地方ちほう公務員こうむいん

地方ちほう公務員こうむいん（ちほうこうむいん）は、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいに勤務きんむし、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの組織そしきのなかで一定いっていの地位ちいを占しめ、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいに勤務きんむを提供ていきょうする反対はんたい給付きゅうふとして、報酬ほうしゅう、給料きゅうりょう、手当てあてなどを受うけている者ものをいう。地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい2条じょうの規定きていでは、「地方ちほう公共こうきょう団体だんたいのすべての公務員こうむいん」を地方ちほう公務員こうむいんと定義ていぎしている。かつては、国家こっか公務員こうむいんを官吏かんりと称しょうしたのに対たいして、地方ちほう公務員こうむいんを公吏こうりと称しょうした。

地方ちほう公務員こうむいんには労働ろうどう契約けいやく法ほう、労働ろうどう組合くみあい法ほう、労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせい法ほう、最低さいてい賃金ちんぎん法ほうのすべてが適用てきようされない。労働ろうどう基準きじゅん法ほうにおいては労働ろうどう組合くみあいに関かんする条項じょうこうが適用てきようされない。

勤務きんむ形態けいたいによる区別くべつ

基幹きかん業務ぎょうむ

• 任期にんきの定さだめのない常勤じょうきん職員しょくいん (フルタイム)
• 任期にんき付づけ職員しょくいん (フルタイム/パートタイム)：地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの一般いっぱん職しょくの任期にんき付づけ職員しょくいんの採用さいように関かんする法律ほうりつに規定きてい。
  • 高度こうどの専門せんもん的てき知識ちしき経験けいけん等とうを有ゆうする者ものを一定いっていの期間きかん活用かつようすることが特とくに必要ひつような場合ばあい、専門せんもん的てきな知識ちしき経験けいけんを有ゆうする者ものを期間きかんを限かぎって業務ぎょうむに従事じゅうじさせることが必要ひつような場合ばあいに、条例じょうれいで定さだめるところにより、職員しょくいん（フルタイム）を選考せんこうにより任期にんきを定さだめて採用さいようすることができる（5年ねん以内いない）。（任期にんき付づけ職員しょくいん法ほう第だい3条じょう）
  • 一定いっていの期間きかん内ないに終了しゅうりょうすることが見込みこまれる業務ぎょうむに従事じゅうじする場合ばあい、一定いっていの期間きかん内ないに限かぎり業務ぎょうむ量りょうの増加ぞうかが見込みこまれる業務ぎょうむに従事じゅうじする場合ばあい等とうに、、条例じょうれいで定さだめるところにより、職員しょくいん（フルタイム/パートタイム）を競争きょうそう試験しけん又または選考せんこうにより任期にんきを定さだめて採用さいようすることができる（3年ねん以内いない、特とくに必要ひつような場合ばあいには5年ねん以内いない）。（任期にんき付づけ職員しょくいん法ほう第だい4条じょう、第だい5条じょう）
• 再さい任用にんよう職員しょくいん (フルタイム/パートタイム)
  • 定年ていねん年齢ねんれいの引ひき上あげに伴ともない、従来じゅうらいの再さい任用にんよう（フルタイム）は廃止はいしされ、定年ていねん前ぜん再任さいにん用よう短時間たんじかん勤務きんむ職員しょくいんとなる（定年ていねん引ひき上あげが完成かんせいするまで暫定ざんてい再さい任用にんよう職員しょくいん（フルタイム/パートタイム）として存置そんち）。

臨時りんじの業務ぎょうむ

• 特別とくべつ職しょく非常勤ひじょうきん職員しょくいん - 以下いかすべてを満みたす必要ひつようがある（地方ちほう公務員こうむいん法ほう3条じょう3項こう3号ごう）
  1. 専門せんもん的てきな知識ちしき経験けいけん又または識見しきけんを有ゆうする者ものが就つく職しょく
  2. 当該とうがい知識ちしき経験けいけん等とうに基もとづき非ひ専務せんむ的てきに公務こうむに参画さんかくする労働ろうどう者しゃ性せいの低ていい職じょく
  3. 助言じょげん、調査ちょうさ、診断しんだん等とうを行おこなう職しょく
• 会計かいけい年度ねんど任用にんよう職員しょくいん（一般いっぱん職しょく非常勤ひじょうきん職員しょくいん）（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい22条じょうの2）
  • フルタイム/パートタイム。
  • 任命にんめい権けん者しゃは、会計かいけい年度ねんど任用にんよう職員しょくいんの採用さいよう又または任期にんきの更新こうしんに当とうたつては、職務しょくむの遂行すいこうに必要ひつようかつ十分じゅうぶんな任期にんきを定さだめるものとし、必要ひつよう以上いじょうに短みじかい任期にんきを定さだめることにより、採用さいよう又または任期にんきの更新こうしんを反復はんぷくして行おこなうことのないよう配慮はいりょしなければならない。
• 臨時りんじ的てき任用にんよう職員しょくいん（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい22条じょうの3） - 6か月げつ以内いない。更新こうしんは1度どのみ。
  • 常時じょうじ勤務きんむを要ようする職しょくに欠員けついんを生しょうじた場合ばあいに限定げんていされ、緊急きんきゅうのとき、臨時りんじの職しょくに関かんするとき、又または採用さいよう候補者こうほしゃ名簿めいぼがないとき。
  • 主おもに、教師きょうしの欠員けついんによって募集ぼしゅうされている。

