2. ^ 一般いっぱんてき日本語にほんご用語ようごとしては「全体ぜんたい戦争せんそう」のかたりにこのような用例ようれいはあまりられず、むしろ全体ぜんたい戦争せんそう核兵器かくへいきによって過去かこものとなったとする見解けんかいられる[4]
  3. ^ 実際じっさいにはかく戦争せんそうつね全面ぜんめんかく戦争せんそう意味いみするとはかぎらない。冷戦れいせん研究けんきゅうされていたたい兵力へいりょく戦略せんりゃく英語えいごばんてきかく戦力せんりょくおよびじゅん軍事ぐんじ目標もくひょう対象たいしょうとしたかく攻撃こうげき戦争せんそうわらせることを期待きたいして立案りつあんされており、民間みんかんじん敵国てきこく自国じこくふくめて)被害ひがい局限きょくげんするものと(すくなくとも理念りねんじょうは)されていた[5]

脚注きゃくちゅう

  1. ^ そう力戦りきせん』 - コトバンク
  2. ^ 戦争せんそう-戦争せんそう主体しゅたい争点そうてん形態けいたい機能きのう変遷へんせん. 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん. 平凡社へいぼんしゃ. https://www.excite.co.jp/dictionary/ency/content/%E6%88%A6%E4%BA%89 2021ねん4がつ21にち閲覧えつらん. "「に1914ねんだい1世界せかい大戦たいせんである。これは戦争せんそう帰趨きすう工業こうぎょうりょくによって左右さゆうされ,国民こくみん全体ぜんたい全体ぜんたい戦争せんそう意味いみし(後略こうりゃく)」" 
  3. ^ 名著めいちょ90 「戦争せんそうろん」:100ふん de 名著めいちょ”. NHK. 2021ねん4がつ21にち閲覧えつらん。 “だいいち世界せかい大戦たいせんは、さらに戦争せんそう様態ようたい一変いっぺんさせる。それは国民こくみん生活せいかつ世界せかい全体ぜんたいむ「そう力戦りきせん」だ。そこでは、産業さんぎょうげて軍需ぐんじゅ工場こうじょう兵站へいたん基地きちし、日常にちじょう私的してき活動かつどう国家こっかによって制約せいやくされ、情報じょうほう管理かんりとイデオロギー統制とうせいによって人間にんげん内面ないめんすらも体制たいせいまれ、戦線せんせん空間くうかんとなって社会しゃかい全体ぜんたい浸透しんとうする。この事態じたいをカイヨワは「全体ぜんたい戦争せんそう」とんだ”
  4. ^ 戦争せんそう-かく時代じだい戦争せんそう. 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん. 平凡社へいぼんしゃ. https://www.excite.co.jp/dictionary/ency/content/%E6%88%A6%E4%BA%89 2021ねん4がつ21にち閲覧えつらん. "「かくのもつ破壊はかいりょく地球ちきゅうじょうのどの地点ちてんにも瞬時しゅんじ運搬うんぱんできるミサイルの出現しゅつげんは,ふたつの大戦たいせんにみられた工業こうぎょう諸国しょこく総動員そうどういんによる全体ぜんたい戦争せんそう過去かこのものにした」" 
  5. ^ たい兵力へいりょく戦略せんりゃく』 - コトバンク

参考さんこう文献ぶんけん

  • Baylis, J., and K. Boost, et al. 1987. Contemporary strategy. 2 vols. New York: Holmes and Meier.
  • Brodie, B. 1959. Strategy in the missile age. Princeton, N.J.: Princeton Univ. Press.
  • Collins, J. M. 1973. Grand strategy: Its principles and practices. Annapolis, Md.: U.S. Naval Institute Press.
  • Douhet, G. 1942. The command of air. Trans. D. Ferrari. New York: Coward-McCann.
  • Freedman, L. 1989. The evolution of nuclear strategy. New York: St. Martin's Press.
  • Fuller, J. F. C. 1961. The conduct of war, 1789-1961: A study of the impact of the French, industrial, and Russian revolutions on war and its conduct. New Brunswick, N. J.: Rutgers Univ. Press.
    • 中村なかむらこう寿ことぶきやく『フラー 制限せいげん戦争せんそう指導しどうろんはら書房しょぼう、2009ねん
  • Head, R. G., and E. J. Rokke, eds. 1973. American defense policy. Baltimore, Md.: Johns Hopkins Univ. Press.
  • Kahn, H. 1965. On escalation: Metaphors and scenarios. New York: Praeger.
  • Kissinger, H. 1957. Nuclear weapons and foreign policy. New York: Harper.
    • 森田もりた隆光たかみつやく核兵器かくへいき外交がいこう政策せいさく駿河台するがだい出版しゅっぱんしゃ、1994ねん
  • Lider, J. 1977. On the nature of war. Farnborough, U.K.: Saxon House.
  • Millis, W. 1956. Arms and men: A study of American military history. New Brunswick, N.J.: Rutgers Univ. Press.
  • Morgenstern, O. 1961. The question of national defense. New York: Vintage Books.
  • Snyder, G. H. 1975. Deterrence ad defense: Toward a theory of national security. Westport, Conn.: Greenwood Press.
  • U.S. Department of Defense. Joint Chiefs of Staff (JCS). 1984. Department of Defense dictionary of military terms. JCS Publications no. 1. Washington, D.C.: U.S. Government Printing Office.