(Translated by https://www.hiragana.jp/)
おぢいさんのランプ - Wikipedia コンテンツにスキップ

おぢいさんのランプ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
おじいさんのランプから転送てんそう
『おぢいさんのランプ』壁画へきが安城あき

おぢいさんのランプ』は新美にいみ南吉なんきちさく児童じどう文学ぶんがく新美にいみ生前せいぜん刊行かんこうされた唯一ゆいいつ童話どうわしゅうおぢいさんのランプ」(1942ねん)に収載しゅうさいされた。

老人ろうじんまご自身じしん人生じんせい灯油とうゆランプにまつわる物語ものがたりかたってかせる構成こうせいで、最初さいしょ最後さいご部分ぶぶん刊行かんこう当時とうじ1940年代ねんだい中間なかまにち戦争せんそうした出来事できごとかたられる。

あらすじ

[編集へんしゅう]

ひがしいち少年しょうねん友達ともだちかくれんぼをしているときに、土蔵どぞうなかでランプをつける。そのかたち面白おもしろがったかれくらからランプをし、友達ともだち見入みいっていたところ、おじいさんから「子供こどもなんでもしおる!電信柱でんしんばしらでもなんでも、あそぶものはいくらでもあるだろう!」としかられてしまう。やがてれた。東一ひがしいちいえなかで、昼間ひるまつけたランプをこっそりといじっていたところ、おじいさんがやってきて自身じしん一代記いちだいきかたりはじめる。

50ねんほどまえとき明治めいじわりころ岩滑いわなめ新田しんでん(やなべしんでん。げん半田はんだ)のむら巳之助みのすけという少年しょうねんがいた。かれ両親りょうしん親戚しんせきもいない、まったくの孤児こじだった。そんなかれ子守こもりでも米搗こめつでもなんでもむら雑用ざつようをこなし、なにとかむらいてもらっていた。ある人力車じんりきしゃきの手伝てつだいをたのまれて、まれてはじめてむら大野おおのげん常滑とこなめ)のまちった巳之助みのすけは、そこではじめてランプというものる。そのあかるさに感動かんどうしたかれは、自分じぶんむらあかるくしたいとかんがえ、なにとかランプをれて自分じぶんむらむ。そこから徐々じょじょひろげ、ランプりとして生計せいけいてるようになった。 

ある文句もんくで「たたみうえ新聞しんぶんをおいてめる」といながら、自分じぶん文盲もんもうであることをじた巳之助みのすけは、区長くちょうさんの納屋なやりてんでいたえんから区長くちょうさんにおしえてもらい、書物しょもつむことをおぼえる。

ランプとして成功せいこうしたかれいえて、つまめとる。やがてどももまれ、しあわせの絶頂ぜっちょうだった。ところが、巳之助みのすけ仕入しいれのために大野おおのまちったところ、まちにはあらたに「電気でんき」というものがかれていた。「電灯でんとう」はランプよりはるかにあかるく、かれはその存在そんざいおどろおそれをいだく。いつしかむらにも電気でんきくというはなしがる。電灯でんとうともされれば、ようなしのランプが駆逐くちくされてしまうだろう。ランプに生活せいかつをかける巳之助みのすけ電気でんき導入どうにゅう頑強がんきょう反対はんたいしたが、結局けっきょくのところむらへの電気でんき導入どうにゅうまってしまう。巳之助みのすけ逆恨さかうらみして、電気でんき導入どうにゅういで議長ぎちょうつとめた区長くちょうさんのいえはなとうとする。しかし、放火ほうかしようにも、手元てもとマッチがなかった。わりにってきた火打石ひうちいしではなかなかこせず、苛立いらだったかれは、「ふるくさいものは、いざというときやくにたねえ」と悪態あくたいをつく。 

その瞬間しゅんかん巳之助みのすけ自身じしんあやまりをさとる。いまやランプも古臭ふるくさいものだ。これに執着しゅうちゃくして、逆恨さかうらみではなつなどひとみちはんすることだ。かれいえかえすと、いえにあるすべてのもののランプに灯油とうゆそそぎ、商売しょうばいようくるまげてす。そして50ほどあったすべてのランプをいけえんにぶらげてともすと、きながらいしげつけ、そのなんかをり、ランプにわかれをげるのだった。そして巳之助みのすけはランプ廃業はいぎょうし、まち本屋ほんやをはじめた。東一ひがしいちぞうつけたのは唯一ゆいいつのこったきランプだった。