職しょくによる区別くべつ

地方ちほう公務員こうむいんには一般いっぱん職しょくと特別とくべつ職しょくがある。

一般いっぱん職しょく地方ちほう公務員こうむいん

一般いっぱん職しょくは、特別とくべつ職しょくに属ぞくする職しょく以外いがいの一切いっさいの職しょくをいう（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい2項こう）。一般いっぱん職しょくの職員しょくいんには、地方ちほう公務員こうむいん法ほうに規定きていする一般いっぱん職しょくの職員しょくいんに関かんする任用にんよう、職階しょっかい制せい、給与きゅうよ、勤務きんむ時間じかんその他たの勤務きんむ条件じょうけん、分限ぶげん及および懲戒ちょうかい、服務ふくむ、研修けんしゅう及および勤務きんむ成績せいせきの評定ひょうじょう、福利ふくり及および利益りえきの保護ほご並ならびに職員しょくいん団体だんたい等とうに関かんする規定きていが適用てきようされる。

なお、次つぎの職員しょくいんには地方ちほう公務員こうむいん法ほう以外いがいに特別とくべつの法律ほうりつが設もうけられている。

• 教育きょういく関係かんけい職員しょくいん
  • 教育きょういく公務員こうむいん特例とくれい法ほう
  • 地方ちほう教育きょういく行政ぎょうせいの組織そしき及および運営うんえいに関かんする法律ほうりつ
  • 市町しちょう村立そんりつ学校がっこう職員しょくいん給与きゅうよ負担ふたん法ほうなど
• 警察けいさつ職員しょくいん
  • 警察けいさつ法ほう
• 消防しょうぼう職員しょくいん
  • 消防しょうぼう組織そしき法ほう
  • 消防しょうぼう団員だんいん等とう公務こうむ災害さいがい補償ほしょう等とう共済きょうさい基金ききん法ほう
• 企業きぎょう職員しょくいん・技能ぎのう労務ろうむ職員しょくいん（単純たんじゅん労務ろうむ職員しょくいん）
  • 地方ちほう公営こうえい企業きぎょう法ほう
  • 地方ちほう公営こうえい企業きぎょう等とうの労働ろうどう関係かんけいに関かんする法律ほうりつ
  • 労働ろうどう組合くみあい法ほう
  • 労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせい法ほう

特別とくべつ職しょく地方ちほう公務員こうむいん

特別とくべつ職しょくとは次つぎに掲かかげる職しょくである（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう）。法律ほうりつに特別とくべつの定さだめがある場合ばあいを除のぞき、特別とくべつ職しょくである公務員こうむいんには地方ちほう公務員こうむいん法ほうは適用てきようされない（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい4条じょう第だい2項こう）。

• 就任しゅうにんについて公選こうせん又または地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの議会ぎかいの選挙せんきょ、議決ぎけつ若もしくは同意どういによることを必要ひつようとする職しょく（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい1号ごう）
  • 例れい：都道府県とどうふけん知事ちじ、特別とくべつ区く区長くちょう、市町村しちょうそん長ちょう、議会ぎかいの議員ぎいん、副ふく知事ちじ、副ふく市町村しちょうそん長ちょう、行政ぎょうせい委員いいん会かいの委員いいんなど
• 地方ちほう公営こうえい企業きぎょうの管理かんり者しゃ及および企業きぎょう団だんの企業きぎょう長ちょう（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい1号ごうの2）
• 法令ほうれい又または条例じょうれい、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの規則きそく若もしくは地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの機関きかんの定さだめる規程きていにより設もうけられた委員いいん及および委員いいん会かい（審議しんぎ会かいその他たこれに準じゅんずるものを含ふくむ。）の構成こうせい員いんの職しょくで臨時りんじ又または非常勤ひじょうきんのもの（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい2号ごう）
• 臨時りんじ又または非常勤ひじょうきんの顧問こもん、参与さんよ、調査ちょうさ員いん、嘱託しょくたく員いん及およびこれらの者ものに準じゅんずる者ものの職しょく（専門せんもん的てきな知識ちしき経験けいけん又または識見しきけんを有ゆうする者ものが就つく職しょくであつて、当該とうがい知識ちしき経験けいけん又または識見しきけんに基もとづき、助言じょげん、調査ちょうさ、診断しんだん及および労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせい法ほうの規定きていによる斡旋あっせん事務じむを行おこなうものに限かぎる。）（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい3号ごう、地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい三さん条じょう第だい三さん項こう第だい三さん号ごうの総務そうむ省令しょうれいで定さだめる事務じむ等とうを定さだめる省令しょうれい第だい1条じょう）
• 投票とうひょう管理かんり者しゃ、開票かいひょう管理かんり者しゃ、選挙せんきょ長ちょう、選挙せんきょ分ぶん会長かいちょう、審査しんさ分ぶん会長かいちょう、国民こくみん投票とうひょう分ぶん会長かいちょう、投票とうひょう立会たちあい人じん、開票かいひょう立会たちあい人じん、選挙せんきょ立会たちあい人じん、審査しんさ分会ぶんかい立会たちあい人じん、国民こくみん投票とうひょう分会ぶんかい立会たちあい人じんその他た総務そうむ省令しょうれいで定さだめる者ものの職しょく（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい3号ごうの2）
• 地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの長なが、議会ぎかいの議長ぎちょうその他た地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの機関きかんの長ちょうの秘書ひしょの職しょくで条例じょうれいで指定していするもの（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい4号ごう）
• 非常勤ひじょうきんの消防しょうぼう団だん員いん及および水防すいぼう団だん員いんの職しょく（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい5号ごう）
• 特定とくてい地方ちほう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんの役員やくいん（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい3条じょう第だい3項こう第だい6号ごう）

