(Translated by https://www.hiragana.jp/)
不当解雇 - Wikipedia コンテンツにスキップ

不当ふとう解雇かいこ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

不当ふとう解雇かいこ(ふとうかいこ, Unfair Dismissal)とは、法律ほうりつうえ判例はんれい法理ほうりじょう規定きてい就業しゅうぎょう規則きそく労働ろうどう協約きょうやくなどのめをまもらずに使用しようしゃによりおこなわれた労働ろうどう契約けいやく解除かいじょ行為こうい解雇かいこ)をす。国際こくさい労働ろうどう機関きかん158ごう条約じょうやくでは、どのような解雇かいこ妥当だとうではない(valid reason)かがしめされている。

どのようなケースが「Unfair」(アンフェア、公正こうせい)であるかは、各国かっこく雇用こよう保護ほご規制きせいにおいて定義ていぎされ、その範囲はんいくにによっておおきながある[1]米国べいこくとカナダ(ケベックしゅうのぞく)では、その解雇かいこ理由りゆう禁止きんし事項じこう該当がいとうしないかぎり、従業じゅうぎょういん理由りゆうなく解雇かいこしても「Fair」(フェア、公正こうせい)とされる[1]

不当ふとう解雇かいことのうったえが正当せいとうとされた場合ばあいはらしょく復帰ふっきまたは金銭きんせん補償ほしょうにて紛争ふんそう解決かいけつがなされるが、どちらの対応たいおう慣習かんしゅうであるかはくにによっておおきながある[1][2]

国際こくさい労働ろうどう機関きかん条約じょうやく

[編集へんしゅう]

使用しようしゃ発意はついによる雇用こよう終了しゅうりょうについて、不当ふとうとされる基準きじゅんしめされている。

だい4じょう 労働ろうどうしゃ雇用こようは、当該とうがい労働ろうどうしゃ能力のうりょくしくは行為こうい関連かんれんする妥当だとう理由りゆうまた企業きぎょう事業じぎょうしょしくは施設しせつ運営上うんえいじょう必要ひつようもとづく妥当だとう理由りゆうがないかぎり、終了しゅうりょうさせてはならない。

だい5じょう とくに、つぎ事項じこうは、終了しゅうりょう妥当だとう理由りゆうとはならない。

(a) 労働ろうどう組合くみあいいんであることまた労働ろうどう時間じかんがいしくは使用しようしゃ同意どうい労働ろうどう時間じかんない労働ろうどう組合くみあい活動かつどう参加さんかしたこと。
(b) 労働ろうどうしゃ代表だいひょう就任しゅうにんしようとすることまた労働ろうどうしゃ代表だいひょう資格しかくにおいて行動こうどうすることしくは行動こうどうしたこと。
(c) 法令ほうれい違反いはん理由りゆうとして使用しようしゃ相手方あいてがたとする苦情くじょう申立もうしたてをおこなしくは使用しようしゃ相手方あいてがたとする手続てつづき参加さんかしたことまた権限けんげんのある行政ぎょうせい機関きかん提訴ていそしたこと。
(d) 人種じんしゅ皮膚ひふいろせい婚姻こんいん家族かぞくてき責任せきにん妊娠にんしん宗教しゅうきょう政治せいじてき意見いけん国民こくみんてき出身しゅっしんまた社会しゃかいてき出身しゅっしん
(e) 出産しゅっさん休暇きゅうかあいだ休業きゅうぎょう

だい6じょう

  1. 疾病しっぺいまた負傷ふしょうによる一時いちじてき休業きゅうぎょうは、終了しゅうりょう妥当だとう理由りゆうとはならない。
  2. 一時いちじてき休業きゅうぎょう定義ていぎ診断しんだんしょ必要ひつようとされる範囲はんいおよび1の規定きてい適用てきよう制限せいげんする可能かのうせいは、だいいちじょうさだめる実施じっし方法ほうほうにより決定けっていされる。
—  1982ねん雇用こよう終了しゅうりょう条約じょうやくだい158ごう

なお試用しよう期間きかんなか雇用こようかか資格しかく取得しゅとく期間きかんちゅう短期間たんきかん臨時りんじ雇用こようものについては、適用てきよう除外じょがいすることが可能かのうである(だい2じょう)。