ひがしいち祖父そふである巳之助みのすけは、ひがしいちにこうさとしてむすぶ。「わしの商売しょうばいのやめかたは、自分じぶんでいうのもなんだが、なかなか立派りっぱだったとおもうよ。わしのやりかたすこ馬鹿ばかだったが」「・・・それでもなか進歩しんぽして自分じぶん商売しょうばいやくにたなくなったらすっぱりそいつをてて、むかしにすがりついたり時代じだいうらんだりしてはいけないんだ」

書誌しょし情報じょうほう

[編集へんしゅう]
  • 新美にいみ南吉なんきちおぢいさんのランプ棟方むなかた志功しこう有光ありみつしゃ、1942ねんhttps://iss.ndl.go.jp/api/openurl?ndl_jpno=45016868 
  • 『おじいさんのランプ』市川いちかわ禎男よしおだい日本にっぽん図書としょ新美にいみ南吉なんきち童話どうわ全集ぜんしゅう 2〉、1960ねん 
  • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ 新美にいみ南吉なんきち童話どうわしゅう赤羽あかはね末吉すえきちほか岩波書店いわなみしょてん、1965ねん 
  • 新美にいみ南吉なんきち百姓ひゃくしょうあしぼうさんのあし カラーばん旺文社おうぶんしゃ旺文社おうぶんしゃジュニア図書館としょかん〉、1968ねん11月。 
  • 『おぢいさんのランプ』ほるぷ出版しゅっぱん日本にっぽん児童じどう文学ぶんがくかん 名著めいちょふくこく 31〉、1971ねん  - 有光ありみつしゃ(1942年刊ねんかんふくこくばん
  • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ』ポプラ社ぽぷらしゃポプラ社ぽぷらしゃ文庫ぶんこ〉、1978ねん4がつ 
  • 大石おおいしはじめさんほか編集へんしゅう へん『おじいさんのランプ』だい日本にっぽん図書としょ新美にいみ南吉なんきち童話どうわしゅう 2〉、1982ねん3がつ 
  • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ』福田ふくだ庄助しょうすけ岩崎いわさき書店しょてん〈フォア文庫ぶんこ〉、1982ねん6がつ 
  • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ 新美にいみ南吉なんきち童話どうわしゅう偕成社かいせいしゃ偕成社かいせいしゃ文庫ぶんこ〉、1982ねん8がつISBN 4-03-650970-5 
  • 日本にっぽんペンクラブへん へん児童じどう文学ぶんがく名作めいさく全集ぜんしゅう 4』井上いのうえひさしえらべ福武書店ふくたけしょてん福武ふくたけ文庫ぶんこ〉、1987ねん3がつISBN 4-8288-3050-2 
  • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ』遠藤えんどうてるよだい日本にっぽん図書としょ〈てのり文庫ぶんこ 新美にいみ南吉なんきち童話どうわ作品さくひんしゅう〉、1988ねん9がつISBN 4-477-17006-8 
    • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ』遠藤えんどうてるよだい日本にっぽん図書としょ〈てのり文庫ぶんこ図書館としょかんばん 13 新美にいみ南吉なんきち童話どうわ作品さくひんしゅう 2〉、1996ねん2がつISBN 4-477-00621-7 
  • 千葉ちば俊二しゅんじへん へん新美にいみ南吉なんきち童話どうわしゅう岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ文庫ぶんこ〉、1996ねん7がつISBN 4-00-311501-5 
  • 新美にいみ南吉なんきち『ごんぎつね』小学しょうがくかん小学館しょうがくかん文庫ぶんこ 新撰しんせんクラシックス〉、1999ねん12月。ISBN 4-09-404101-X 
  • 日本にっぽんペンクラブへん へん日本にっぽんジュニア文学ぶんがく名作めいさく全集ぜんしゅう 8』井上いのうえひさしえらべしおぶんしゃ、2000ねん3がつISBN 4-8113-7335-9 