職員しょくいんの任用にんよう（公務員こうむいんの任命にんめい）

任用にんよう

任用にんようとは、任命にんめい権けん者しゃが特定とくていの人ひとを特定とくていの職しょくにつけることである。職員しょくいんの任用にんようは、地方ちほう公務員こうむいん法ほうの定さだめるところにより、受験じゅけん成績せいせき、勤務きんむ成績せいせきその他たの能力のうりょくの実証じっしょうに基もとづいて行おこなわなければならない。職員しょくいんの職しょくに欠員けついんを生しょうじた場合ばあいにおいては、任命にんめい権けん者しゃは、採用さいよう、昇任しょうにん、降任こうにん又または転任てんにんのいずれか一いちの方法ほうほうにより、職員しょくいんを任命にんめいすることができる。

欠格けっかく条項じょうこう

地方ちほう公務員こうむいん法ほう16条じょうの規定きていにより、以下いかの者ものは条例じょうれいで定さだめる場合ばあいを除のぞくほか、職員しょくいんとなり、又または競争きょうそう試験しけん若もしくは選考せんこうを受うけることができない。

1. 禁錮きんこ以上いじょうの刑けいに処しょせられ、その執行しっこうを終おわるまで又またはその執行しっこうを受うけることがなくなるまでの者もの
2. 当該とうがい地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにおいて懲戒ちょうかい免職めんしょくの処分しょぶんを受うけ、当該とうがい処分しょぶんの日ひから2年ねんを経過けいかしない者もの
3. 人事じんじ委員いいん会かい又または公平こうへい委員いいん会かいの委員いいんの職しょくにあつて、第だい五ご章しょうに規定きていする罪つみを犯おかし刑けいに処しょせられた者もの
4. 日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこうの日ひ以後いごにおいて、日本国にっぽんこく憲法けんぽう又またはその下したに成立せいりつした政府せいふを暴力ぼうりょくで破壊はかいすることを主張しゅちょうする政党せいとうその他たの団体だんたいを結成けっせいし、又またはこれに加入かにゅうした者もの

また、上うえの条項じょうこう（2.を除のぞく）に該当がいとうするに至いたった時ときは、条例じょうれいに特別とくべつの定じょうがある場合ばあいを除のぞいてその職しょくを失うしなう（28条じょう）。

成年せいねん被ひ後見人こうけんにん又または被ひ保ほ佐さ人じんを欠格けっかく条項じょうこうとする規定きていについては、採用さいよう時じに試験しけんや面接めんせつ等とうにより適格てきかく性せいを判断はんだんし、その後ご、心身しんしんの故障こしょう等とうにより職務しょくむを行おこなうことが難むずかしい場合ばあいにおいても病気びょうき休職きゅうしょく、分限ぶげんなどの規定きていが既すでに整備せいびされていることから、令れい和わ元年がんねん6月がつ14日にちに公布こうふされた「成年せいねん被ひ後見人こうけんにん等とうの権利けんりの制限せいげんに係かかる措置そちの適正てきせい化か等とうを図はかるための関係かんけい法律ほうりつの整備せいびに関かんする法律ほうりつ」によって削除さくじょされることとなった。

任命にんめい権けん者しゃ

職員しょくいんの採用さいよう・昇任しょうにん･降任こうにん・転任てんにん・免職めんしょく・懲戒ちょうかいなどの人事じんじ権けんは、法律ほうりつ又またはこれに基もとづく条例じょうれい・規則きそく・規定きていに従したがい、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの長ちょうのほか、議会ぎかいの長なが、行政ぎょうせい委員いいん会かい、代表だいひょう監査かんさ委員いいん、警視総監けいしそうかん、道府県どうふけん警察けいさつ本部ほんぶの本部ほんぶ長ちょう、消防しょうぼう長ちょう、消防しょうぼう団長だんちょう、地方ちほう公営こうえい企業きぎょうの管理かんり者しゃ等とうに与あたえられている。これらの者ものを任命にんめい権けん者しゃという。

