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懲戒ちょうかい処分しょぶん

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懲戒ちょうかい処分しょぶん(ちょうかいしょぶん)とは、一定いってい組織そしきないにおいて秩序ちつじょ維持いじのためにせられる制裁せいさいや、特別とくべつ監督かんとく関係かんけいまたは身分みぶん関係かんけいにあるものたい一定いってい義務ぎむ違反いはん理由りゆうとしてする制裁せいさいをいう[1]寛大かんだい懲戒ちょうかい処分しょぶんであるじゅんに、戒告かいこく譴責けんせき口頭こうとう注意ちゅうい[2]減給げんきゅう出勤しゅっきん停止ていし停職ていしょく[3][4]降格こうかく諭旨ゆし解雇かいこ諭旨ゆし退職たいしょく)、懲戒ちょうかい解雇かいこである[5]

民間みんかん企業きぎょうにおける懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

処置しょちれい [6]

民間みんかん企業きぎょうにおける懲戒ちょうかい手続てつづき[編集へんしゅう]

民間みんかん企業きぎょうにおいて使用しようしゃ懲戒ちょうかいおこなうためには、あらかじめ就業しゅうぎょう規則きそくにその種類しゅるい程度ていど記載きさいし、当該とうがい就業しゅうぎょう規則きそくさだめる手続てつづきおこなわなければならない(労働ろうどう基準きじゅんほうだい89じょう)。また就業しゅうぎょう規則きそく労働ろうどうしゃ周知しゅうちさせておかなければならない(労働ろうどう基準きじゅんほうだい106じょう)。これらの手続てつづき瑕疵かしがあると、たとえ労働ろうどうしゃ懲戒ちょうかい該当がいとうするような非行ひこうがあったとしても、処分しょぶん自体じたい無効むこうとされることもありうる。

民間みんかん企業きぎょうにおける懲戒ちょうかい事由じゆうおよび処分しょぶん内容ないよう[編集へんしゅう]

懲戒ちょうかい制度せいどをどのようなものにするかは公序良俗こうじょりょうぞくはんしないかぎかく企業きぎょう任意にんいであるが(民法みんぽうだい90じょう)、使用しようしゃ労働ろうどうしゃ懲戒ちょうかいすることができる場合ばあいにおいて、当該とうがい懲戒ちょうかいが、当該とうがい懲戒ちょうかいかか労働ろうどうしゃ行為こうい性質せいしつおよ態様たいようその事情じじょうらして、客観きゃっかんてき合理ごうりてき理由りゆうき、社会しゃかい通念つうねんじょう相当そうとうであるとみとめられない場合ばあいは、その権利けんり濫用らんようしたものとして、当該とうがい懲戒ちょうかい無効むこうとなる(労働ろうどう契約けいやくほうだい15じょう)。

とく裁判さいばんれいでは手続てつづき適正てきせい重視じゅうしされる傾向けいこうにあり、労働ろうどうしゃ行為こうい懲戒ちょうかいとのい(平等びょうどうあつかいの原則げんそく)、社会しゃかい通念つうねんじょう相当そうとうせい事前じぜん弁明べんめい機会きかい付与ふよなどを要件ようけんとしていることがおおい。さらに、刑事けいじ犯罪はんざいとう該当がいとうしない場合ばあいには、事前じぜん指導しどう注意ちゅうい警告けいこく段階だんかいてき懲戒ちょうかい必要ひつようとされることがおおい。

一般いっぱんてきられる懲戒ちょうかい事由じゆうとしては、犯罪はんざい行為こうい職場しょくば規律きりつ違反いはん経歴けいれき詐称さしょう業務ぎょうむ命令めいれい違反いはん機密きみつ漏洩ろうえい営業えいぎょうじょう秘密ひみつ漏洩ろうえい背信はいしん行為こういきおいぎょう避止義務ぎむ職務しょくむ専念せんねん義務ぎむ違反いはん)などがあり、これにたいする懲戒ちょうかい処分しょぶんとしては、戒告かいこく譴責けんせき減給げんきゅう停職ていしょく諭旨ゆし解雇かいこ懲戒ちょうかい解雇かいこなどがある[7]公務員こうむいんちがって懲戒ちょうかい免職めんしょくではなく懲戒ちょうかい解雇かいこばれる。また、停職ていしょくを「出勤しゅっきん停止ていし」とえる会社かいしゃもある。

就業しゅうぎょう規則きそくで、労働ろうどうしゃたいして減給げんきゅう制裁せいさいさだめる場合ばあいにおいては、その減給げんきゅうは、1かいがく平均へいきん賃金ちんぎんの1にちぶん半額はんがくえてはならず、また、総額そうがくが1賃金ちんぎん支払しはらにおける賃金ちんぎん総額そうがくの10ぶんの1をえてはならない(労働ろうどう基準きじゅんほうだい91じょう)。賞与しょうよから減額げんがくする場合ばあい同様どうようである。

ただし実際じっさいには、企業きぎょう従業じゅうぎょういん長期ちょうきてきキャリアを重視じゅうしして、服務ふくむ規律きりつ違反いはんがあっても事実じじつじょうないし人事じんじじょう手段しゅだん上司じょうしによる叱責しっせき査定さていじょう不利益ふりえき左遷させん昇進しょうしんりやめとう)による処理しょりむねとし、懲戒ちょうかい処分しょぶん発動はつどうは、非行ひこう性質せいしつ程度ていど重大じゅうだいなケースないしは企業きぎょう秩序ちつじょへの挑戦ちょうせん性格せいかくいケースにかぎ傾向けいこうにある[8]。このような実態じったい反映はんえいして、労働ろうどう基準きじゅんほうにおいて就業しゅうぎょう規則きそく関係かんけいする条文じょうぶんすうすくない。

公務員こうむいん懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

公務員こうむいんにおける懲戒ちょうかい処分しょぶんとは、職員しょくいん非違ひい行為こういがあったとき、その職員しょくいんたいする制裁せいさいとしてなされる処分しょぶんをいい、国家こっか公務員こうむいんほうだい82じょう自衛隊じえいたいほうだい46じょう外務がいむ公務員こうむいんほうだい3じょう国会こっかい職員しょくいんほうだい28じょう - だい32じょう地方ちほう公務員こうむいんほうだい29じょう裁判所さいばんしょ職員しょくいん臨時りんじ措置そちほう規定きていがある[注釈ちゅうしゃく 1]