  • 新美にいみ南吉なんきち『ごんぎつね』岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ少年しょうねん文庫ぶんこ〉、2002ねん4がつISBN 4-00-114098-5 
  • 新美にいみ南吉なんきち ちょ北川きたがわみゆきいにしえ鬼塚おにづかりつ責任せきにん編集へんしゅう へん新美にいみ南吉なんきち童話どうわしゅう 名作めいさく10世界文化社せかいぶんかしゃしんのこるロングセラー〉、2004ねん3がつISBN 4-418-04807-3 
  • 新美にいみ南吉なんきち ちょ新美にいみ南吉なんきちかいへん へん『おじいさんのランプ』篠崎しのざき三朗さぶろう小峰こみね書店しょてん新美にいみ南吉なんきち童話どうわ傑作けっさくせん〉、2004ねん6がつISBN 4-338-20006-5 
  • 新美にいみ南吉なんきち新美にいみ南吉なんきち ごんきつね・おじいさんのランプほか』だい創出そうしゅつばん〈ダイソー文学ぶんがくシリーズ 近代きんだい日本にっぽん文学ぶんがくせん 13〉、2004ねん 
  • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ』ポプラ社ぽぷらしゃ〈ポプラポケット文庫ぶんこ 352-2〉、2005ねん10がつISBN 4-591-08861-8 
  • 新美にいみ南吉なんきち『おじいさんのランプ』日本にっぽん図書としょセンター〈わくわく!名作めいさく童話どうわかん 6〉、2006ねん4がつISBN 4-284-70023-5 
  • 新美にいみ南吉なんきち新美にいみ南吉なんきち童話どうわしゅう角川かどかわ春樹はるき事務所じむしょ〈ハルキ文庫ぶんこ〉、2006ねん11月。ISBN 4-7584-3263-5 
  • 大久保おおくぼのぼるへん へん『やさしさ 感性かんせいゆたかに 童話どうわ名作めいさくしゅう 小学校しょうがっこう1・2・3ねんけ』日本漢字能力検定協会にほんかんじのうりょくけんていきょうかい監修かんしゅう日本漢字能力検定協会にほんかんじのうりょくけんていきょうかい〈〈しんたがやす〉シリーズ〉、2006ねん11月。ISBN 4-89096-137-2 
  • 新美にいみ南吉なんきち ちょ認知にんち工学こうがくへん へん『おじいさんのランプ』ディスカヴァー・トゥエンティワン〈読書どくしょりょくがラクラクにつく名作めいさくドリル 小学校しょうがっこうぜん学年がくねんよう〉、2007ねん3がつISBN 978-4-88759-531-6 
  • 新美にいみ南吉なんきち『ごんぎつね 新美にいみ南吉なんきち傑作けっさくせんささめやゆき新装しんそうばん)、講談社こうだんしゃ講談社こうだんしゃあおとり文庫ぶんこ 144-2〉、2008ねん3がつISBN 978-4-06-285008-7 
  • んでおきたい日本にっぽん名作めいさく 齋藤さいとうたかし音読おんどくかん齋藤さいとうたかし指導しどう小学館しょうがくかん、7。ISBN 978-4-09-253094-2 
  • 新美にいみ南吉なんきち新美にいみ南吉なんきち30せん春陽しゅんようどう書店しょてん名作めいさく童話どうわ〉、2009ねん2がつISBN 978-4-394-90267-6 
  • 新美にいみ南吉なんきち木下きのした順二じゅんじ『ごんぎつね・夕鶴ゆうづる講談社こうだんしゃ〈21世紀せいきばん少年しょうねん少女しょうじょ日本にっぽん文学ぶんがくかん 13〉、2009ねん3がつISBN 978-4-06-282663-1 

まんがこども文庫ぶんこ』(1978ねん10がつ6にち〜1979ねん9がつ28にち 企画きかく製作せいさく毎日放送まいにちほうそうグループ・タックヘラルド・エンタープライズ) のだい28かい放送ほうそうぶんと、だい1かい若手わかてアニメーター育成いくせいプロジェクトいちさくとして2011ねん公開こうかいされたものとがある。

2011ねん公開こうかい作品さくひん

[編集へんしゅう]

こえ出演しゅつえん

[編集へんしゅう]

スタッフ

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]