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くりこみぐん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

くりこみぐんくりこみぐんえい: renormalization group)とは、くりこみ変換へんかんにより構成こうせいされるはんぐんである。名前なまえでは「ぐん」とついているが、実際じっさいは「ぐん」ではなく「はんぐん」であるてん注意ちゅういすべきことである。

くりこみ変換へんかん[編集へんしゅう]

「くりこみ変換へんかん」とは、直感ちょっかんてきうとスケール変換へんかんをしてあらすることである。量子りょうしろんてき理論りろん理解りかいでは素粒子そりゅうし半径はんけいたないので任意にんいのスケール変換へんかんたいし、もとのスケールの粒子りゅうし描像にあらたに量子りょうし補正ほせいれた粒子りゅうしを「変換へんかんのスケールにおける粒子りゅうし」とさい定義ていぎすることが可能かのうである。つまりスケール変換へんかんおうじて質量しつりょう結合けつごう定数ていすうことなる粒子りゅうし描像に移行いこうすることになる。

理論りろんのパラメータが1つである典型てんけいてき場合ばあいかんがえる。 パラメータ[1] であるとして、スケール変換へんかん

かんがえる。このとき依存いぞんするりょう [2]

のように変換へんかんされると仮定かていする。したがって、初期しょき条件じょうけん

あたえられる。パラメータ たい 空間くうかん てんかんがえられるので、写像しゃぞう なかへの写像しゃぞうだとなせる。

いま変換へんかん

き、関係かんけいしき

満足まんぞくしているものと仮定かていする[3]。このとき、単位たんいもと であり、任意にんいたいして かるので[4]集合しゅうごう は、かわはんぐんをなすことがかる[5]。この を「くりこみ変換へんかん」とぶ。

くりこみぐん方程式ほうていしき[編集へんしゅう]

くりこみぐん方程式ほうていしきとは、はしてきにいえば、理論りろんのパラメータのスケール変換へんかんたいして物理ぶつりりょうがどのように応答おうとうするかを記述きじゅつするへん微分びぶん方程式ほうていしきのことである。

くりこみ変換へんかん関係かんけいしきを、言葉ことばくと、

表現ひょうげんできる[6]。これは、関数かんすう等式とうしきとしての「くりこみぐん方程式ほうていしき」である。このままではあつかいにくいので、普通ふつう微分びぶん可能かのうせい仮定かていし、へん微分びぶん方程式ほうていしきかたちなおす。そのためには、 とおいて、うえしき両辺りょうへん微分びぶんして とおけばよい。られるしき

である。ただし、

定義ていぎされる。このようなへん微分びぶん方程式ほうていしきを、「Gell-Mann=Lowがたのくりこみぐん方程式ほうていしき」という。「Gell-Mann=Lowがたのくりこみぐん方程式ほうていしき」とはことなり、どう次項じこうつくりこみぐん方程式ほうていしきあらわれることもある。そのようなタイプの方程式ほうていしきは、「Callan-Symanzikがたのくりこみぐん方程式ほうていしき」とばれる[7]

られた方程式ほうていしきは1かい線型せんけいへん微分びぶん方程式ほうていしきであるので、特性とくせい方程式ほうていしき

いて一般いっぱんかいもとめることができ[8]、それは

あたえられる。ただし、 は、

満足まんぞくする関数かんすう任意にんい関数かんすうである。ここで、初期しょき条件じょうけん

により であることがかるので[9]結局けっきょく

かいである。

関数かんすう は、物理ぶつりりょうのスケール変換へんかん応答おうとう決定けっていする重要じゅうようりょうで、ベータ関数かんすう[10]ばれる。ベータ関数かんすうをどうやってもとめるかは重要じゅうよう問題もんだいだが、摂動せつどう計算けいさんによる以外いがい事実じじつじょう方法ほうほうはない。

理論りろん頂点ちょうてん関数かんすうなどにえらび、 をくりこみてん えらんだ場合ばあい 依存いぞんせいは、いくつかの関数かんすう [11]とおしてあらわれる。よって、このときのくりこみぐん方程式ほうていしきは、

ベータ関数かんすう

となる。

おう用例ようれい[編集へんしゅう]

  1. 統計とうけい力学りきがく
  2. 量子りょうしろん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ たとえば、くりこみてん や、カットオフ理論りろんでのカットオフ
  2. ^ たとえば、グリーン関数かんすう頂点ちょうてん関数かんすうなど。
  3. ^ 物理ぶつりりょう がこの関係かんけいしき満足まんぞくするかどうかは、モデルや えらかたによるので、問題もんだいごとにチェックしなければならない。
  4. ^ なぜなら、 であるから。
  5. ^ ブロックスピンやウィルソンりゅうくりこみなどからかるように、くりこみ変換へんかんは1しゅ平均へいきんであるので、1くりこみ変換へんかんをしてしまうとぎゃく変換へんかんもとめることは不可能ふかのうである。これは数学すうがくてきにはぎゃくもと存在そんざいしないことと等価とうかであるので、ぐんにはなりえず、はんぐんどまりになる。
  6. ^ 左辺さへんは、一気いっき だけスケール変換へんかんしたことに相当そうとうし、右辺うへんは、さき だけスケール変換へんかんし、つづけて ぶん変換へんかんしたことに相当そうとうする。
  7. ^ 厳密げんみつって「Callan-Symanzikがた」はくりこみぐん方程式ほうていしきでは「ない」。しかし、くりこみ関係かんけいしているために、くりこみぐん方程式ほうていしきばれることがおおい。「Callan-Symanzikがた」の場合ばあいは、理論りろん質量しつりょうをスケール変換へんかんしたときの応答おうとうかんがえることでられる。
  8. ^ ただし、関数かんすう 既知きちだと仮定かていする。
  9. ^ ぎゃく関数かんすう 存在そんざい仮定かていする
  10. ^ 特殊とくしゅ関数かんすうベータ関数かんすう とは無関係むかんけい
  11. ^ 波動はどう関数かんすうくりこみ 質量しつりょうのくりこみ 結合けつごう定数ていすうのくりこみ など。