成績せいせき主義しゅぎ

成績せいせき主義しゅぎとは、採用さいよう、昇任しょうにん、転任てんにん及および降任こうにんのすべてがその職員しょくいんの能力のうりょくの実証じっしょうに基もとづいて行おこなわれなければならないという考かんがえ方かたのことである。これは、猟官りょうかん主義しゅぎ（猟官りょうかん制せい・スポイルズシステム）に対立たいりつする制度せいどであり、政治せいじ的てき介入かいにゅうや党派とうは的てき利益りえきを排除はいじょし、行政ぎょうせいの安定あんてい性せい、能率のうりつ性せいを確保かくほすることを目的もくてきとする。すなわち、成績せいせき主義しゅぎを導入どうにゅうすることで、政治せいじと行政ぎょうせいを分離ぶんりし、職員しょくいんに、中立ちゅうりつ的てきな立場たちばから、住民じゅうみん福祉ふくしの向上こうじょうのために全力ぜんりょくを挙あげることを求もとめ、またそれを可能かのうとする環境かんきょうを確保かくほしようとしているのである。

なお、成績せいせき主義しゅぎに反はんして任用にんようを行おこなった者ものは、3年ねん以下いかの懲役ちょうえき又または10万まん円えん以下いかの罰金ばっきんに処しょされる。

職員しょくいんの採用さいよう

地方ちほう公共こうきょう団体だんたいが職員しょくいんを採用さいようする場合ばあい、それぞれの地方ちほう公共こうきょう団体だんたいごとに競争きょうそう試験しけんを行おこなう。一般いっぱん的てきに区分くぶんは上級じょうきゅう（大卒だいそつ程度ていど）、中級ちゅうきゅう（短大たんだい卒そつ程度ていど）、初級しょきゅう（高卒こうそつ程度ていど）に分わかれる。区分くぶんは地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにより異ことなり、学歴がくれき制限せいげんが設もうけられていることもある。人事じんじ委員いいん会かいが置おかれる地方ちほう公共こうきょう団体だんたいについては人事じんじ委員いいん会かいが、人事じんじ委員いいん会かいを置おかない地方ちほう公共こうきょう団体だんたいについては任命にんめい権けん者しゃが競争きょうそう試験しけんを行おこなう（⇒公務員こうむいん試験しけん）。

人事じんじ委員いいん会かいを置おく地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにおける競争きょうそう試験しけんによる職員しょくいんの任用にんようについては、試験しけんごとに任用にんよう候補者こうほしゃ名簿めいぼ（採用さいよう候補者こうほしゃ名簿めいぼ・昇任しょうにん者しゃ候補者こうほしゃ名簿めいぼ）を作成さくせいする。任用にんよう候補者こうほしゃ名簿めいぼには、採用さいよう試験しけん又または昇任しょうにん試験しけんにおいて合格ごうかく点てん以上いじょうを得えた者ものの氏名しめい及および得点とくてんがその得点とくてん順じゅんに記載きさいされている。任用にんよう候補者こうほしゃ名簿めいぼは、人事じんじ委員いいん会かいの議決ぎけつにより確定かくていし、その後ごは、原則げんそくとして、いかなる変更へんこう又または訂正ていせいも行おこなうことはできない。

人事じんじ委員いいん会かいは、作成さくせいした任用にんよう候補者こうほしゃ名簿めいぼのうちから任命にんめい権けん者しゃに採用さいようすべき者もの1人にんにつき高点こうてん順じゅんの志望しぼう者しゃ5名めいを提示ていじし、任命にんめい権けん者しゃはこの中なかから所要しょようの職員しょくいんを採用さいようする。

職員しょくいんの選考せんこう

職員しょくいんの採用さいよう・昇任しょうにんについては、原則げんそくとして競争きょうそう試験しけんによらなければならないが、人事じんじ委員いいん会かいの定さだめる職しょくについて人事じんじ委員いいん会かいの承認しょうにんがあった場合ばあいに限かぎり例外れいがい的てきに選考せんこうが行おこなわれる。

選考せんこうが行おこなわれるのは、

• 選考せんこうによって十分じゅうぶん適格てきかく者しゃが得えられる場合ばあい
• 競争きょうそう試験しけんによって適格てきかく者しゃを得えることが困難こんなんと思おもわれる場合ばあい

に限かぎられる。

人事じんじ委員いいん会かいを置おかない地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにおいては、職員しょくいんの採用さいよう・昇任しょうにんについて、競争きょうそう試験しけんによるか選考せんこうによるかは任命にんめい権けん者しゃにゆだねられている。

