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がらがら (玩具おもちゃ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジェラード・シオドール 『あたらしいがらがら』 1875ねん

がらがらガラガラは、乳幼児にゅうようじをあやすためにもちいられる音響おんきょう玩具おもちゃである[1][2]一般いっぱんいた円筒えんとうじょうかたちをしており、なかたまはいっていて、ってることでおとす。るとがらがらおとるのでこのがある[2]保育ほいくしゃることを想定そうていしたものと、あかちゃん自身じしんにぎらせることを想定そうていしたものとふたつのタイプがあり[1]後者こうしゃにはやわらかい素材そざいつくられたリングじょうのもの、おしゃぶりと一体化いったいかしたものなどもふくまれ、「おにぎり」ともばれる[2][3]

「がらがら」は世界中せかいじゅうひろられる玩具おもちゃである[1]素材そざいはプラスチックや木製もくせいのものがおおいが、メキシコにはさとうきびくきまれたがらがらがあり、エスキモーアザラシのかわ使つかってがらがらをつく[1]日本にっぽんにも張子はりこ使つかった伝統でんとうてきながらがらもあるが、でんでん太鼓だいこのような郷土きょうど玩具おもちゃもがらがらの一種いっしゅであるとえる[1]

歴史れきし[編集へんしゅう]

西洋せいよう[編集へんしゅう]

ぶたかたちをした古代こだいギリシャの土製どせいがらがら(紀元前きげんぜん600ねん-480ねんごろ)

楽器がっきとしてのがらがらのるいラトル)は、古代こだいにおいて呪術じゅじゅつてき目的もくてきもちいられていたものである。子供こどもをあやす目的もくてきつくられたものとしては、古代こだいギリシャローマ時代じだいかられいられ、動物どうぶつかたどった土製どせいのがらがらがつくられている。とく古代こだいギリシャ初期しょきにおいては、ぶたかたどったがらがらがおおられる。これは当時とうじぶた幼児ようじ健康けんこうまもるという信仰しんこうがギリシャにあり、この信仰しんこう玩具おもちゃ反映はんえいしたものとられている[1]

がらがらは中世ちゅうせいヨーロッパにおいても人気にんきのある玩具おもちゃであり、フランスでは専用せんようのメーカーがあったといわれる。このがらがらの人気にんきは、たん実用じつようてきめんばかりでなく、ガラガラのおと悪霊あくりょうはらじんまもるという信仰しんこう民衆みんしゅう浸透しんとうしていたことが背景はいけいにあったものとられる[1]。16世紀せいきには貴族きぞくなどのための贅沢ぜいたくなつくりのがらがらが登場とうじょうし、貴族きぞく子供こどもえがいた肖像しょうぞうなどにがらがらがよくえがかれた。子供こども玩具おもちゃ素朴そぼくなものであるべきとして、珊瑚さんご使つかった贅沢ぜいたくながらがらを批判ひはんしたルソー文章ぶんしょうのこっている[1]

「がらがら」が前述ぜんじゅつのようなふたつのタイプにかれるのは、子供こども成長せいちょう発達はったつ視点してんから玩具おもちゃ評価ひょうかするようになった18世紀せいきなかごろからで、それまでの「がらがら」はしゅとして養育よういくしゃ使つかうことを想定そうていしてつくられていたものとられる。イギリスではこうしたがらがらは、ふだん母親ははおや保母ほぼおびかざりのくさりにぶらげられていたものらしい[1]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは室町むろまち時代ときよきょう御所ごしょ女官にょかんたちがかみ張子はりこ文箱ふばこ手慰てなぐさみにつくり、それに小物こものれてるとおとがしたことからはじまったとされている[1][2]。のちにはすずめいぬうさぎといったさまざまな鳥獣ちょうじゅうかたどったかみせいのがらがらがつくられた。当時とうじうまうさぎかわ使つかったでんでん太鼓だいこ御殿ごてん玩具おもちゃとしてつくられ「ばたばた」とばれていた。この「ばたばた」は天然痘てんねんとうでできたあばたをのぞくという信仰しんこうもあった[1]

