そば屋 幻 庵
かどたひろし | |
リイド | |
コミック | |
レーベル | SPコミックス |
2008 (2016 | |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | |
ポータル |
『そば
『コミック
2024
物語 [編集 ]
1200
登場 人物 [編集 ]
牧野 玄 太郎 (まきの げんたろう)本 作 の主人公 。才能 によって着実 に昇進 を続 け、将来 は勘定 奉行 も確実視 されていたが、蕎麦 好 きが高 じ、市井 の夜鳴 き蕎麦 屋 に押 しかけ弟子 入 りして自分 でも蕎麦 を打 つようになり、52歳 で隠居 (当時 は70前後 まで役職 に就 くのが普通 だった[6])。息子 ・栄次郎 に家督 を譲 り、平吉 と共 に担 ぎ屋 台 で密 かにそば屋 として第 二 の人生 を歩 む。屋台 の隠 し場所 とそばの仕込 みを行 っている長屋 の者 たちからは「玄 さん」と呼 ばれている。剣術 の腕前 も立 ち、人情 に厚 いが、女性 の気持 ち(特 に恋心 )には疎 い。蕎麦 が絡 むと人 が変 わり、美味 い蕎麦 の研究 は怠 らない。また、料理 の腕 も立 ち、時々 台所 に立 っては腕 を奮 って調理 し、栄次郎 たち家中 の舌 を唸 らせている。役所 勤 め時代 の人脈 もあって交友 関係 は広 く、特 に南 町奉行 の常磐 家 興 (後述 )とは唯一 無二 の親友 同士 。蕎麦 屋 の主 が旗本 の隠居 であることを知 る人間 は少 なく、前述 の長屋 の住人 をはじめ、その正体 を知 る者 にも固 く口止 めをしていて、屋台 を出 す時 には武家 式 の髷 を隠 すほっかむりをしている[7]。ただし、家 興 と平吉 にだけは事前 に打 ち明 けていたため、二人 は事情 を始 めから知 っており、平吉 は屋台 の手伝 いを買 って出 た。妻 ・結 江 (ゆえ)との間 に栄次郎 がいるが、結 江 は栄次郎 が物心 つく前後 に亡 くなってしまっている。以後 は再婚 せず、乳母 (結 江 の遠縁 の者 )と共 に男手 で栄次郎 を育 てた。平吉 (へいきち)- 27
年 前 [8]、そば屋 で玄 太郎 と相席 になったことから交流 が始 まる。 玄 太郎 と出会 った当時 は紙 問屋 の奉公人 で、主 から婿養子 となり跡 を継 ぐことを望 まれていたものの、人 の上 に立 つことが苦手 で悩 んでいたところ、玄 太郎 に窮地 を助 けられたことで商人 としての生 き方 に見切 りをつけ、牧野 家 の中間 として働 くようになる。- また、
紙 問屋 の奉公 時代 、えんに思 いを寄 せられていたのを知 っており、生真面目 な性格 ゆえに、現在 でも嫁 を持 たずに独身 のままである。年月 が経 った現在 は月 に1度 だけ、えんに自分 が作 った蕎麦 を振 る舞 っている。 牧野 家 使用人 の監督 的 立場 にあるが、常 に玄 太郎 と行動 を共 にし、幻 庵 の手伝 いもしており、それで藤丸 に嫉妬 されることもしばしば。牧野 栄次郎 (まきの えいじろう)玄 太郎 の一人 息子 で、玄 太郎 の隠居 に伴 って牧野 家 の当主 となり、玄 太郎 と同 じく勘定 方 に勤 める。幼少 時 に母 を亡 くしており、父 と乳母 の手 で育 った。剣術 にも長 けている他 、好角家 でもあり、力士 などにかけては事情 通 。父 から、「贔屓 の店 のそば」として幻 庵 の蕎麦 を食 べたことがあるが、父 が作 ったものであることは知 らない。