欧州おうしゅう連合れんごう

[編集へんしゅう]

欧州おうしゅう社会しゃかい憲章けんしょうでは、とくに不当ふとう解雇かいことみなされる事例じれいだい24じょう列挙れっきょしている。

だい24じょう3  本条ほんじょうにおいては、とくつぎ事項じこうは、有効ゆうこう雇用こよう終了しゅうりょう理由りゆうとすることはできない。

a. 労働ろうどう時間じかんがい、もしくは使用しようしゃ同意どういたうえでの労働ろうどう時間じかんないで、労働ろうどう組合くみあいへの加入かにゅうまたは活動かつどう参加さんかすること。
b. 労働ろうどうしゃ代表だいひょうとしての地位ちいもとめること、行動こうどうすること、行動こうどうしたこと。
c. 使用しようしゃ法律ほうりつまたは規制きせい違反いはんうたがいにかんして、苦情くじょう提出ていしゅつ訴訟そしょうへの参加さんか管轄かんかつする行政ぎょうせい当局とうきょくへの相談そうだんもしくはうったえること。
d. 人種じんしゅはだいろ性別せいべつ配偶はいぐうしゃ有無うむ家族かぞくてき責任せきにん妊娠にんしん宗教しゅうきょう政治せいじてき意見いけん国籍こくせき社会しゃかいてき出身しゅっしん
e. 出産しゅっさんまたは育児いくじ休暇きゅうか
f. 病気びょうき怪我けがによる一時いちじてき欠勤けっきん
—  欧州おうしゅう社会しゃかい憲章けんしょう Appendix to the revised European Social Charter, Part.II

オランダ

[編集へんしゅう]

以下いか理由りゆうとした解雇かいこは、Unfairとされる[3]

  • 宗教しゅうきょう人種じんしゅ年齢ねんれい障害しょうがい差別さべつ)にかんする理由りゆう[3]
  • 従業じゅうぎょういん病気びょうきまたは労働ろうどう災害さいがいとなって、2年間ねんかん経過けいかしない場合ばあい[3]
  • 妊娠にんしんまたは産休さんきゅう[3]
  • 育児いくじ休暇きゅうか権利けんり講師こうし[3]
  • 労使ろうし協議きょうぎかいまたは人事じんじ協会きょうかいのメンバーであること[3]
  • 政治せいじ団体だんたい労働ろうどう組合くみあいいんであること[3]

不当ふとう解雇かいこ金銭きんせん解決かいけつがくは、調査ちょうさによればやく7かげつぶん給与きゅうよがく平均へいきんであった[3]

スウェーデン

[編集へんしゅう]

雇用こようぬしは、従業じゅうぎょういん雇用こようぬしたいする義務ぎむいちじるしくおこたった場合ばあい解雇かいこする理由りゆうがあり、そうでない場合ばあいにはUnfairである[4]余剰よじょう人員じんいん理由りゆうでの解雇かいこでは、仕事しごと提供ていきょう可能かのう場合ばあいはUnfairとなるが、ほとんどの産業さんぎょうべつ労働ろうどう協約きょうやくではこれを免除めんじょする規定きていむすんでいる[4]

裁判所さいばんしょ不当ふとう解雇かいこ判決はんけつし、解雇かいこ無効むこうという命令めいれいおうじない場合ばあいは、わって金銭きんせんてき補償ほしょうおこなわれる[4]補償ほしょうがくはケースによりけりだが、その最高さいこうがくは、勤続きんぞく年数ねんすうが5ねん未満みまん雇用こようたいしては賃金ちんぎんの16かげつぶん。 5ねん以上いじょう10ねん未満みまん場合ばあいは24かげつぶん。 10ねん以上いじょう場合ばあいは32かげつぶんさだめられる[4]

日本にっぽん

[編集へんしゅう]

労働ろうどう契約けいやくほうだいじゅうろくじょう
 解雇かいこは、客観きゃっかんてき合理ごうりてき理由りゆうき、社会しゃかい通念つうねんじょう相当そうとうであるとみとめられない場合ばあいは、その権利けんり濫用らんようしたものとして、無効むこうとする。