江戸えど時代じだいには張子はりこのほか、きょくぶつどうをつけちゅう小石こいしれたもの、きりまるいてすずをいれたものなどもつくられている[2]。また江戸えど時代じだい随筆ずいひつしゅう翁草おきなぐさ』や『武林たけばやし隠見いんけんろく』には、御用ごよう商人しょうにん河村かわむらみずほけんさんりょう小判こばんかたなあなをあけ、そこにかみひねとおして即興そっきょうのがらがらをつくり、あそ道具どうぐとして子供こどもあたえたという逸話いつわっている[3]。ほかに年始ねんしとしだまとしてきりばこ扇形せんけい棒状ぼうじょうのものをれてがらがらとしてくばったり、手作てづくりの玩具おもちゃとしてしょういたひもつないでゆびらすものなどもつくられていた。当時とうじはこうしたおとのなる玩具おもちゃを「がらがら」と総称そうしょうしていたようである[3]

明治めいじ時代じだいになると海外かいがいからブリキ輸入ゆにゅうされ、ブリキのかんたいらにしてつくったいちまいがらがら、いでブリキばん2まいわせたなか小石こいしれたがらがらがつくられるようになった[3]明治めいじ30ねんごろには、たけ両面りょうめんにブリキをちゅう小石こいしれたがらがらがつくられており、たけ両面りょうめんにはいぬねこえがかれていた。これはフケを道具どうぐ材料ざいりょう使つかわれたたけ廃物はいぶつ利用りようしたもので、部分ぶぶんふえになっている[3]明治めいじ33ねんには同様どうようのかたちのものにつるひさしはいした「万寿まんすがら」とばれるがらがらもつくられた[3]

このようなブリキせいのがらがらはにち戦争せんそうこう急速きゅうそく進歩しんぽし、陶器とうきよう塗料とりょう使つかふえにした「ふえがら」、仮面かめんまいわせたかたちつくった「めんガラ」、すず使つかった「すずがら」、風車かざぐるまじょう回転かいてんする仕掛しかけをつけた「風車かざぐるまがら」、どうにつけたくび左右さゆうれる「くびりがら」、どうにゼンマイ仕掛しかけを仕込しこ回転かいてんするようにした「自動じどうがら」、鳥獣ちょうじゅうはいし、胴体どうたい回転かいてんさせてどのまるかてるようにできている「とうてがら」、同様どうようにじゃんけんのはいした「こぶしがら」など多様たよう仕掛しかけをもつがらがらがつくられていった[3]

一方いっぽうセルロイドせいのがらがらも明治めいじ32・33ねんころから登場とうじょうしはじめ、明治めいじ40ねんごろにはゼンマイ仕掛しかけでオルゴールのおとれたものが流行りゅうこうしている[3]。セルロイド玩具おもちゃ全盛期ぜんせいきである大正たいしょう時代じだいになるとこうしたセルロイドせいのがらがらがさかんにつくられた。大正たいしょう時代じだいのがらがらはおと趣向しゅこうらしたことに特徴とくちょうがあり、そのおとによって「ラッパふえがら」「太鼓たいこがら」「ふえりがら」とばれるがらがらもつくられたが、この時期じき代表だいひょうてきなものはすずを4つけて優美ゆうびつくられた「高貴こうきがら」、同様どうようすずもちい、常盤御前ときわごぜんこうむったおんなかさせたものをわせてつくられた「常盤ときわがら」であった[3]。これらにプラスチックせいのものがくわわわるのは戦後せんごになってからである[3]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j k 多田ただしんさく多田ただ千尋ちひろ世界せかい玩具おもちゃ事典じてん岩崎いわさき美術びじゅつしゃ、1989ねん全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:89049155、281-282ぺーじ
  2. ^ a b c d e がらがら」 『世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんだい2はん、kotobank(2014ねん6がつ22にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j 齋藤さいとう良輔りょうすけ日本人にっぽんじんがた玩具おもちゃ事典じてん東京とうきょうどう出版しゅっぱん、1997ねんISBN 4-490-10477-4 89-90ぺーじ

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]