9巻 で藤丸 との縁 で幻 庵 を訪 れることになるが、正体 を知 られるわけにいかなかった幻 太郎 の策 で親爺 に扮 した左 眼 の不躾 な態度 に、蕎麦 は美味 いが愛想 の悪 い嫌 な親爺 と悪 印象 を持 ち、以後 は屋台 に来 なくなった。妻 ・かなえとの間 には長 らく子 どもが授 からなかったが、単行本 10巻 で懐妊 が判明 し、11巻 で無事 に玄 之 輔が誕生 した。牧野 かなえ(まきの かなえ)栄次郎 の妻 。同心 の三浦 いわく、「妻女 としても女性 としても非常 にできた」人物 。玄 太郎 の言動 から、薄々 何 かを勘 付 いている様子 。牧野 玄 之 輔(まきの げんのすけ)栄次郎 とかなえの第 一 子 。単行本 12巻 ではお食 い初 めを行 っている。- おみつ
牧野 家 で働 く下女 。非常 に活発 な娘 で好奇心 が強 く、「自称 ・女 の勘 が鋭 い」。なによりも好奇心 が優先 する性格 から、幻 庵 のことが彼女 に知 られればそのまま栄次郎 たちにも知 られてしまうため、秘密 にされている。- 「
女 の勘 」で、何 度 も玄 太郎 と平吉 の後 を尾行 するが、途中 で撒 かれたり他 のことに気 を取 られたりして失敗 している。後 に、偶然 にも玄 太郎 に私怨 を持 つ者 が命 を狙 っていることを利用 して辻斬 りの犯人 に仕立 て上 げ、この件 で恐怖 したおみつは夜中 に玄 太郎 の後 を尾 けるのをやめる。 - みずきとは
初対面 で意気投合 し、別 れの際 には涙 を流 している。秀平 からは好意 を寄 せられているものの、それに気付 いていない。 結 江 の母親 本名 不明 。現在 は実家 の高輪 で長女 ・多 江 と婿養子 の松本 と共 に住 んでいる。結 江 が栄次郎 を出産 したが故 に亡 くなっていることに、女 としての幸 せを選 んだと多 江 共々 理解 はしているものの、多忙 で妻 の最後 を看取 ってやれなかった玄 太郎 を恨 んでいる。曽 孫 である玄 之 輔を大層 可愛 がり、また杉江 学 明 の勧 めで幻 庵 の蕎麦 を食 べて以来 大層 気 に入 っており、時折 玄 之 輔の顔 を見 るために牧野 家 を訪 れ、帰 りに幻 庵 の蕎麦 を食 べることが通例 になってしまっている。藤丸 (ふじまる)[9]幻 庵 の常連 で、辰巳 芸者 。江戸 で一 、二 を争 う売 れっ子 芸妓 。気風 が良 く、度胸 もある本 作 のヒロイン。面倒 見 が良 く、同 じ置屋 の菊 乃や音吉 に慕 われており、彼女 らと幻 庵 で食事 する姿 も度々 描 かれている。蕎麦 屋 の主 が旗本 の隠居 ということは知 らないが、玄 太郎 に何 度 も命 を救 われるうちに恋心 を抱 くようになり、一部 の常連 客 も察 している。玄 太郎 の作 る蕎麦 をこよなく愛 しており、幻 庵 が長期間 出店 しない時 などは、我 を忘 れて屋台 を探 すこともある。後 に時々 幻 庵 を訪 れる常磐 などの武家 や、六右衛門 などの素性 を知 る者 たちの玄 太郎 に対 する接 し方 、時 折 り見 せる品格 ある言動 などで、玄 太郎 がかなり位 の高 い武家 の出 であることを推測 しているが、それでもみんなのために蕎麦 を打 っている玄 太郎 として、それ以上 推測 するのを止 めている。文平 (ぶんぺい)玄 太郎 の蕎麦 の師匠 。本編 開始 時 より5年 前 に死去 しており故人 。玄 太郎 が使用 している屋台 は、文平 から受 け継 いだもの。