職員しょくいんは、法律ほうりつさだめる事由じゆうによる場合ばあいでなければ、懲戒ちょうかい処分しょぶんけることはない。任命にんめいけんしゃ非違ひい程度ていど情状じょうじょうによって懲戒ちょうかい処分しょぶん内容ないよう決定けっていし、処分しょぶん選択せんたくについては任命にんめいけんしゃ裁量さいりょうゆだねられている。なお、いち非違ひい行為こういたいして種類しゅるい以上いじょう懲戒ちょうかい処分しょぶんかさねてすることはできない。また、公務員こうむいんにおける懲戒ちょうかい処分しょぶんについては、国家こっか公務員こうむいん人事院じんじいん規則きそくで、地方ちほう公務員こうむいん地方ちほう公共こうきょう団体だんたいごとに条例じょうれいで、その詳細しょうさいさだめられており、その実施じっしにあっては、通常つうじょう、そのむねしるした書面しょめん交付こうふしておこなうよう規定きていしている。

懲戒ちょうかい事由じゆう[編集へんしゅう]

  1. 国家こっか公務員こうむいんほうしくは国家こっか公務員こうむいん倫理りんりほうまたはこれらの法律ほうりつもとづく命令めいれい違反いはんした場合ばあい国家こっか公務員こうむいん
  2. 地方ちほう公務員こうむいんほうしくはどうほうだい57じょう規定きていする特例とくれいさだめた法律ほうりつまたはこれにもとづ条例じょうれい地方ちほう公共こうきょう団体だんたい規則きそくしくは地方ちほう公共こうきょう団体だんたい機関きかんさだめる規程きてい違反いはんした場合ばあい地方ちほう公務員こうむいん
  3. 職務しょくむじょう義務ぎむ違反いはんし、また職務しょくむだるつた場合ばあい両者りょうしゃ共通きょうつう
  4. 国民こくみん全体ぜんたい奉仕ほうしものたるにふさわしくない非行ひこうのあった場合ばあい両者りょうしゃ共通きょうつう

懲戒ちょうかい処分しょぶん種類しゅるい[編集へんしゅう]

公務員こうむいんにおける懲戒ちょうかい処分しょぶんつぎのものがあり、法律ほうりつじょう処分しょぶん訓告くんこくまでである。なお、降任こうにん防衛ぼうえいしょう特別とくべつ機関きかんである自衛隊じえいたい自衛隊じえいたいほうにその規定きていがある。

  • 免職めんしょく - 職員しょくいんはんしてそのしょくうしなわせる処分しょぶんをいう。
  • 降任こうにん - げんさだめられている職務しょくむ等級とうきゅう階級かいきゅうを1つまたは2つ、下位かいのものにくだすこと。
  • 停職ていしょく - 一定いってい期間きかん職務しょくむ従事じゅうじさせない処分しょぶんをいう。
  • 減給げんきゅう - 職員しょくいんたいする制裁せいさいとして一定いってい期間きかん職員しょくいん給与きゅうよ一定いってい割合わりあい減額げんがくして支給しきゅうする処分しょぶんをいう。
  • 戒告かいこく譴責けんせき:けんせき) - 職員しょくいん非違ひい行為こうい責任せきにん確認かくにんし、その将来しょうらいいましめる処分しょぶんをいう。

このほか、懲戒ちょうかい処分しょぶんいたらないが不問ふもんすることが適当てきとうでない場合ばあいとして、軽微けいび処分しょぶんとして訓告くんこくその矯正きょうせい措置そちおこなうことがある。省庁しょうちょうによりことなるが、一般いっぱんにはつぎの3つがられる。なお、これらは懲戒ちょうかい処分しょぶんではないが、勤勉きんべん手当てあてあつかいにおいて減額げんがく対象たいしょうとなる[9]

  • 訓告くんこくくんさとし訓戒くんかい
  • 厳重げんじゅう注意ちゅうい ※官庁かんちょうにより、厳重げんじゅう注意ちゅういさんかい累積るいせきすると訓告くんこくいち回分かいぶん相当そうとう不利益ふりえきとする懲罰ちょうばつとしての意味合いみあいがめられている。
  • 口頭こうとう注意ちゅういたんに「注意ちゅうい」と表現ひょうげんされる場合ばあいもある) ※官庁かんちょうにより、口頭こうとう注意ちゅうい人事じんじ評価ひょうか反映はんえいされることもある。

懲戒ちょうかい処分しょぶん刑罰けいばつ[編集へんしゅう]

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい39じょうさだめるじゅう処罰しょばつ禁止きんしする規定きていとの関係かんけいから、懲戒ちょうかい処分しょぶん刑罰けいばつあわせてすことができるかが問題もんだいとなる。このてんについて、懲戒ちょうかい処分しょぶん任命にんめいけんしゃ懲戒ちょうかいけんもとづく行政ぎょうせい処分しょぶんであり、国家こっか一般いっぱんてき統治とうちけんもとづき、公共こうきょう秩序ちつじょ維持いじのためにする刑罰けいばつとは目的もくてきことにしているため、懲戒ちょうかい処分しょぶん刑罰けいばつを併課することはつかえないとされる。

このことは、国家こっか公務員こうむいん一般いっぱんしょく国会こっかい職員しょくいんおよび裁判所さいばんしょ職員しょくいんについては国家こっか公務員こうむいんほうだい85じょう[注釈ちゅうしゃく 2]国会こっかい職員しょくいんほうだい32じょうおよび裁判所さいばんしょ職員しょくいん臨時りんじ措置そちほうにそれぞれ規定きていされている。また地方ちほう公務員こうむいん自衛隊じえいたいいんについては、法律ほうりつ明文めいぶん規定きていはないものの、国家こっか公務員こうむいん一般いっぱんしょくとう同様どうようかいしうるとされる。

懲戒ちょうかい処分しょぶん分限ぶげん処分しょぶん[編集へんしゅう]

懲罰ちょうばつてき意味合いみあいをもつ懲戒ちょうかい処分しょぶんとはことなり、公務こうむ効率こうりつせいたもつことを目的もくてきとしておこなわれる処分しょぶんとして分限ぶげん処分しょぶんがある。

懲戒ちょうかい処分しょぶん分限ぶげん処分しょぶん両方りょうほう適用てきよう可能かのう場合ばあいにおいては、(たとえば免職めんしょくであれば、どちらの処分しょぶんによるかで退職たいしょく手当てあてあつかいなどがことなることから)その選択せんたく任命にんめいけんしゃ裁量さいりょうにより、個々ここ事案じあんそくして適切てきせつ判断はんだんされるべきものである。よって、前述ぜんじゅつのとおり懲戒ちょうかい処分しょぶん分限ぶげん処分しょぶん目的もくてきことなることから、同一どういつ事由じゆうについて両者りょうしゃあわせておこなうことは、いずれかの処分しょぶんにより職員しょくいん身分みぶんうしなわれないかぎり、可能かのうである。