職員しょくいんの給与きゅうよ

地方ちほう公務員こうむいん法ほうには、給与きゅうよに関かんする基準きじゅん（給与きゅうよ決定けっていの根本こんぽん原則げんそく）として

1. 職務しょくむ給きゅうの原則げんそく
2. 均衡きんこうの原則げんそく
3. 給与きゅうよ条例じょうれい主義しゅぎの原則げんそく

が定さだめられている。

1. 職務しょくむ給きゅうの原則げんそく

   地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい24条じょう第だい1項こう「職員しょくいんの給与きゅうよは、その職務しょくむと責任せきにんに応おうじるものでなければならない。」において、給与きゅうよが職員しょくいんの勤務きんむに対たいする対価たいかであることを示しめすとともに、給与きゅうよは職務しょくむと責任せきにんに応おうじて決定けっていされなければならないというものである。

2. 均衡きんこうの原則げんそく

   地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい24条じょう第だい3項こうで地方ちほう公務員こうむいんの給与きゅうよについて「生計せいけい費ひ並ならびに国くに及および他たの地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの職員しょくいん並ならびに民間みんかん事業じぎょうの従事じゅうじ者しゃの給与きゅうよその他たの事情じじょうを考慮こうりょして定さだめなければならない。」というものである。

3. 給与きゅうよ条例じょうれい主義しゅぎの原則げんそく

   給与きゅうよ法定ほうてい主義しゅぎに基もとづき、地方ちほう自治じち法ほう第だい203条じょう第だい5項こう及および第だい204条じょう第だい3項こうにおいて、報酬ほうしゅう、給料きゅうりょう、手当てあての額がく並ならびにその支給しきゅう方法ほうほうは条例じょうれいで定さだめなければならないと規定きていするとともに、同どう法ほう第だい204条じょうの2において、いかなる給与きゅうよその他たの給付きゅうふも法律ほうりつ又またはこれに基もとづく条例じょうれいに基もとづかずには職員しょくいんに支給しきゅうしてはならないと定さだめられている。

   また、地方ちほう公務員こうむいん法ほうにおいても、第だい24条じょう第だい6項こう「職員しょくいんの給与きゅうよ、勤務きんむ時間じかんその他た勤務きんむ条件じょうけんは条例じょうれいで定さだめることとし、これに基もとづかずにはいかなる金銭きんせん又または有価ゆうか物ぶつも職員しょくいんに支給しきゅうしてはならない」というものである。

給与きゅうよの種類しゅるい

地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの職員しょくいんの給与きゅうよについては、地方ちほう自治じち法ほうでは次つぎのように定さだめられている。

• 非常勤ひじょうきん職員しょくいん
  • 報酬ほうしゅう（第だい203条じょう第だい1項こう）
• 常勤じょうきん職員しょくいん
  • 給料きゅうりょう（一般いっぱんでいう基本給きほんきゅう）（第だい204条じょう第だい1項こう）
  • 職員しょくいん手当てあて（第だい204条じょう第だい1項こう）
    • 扶養ふよう手当てあて
    • 地域ちいき手当てあて（2006年度ねんどより調整ちょうせい手当てあてから代かわって支給しきゅう）
    • 住居じゅうきょ手当てあて
    • 初任しょにん給きゅう調整ちょうせい手当てあて
    • 通勤つうきん手当てあて
    • 単身たんしん赴任ふにん手当てあて
    • 特とく地ち勤務きんむ手当てあて（これに準じゅんずる手当てあてを含ふくむ。）
      • 僻地へきち手当てあて（これに準じゅんずる手当てあてを含ふくむ。）
      • 寒冷かんれい地ち手当てあて
    • 特殊とくしゅ勤務きんむ手当てあて
    • 時間じかん外がい勤務きんむ手当てあて
    • 宿やど日直にっちょく手当てあて
    • 管理かんり職しょく特別とくべつ勤務きんむ手当てあて
    • 夜間やかん勤務きんむ手当てあて
    • 休日きゅうじつ勤務きんむ手当てあて
    • 管理かんり職しょく手当てあて
    • 期末きまつ手当てあて
    • 勤勉きんべん手当てあて（いわゆるボーナスとして期末きまつ手当てあてとともに支給しきゅうされるが、基準きじゅん期間きかん内ないの勤務きんむ日数にっすうによって支給しきゅう率りつは異ことなる）
    • 期末きまつ特別とくべつ手当てあて
    • 義務ぎむ教育きょういく等とう教員きょういん特別とくべつ手当てあて
    • 定時ていじ制せい通信つうしん教育きょういく手当てあて
    • 産業さんぎょう教育きょういく手当てあて
    • 災害さいがい派遣はけん手当てあて
    • 退職たいしょく手当てあて
• 議会ぎかいの議員ぎいんについては、条例じょうれいにより期末きまつ手当てあてを支給しきゅうすることができる（地方ちほう自治じち法ほう第だい203条じょう第だい4項こう）。
• 地方ちほう公営こうえい企業きぎょう法ほうが適用てきようされる企業きぎょう職員しょくいんについては、地方ちほう公営こうえい企業きぎょう等とうの労働ろうどう関係かんけいに関かんする法律ほうりつ(地ち公こう企くわだて労ろう法ほう)第だい7条じょうにより、労働ろうどう協約きょうやくによって労働ろうどう条件じょうけんが取とり決きめられる。
• 技能ぎのう労務ろうむ職員しょくいん（単純たんじゅん労務ろうむ職員しょくいん）の労働ろうどう関係かんけいその他た身分みぶん取扱とりあつかいは、原則げんそくとして地方ちほう公営こうえい企業きぎょう法ほうの企業きぎょう職員しょくいんに関かんする規定きていが準用じゅんようされる（地ち公こう企くわだて労ろう法ほう附則ふそく第だい5条じょう）ため、労働ろうどう協約きょうやくによって労働ろうどう条件じょうけんが取とり決きめられることとなる。