出合 って間 もない玄 太郎 と常盤 のやり取 りを見 て、「蕎麦 と汁 の関係 になれるかも」と評 した[10]。市井 の夜泣 き蕎麦 屋台 の店主 で、孫娘 におよしがいる。一本気 な性格 で蕎麦 作 りに妥協 がない。岡崎 (おかざき)勘定 勝手 方 に勤 める若者 。上司 の不正 を見 て見 ぬふりしかできない自分 の不甲斐 なさを責 め、酒 に酔 って酩酊 しているところで玄 太郎 と出会 う。勘定 方 の役人 ではあるが、盗賊 の一味 と対峙 した際 には1人 で足止 めをするような一本気 で熱 い心情 の持 ち主 。南 町奉行 ・常磐 家 興 の一人娘 、世 乃と将来 を誓 い合 うほどの相思相愛 の仲 ではあるが、まだ家 興 には交際 を許 してもらってはいない。神 倉 秀信 (かみくら ひでのぶ)勘定 吟味 役 を務 める。岡崎 の上司 にあたる。玄 太郎 の後輩 で、玄 太郎 を尊敬 している。その影響 で、蕎麦 好 きで種類 にも詳 しい。部下 の岡崎 に連 れられて幻 庵 に行 くまで、玄 太郎 が引退 後 に蕎麦 屋 をやっていることは知 らなかった。以後 は玄 太郎 の相談 事 に協力 するようになり、礼 として蕎麦 を打 ってもらったりしている。坂井 (さかい)役職 を持 たない貧乏 御家人 で、江戸 の生活 を諦 め、妻 の実家 である金沢 に引 っ越 す前夜 に幻 庵 に立 ち寄 った。玄 太郎 の蕎麦 を「芯 から理解 する初 めての人 」で、別 れを惜 しんだ玄 太郎 の裏 の働 きかけにより、勘定 方 として働 くことになる。2人 はただの蕎麦 屋 の主 と客 という関係 以上 の付 き合 いを始 め、坂井 の紹介 によって「楓 」を知 ることになる。望月 秀平 (もちづき しゅうへい)元服 前 の少年 。剣術 道場 の仲間 に無理 やり果 し合 いを約束 させられているところを、おみつが見 つけ話 に割 り込 んだことで玄 太郎 と縁 ができる。普段 は木野 村 道場 に通 い、道場 主 の娘 ・りんに恋 するも許婚 がいると知 り諦 める。りんを諦 めた後 、たまたま出会 ったおみつの笑顔 にときめき、好意 を寄 せるようになるが、当 のおみつは色気 より食 い気 のためか気付 いていない、大林 左門 (おおばやし さもん)心 形 刀 流 の使 い手 で、大熊 剣術 道場 の師範代 。現在 は知己 の道場 を引 き継 いで切 り盛 りしているが、剣術 にはまりこんで無茶 な道場破 りや立 ち会 いを繰 り返 し、変人 扱 いされて人付 き合 いが疎遠 になっていた時期 がある。そのためか、腕 の立 つ剣客 に出会 うと昔 の悪 い癖 が出 て理性 と欲望 の狭間 で煩悶 する。玄 太郎 の蕎麦 作 りの所作 を見 て、剣術 の腕 も並々 ならないものを持 っていると推測 しているが、玄 太郎 にはうまく誤魔化 されている。内 兵衛 (うちべえ)、お染 (おその)- そば
処 「楓 」を営 む兄妹 。楓 の名 は亡 くなった内 兵衛 の妻 の名前 から。 内 兵衛 は妻 に先立 たれて気力 を失 っていたが、お染 や玄 太郎 、坂井 らの働 きで乗 り越 えた。蕎麦 の研究 に関 しては玄 太郎 に劣 らず熱心 で、玄 太郎 が馴染 みや訳 ありの客 をもてなす際 には協力 してくれる。- お