懲戒ちょうかい処分しょぶん失職しっしょくちが[編集へんしゅう]

失職しっしょくとは、職員しょくいん欠格けっかくしょうじ、それが人事院じんじいん規則きそくまた当該とうがい地方ちほう公共こうきょう団体だんたい条例じょうれいさだめる場合ばあい以外いがいであったときに任命にんめいけんしゃ処分しょぶんようすることなくしょくうしなうものである。よって、任命にんめいけんしゃによる処分しょぶんようという観点かんてんから失職しっしょく懲戒ちょうかい処分しょぶん免職めんしょく)はことなるものである。

懲戒ちょうかい処分しょぶん効力こうりょくなど[編集へんしゅう]

懲戒ちょうかい処分しょぶんは、それが適法てきほうかつ有効ゆうこう成立せいりつしたのちは、法令ほうれいにより変更へんこうみとめられている場合ばあいおよ公益こうえきじょうその効力こうりょく存在そんざいさせることができないあらたな事由じゆう発生はっせいした場合ばあいでなければ、その効力こうりょく消滅しょうめつさせることはできない(懲戒ちょうかい処分しょぶんみずかしたり、あるいは撤回てっかいすることはできない)。また、公務員こうむいんとう懲戒ちょうかい免除めんじょとうかんする法律ほうりつもとづく免除めんじょ発動はつどうにより、懲戒ちょうかい処分しょぶん免除めんじょされることがある。

公平こうへい審査しんさ[編集へんしゅう]

懲戒ちょうかい処分しょぶん変更へんこうまたは取消とりけしもとめるには、一般いっぱんしょく国家こっか公務員こうむいんなら人事院じんじいん担当たんとう公平こうへい審査しんさきょく)に審査しんさ請求せいきゅうおこな[注釈ちゅうしゃく 3]一般いっぱん国家こっか公務員こうむいん懲戒ちょうかい処分しょぶんたいする審査しんさ請求せいきゅうは、人事院じんじいんたいしてのみおこなうことができる[11]。ただし特例とくれいとして外務がいむ職員しょくいん外交がいこう機密きみつろうえいによつて国家こっか重大じゅうだい利益りえき毀損きそんしたという理由りゆう懲戒ちょうかい処分しょぶんけた場合ばあいは、審査しんさ請求せいきゅう外務がいむ大臣だいじんたいしておこな[12]。この場合ばあい外務がいむ人事じんじ審議しんぎかい調査ちょうさ外務がいむ大臣だいじん採決さいけつがされる[13]

特別とくべつしょく国家こっか公務員こうむいんである自衛隊じえいたいいん懲戒ちょうかい処分しょぶん審査しんさ請求せいきゅうは、防衛ぼうえい大臣だいじんたいしておこな[注釈ちゅうしゃく 4]。この審査しんさ請求せいきゅう裁決さいけつは、裁決さいけつ防衛ぼうえい人事じんじ審議しんぎかい議決ぎけつ必要ひつようがある[14]

地方ちほう公務員こうむいんであれば人事じんじ委員いいんかいまた公平こうへい委員いいんかいたいして、審査しんさ請求せいきゅうおこなう。

審査しんさ請求せいきゅうたいする裁決さいけつ不服ふふくがある場合ばあいは、裁判所さいばんしょ訴することができるが、審査しんさ請求せいきゅうおこなわずに裁判さいばんへのだし訴はできない[15]

人事院じんじいん公平こうへい審査しんさ裁判さいばんではないが、処分しょぶんしゃがいわば原告げんこくとなり、処分しょぶんしゃ被告ひこく公平こうへい委員いいん[注釈ちゅうしゃく 5]裁判官さいばんかん形式けいしき審査しんさおこなわれる。傍聴ぼうちょうできる公開こうかい審査しんさもあるが非公開ひこうかい審査しんさにもできる。代理人だいりにんてることもできるが、裁判さいばん同様どうよう弁護士べんごしもよいが、裁判さいばんとはちがうために処分しょぶんしゃ指定していした代理人だいりにんでもかまわない。また処分しょぶんしゃ処分しょぶんしゃともに証人しょうにん招致しょうちすることができる。処分しょぶんしゃがわから、処分しょぶんしゃがわ証人しょうにん出席しゅっせきもとめることもできるが、必要ひつようかどうかは公平こうへい委員いいん裁量さいりょうによる。審理しんり書面しょめんかぶと処分しょぶんしゃおつ処分しょぶんしゃ)を用意よういして証拠しょうこ書類しょるいとする。その書面しょめん沿って公平こうへい委員いいん尋問じんもんしたり、処分しょぶんしゃ処分しょぶんしゃまたは処分しょぶんしゃがわ証人しょうにん尋問じんもんする。審査しんさは1にちないし2にちおこなわれ、人事院じんじいんから決定けっていされるのに6かげつないし1ねんほどかかる。

裁量さいりょうけん司法しほう審査しんさ[編集へんしゅう]

前述ぜんじゅつのとおり、非違ひい行為こういのあった職員しょくいんたいしていかなる懲戒ちょうかい処分しょぶんおこなうかは任命にんめいけんしゃ裁量さいりょうゆだねられているところであるが、前述ぜんじゅつ不服ふふく申立もうしたてのち裁判所さいばんしょ訴した場合ばあい任命にんめいけんしゃ裁量さいりょうけん行政ぎょうせい裁量さいりょう)にたいして司法しほう審査しんさ合法ごうほう違法いほう審査しんさ)がどの程度ていどおよぶかが問題もんだいとなる。このことについて、争議そうぎ行為こうい禁止きんし規定きてい違反いはんとう理由りゆうとして、税関ぜいかん職員しょくいん組合くみあい幹部かんぶである3めい国家こっか公務員こうむいんほうだい82じょう1ごうどう3ごうもとづき懲戒ちょうかい免職めんしょくとしたことにたいして、どう3めいからなされた当該とうがい処分しょぶん無効むこう確認かくにんおよ取消とりけし訴訟そしょうたいする判決はんけつ[16]において、最高裁さいこうさいつぎのように説示せつじし、「処分しょぶん社会しゃかい通念つうねんじょういちじるしく妥当だとうき、裁量さいりょうけん乱用らんようしたとみとめられる場合ばあいかぎ違法いほうであると判断はんだんすべき」とした。