給与きゅうよの額がく及および支給しきゅう方法ほうほう

報酬ほうしゅう、給料きゅうりょう、手当てあての額がく並ならびにその支給しきゅう方法ほうほうについては条例じょうれいで定さだめなければならない（同どう法ほう第だい203条じょう第だい5項こう、第だい204条じょう第だい3項こう）とされている。なお、実際じっさいの報酬ほうしゅう・給与きゅうよ（=給料きゅうりょう＋手当てあて）の額がくの決定けってい方法ほうほう、支給しきゅう方法ほうほうについては給与きゅうよ規則きそくなどに定さだめられている。

給与きゅうよの改定かいてい

公務員こうむいんは、団体だんたい交渉こうしょう権けん、争議そうぎ権けんを制限せいげんされており、給与きゅうよを適正てきせいに維持いじする目的もくてきから人事じんじ委員いいん会かいが民間みんかんの賃金ちんぎんや経済けいざい状況じょうきょうを勘案かんあんの上うえ、給与きゅうよの勧告かんこくを議会ぎかい及および地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの長ながに対たいして行おこなう。人事じんじ委員いいん会かいを置おかない地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにおいては、議会ぎかい及および長ちょうにおいて、地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい14条じょうに定さだめる情勢じょうせい適用てきようの原則げんそくに従したがい、適切てきせつな措置そちを行おこなう。

人事じんじ委員いいん会かいの給与きゅうよの勧告かんこくは、法的ほうてきな拘束こうそく力りょくはないが、任命にんめい権けん者しゃはほぼその勧告かんこくに沿そった形かたちで、給与きゅうよ改定かいていを行おこなうことが多おおい。また、国家こっか公務員こうむいんの給与きゅうよに関かんする人事院じんじいん勧告かんこくは、人事じんじ委員いいん会かいを置おかない地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの長ちょうの判断はんだんに大おおきな影響えいきょうを与あたえる。

なお、地方ちほう公務員こうむいんと国家こっか公務員こうむいんの給与きゅうよを比較ひかくした指標しひょうとしてラスパイレス指数しすうがあり、総務そうむ省しょう、各かく地方自治体ちほうじちたいが公表こうひょうしている。

職員しょくいんの服務ふくむ（義務ぎむ）

すべて職員しょくいんは、全体ぜんたいの奉仕ほうし者しゃとして公共こうきょうの利益りえきのために勤務きんむし、且かつ、職務しょくむの遂行すいこうに当あたっては、全力ぜんりょくを挙あげてこれに専念せんねんしなければならない。（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい30条じょう）

以下いかに述のべる服務ふくむ上じょうの義務ぎむ規定きていに違反いはんした場合ばあいは、懲戒ちょうかい処分しょぶんの対象たいしょうとなる。

服務ふくむの宣誓せんせい

職員しょくいんは、条例じょうれいの定さだめるところにより、服務ふくむの宣誓せんせいをしなければならない。（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい31条じょう） ただし、職員しょくいんの服務ふくむ上じょうの義務ぎむは、任用にんよう（採用さいよう）によりいわゆる特別とくべつ権力けんりょく関係かんけいに入はいることによって当然とうぜんに生しょうじるものであり、服務ふくむの宣誓せんせいをすることによって初はじめて義務ぎむが生しょうずるわけではない。

法令ほうれい・条例じょうれい等ひとし及および上司じょうしの命令めいれいに従したがう義務ぎむ

職員しょくいんは、その職務しょくむを遂行すいこうするに当あたって、法令ほうれい、条例じょうれい、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの規則きそく及および地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの機関きかんの定さだめる規程きていに従したがい、かつ、上司じょうしの職務しょくむ上じょうの命令めいれいに忠実ちゅうじつに従したがわなければならない。（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい32条じょう）

ここでいう上司じょうしとは、職務しょくむの遂行すいこうについてその職員しょくいんを指揮しき監督かんとくする権限けんげんを有ゆうする者ものをいう。

職務しょくむ上じょうの命令めいれい

職務しょくむ上じょうの命令めいれいとは、上司じょうしから、指揮しき監督かんとく下かにある職員しょくいんに対たいして発はっせられる命令めいれいをいう。その内容ないようは、職務しょくむの執行しっこうについての他ほか、職務しょくむの執行しっこうに関連かんれんした合理ごうり的てきな範囲はんい内ないで必要ひつようとなる身分みぶん上じょうの義務ぎむ（例たとえば、制服せいふく等とうの着用ちゃくようや、過度かどの飲酒いんしゅを差さし控ひかえることなど）を含ふくむ。