染 は手伝 いながら店 で惣菜 や深川 飯 を出 していたが、煮 売 屋 として独立 を思 い立 ち、玄 太郎 の発案 でまずは屋台 を出 すことになる。 大吉 (だいきち)、時次 (ときじ)上方 から一旗揚 げるために江戸 にやってきた若 い商人 。現在 は材木 問屋 に奉公 し、独立 資金 を貯 めている。大吉 のほうはお染 に惚 れており、楓 の常連 にもなる。磯 吉 (いそきち)幻 庵 の常連 。堪 え性 がなく奉公 先 を次々 と変 えており、しまいには盗賊 にも憬 れたこともある。その際 に、連続 する押 し込 み盗賊 の事件 で盗賊 に連 れ去 られる。磯 吉 が奉公 したことのある屋敷 を見張 っていたため、盗賊 一味 を捕 えることができた。盗賊 の仲間 になったわけではなく(押 し込 み先 の間取 りの情報 を得 た後 は殺 されるところだった)、功罪 半 ばということで、南 町奉行 の常磐 家 興 から1年 の禁 ・幻 庵 を申 し付 けられる。- その
後 も奉公 先 は長続 きしなかったが、常磐 の屋敷 に仕 えることになる。あちこち奉公 したことで地方 の訛 りや風習 に詳 しい。また、誰 とでも接 しやすいその性格 から、藤丸 の薦 めもあり密偵 として働 かせたところ、予想 以上 に成果 を挙 げ、その功績 を讃 えられて単行本 16巻 で禁 ・幻 庵 を免除 され、念願 の幻 庵 の蕎麦 を食 べられるようになる。 - おりょう
男 を騙 して荒稼 ぎする女 詐欺 師 。「幻 庵 」の常連 である松吉 、徳 を誑 しこむ騒 ぎを起 こすが、玄 太郎 に見破 られて姿 を消 す。その後 、今度 は玄 太郎 の懐 を狙 うがそれも見抜 かれ、一杯 喰 わされた上 、常磐 家 に奉公 させられる羽目 になる。言動 は悪 ぶっているが、根 は善人 。奉公 先 の常盤 の娘 の世 乃とは友情 を育 んでおり、世 乃の危機 に際 しては機転 を利 かせて命 を救 ったりしている。常磐 家 興 (ときわ いえおき)仁王 様 の異名 を持 つ強面 の南町 奉行 。玄 太郎 の親友 にして蕎麦 仲間 。玄 太郎 が隠居 して蕎麦 屋 の主 になることを聞 かされていたのもあって、彼 が幻 庵 の主 であることは始 めから知 っている。折 を見 ては幻 庵 の蕎麦 を食 べに来 ており、幻 庵 の蕎麦 を玄 太郎 からの依頼 の駄賃 にすることもある。玄 太郎 がまだ勘定 方 に勤 めていたころ(互 いに若 い時 であり、家 興 自身 も南 町奉行 を拝命 して間 もなかった)に事件 を通 じて知 り合 い、以来 の付 き合 いとなる。何 かとトラブルの発端 になる磯 吉 やおりょうの面倒 をまとめて見 ており、自分 から決 して見捨 てることがない懐 が深 い人物 である。長女 の世 乃(よの)を溺愛 しており、い寄 る男 には誰 であろうと容赦 しない。特 に勘定 方 の者 に嫁 がせることに猛 反対 しているが、それは不正 と汚職 が蔓延 る役所 の裏 事情 をよく知 るが故 のことである。また長男 の世 一 郎 も溺愛 しつつも、常磐 家 の跡取 りとして、幼 いながらも敢 えて厳 しく接 している。常磐 門 興 (ときわ かどおき)家 興 の父親 。老齢 ながらも江戸 へ繰 り出 しては迷惑 を働 く無作法 者 に注意 をし、巷 ではかみなり爺 さんとして有名 。偶然 に出会 った岡崎 を気 に入 っており、孫娘 の世 乃との関係 を知 り、家 興 に世 乃との交際 を認 める様 諭 すなど孝行 爺 の一 面 もある。玄 太郎 とも知 り合 いであり、時折 幻 庵 に訪 れては試作 の蕎麦 の試食 などをしている。左 眼 (さがん)元 侠客 で、神倉 の下 で調査 の任 に就 いている。右目 に眼帯 をしている。遊 んでいた子供 の独楽 紐 が旗本奴 の目 に当 たり、怒 って子供 を斬 ろうとした際 に、その抜 き身 を素手 でつかみ、自身 の右 眼 に突 き刺 してことを納 めた。