懲戒ちょうかいけんしゃは、懲戒ちょうかい事由じゆう該当がいとうするとみとめられる行為こうい原因げんいん動機どうき性質せいしつ態様たいよう結果けっか影響えいきょうとうのほか、当該とうがい公務員こうむいんみぎ行為こうい前後ぜんごにおける態度たいど懲戒ちょうかい処分しょぶんとう処分しょぶんれき選択せんたくする処分しょぶん公務員こうむいんおよ社会しゃかいあたえる影響えいきょうとう諸般しょはん事情じじょう考慮こうりょして、懲戒ちょうかい処分しょぶんをすべきかどうか、また、懲戒ちょうかい処分しょぶんをする場合ばあいにいかなる処分しょぶん選択せんたくすべきか、を決定けっていすることができるものとかんがえられるのであるが、その判断はんだんは、みぎのような広範こうはん事情じじょう総合そうごうてき考慮こうりょしてされるものである以上いじょう平素へいそからちょうない事情じじょう通暁つうぎょうし、都下とか職員しょくいん指揮しき監督かんとくの衝にあたるもの裁量さいりょうまかせるのでなければ、とうてい適切てきせつ結果けっか期待きたいすることができないものといわなければならない。 それ公務員こうむいんにつき、くに公法こうほうさだめられた懲戒ちょうかい事由じゆうがある場合ばあいに、懲戒ちょうかい処分しょぶんおこなうかどうか、懲戒ちょうかい処分しょぶんおこなうときにいかなる処分しょぶんえらぶかは、懲戒ちょうかいけんしゃ裁量さいりょうまかされているものとかいすべきである。もとより、みぎ裁量さいりょうは、恣意しいにわたることをないものであることは当然とうぜんであるが、懲戒ちょうかいけんしゃみぎ裁量さいりょうけん行使こうしとしてした懲戒ちょうかい処分しょぶんは、それが社会しゃかい観念かんねんじょういちじるしく妥当だとういて裁量さいりょうけん付与ふよした目的もくてき逸脱いつだつし、これを濫用らんようしたとみとめられる場合ばあいでないかぎり、その裁量さいりょうけん範囲はんいないにあるものとして、違法いほうとならないものというべきである。したがつて、裁判所さいばんしょみぎ処分しょぶん適否てきひ審査しんさするにあたつては、懲戒ちょうかいけんしゃ同一どういつ立場たちばつて懲戒ちょうかい処分しょぶんをすべきであつたかどうかまたはいかなる処分しょぶん選択せんたくすべきであつたかについて判断はんだんし、その結果けっか懲戒ちょうかい処分しょぶんとを比較ひかくしてその軽重けいちょうろんずべきものではなく、懲戒ちょうかいけんしゃ裁量さいりょうけん行使こうしもとづく処分しょぶん社会しゃかい観念かんねんじょういちじるしく妥当だとうき、裁量さいりょうけん濫用らんようしたとみとめられる場合ばあいかぎ違法いほうであると判断はんだんすべきものである。」

司法しほう警察けいさつ職員しょくいんたいする懲戒ちょうかい手続てつづき特例とくれい[編集へんしゅう]

検事けんじ総長そうちょう検事けんじちょうまたは検事正けんじせいは、司法しほう警察けいさつ職員しょくいん正当せいとう理由りゆうがなく検察官けんさつかん指示しじまたは指揮しきしたがわない場合ばあいにおいて必要ひつようみとめるときは、そのもの懲戒ちょうかいしまたは罷免ひめんする権限けんげんゆうするもの警察官けいさつかんであれば公安こうあん委員いいんかいなど)に、それぞれ懲戒ちょうかいまたは罷免ひめん訴追そついをすることができ、当該とうがい訴追そつい受理じゅりしたものは、前項ぜんこう訴追そつい理由りゆうのあるものとみとめるときは、べつ法律ほうりつさだめるところにより、訴追そついけたもの懲戒ちょうかいしまたは罷免ひめんしなければならない。

ぎょうたいする懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

ぎょうには、それぞれの根拠こんきょほうもとづきそれぞれの懲戒ちょうかいけんしゃによる懲戒ちょうかい規定きていされている。

また、第三者だいさんしゃ懲戒ちょうかい手続てつづき開始かいしもうてることができるとされていることがおおく、このような申立もうしたてを懲戒ちょうかい請求せいきゅうという。司法しほう書士しょし行政ぎょうせい書士しょしひとし一部いちぶぎょうたいする懲戒ちょうかい請求せいきゅうは、根拠こんきょほうが「措置そちをとることをもとめる」と規定きていしているため「措置そち請求せいきゅう」とばれることもある(れいとして、新潟にいがたけん行政ぎょうせい書士しょしおよ行政ぎょうせい書士しょし法人ほうじん措置そち請求せいきゅう事務じむ取扱とりあつかい要綱ようこうだい2じょうだい1こう[17])。

弁護士べんごし懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

弁護士べんごし
外国がいこくほう事務じむ弁護士べんごし

税理士ぜいりし懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

司法しほう書士しょし懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

司法しほう書士しょしほうじょう懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

懲戒ちょうかい事由じゆう

司法しほう書士しょし司法しほう書士しょしほうまたはどうほうもとづく命令めいれい違反いはんしたこと(司法しほう書士しょしほうだい47じょうはしらしょ)。

懲戒ちょうかい処分しょぶん種類しゅるい
  • 戒告かいこく
  • ねん以内いない業務ぎょうむ停止ていし
  • 業務ぎょうむ禁止きんし
懲戒ちょうかい請求せいきゅう措置そち請求せいきゅう

何人なんにんも、司法しほう書士しょしまたは司法しほう書士しょし法人ほうじんに、司法しほう書士しょしほうまたはどうほうもとづく命令めいれい違反いはんする事実じじつがあると思料しりょうするときは、法務大臣ほうむだいじんたいし、当該とうがい事実じじつ通知つうちし、適当てきとう措置そちをとることをもとめることができる(司法しほう書士しょしほうだい49じょうだい1こう)。

所属しょぞく司法しほう書士しょしかいによる懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

かく司法しほう書士しょし所属しょぞくする単位たんい司法しほう書士しょしかいにおいても内規ないきによる懲戒ちょうかい処分しょぶん規定きていされている。その懲戒ちょうかい事由じゆうおよび懲戒ちょうかい種類しゅるいかく単位たんいかいゆだねられている[18]

行政ぎょうせい書士しょし懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

行政ぎょうせい書士しょしほうじょう懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

懲戒ちょうかい事由じゆう

行政ぎょうせい書士しょしほうどうほうもとづく命令めいれい規則きそくその都道府県とどうふけん知事ちじ処分しょぶん違反いはんしたときまたは行政ぎょうせい書士しょしたるにふさわしくない重大じゅうだい非行ひこうがあったこと(行政ぎょうせい書士しょしほうだい14じょうはしらしょ)。