職務しょくむ命令めいれいが有効ゆうこうに成立せいりつするためには、次つぎの要件ようけんを満みたしている必要ひつようがある。

• 権限けんげんある上司じょうしから発はっせられる命令めいれいであること
• 上司じょうしの職務しょくむ権限けんげん内ないの事項じこうであること
• 実行じっこう可能かのうな内容ないようであること

職務しょくむ命令めいれいに重じゅう大だいかつ明白めいはくな瑕疵かしがある場合ばあいは、無効むこうであるから従したがう必要ひつようはない。ただし、当該とうがい命令めいれいが無効むこうであるか否ひかは、客観きゃっかん的てきな認定にんていによるべきものであり、部下ぶかが上司じょうしの職務しょくむ命令めいれいについて実質じっしつ的てきな審査しんさ権けんを持もつとまではいえないものと解ほぐされる。また、当該とうがい職務しょくむ命令めいれいを無効むこうであると判断はんだんした職員しょくいんは、その判断はんだんした結果けっかについて責任せきにんを負おわなければならない。

信用しんよう失墜しっつい行為こういの禁止きんし

職員しょくいんは、その職しょくの信用しんようを傷きずつけ、又または職員しょくいんの職しょく全体ぜんたいの不名誉ふめいよとなるような行為こういをしてはならない。（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい33条じょう）

職務しょくむの遂行すいこうに直接ちょくせつ関係かんけいがある行為こういのみならず、職務しょくむに直接ちょくせつは関係かんけいのない行為こういであっても、それが「その職しょくの信用しんようを傷きずつけ、又または職員しょくいんの職しょく全体ぜんたいの不名誉ふめいよとなる」ものであれば、勤務きんむ時じ・勤務きんむ外がいに関かかわらず、ここでいう信用しんよう失墜しっつい行為こういにあたる。なお、具体ぐたい的てきにどのような行為こういが信用しんよう失墜しっつい行為こういにあたるかは、一般いっぱん的てきな基準きじゅんを立たてることは困難こんなんであり、社会しゃかい通念つうねんに基もとづいて個別こべつ具体ぐたい的てきに判断はんだんされることとなる。

守秘しゅひ義務ぎむ

「守秘しゅひ義務ぎむ」も参照さんしょう

職員しょくいんは、職務しょくむ上じょう知しり得えた秘密ひみつを漏もらしてはならない。その職しょくを退しりぞいた後のちも、また、同様どうようとする。（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい34条じょう第だい1項こう）秘密ひみつを漏もらすとは、秘密ひみつ事項じこうを文書ぶんしょで表示ひょうじすること、口頭こうとうで伝達でんたつすることをはじめ、秘密ひみつ事項じこうの漏洩ろうえいを黙認もくにんする不作為ふさくいも含ふくまれる。

法令ほうれいによる証人しょうにん、鑑定かんてい人じん等とうとなり、職務しょくむ上じょうの秘密ひみつに属ぞくする事項じこうを発表はっぴょうする場合ばあいにおいては、任命にんめい権けん者しゃ（退職たいしょく者しゃについては、その退職たいしょくした職しょく又またはこれに相当そうとうする職しょくに係かかる任命にんめい権けん者しゃ）の許可きょかを受うけなければならない。この許可きょかは、法律ほうりつに特別とくべつの定じょうがある場合ばあいを除のぞく外そと、拒こばむことができない。（同どう法ほう第だい34条じょう第だい2項こう、第だい3項こう）

罰則ばっそく

守秘しゅひ義務ぎむに違反いはんして秘密ひみつを漏もらした者ものは、1年ねん以下いかの懲役ちょうえき又または3万まん円えん以下いかの罰金ばっきんに処しょする。（同どう法ほう第だい60条じょう第だい2項こう）

すなわち、この義務ぎむに違反いはんすることは公共こうきょう又または個人こじんの利益りえきを直接ちょくせつに侵害しんがいするため、行政ぎょうせい庁ちょう内部ないぶの処分しょぶん（懲戒ちょうかい処分しょぶん）のみならず、刑事けいじ罰ばつの規定きていを設もうけることによってその利益りえきを保護ほごしているのである。

「秘密ひみつ」とは

ここでいう「秘密ひみつ」とは、一般いっぱん的てきに了知りょうちされていない事実じじつであって、それを一般いっぱんに了知りょうちせしめることが一定いっていの利益りえきの侵害しんがいになると客観きゃっかん的てきに考かんがえられるものをいう。法律ほうりつ上じょうの「秘密ひみつ」に該当がいとうするか否ひかは、公的こうてき・私的してきを問とわず、それが客観きゃっかん的てきにみて秘密ひみつに該当がいとうする「実質じっしつ的てき秘密ひみつ」でなければならない。

• 「職務しょくむ上じょう知しり得えた秘密ひみつ」とは、職員しょくいんが職務しょくむ遂行すいこう上じょう知しり得えた秘密ひみつをいう。

自みずからの担当たんとう外がいの事項じこうであっても、これに含ふくまれる。ただし、職務しょくむに何なんら関係かんけいなく、偶然ぐうぜんに見聞けんぶんしたに過すぎないものはこれに含ふくまれない。