日本にっぽんにおいては、具体ぐたいてきには以下いか事例じれいが「不当ふとう解雇かいこ」となる。

  1. 業務ぎょうむじょう負傷ふしょうし、また疾病しっぺいにかかり療養りょうようのために休業きゅうぎょうする期間きかんおよびその30日間にちかんにおける解雇かいこ労働ろうどう基準きじゅんほうだい19じょう
  2. 産前さんぜん産後さんご女性じょせいが、労働ろうどう基準きじゅんほうだい65じょう規定きていにて休業きゅうぎょうしたことを理由りゆうとしての解雇かいこ労働ろうどう基準きじゅんほうだい19じょう
  3. 年次ねんじ有給ゆうきゅう休暇きゅうか取得しゅとくしたことを理由りゆうとする解雇かいこ労働ろうどう基準きじゅんほう136じょう
    136じょう違反いはんたいする直接的ちょくせつてき罰則ばっそくさだめられておらず、刑事けいじてき強制きょうせいりょくはないとほぐされる。
  4. 労働ろうどう組合くみあい組合くみあいいんであること、労働ろうどう組合くみあい加入かにゅうし、もしくはこれを結成けっせいしようとしたこと、もしくは労働ろうどう組合くみあい正当せいとう行為こういをしたこととう理由りゆうとする解雇かいこ労働ろうどう組合くみあいほう7じょう
    これは不当ふとう労働ろうどう行為こういたるので、該当がいとうする労働ろうどうしゃ労働ろうどう組合くみあい都道府県とどうふけん労働ろうどう委員いいんかい救済きゅうさいもうてができる(労働ろうどう組合くみあいほう27じょう)。
  5. 事業じぎょうじょう法令ほうれい違反いはん労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょひとし申告しんこくしたことを理由りゆうとする解雇かいこ(104じょう2こう労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいほう97じょう最低さいてい賃金ちんぎんほう34じょう
  6. 労働ろうどうしゃ性別せいべつ理由りゆうとする解雇かいこ男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほう6じょう
  7. 女性じょせい労働ろうどうしゃ結婚けっこん妊娠にんしん出産しゅっさん産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょうをしたことを理由りゆうとする解雇かいこ男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほう9じょう
  8. 対象たいしょうとなる労働ろうどうしゃ育児いくじ休業きゅうぎょう介護かいご休業きゅうぎょうもうたこと、また育児いくじ休業きゅうぎょう介護かいご休業きゅうぎょうをしたことを理由りゆうとする解雇かいこ育児いくじ介護かいご休業きゅうぎょうほう10じょう、16じょう
  9. 対象たいしょうとなる労働ろうどうしゃ看護かんご休暇きゅうか介護かいご休暇きゅうかもうたこと、また看護かんご休暇きゅうか介護かいご休暇きゅうかをしたことを理由りゆうとする解雇かいこ育児いくじ介護かいご休業きゅうぎょうほう16じょうの4、16じょうの7)
  10. 対象たいしょうとなる労働ろうどうしゃ所定しょていがい労働ろうどう制限せいげん時間じかんがい労働ろうどう制限せいげん深夜しんやぎょう制限せいげんもうたこと、また所定しょていがい労働ろうどう制限せいげん時間じかんがい労働ろうどう制限せいげん深夜しんやぎょう制限せいげんをしたことを理由りゆうとする解雇かいこ育児いくじ介護かいご休業きゅうぎょうほう16じょうの9、18じょうの2、20じょうの2)
    4~8については、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん違反いはんするものたいして勧告かんこくすることができ、そのもの勧告かんこくしたがわない場合ばあいはそのむね公表こうひょうすることができる(男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほう29じょう、30じょう)。
  11. 公益こうえき通報つうほうをしたことを理由りゆうとする解雇かいこ公益こうえき通報つうほうしゃ保護ほごほう3じょう
  12. 労働ろうどうしゃ雇用こよう保険ほけんほうにおける保険ほけんしゃとなったことまた保険ほけんしゃでなくなったことの確認かくにんおこなったことを理由りゆうとする解雇かいこ雇用こよう保険ほけんほう8じょう、73じょう
  13. 労働ろうどうしゃ裁判さいばんいん職務しょくむおこなうために休暇きゅうか取得しゅとくしたことその裁判さいばんいん補充ほじゅう裁判さいばんいん選任せんにん予定よてい裁判さいばんいんしくは裁判さいばんいん候補者こうほしゃであることまたはこれらのものであったことを理由りゆうとする解雇かいこ裁判さいばんいん参加さんかする刑事けいじ裁判さいばんかんする法律ほうりつ100じょう