懲戒ちょうかい処分しょぶん種類しゅるい
  • 戒告かいこく
  • ねん以内いない業務ぎょうむ停止ていし
  • 業務ぎょうむ禁止きんし
懲戒ちょうかい請求せいきゅう措置そち請求せいきゅう

何人なんにんも、行政ぎょうせい書士しょしまたは行政ぎょうせい書士しょし法人ほうじんについて懲戒ちょうかい事由じゆうがあると思料しりょうするときは、当該とうがい行政ぎょうせい書士しょしまた当該とうがい行政ぎょうせい書士しょし法人ほうじん事務所じむしょ所在地しょざいち管轄かんかつする都道府県とどうふけん知事ちじたいし、当該とうがい事実じじつ通知つうちし、適当てきとう措置そちをとることをもとめることができる(行政ぎょうせい書士しょしほうだい14じょうの3だい1こう)。

所属しょぞく行政ぎょうせい書士しょしかいによる懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

かく行政ぎょうせい書士しょし所属しょぞくする単位たんい行政ぎょうせい書士しょしかいにおいても内規ないきによる懲戒ちょうかい処分しょぶん規定きていされている。その懲戒ちょうかい事由じゆうおよび懲戒ちょうかい種類しゅるいかく単位たんいかいゆだねられている[18]

裁判所さいばんしょにおける懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

船舶せんぱくにおける懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

船員せんいん船員せんいんほうだい1じょう規定きていする船員せんいん)には労働ろうどう基準きじゅんほう適用てきようされず(労働ろうどう基準きじゅんほうだい116じょう)、別途べっと船員せんいんほうによって船員せんいんたいする懲戒ちょうかいさだめられている。

海員かいいん船長せんちょう以外いがい乗組のりくみいん)は以下いか事項じこうまもらなければならず(船員せんいんほうだい21じょう)、船長せんちょうは、海員かいいんがこれらの事項じこうまもらないときは、これを懲戒ちょうかいすることができる(船員せんいんほうだい22じょう)。

  1. 上長じょうちょう職務しょくむじょう命令めいれいしたがうこと。
  2. 職務しょくむおこたり、また乗組のりくみいん職務しょくむさまたげないこと。
  3. 船長せんちょう指定していするときまでに船舶せんぱくむこと。
  4. 船長せんちょう許可きょかなく船舶せんぱくらないこと。
  5. 船長せんちょう許可きょかなく救命きゅうめいていその重要じゅうようぞく使用しようしないこと。
  6. 船内せんない食料しょくりょうまた淡水たんすい濫費らんぴしないこと。
  7. 船長せんちょう許可きょかなく電気でんきしくは火気かき使用しようし、また禁止きんしされた場所ばしょ喫煙きつえんしないこと。
  8. 船長せんちょう許可きょかなく用品ようひん以外いがい物品ぶっぴん船内せんないみ、また船内せんないからさないこと。
  9. 船内せんないにおいて争闘そうとう乱酔らんすいその粗暴そぼう行為こういをしないこと。
  10. その船内せんない秩序ちつじょみだすようなことをしないこと。

船長せんちょうすことができる懲戒ちょうかい範囲はんいつぎのとおりである(船員せんいんほうだい23じょう)。ただし、海員かいいん懲戒ちょうかいしようとするときは、3にん以上いじょう海員かいいんわせて本人ほんにんおよ関係かんけいじん調しらべたうえ立会たちあいじん意見いけんかなければならない(船員せんいんほうだい24じょう)。

  • 10日間にちかん以内いない上陸じょうりく禁止きんし停泊ていはく日数にっすうのみを算入さんにゅう
  • 戒告かいこく

学校がっこうにおける懲戒ちょうかい処分しょぶん[編集へんしゅう]

校則こうそく違反いはんしたものたいしておこなわれる懲戒ちょうかい処分しょぶんについては、学校がっこう設置せっちしゃによってことなるが、おもつぎのようなものがある。

  • 退学たいがくがく除名じょめい - 退学たいがく処分しょぶん場合ばあいその学校がっこうは「中途ちゅうと退学たいがく中退ちゅうたい)」となるが、がく除名じょめい処分しょぶん場合ばあいはその学校がっこう在学ざいがくしていたこと自体じたい抹消まっしょうされ、復学ふくがくみとめられなくなるばかりか、正式せいしき学歴がくれきとしてもみとめられなくなる措置そち存在そんざいする。
  • 退学たいがく勧告かんこく - 問題もんだい行動こうどうこした生徒せいと学生がくせいたいして、自主じしゅ退学たいがくうながすものである。
  • 停学ていがく - 期限きげん設定せってい無期むき停学ていがく期限きげん設定せっていのある有期ゆうき停学ていがくがある。無期むき停学ていがくでは本人ほんにん反省はんせい状況じょうきょうにより解除かいじょされ、有期ゆうき停学ていがく本人ほんにん姿勢しせい関係かんけいなく期間きかん満了まんりょうをもって解除かいじょされる。よって、無期むき停学ていがくであっても有期ゆうき停学ていがくのそれより短期たんきであることもありる。
  • 訓告くんこく
  • 謹慎きんしん - 停学ていがくじゅんじる処分しょぶんであるが、最近さいきんでは生徒せいと指導しどうしつ図書としょしつ会議かいぎしつとう別室べっしつ勉強べんきょうする「学校がっこう謹慎きんしん」もある。
  • 特別とくべつ指導しどう - 校長こうちょう学長がくちょう総長そうちょうされ説諭せつゆされる譴責けんせきもこのひとつ(こちらは公務員こうむいん譴責けんせき若干じゃっかんちがう)。

懲戒ちょうかいのうち、退学たいがく停学ていがく訓告くんこく処分しょぶん校長こうちょう大学だいがくにおいては学長がくちょう委任いにんけた学部がくぶちょうふくむ)がおこなうとされている。また、退学たいがく公立こうりつ小中学校しょうちゅうがっこう特別とくべつ支援しえん学校がっこう小学しょうがくおよ中学ちゅうがく学齢がくれい児童じどう学齢がくれい生徒せいとにはおこなわず(ただし、大学だいがく付置ふち場合ばあいおこなわれるとかんがえられる)、停学ていがく謹慎きんしん国公私立こっこうしりつすべての学齢がくれい児童じどう学齢がくれい生徒せいとにはおこなわない。 なお学校がっこう教育きょういくほうとうによる問題もんだい行動こうどうをおこした小中学生しょうちゅうがくせいたいする出席しゅっせき停止ていし学校がっこう秩序ちつじょ維持いじし、児童じどう生徒せいと教育きょういくけん確保かくほするために生徒せいと児童じどう保護ほごしゃたいして発令はつれいされる行政ぎょうせい処分しょぶんであって、懲戒ちょうかい処分しょぶんではない。