• 「職務しょくむ上じょうの秘密ひみつ」とは、当該とうがい職員しょくいんの職務しょくむ上じょうの所掌しょしょうに属ぞくする秘密ひみつをいう。

したがって、「職務しょくむ上じょう知しり得えた秘密ひみつ」であって「職務しょくむ上じょうの秘密ひみつ」でないものについては、証人しょうにん、鑑定かんてい人じん等とうとなった場合ばあいにおいて、同どう法ほう第だい34条じょう第だい2項こうにいう任命にんめい権けん者しゃの許可きょかを要ようしないこととなる。これは、職員しょくいんが職務しょくむに関係かんけいのない一いち私人しじんとして証言しょうげん、鑑定かんてい等とうを行おこなう場合ばあいであっても同様どうようである。

職務しょくむ専念せんねん義務ぎむ

職員しょくいんは、法律ほうりつ又または条例じょうれいに特別とくべつの定じょうがある場合ばあいを除のぞく外そと、その勤務きんむ時間じかん及および職務しょくむ上じょうの注意ちゅうい力りょくのすべてをその職責しょくせき遂行すいこうのために用もちい、当該とうがい地方ちほう公共こうきょう団体だんたいがなすべき責せめを有ゆうする職務しょくむにのみ従事じゅうじしなければならない。（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい35条じょう）

営利えいり企業きぎょう等とうの従事じゅうじ制限せいげん

地方ちほう公務員こうむいん法ほう・第だい38条じょう
第だい一いち項こう
職員しょくいんは，任命にんめい権けん者しゃの許可きょかを受うけなければ，営利えいりを目的もくてきとする私企業しきぎょうを営いとなむことを目的もくてきとする会社かいしゃその他たの団体だんたいの役員やくいんその他人事たにんごと委員いいん会かい規則きそく（人事じんじ委員いいん会かいを置おかない地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにおいては，地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの規則きそく）で定さだめる地位ちいを兼かね，若もしくは自みずから営利えいりを目的もくてきとする私企業しきぎょうを営いとなみ，又または報酬ほうしゅうを得えていかなる事業じぎょう若もしくは事務じむにも従事じゅうじしてはならない。
第だい二に項こう
人事じんじ委員いいん会かいは，人事じんじ委員いいん会かい規則きそくにより前項ぜんこうの場合ばあいにおける任命にんめい権けん者しゃの許可きょかの基準きじゅんを定さだめることができる。

営利えいり企業きぎょう等とうの従事じゅうじ制限せいげんは、身分みぶん上じょうの義務ぎむであることから、勤務きんむ時間じかんの内外ないがいを問とわず、また休職きゅうしょく中ちゅうであっても適用てきようがある。 これは、職員しょくいんの職務しょくむ専念せんねん義務ぎむを全まっとうし、かつ職員しょくいんが営利えいり企業きぎょうなどに従事じゅうじすることによって行政ぎょうせいに対たいする不信ふしんが生しょうずるのを防ふせぐためのものである。

なお、講演こうえん料りょうや原稿げんこう料りょうを得えて講演こうえんや原稿げんこう作成さくせいを行おこなう場合ばあいや、職員しょくいんが寺院じいんの住職じゅうしょくの職しょくを兼かね法要ほうようを営いとなむ際さいなどに御布施おふせを受うけている場合ばあい、これら講演こうえん料りょう・原稿げんこう料りょう・御布施おふせは労働ろうどうの対価たいかとしての「報酬ほうしゅう」とは考かんがえられないため、任命にんめい権けん者しゃの許可きょかを必要ひつようとしないと解ほぐされている。 また、農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいや水産すいさん業ぎょう協同きょうどう組合くみあい等とうは、実質じっしつ的てきには営利えいり活動かつどうを行おこなっているが、それぞれ農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい法ほう、水産すいさん業ぎょう協同きょうどう組合くみあい法ほう等とうの特別とくべつ法ほうにより非ひ営利えいり法人ほうじんとされているので、法ほう第だい38条じょうの営利えいり企業きぎょう等とうに当あたらないと解ほぐされている。したがって、これら営利えいりを目的もくてきとしない団体だんたいの役員やくいんになることについて任命にんめい権けん者しゃの許可きょかは必要ひつようとされていないが、役員やくいんとして報酬ほうしゅうを得えることについては任命にんめい権けん者しゃの許可きょかが必要ひつようとなる。

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの公務員こうむいん
• 公営こうえい企業きぎょう
• 地方ちほう公営こうえい企業きぎょう
• 人事じんじ委員いいん会かい
• 国際こくさい公務員こうむいん
• 国家こっか公務員こうむいん
• 公務員こうむいん試験しけん
• 国籍こくせき条項じょうこう
• 地方ちほう公務員こうむいん災害さいがい補償ほしょう基金ききん
• 全日本ぜんにほん自治じち団体だんたい労働ろうどう組合くみあい