その場 に居合 わせた神倉 の配下 に雇 われ、「左 眼 」の名 を与 えられた。常盤 からは磯 吉 に爪 の垢 を煎 じて飲 ませたい位 だと言 わしめた。沢山 の孤児 の面倒 を見 ているが、誰 にも明 かしてない故 に、玄 太郎 に人攫 いに間違 われたことがある。体 術 に長 け、ある程度 の相手 だったら丸腰 でも捻 じ伏 せることができる他 、単行本 9巻 では物 盗 りに扮 して栄次郎 から脇差 しを抜 き取 った上 に、手加減 をしつつも栄次郎 と互角 に渡 り合 えるほど。松本 茂三 (まつもと しげぞう)玄 太郎 の妻 ・結 江 の実家 である松本 家 の三男 。部屋住 みの立場 に疑問 を感 じ、士分 を捨 てても新 たに自身 の価値 を問 うてみたいと玄 太郎 の許 を訪 れ、信州 で一番 と言 われる蕎麦 の実 作 りの名人 ・峰 蔵 の下 で修業 をすることになる。峰 蔵 (みねぞう)、みずき信州 で一番 と言 われる蕎麦 の実 作 りの名人 ・峰 蔵 とその娘 。- 「
楓 」の内 兵衛 から聞 いた村 を訪 ねた際 に知 り合 う。当初 、峰 蔵 は過去 に江戸 の者 と揉 めたいきさつがあり、江戸 者 の玄 太郎 を毛嫌 いするが、玄 太郎 の蕎麦 に対 する熱意 と思 いを知 り、玄 太郎 の作 った蕎麦 に感銘 を憶 え、玄 太郎 に蕎麦 粉 を譲 ることを承諾 する。その際 に、みずきに江戸 を見 せるべく玄 太郎 にみずきを託 す。 江戸 にてみずきはおみつと会 ってすぐに意気投合 、それからは牧野 家 から笑 い声 が途切 れず、かなえは「まるで幼馴染 の友達 」と称 している。峰 蔵 が土砂崩 れの際 に腰痛 を起 こしたという知 らせを受 け、みずきが峰 蔵 の元 へと帰 る際 には、おみつと涙 しながら別 れる。- その
後 も自分 の生 きる道 を探 す茂三 を受 け入 れたり、玄 之 輔のお食 い初 めのために蕎麦 粉 を送 るなど、牧野 家 との交流 は続 いている。後 に蕎麦 の花 を使 っての養蜂 も手掛 けるようになる。 網 五 郎 (あみごろう)流 しの蕎麦 職人 。本 千 代 という犬 を連 れている。諸国 を巡 って名物 の蕎麦 を喰 いながら新 しい品書 き(メニュー)を考 えているが、本人 の蕎麦 打 ちの腕 は今 ひとつ。長年 旅 を続 けているだけあって顔 が広 く、知 り合 いの芸人 一座 と共 に大晦日 の幻 庵 営業 を誤魔化 すための時間 稼 ぎもしている。幻 庵 の蕎麦 に惚 れて指導 を頼 み込 むが、技術 が伴 わず結果 は芳 しくない。しかし、蕎麦 に対 する研究 は熱心 であり、腕 が不自由 になってしまった職人 に幅広 麺 を提案 したり、食欲 不振 の伊勢屋 主人 の食欲 を回復 させる蕎麦 を考 え出 すなど、玄 太郎 が一目 置 くほどの発想 力 を持 っている。艶 乃(あでの)旅芸人 で天草 艶 乃一座 の女 座長 。身軽 な弟 の小太郎 は一座 での軽業師 を務 める。そば屋 姿 の玄 太郎 と、幻 庵 の蕎麦 を気 に入 り、江戸 での芝居 上演 の際 には幻 庵 によく立 ち寄 る。藤丸 の玄 太郎 への想 いに気付 いており、茶化 してからかったりもする。幻 庵 の屋台 が盗 まれた盗賊 騒動 の際 には、弟 の小太郎 と共 に活躍 、無事 に屋台 を取 り戻 す。杉江 学 明 (すぎえ がくめい)東国 出身 の絵師 。