退学たいがく以外いがい処分しょぶんでは、処分しょぶん同時どうじ自主じしゅてき退学たいがく勧告かんこくがなされることもある。なお、体罰たいばつ学校がっこう教育きょういくほう昭和しょうわ22ねん法律ほうりつだい26ごうだい11じょうにより禁止きんしされ、体罰たいばつくわえた職員しょくいんぎゃく懲戒ちょうかいおよ刑事けいじ処分しょぶん暴行ぼうこうざい傷害しょうがいざい)の対象たいしょうとなる。

また、叱責しっせき必要ひつよう懲戒ちょうかい処分しょぶんとしてあまり問題もんだいされていなかったが、2017ねん3がつ福井ふくいけん池田いけだ町立ちょうりつ池田いけだ中学校ちゅうがっこうかよ男子だんし生徒せいと(当時とうじ2年生ねんせい)が学級がっきゅう担任たんにんふく担任たんにんからの執拗しつよう叱責しっせきにし自殺じさつする事件じけん発生はっせいしたため、事件じけん同年どうねん10がつ20日はつか文部もんぶ科学かがくしょうは「いたずらに叱責しっせきかえすと、ストレスや不安ふあんたかまり、自信じしん意欲いよく喪失そうしつなどをまねき、精神せいしんてきめることにつながりかねない」と指摘してき再発さいはつ防止ぼうし徹底てっていもとめる通知つうち全国ぜんこく教育きょういく委員いいんかいしたため、今後こんご執拗しつよう叱責しっせきくわえた職員しょくいん懲戒ちょうかい処分しょぶんになる可能かのうせいたかくなるとおもわれる。

なお、公立こうりつ学校がっこうは、退学たいがく退学たいがく勧告かんこく停学ていがく訓告くんこく謹慎きんしん処分しょぶんおこなった場合ばあい、そのむね所管しょかん教育きょういく委員いいんかい報告ほうこくしなければならないとしている自治体じちたいもある。また、校則こうそく違反いはんしたことでなくても、違法いほう行為こうい発覚はっかくした場合ばあい、これを理由りゆうとした懲戒ちょうかい処分しょぶんおこなわれることがある。たとえば高校こうこう大学だいがくなどで、未成年みせいねん飲酒いんしゅや、刑法けいほう犯罪はんざいなどが検挙けんきょされた場合ばあい学校がっこう退学たいがく処分しょぶんをする場合ばあいがある。

  • 除籍じょせき - 懲戒ちょうかい処分しょぶんではなく、事務じむ手続てつづきである。卒業そつぎょうてん退学たいがく死亡しぼう以外いがいに、学費がくひ滞納たいのうや、修業しゅうぎょう年限ねんげんえた場合ばあい休学きゅうがくできる期間きかんえても復学ふくがくしなかったとき長期ちょうきわた行方ゆくえ不明ふめい場合ばあい除籍じょせきとなる。

家庭かていにおける懲戒ちょうかい[編集へんしゅう]

ぞく仕置しおともばれることもおおい。過去かこながいいきさつがあり、改定かいていおこなわれたのはあくまで最近さいきんのことなので、まず、1898ねん明治めいじ31ねん)に施行しこうされた明治めいじ民法みんぽうから2011ねん平成へいせい23ねん)まで、民法みんぽうだい822じょうにどのようにかれていたか説明せつめいする。

  • だいいちこう親権しんけんおこなものは、必要ひつよう範囲はんいないみずからその懲戒ちょうかいし、また家庭かてい裁判所さいばんしょ許可きょかて、これを懲戒ちょうかいじょうれることができる。
  • だいこう懲戒ちょうかいじょうれる期間きかんは、ろく箇月かげつ以下いか範囲はんいないで、家庭かてい裁判所さいばんしょさだめる。ただし、この期間きかんは、親権しんけんおこなもの請求せいきゅうによって、いつでも短縮たんしゅくすることができる。

明治めいじ民法みんぽう規定きてい戦後せんご民法みんぽう改正かいせいにおいてもがれたのであった。

ただしだいいちこうの「懲戒ちょうかいじょう」に該当がいとうする施設しせつ実際じっさいには存在そんざいしなかったため、1こう後半こうはんおよびだいこう実際じっさい意味いみ機能きのうしていなかった。そこで、2011ねん平成へいせい23ねん)の改定かいてい懲戒ちょうかいじょうかんする部分ぶぶん削除さくじょされ、つぎのようになった。

  • 親権しんけんおこなものは、だい820じょう規定きていによる監護かんごおよ教育きょういく必要ひつよう範囲はんいないでその懲戒ちょうかいすることができる(民法みんぽうだい822じょう)。

つまり、親権しんけんしゃは、監護かんご教育きょういくするために、不適切ふてきせつ行動こうどうなどがあれば、懲戒ちょうかい不適切ふてきせつ行動こうどうあらためさせる目的もくてきで、身体しんたい精神せいしん苦痛くつうくわえること)をおこなうができる。懲戒ちょうかいおこなうかどうかの決定けっていやその内容ないよう事実じじつじょう親権しんけんしゃ裁量さいりょうゆだねられている。

子供こどもしりを(それなりに手加減てかげんしつつ)平手ひらてつことで懲戒ちょうかいくわえることはむかしからおこなわれている

むかしからおこなわれていたことは、たとえば幼児ようじ場合ばあい幼児ようじが(子供こども自身じしん周囲しゅういひとに)危険きけんおよぶような行為こういなどをし、おやがそのような行為こういを「してはいけない」などとなん注意ちゅういしてもその行動こうどうあらたまらないときなどに、教育きょういくしつけけ)目的もくてきで、しかたなくしりを(それなりに手加減てかげんして)平手ひらてち、身体しんたい感覚かんかくでもって、その行為こうい深刻しんこくさをかんじさせ、行動こうどうあらためさせる、といったことである。むかしこのようなこと普通ふつうおこなわれていたのは戦前せんぜん軍国ぐんこく主義しゅぎ教育きょういく影響えいきょうおおきいとされている。懲戒ちょうかいはしばしば「せっかん」などとわれていた。