使用しようしゃ法律ほうりつとうさだめられた要件ようけんたしていれば基本きほんてき労働ろうどうしゃ従業じゅうぎょういん解雇かいこができるとされている。(詳細しょうさいは「整理せいり解雇かいこ」、早期そうき優遇ゆうぐう退職たいしょく」「会社かいしゃ都合つごう退職たいしょく」、「自己じこ都合つごう退職たいしょく参照さんしょう

しかし、使用しようしゃ自体じたい法律ほうりつ労働ろうどう慣例かんれいくわしくなかったり(過失かしつ)、悪意あくい故意こい)をっているなどで、必要ひつよう要件ようけんたさないまま労働ろうどうしゃ従業じゅうぎょういん解雇かいこするケースもおおい。

現在げんざいでは、きょうによる企業きぎょうリストラ最終さいしゅう手段しゅだんとして人員じんいん整理せいり不当ふとう解雇かいこおこなわれるケースがえている。2017ねんには補助ほじょきん終了しゅうりょうにより就労しゅうろう継続けいぞく支援しえん事業じぎょうAがた集団しゅうだん解雇かいこおよ事業じぎょう停止ていし事件じけん発生はっせいしている。

また、会社かいしゃがわ内部ないぶ告発こくはつをした社員しゃいんなどにたいし、報復ほうふくとしてその社員しゃいんいがかりをけて懲戒ちょうかいにすること(不当ふとう懲戒ちょうかい解雇かいこ)も問題もんだいになっている。弁明べんめい手続てつづきがあっても、懲戒ちょうかい相当そうとうケースとくらあきらかにおも処分しょぶんをする場合ばあいは、不当ふとう懲戒ちょうかい処分しょぶんである社員しゃいん不平等ふびょうどうあつかいの可能かのうせいたかい。なお、退職たいしょく強要きょうよう法律ほうりつてき解釈かいしゃくかられば、労働ろうどうしゃ意思いし制圧せいあつしたことの要件ようけんくわわることになるので、不当ふとう解雇かいこ要素ようその1つとなる。

紛争ふんそう解決かいけつ

[編集へんしゅう]

個別こべつ労働ろうどう紛争ふんそう解決かいけつ制度せいどには、以下いか存在そんざいする。

不当ふとう解雇かいこ救済きゅうさい手段しゅだんは、法律ほうりつじょう明文化めいぶんかされたものやあきらかな判断はんだんがつく事項じこう労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょあつかうことができるが、それ以外いがいの「合理ごうりてき理由りゆう」というものについては、個別こべつ事案じあんごとに不当ふとうかどうかを検討けんとうしなければならず、結局けっきょく民事みんじてき紛争ふんそうとして解決かいけつするしか方法ほうほうがない。

裁判所さいばんしょうったるとなると、それについやす金銭きんせん時間じかん人的じんてき余裕よゆうすくない労働ろうどうしゃにとっては負担ふたんおおきいことや、勝訴しょうそした場合ばあいでも被告ひこくである使用しようしゃからのケアが充分じゅうぶんおこなわれなかったりする(使用しようしゃあたえる仕事しごとがないから解雇かいこするのであって、解雇かいこ無効むこうであっても仕事しごとあたえられないことにわりはない)ことなどで、結局けっきょく寝入ねいり」となる労働ろうどうしゃすくなくない。訴訟そしょうでは地位ちい保全ほぜん仮処分かりしょぶん賃金ちんぎんかりはらいの仮処分かりしょぶん解雇かいこ迅速じんそく申請しんせいすれば、3かげつ以内いない決定けっていくだされる。本訴ほんそ裁定さいていまでにはすうねんかかる場合ばあいもある。