当時 は禁制 だった西洋 画 を収集 するなど、己 の技術 向上 の探求 に余念 がない。絵師 として評価 されており、弟子 にも慕 われている。玄 太郎 とは何 かと関 わり合 いになり、藤丸 や玄 之 輔などを描 く。村越 (むらこし)江戸詰 めの奥羽 南 達 藩 藩士 。大 の蕎麦 好 きで造詣 も深 い。幻 庵 の蕎麦 をとても愛 しており、帰国 の際 には人目 をはばからず涙 を流 すほど。一本気 な性格 で、玄 太郎 の紹介 で知 り合 った坂井 と意気投合 、似 た者 同士 の蕎麦 友達 となる。一時 は藩主 の命 により奥羽 に帰郷 しようとしたが、村越 の心中 を汲 んだ藩主 の計 らいにより蕎麦 見聞 役 という役目 を与 えられて江戸 滞在 期間 が延期 となる。勇次 (ゆうじ)髪結 い師 の青年 で、江戸 一番 の髪結 い師 と呼 ばれるほどの腕前 に加 えて色男 なのもあり、芸者 をはじめとする贔屓 客 も多 いが、根 っからの職人 気質 で朴念仁 なところがある。とある出来事 がきっかけで玄 太郎 と懇意 になり、時折 玄 太郎 の頼 みを快 く引 き受 け、玄 太郎 も頼 まれる時 には礼 の代 わりにおみつの髪結 いを頼 む。六右衛門 (ろくうえもん)蕎麦 屋 の大 店 「暮 松屋 」店主 。若 い頃 は蕎麦 職人 として働 いていたが、職人 としての才能 があまりなく、やけになったところで玄 太郎 と出会 い諭 される。しかし、間違 った受 け止 め方 をしてしまい、その捻 じ曲 がった解釈 のまま商売人 としての才能 を開花 させ、以後 はあこぎな商法 や他 の蕎麦 屋 の乗 っ取 りなどで店 を大 きくする。そのことで玄 太郎 に諭 されると逆恨 みし、様々 な手 で玄 太郎 の妨害 を行 うが、すべて失敗 している。商売人 としての実力 は本物 で、玄 太郎 たちもある程度 は認 めているものの、蕎麦 屋 の乗 っ取 りや蕎麦 粉 の偽装 など、蕎麦 通 からは非難 が多 い。プライドが高 く律儀 であり、あくまで蕎麦 屋 として幻 庵 に勝 ちたいと考 えており、玄 太郎 も人 の道 は完全 に外 れていないと評 している。善 五 郎 (ぜんごろう)全国 屈指 の腕 と才能 を持 つ笠間 焼 の陶工 。生活 に彩 りを与 えてくれる器 を作 りたいという亡父 の意思 を継 いで純粋 に作 陶 に励 み、陶工 として名 を馳 せるようになったが、それ故 にやがて器 が観賞 品 として有難 られていることに憤 りを感 じ、自身 の目 で確 かめるために江戸 を訪 れる。そして器 よりもその「銘 」を有難 る人々 を見 て、陶工 としての有 り様 に思 い悩 むも、たまたま訪 れた幻 庵 で、純粋 に客 のために蕎麦 を打 っているとの玄 太郎 の言葉 を聞 き、悩 みが吹 っ切 れ、彼 になら器 も喜 ぶだろうと持参 していた丼 茶碗 数 杯 を託 す。その丼 茶碗 は、杉江 学 明 をはじめとする目利 きの利 く客 からも、惜 し気 もなく扱 っていると一目 置 かれている。富美 (とみ)日本 中 に名 を知 られている旅 芸 座 「梅沢 一座 」の座長 で、自 らも女形 として活躍 する。とある物 盗 りに出 くわしたのきっかけで大 店 の裏 帳簿 のことを知 り、無実 の罪 を着 せられた奉公人 を助 けるために活躍 する。人物 のモデルは俳優 の梅沢 富美男 であり、連載 10周年 記念 の企画 として執筆 された。歌川 広重 幼少 の頃 より絵 が好 きで、かつて絵 を描 きに江戸 中 を廻 っているうちに迷子 になったところを玄 太郎 に出会 った。彼 が絵師 に反対 する父親 を諭 したお陰 で絵師 としての道 を歩 めたと、大成 を成 した晩年 になっても当時 のことを昨日 の出来事 のように思 い出 し感謝 している。作中 では後世 に遺 した「名所 江戸 百 景 ・冬 の部 『虎ノ門 外 あふひ坂 』」に描 かれた「屋台 を担 いだ蕎麦 師 」は玄 太郎 をモデルにしていることになっている。