ただし、懲戒ちょうかい利益りえき(820じょう)のため、また教育きょういく目的もくてき達成たっせいするためのものである、とされているので、その目的もくてきのために必要ひつよう範囲はんいないでのみみとめられる。この範囲はんい逸脱いつだつしてまで過度かど懲戒ちょうかいくわえると「懲戒ちょうかいけん濫用らんよう」となされる場合ばあいがあり、とく暴力ぼうりょく大声おおごえ怒鳴どなりつけることは傷害しょうがいざい暴行ぼうこうざいひとし犯罪はんざい構成こうせいしている、となされたり、児童じどう虐待ぎゃくたいなされる可能かのうせいもある。

懲戒ちょうかい処分しょぶん情報じょうほうあつか[編集へんしゅう]

国家こっか公務員こうむいんにおける公表こうひょう

国家こっか公務員こうむいんたいする戒告かいこく以上いじょう懲戒ちょうかい処分しょぶん平成へいせい15ねん制定せいていされた「懲戒ちょうかい処分しょぶん公表こうひょう指針ししん」にもとづき原則げんそく公開こうかいとなるため、組織そしきめい職名しょくめいとう公表こうひょうされる[19]。(ただし、例外れいがいとして、「被害ひがいしゃまたはその関係かんけいしゃのプライバシーとう権利けんり利益りえき侵害しんがいするおそれがある場合ばあいとう」の、公表こうひょうが「適当てきとうでないとみとめられる場合ばあい」は、「公表こうひょう内容ないよう一部いちぶまた全部ぜんぶ公表こうひょうしないこともつかえない」とされている[20]。)

諭旨ゆし免職めんしょく(「依願いがん退職たいしょく」「自己じこ都合つごう退職たいしょく」)は法律ほうりつさだめられた処分しょぶんではないので、記載きさい必要ひつようく、処分しょぶんしたがわ記録きろくにものこらない。(また、通常つうじょう退職たいしょくきん年金ねんきんとう支払しはらわれる。)

履歴りれきしょ

法律ほうりつ規定きていによってなされた懲戒ちょうかい処分しょぶんについて、「懲戒ちょうかい処分しょぶんは、法律ほうりつさだめられた処分しょぶんであるから、事務じむ手続てつづきが必要ひつようであり、処分しょぶん履歴りれきとしてのこる。したがって、懲戒ちょうかい処分しょぶんけたことのあるものは、履歴りれきしょ賞罰しょうばつらんに、そのむね記載きさいしなければならない」との意見いけんがある。だが、これはあやまりだとする見解けんかいもある。「『前科ぜんかおよ犯罪はんざい経歴けいれきひと名誉めいよ信用しんよう直接ちょくせつかかわる事項じこうであり、前科ぜんかとうのあるものもこれをみだりに公開こうかいされないという法律ほうりつじょう保護ほごあたいする利益りえきゆうする』と判示はんじした最高裁さいこうさい判決はんけつ[よう検証けんしょう][21]がある。「みずか過去かこ前科ぜんかとう開示かいじすることを強制きょうせいされないということをもふくむことは当然とうぜんである」とする意見いけんもある。

ただし、履歴りれきしょには、なんねんぼう組織そしき法人ほうじん)を「退職たいしょく」した、ひとし記載きさい必要ひつようである。(公職こうしょく選挙せんきょ候補者こうほしゃがこれを隠蔽いんぺいすれば公職こうしょく選挙せんきょほう違反いはんとなりうる)。

懲戒ちょうかい処分しょぶん給与きゅうよ退職たいしょくきんなどの減額げんがく消失しょうしつ[編集へんしゅう]

公務員こうむいん

懲戒ちょうかい処分しょぶんけた場合ばあいは「勤務きんむ成績せいせき良好りょうこうでないもの」とされることから、賞与しょうよにおける勤務きんむ成績せいせき影響えいきょうあらわれる(ボーナスカット)とともに、処分しょぶん程度ていどによっては昇給しょうきゅう時期じき延伸えんしんもしくは昇給しょうきゅうがく抑制よくせいとう後々あとあと人事じんじめんにおいても様々さまざま不利益ふりえきこうむることになる。

停職ていしょく処分しょぶんされている期間きかんちゅう原則げんそくとして職務しょくむ従事じゅうじすることを停止ていしされる(=勤務きんむしなかった期間きかんとみなされる)ため、当該とうがい処分しょぶんけたつきぞくする期末きまつ手当てあて賞与しょうよ)に影響えいきょうあらわれる。