解雇かいこもっぱ使用しようしゃ意思いしおこなわれるので、すべて使用しようしゃ裁量さいりょうによるものである。とく解雇かいこなか普通ふつう解雇かいこかんしては、解雇かいこ要件ようけん広義こうぎになっているので、社会しゃかい通念つうねん程度ていどなども千差万別せんさばんべつであり、就業しゅうぎょう規則きそく労働ろうどう協約きょうやくなどのめもふくめて、解決かいけつ方法ほうほう手段しゅだんことなってくる。

労働ろうどう組合くみあい存在そんざいする会社かいしゃでは、労働ろうどう組合くみあいつうじて交渉こうしょうする手段しゅだんがあり、交渉こうしょう決裂けつれつした場合ばあいは、双方そうほう主張しゅちょう司法しほう判断はんだんすべく裁判さいばんとなる。労働ろうどう組合くみあい存在そんざいしない場合ばあいは、一般いっぱん労働ろうどう組合くみあいばれる外部がいぶ労働ろうどう組合くみあい個人こじん加入かにゅうするか、個人こじんでの交渉こうしょう弁護士べんごし社会しゃかい保険ほけん労務ろうむなどの代理人だいりにんつうじておこなうこととなる。また、厚生こうせい労働省ろうどうしょう労働ろうどうきょく地方自治体ちほうじちたい労働ろうどう委員いいんかいによる個別こべつ労働ろうどう紛争ふんそう調整ちょうせいなど、行政ぎょうせい介入かいにゅうによる解決かいけつおこなわれ、成果せいかげている。

2006ねんより「労働ろうどう審判しんぱんほう」が施行しこうされる。内容ないようとしては現在げんざい厚生こうせい労働省ろうどうしょう都道府県とどうふけん労働ろうどう局長きょくちょうによる個別こべつ紛争ふんそう解決かいけつ司法しほうもちいられ、その決定けってい強制きょうせいりょくつ。形式けいしきとしては刑事けいじ裁判さいばん形式けいしき裁判さいばん類似るいじしている。決定けってい不服ふふく場合ばあい正式せいしき裁判さいばん移行いこうする。

オーストラリア

[編集へんしゅう]

オーストラリアでは不当ふとう解雇かいことされるケースでは、公正こうせい労働ろうどう委員いいんかいもうてをおこなうことができる。これは解雇かいこされてから21にち以内いないもうてをおこな必要ひつようがある[5]。このもうてをおこなうことができるのは、勤務きんむ期間きかんが6かげつ以上いじょうであったものである(中小ちゅうしょう企業きぎょうにおいては12カ月かげつあいだ[5]正当せいとうなRedundancy(整理せいり解雇かいこ)であった場合ばあい不当ふとう解雇かいこもうてをおこなうことはできない[6]

なお不当ふとう解雇かいこ以外いがいにも、一般いっぱん解雇かいこ保護ほご(General protections dismissal)、または違法いほう解雇かいこ(Unlawful termination)に該当がいとうする場合ばあいも、もうてをおこなうことができる[5]

米国べいこく

[編集へんしゅう]

米国べいこくでは以下いか理由りゆうとした解雇かいこはUnfairとさだめられる。

イギリス

[編集へんしゅう]

以下いか理由りゆうとした解雇かいこは、公正こうせい解雇かいこさだめられる。

  • 妊娠にんしん出産しゅっさん [7]
  • 産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう育児いくじ休業きゅうぎょう家族かぞく休業きゅうぎょう取得しゅとく [7][8]
  • 短時間たんじかんまた有期ゆうき労働ろうどうしゃであること [7]
  • 商店しょうてんとうにおける日曜にちよう労働ろうどう拒否きょひ, 労働ろうどう時間じかん規則きそく制限せいげんえてはたらくことの拒絶きょぜつ, 年次ねんじ有給ゆうきゅう休暇きゅうか取得しゅとくとう, フレキシブル労働ろうどう時間じかん適用てきよう請求せいきゅう [7]
  • 最低さいてい賃金ちんぎん適用てきよう [7][8]
  • 教育きょういく訓練くんれんプログラムへの参加さんかもとめること [7]
  • 労働ろうどう組合くみあいへの加入かにゅう有無うむ労働ろうどう組合くみあい活動かつどう [7][8]
  • 従業じゅうぎょういん代表だいひょう活動かつどう [7]
  • 安全あんぜん衛生えいせい活動かつどう職域しょくいき年金ねんきん基金ききん活動かつどうとう [7]
  • 内部ないぶ通報つうほう [7][8]
  • 制定せいていほうじょう権利けんりかんする主張しゅちょう [7]
  • 人員じんいん整理せいりさい労働ろうどうしゃことなる基準きじゅん適用てきようされた場合ばあい [7]