書誌 情報 [編集 ]
- シナリオ:
梶 研 吾 、漫画 :かどたひろし 『そば屋 幻 庵 』 リイド社 〈SPコミックス〉、既刊 16巻 (2019年 4月 12日 現在 )- 2009
年 5月 27日 発売 ISBN 978-4-8458-3811-0 - 2010
年 1月 29日 発売 ISBN 978-4-8458-3812-7 - 2010
年 7月 28日 発売 ISBN 978-4-8458-3813-4 - 2011
年 2月 24日 発売 ISBN 978-4-8458-3814-1 - 2011
年 8月 26日 発売 ISBN 978-4-8458-3816-5 - 2012
年 3月 30日 発売 ISBN 978-4-8458-3817-2 - 2012
年 11月27日 発売 ISBN 978-4-8458-4377-0 - 2013
年 5月 23日 発売 ISBN 978-4-8458-4378-7 - 2013
年 12月26日 発売 ISBN 978-4-8458-4379-4 - 2014
年 7月 28日 発売 ISBN 978-4-8458-4380-0 - 2014
年 12月26日 発売 ISBN 978-4-8458-4381-7 - 2015
年 5月 25日 発売 ISBN 978-4-8458-4382-4 - 2015
年 12月12日 発売 ISBN 978-4-8458-4383-1 - 2016
年 7月 13日 発売 ISBN 978-4-8458-4384-8 - 2017
年 11月13日 発売 ISBN 978-4-8458-4385-5 - 2019
年 4月 12日 発売 ISBN 978-4-8458-5448-6
- 2009
脚注 [編集 ]
- ^ “
河北 抄 |12月 24日 ”.河北 新報 . (2013年 12月24日 ). オリジナルの2014年 8月 10日 時点 におけるアーカイブ。 2014年 7月 29日 閲覧 。 - ^
福士 誠治 公式 ホームページ:経歴 Archived 2014年 7月 29日 , at the Wayback Machine. 【 その他 】 2010年 に記載 あり。 - ^ “「そば
屋 幻 庵 」10周年 記念 で梅沢 富美男 が劇 中 に登場 、ラズウェル細木 の新 連載 も”. コミックナタリー (2018年 7月 13日 ). 2020年 11月13日 閲覧 。 - ^ 『コミック
乱 ツインズ』2024年 7月 号 、リイド社 、2024年 6月 13日 。表紙 より。 - ^ 6
巻 冒頭 の人物 紹介 において「1万 2千 石 」とされているが、1万 石 を超 えた場合 「旗本 」ではなく「大名 」となるため、これは誤植 ・誤記 である。 - ^
第 一 話 「まぼろし蕎麦 屋台 」より - ^
武家 と町人 では髷 の結 い方 が違 うため。 - ^
第 十 二 話 の時点 - ^
第 一 話 から登場 し、ストーリーにも深 く関与 するが、第 五 話 まで名前 が呼 ばれなかった。 - ^
第 五 十 四 話 「勘定 方 と仁王 様 」より