公務員こうむいんにおける分限ぶげんについては、いわゆる「懲戒ちょうかい免職めんしょく」は通常つうじょう任命にんめいけんしゃ所轄しょかつ機関きかんから解雇かいこ予告よこく除外じょがい認定にんていけているので、懲戒ちょうかい免職めんしょくされたもの退職たいしょくきん支給しきゅうされず、職域しょくいき年金ねんきん相当そうとう部分ぶぶん減額げんがくなどの制裁せいさいけることになる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ なお、これらの法律ほうりつによる規定きていがなされるまえは、文官ぶんかん懲戒ちょうかいれい明治めいじ32ねんみことのりれいだい63ごう)(のちに「官吏かんり懲戒ちょうかいれい」と改称かいしょう)により懲戒ちょうかい処分しょぶんさだめられていた。
  2. ^ 国家こっか公務員こうむいんほうだい85じょう刑事けいじ裁判さいばんとの関係かんけい
    懲戒ちょうかいづけせらるべき事件じけんが、刑事けいじ裁判所さいばんしょ係属けいぞくするあいだにおいても、人事院じんじいんまた人事院じんじいん承認しょうにん任命にんめいけんしゃは、どういち事件じけんについて、適宜てきぎに、懲戒ちょうかい手続てつづきすすめることができる。この法律ほうりつによる懲戒ちょうかい処分しょぶんは、当該とうがい職員しょくいんが、同一どういつまた関連かんれん事件じけんかんし、かさねて刑事けいじじょう訴追そついけることをさまたげない。
  3. ^ 公平こうへい審査しんさという用語ようごは、懲戒ちょうかい処分しょぶん分限ぶげん処分しょぶんたいする審査しんさ請求せいきゅうのほか、勤務きんむ条件じょうけんかんする行政ぎょうせい措置そち要求ようきゅう災害さいがい補償ほしょう実施じっしかんする審査しんさ申立もうしたひとしおよ給与きゅうよ決定けっていかんする審査しんさ申立もうしたての総称そうしょうである[10]。なお法的ほうてきには「請求せいきゅう」「要求ようきゅうまたは「申立もうしたて」であって、「もう」ではない。
  4. ^ 防衛ぼうえい装備そうびちょう職員しょくいんである隊員たいいん場合ばあいは、自衛隊じえいたいほうだい48じょうの2の規定きていもとづく。防衛ぼうえい装備そうびちょう職員しょくいん以外いがい場合ばあいは、行政ぎょうせい不服ふふく審査しんさほう規定きていにより処分しょぶんちょう主任しゅにん大臣だいじん防衛ぼうえい大臣だいじんになる。
  5. ^ 人事院じんじいん規則きそくいちさんいち不利益ふりえき処分しょぶんについての審査しんさ請求せいきゅうだい19じょう規定きていにより設置せっちされる。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 懲戒ちょうかい処分しょぶん』 - コトバンク
  2. ^ 女性じょせい教諭きょうゆ生徒せいとから告白こくはくされ交際こうさい・キスも戒告かいこく処分しょぶん保護ほごしゃ寛大かんだい処分しょぶん要求ようきゅうしたため(読売新聞よみうりしんぶんオンライン)”. Yahoo!ニュース. 2021ねん10がつ23にち閲覧えつらん。 “教諭きょうゆ生徒せいと保護ほごしゃ交際こうさい事実じじつつたえ、理解りかいていたという。保護ほごしゃけん教委きょういたいし、教諭きょうゆへの寛大かんだい処分しょぶんもとめる意見いけんしょ提出ていしゅつけん教委きょうい意見いけんしょ考慮こうりょしたうえで、処分しょぶん内容ないよう判断はんだんしたとしている。”
  3. ^ おし女子じょし生徒せいとからキスされた高校こうこうの35さい男性だんせい教師きょうし 3ヶ月かげつ停職ていしょく懲戒ちょうかい処分しょぶん依願いがん退職たいしょく相談そうだんるうちに好意こういを…」 | 東海とうかいテレビNEWS”. www.tokai-tv.com. 2021ねん10がつ23にち閲覧えつらん
  4. ^ 車内しゃない進路しんろ相談そうだん突然とつぜんこう3女子じょし教諭きょうゆほおにキス…そのも2かいおな状況じょうきょうに : 社会しゃかい : ニュース”. 読売新聞よみうりしんぶんオンライン (2021ねん7がつ10日とおか). 2021ねん10がつ23にち閲覧えつらん。 “三重みえけん教育きょういく委員いいんかいは8にち女子じょし生徒せいと不適切ふてきせつ関係かんけいがあったとして、県立けんりつ高校こうこう男性だんせい教諭きょうゆ(35)を停職ていしょく3かげつ懲戒ちょうかい処分しょぶんにしたと発表はっぴょうした。教諭きょうゆは8にちづけ退職たいしょくした。”
  5. ^ 懲戒ちょうかい処分しょぶんけるとどうなる? 処分しょぶん種類しゅるい基準きじゅんをくわしく解説かいせつ!”. マイナビニュース (2021ねん7がつ24にち). 2021ねん10がつ23にち閲覧えつらん
  6. ^ 従業じゅうぎょういん採用さいよう退職たいしょくかんする実態じったい調査ちょうさ労働ろうどう契約けいやくをめぐる実態じったいかんする調査ちょうさ(Ⅰ)―. 国内こくない労働ろうどう情報じょうほう (Report). 14-03. 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん労働ろうどう政策せいさく研究けんきゅう研修けんしゅう機構きこう. 20 March 2014.
  7. ^ 高橋たかはし裕次郎ゆうじろう 2002, p. 165
  8. ^ 菅野かんの和夫かずお 1996, p. 82
  9. ^ 期末きまつ手当てあておよ勤勉きんべん手当てあて支給しきゅうについて(昭和しょうわ38ねん12月20にちきゅうじつかぶとだい220ごう”. 人事院じんじいん. 2023ねん12月8にち閲覧えつらん
  10. ^ 国家こっか公務員こうむいん公平こうへい審査しんさ制度せいど. 人事院じんじいん. https://www.jinji.go.jp/kouheisinsa/index.html 2020ねん9がつ23にち閲覧えつらん 
  11. ^ 国家こっか公務員こうむいんほうだい99じょうだい1こう
  12. ^ 外務がいむ公務員こうむいんほうだい20じょうだい5こう
  13. ^ 外務がいむ公務員こうむいんほうだい19じょうだい1こう
  14. ^ 自衛隊じえいたいほうだい49じょうだい4こう
  15. ^ 国家こっか公務員こうむいんほうだい92じょうの2、自衛隊じえいたいほうだい50じょうの2、地方ちほう公務員こうむいんほうだい51じょうの2
  16. ^ 最高裁判所さいこうさいばんしょだいさんしょう法廷ほうてい昭和しょうわ52ねん12がつ20日はつか判決はんけつ事件じけんめい行政ぎょうせい処分しょぶん無効むこう確認かくにんとう附帯ふたい通称つうしょう 神戸こうべ税関ぜいかん職員しょくいん懲戒ちょうかい免職めんしょく
  17. ^ 行政ぎょうせい書士しょしおよ行政ぎょうせい書士しょし法人ほうじん措置そち請求せいきゅう事務じむ取扱とりあつかい要綱ようこう” (pdf). 新潟にいがたけん. 2021ねん8がつ4にち閲覧えつらん
  18. ^ a b ぎょう団体だんたいによる会員かいいん処分しょぶん比較ひかくひょう” (pdf). 特許庁とっきょちょうウェブサイト. 2021ねん7がつ26にち閲覧えつらん
  19. ^ 懲戒ちょうかい処分しょぶん公表こうひょう指針ししんについて平成へいせい15ねん11がつ10日とおかそうさん-786 人事院じんじいん事務じむ総長そうちょうはつ
  20. ^ 懲戒ちょうかい処分しょぶん公表こうひょう指針ししんについて」(平成へいせい15ねん11がつ10日とおかそうさん-786 人事院じんじいん事務じむ総長そうちょうはつ)の「3 公表こうひょう例外れいがい参照さんしょう
  21. ^ 最高裁判所さいこうさいばんしょだいさんしょう法廷ほうてい 昭和しょうわ52(オ)323  損害そんがい賠償ばいしょうとう 昭和しょうわ56ねん4がつ14にち 判決はんけつ 棄却ききゃく みんしゅう35かん3ごう620ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 高橋たかはし裕次郎ゆうじろう『すぐに役立やくだ労働ろうどうほうのしくみと手続てつづき』三修社さんしゅうしゃ、2002ねんISBN 978-4384029291 
  • 菅野かんの和夫かずお雇用こよう社会しゃかいほう有斐閣ゆうひかく、1996ねんISBN 978-4641047846 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]