鋤

江戸えど時代じだいの鋤すき

鋤すき（すき）とは、農作業のうさぎょうや土木どぼく工事こうじに使用しようされた、地面じめんを掘ほったり、土砂どしゃなどをかき寄よせたり、土どの中なかの雑草ざっそうの根ねを切きるのに使用しようされる道具どうぐ、農具のうぐである。スペード（Spade）とも呼よばれる。

概要がいよう

構造こうぞうは、櫂かい状じょうであり、木き製せいか金属きんぞく製せいの長ながい柄えと、金属きんぞく製せいの刃は、または竹たけで編あんだ箕みで構成こうせいされ、これらが一直線いっちょくせん上じょうにあるか、または鈍角どんかくをなしている。使用しよう法ほうは、手力てじからと鋤すき重じゅうとによる押込おしごめ力りょくと、手力てじからによる土壌どじょうの反転はんてんとを適当てきとうに利用りようして、農地のうちを耕たがやせ起おこりする。「踏鍬」（ふみぐわ）と称しょうされるものは、鋤すきの1種しゅであり、踏圧力りょくを利用りようしてその鑱床部ぶを土中どちゅうに深ふかく挿入そうにゅうし、これを両手りょうてで押おし倒たおし、土壌どじょうを撥はね起おこしつつ、側がわ退すさ耕こう鋤すきするものである。

鋤すきは人間にんげんが手作業てさぎょうで使つかう道具どうぐであり、馬うまや牛うしなどに引ひかせる犂すき（すき、プラウ）とは、同おなじ発音はつおんではあるが別べつの道具どうぐである。なお、中国ちゅうごくでは元来がんらい「鋤すき」の字じは“くわ”を意味いみしていたが、日本にっぽんでは鋤すきを使役しえき動物どうぶつに引ひかせて使つかう農耕のうこう具ぐ（つまり、犂すき）であると誤認ごにんされ、“くわ”に当あたる漢字かんじが存在そんざいしないと考かんがえて、“くわ”を意味いみする国字こくじ「鍬くわ」を創作そうさくしたとされている。

洋ようの東西とうざいを問とわず、反乱はんらんや一揆いっきの際さいには武器ぶきに変へんじた。

現在げんざいでは農業のうぎょう用よう・土木どぼく作業さぎょう用ようともに、シャベルにとって代かわられ、日本にっぽんの伝統でんとう的てきな鋤すきは一般いっぱんに見みることはできなくなった。

すき焼やき

なお、柄えの取とれた古ふるい鋤すきを野外やがいで鍋なべの代かわりに使つかって鳥獣ちょうじゅうの肉にくや野菜やさいを焼やいたのが「すき焼やき」の始はじまりといわれている。　

参考さんこう文献ぶんけん

• 古賀こが登のぼる『両りょう税法ぜいほう成立せいりつ史しの研究けんきゅう』雄山閣ゆうざんかく、2012年ねん。 

関連かんれん項目こうもく

• 踏ふみ鋤すき
• 十能じゅうのう
• 鍬くわ（くわ）
• ピッチフォーク
• シャベル
• すき焼やき