不当ふとう解雇かいこ金銭きんせん解決かいけつがくは、さまざまな要素ようそ考慮こうりょされるが、給与きゅうよ平均へいきん中央ちゅうおうである勤続きんぞく20ねん労働ろうどうしゃ場合ばあいは、やく8かげつぶん給与きゅうよ相当そうとうとなる[8]

ラテンアメリカ

[編集へんしゅう]

19世紀せいき独立どくりつしたラテンアメリカ諸国しょこくでははじめ、期限きげん雇用こよう契約けいやく禁止きんしし、解雇かいこ自由じゆうとしてきた。メキシコ革命かくめいによって成立せいりつした1917ねん憲法けんぽうが、正当せいとう理由りゆうのない解雇かいこきんじたのが、不当ふとう解雇かいこきんじる最初さいしょほうである。以後いご同様どうよう立法りっぽうひろまり、だい2世界せかい大戦たいせんがおわるまでにほとんどのくに不当ふとう解雇かいこきんじる法律ほうりつつくられた[9]

不当ふとう解雇かいこ法律ほうりつじょうあつかいはおおよそみっつにわかれる。不当ふとう解雇かいこ無効むこうとなるのはキューバメキシコパナマペルーで、不当ふとう解雇かいこたいして補償ほしょうきん支払しはらうのがアルゼンチンコロンビアコスタリカエルサルバドルグアテマラウルグアイ正当せいとう不当ふとうにかかわらず解雇かいこ補償ほしょうきん支払しはらわせるのがボリビアチリエクアドルハイチホンジュラスニカラグアドミニカ共和国どみにかきょうわこくである[10]

いくらかのくにでは不当ふとう解雇かいこたいして復職ふくしょくめいじる法律ほうりつをもっているが、そうしたくにでも、また不当ふとう解雇かいこ無効むこうとするくにでも、実務じつむてきには補償ほしょうきんむことで決着けっちゃくさせることがおお[11]不当ふとうでない解雇かいこ圧倒あっとう多数たすう業績ぎょうせき悪化あっかのような経済けいざいてき理由りゆうレイオフ)によるもので、おおくのくにがこれをみとめている[12]個々ここ労働ろうどうしゃ故意こいまたは重大じゅうだい過失かしつ損害そんがいをもたらした場合ばあい正当せいとう解雇かいこ理由りゆうになるが、そうした解雇かいこけん乱用らんようたいしては労働ろうどう裁判所さいばんしょのような機関きかんうったえることができる[13]。この場合ばあい不当ふとうでないことの証明しょうめい責任せきにんは、雇用こようしゃ[13]。ただし、この手続てつづきには時間じかんがかかり、ときには確定かくていするまで10ねんかかることもあって、十分じゅうぶん救済きゅうさい手段しゅだんにはなっていない[14]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c OECD Employment Outlook 2020, OECD, (2020-07), doi:10.1787/1686c758-en, ISBN 9789264459793 
  2. ^ OECD 2019.
  3. ^ a b c d e f g h OECD 2019, Country: Netherlands.
  4. ^ a b c d OECD 2019, Country: Sweden.
  5. ^ a b c Unfair dismissal”. 豪州ごうしゅう公正こうせい労働ろうどうオンブズマン. 2021ねん11がつ10日とおか閲覧えつらん
  6. ^ Redundancy”. 豪州ごうしゅう公正こうせい労働ろうどうオンブズマン. 2021ねん11がつ10日とおか閲覧えつらん
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『データブック国際こくさい労働ろうどう比較ひかく2019』労働ろうどう政策せいさく研究けんきゅう研修けんしゅう機構きこう、2019ねんISBN 978-4-538-49054-0 
  8. ^ a b c d e OECD 2019, Country: United Kingdom.
  9. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p593.
  10. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p599.
  11. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p603 - p605.
  12. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p600.
  13. ^ a b Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p602.
  14. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p602. p610.

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]