アフガニスタンの政治せいじ

アフガニスタンの政治せいじは、ターリバーン統治とうちの枠組わくぐみの中なかで行おこなわれている。ターリバーンはアフガニスタンを制圧せいあつ後ご、2021年ねん9月がつ7日にちに暫定ざんてい政府せいふを発表はっぴょうした。

最高さいこう指導しどう者しゃ

ハイバトゥラー・アクンザダは、アフガニスタン・イスラム首長しゅちょう国こくのトップであり、政治せいじ、軍事ぐんじ、宗教しゅうきょうおよび政府せいふの人事じんじなどすべての決定けってい権けんを持もっている。最高さいこう指導しどう者しゃとしての仕事しごとの多おおくは、アフガニスタンの内閣ないかくと首相しゅしょうを監督かんとくするラーバリシュラ（指導しどう評議ひょうぎ会かい）と共同きょうどうで行おこなわれる。ラーバリシュラはアクンザダと共同きょうどうで首相しゅしょう、副ふく首相しゅしょう、外務がいむ大臣だいじん、内務ないむ大臣だいじんなど内閣ないかくの重要じゅうようなポストに個人こじんを任命にんめいする。

現在げんざい、最高さいこう指導しどう者しゃは、アフガニスタンの内閣ないかくの全体ぜんたい的てきな目的もくてきを決定けっていする責任せきにんも負おっており、ターリバーンのさまざまな派閥はばつ間あいだの団結だんけつとリーダーシップの要ようとなっている。ハイバトゥラー・アクンザダはマウラウィーとしての資格しかくとフィクフの知識ちしきを持もっているため、ターリバーンの間あいだでは広ひろく尊敬そんけいされており、従したがって求心力きゅうしんりょくのある存在そんざいとして見みられている。

ラーバリシュラ

ラーバリシュラ（指導しどう評議ひょうぎ会かい）は、アフガニスタンの統治とうちにおいて最高さいこう指導しどう者しゃを補佐ほさする26人にんのメンバーからなる評議ひょうぎ会かいである。現げん情報じょうほう副ふく大臣だいじんであり政府せいふの広報こうほう担当たんとう者しゃでもあるザビフラ・ムジャヒドによれば、ラーバリシュラはアフガニスタンの内閣ないかくを監督かんとくし、政府せいふの重要じゅうような決定けっていを行おこなうという。評議ひょうぎ会かいはまた、前任ぜんにん者しゃの死後しごに新あたらしい最高さいこう指導しどう者しゃを任命にんめいする責任せきにんを負おっていたが、2021年ねんのカーブル陥落かんらく後のちに評議ひょうぎ会かいがこの権限けんげんを行使こうしするかどうかはまだわかっていない。

この仕組しくみは、1996年ねんから2001年ねんにかけてアフガニスタン・イスラム首長しゅちょう国こくがムハンマド・オマルを最高さいこう評議ひょうぎ会かいの議長ぎちょうとして統治とうちしていたことを彷彿ほうふつとさせる。しかし、このシステムは、イランの最高さいこう指導しどう者しゃとその聖職せいしょく者しゃによる統治とうちシステムとも比較ひかくされている。評議ひょうぎ会かい自体じたいは、アフガニスタン紛争ふんそう中なかのターリバーンの執行しっこう機関きかんでもあり、反はん政府せいふ組織そしきとしてのターリバーンの全体ぜんたい的てきな方向ほうこう性せいを決定けっていしていた。

アルジャジーラの報道ほうどうによると、アフガニスタンの内閣ないかくは実際じっさいには無力むりょくであり、すべての政治せいじ権力けんりょくはアクンザダとカンダハールを拠点きょてんとするラーバリシュラに帰属きぞくしているという。

内閣ないかく 

アブドゥル・ガニ・バラダル副ふく首相しゅしょう

現在げんざいの暫定ざんてい内ない閣かくは2021年ねん9月がつ7日にちの発表はっぴょうで提示ていじされた。国くに全体ぜんたいは、2016年ねんにターリバーンのトップとなったハイバトゥラー・アクンザダが率ひきいている。首相しゅしょうのハッサン・アフンドは、ターリバーンの穏健おんけん派はと強硬きょうこう派は間あいだの妥協だきょう候補者こうほしゃとして選えらばれた。副ふく首相しゅしょうにはアブドゥル・ガニ・バラダルとアブドゥル・サラム・ハナフィの2人ふたりがいる。

内閣ないかく（ハイバトゥラー・アクンザダを除のぞく）には合計ごうけい33人にんの大臣だいじんがおり、全員ぜんいんが男性だんせいであった。 2人ふたりの大臣だいじんはタジク人じんであり、1人ひとり（アブドゥル・サラム・ハナフィ）はウズベク人じんである。他たのすべての大臣だいじんは、ハイバトゥラー・アクンザダと同様どうようにパシュトゥーン民族みんぞくの出身しゅっしんである。国内こくない最大さいだいの民族みんぞくであるパシュトゥーン人じんは、長ながい間あいだターリバーンと非ひターリバーンの両方りょうほうの政治せいじを支配しはいしてきた。政府せいふのメンバーの中なかには、1996年ねんから2001年ねんまで続つづいたターリバーン統治とうち時代じだいに大臣だいじんを務つとめていた者ものもいる。

政府せいふはターリバーンの主席しゅせき広報こうほう担当たんとう者しゃのザビフラ・ムジャヒドによって発表はっぴょうされ、この内閣ないかくは完全かんぜんではなく、さらなる人事じんじを行おこなう予定よていであると述のべた。ターリバーンは以前いぜん、包括ほうかつ的てきな政府せいふを形成けいせいしたいと述のべていたが、すべての大臣だいじんはターリバーンの長年ながねんのメンバーであった。

2021年ねん9月がつ21日にち、ムジャヒディーンは副ふく大臣だいじんを指名しめいしてターリバーンの暫定ざんてい内ない閣かくの拡大かくだいを発表はっぴょうした。

政策せいさく

国家こっかの正式せいしき名称めいしょうはアフガニスタン・イスラム首長しゅちょう国こくである。ターリバーンの方針ほうしんは、シャリーア法ほうを施行しこうすることである。

大だい規模きぼな女性じょせい主導しゅどうの抗議こうぎ活動かつどうを受うけて、9月9日にちに未み承認しょうにんの抗議こうぎ活動かつどうが禁止きんしされた。女性じょせいに関かんする政策せいさくには、スポーツへの参加さんかの禁止きんしが含ふくまれている。

教育きょういく

政府せいふは小学校しょうがっこうの再開さいかいを命めいじ、男子だんし学生がくせい向むけの高校こうこうを再開さいかいする予定よていであることを発表はっぴょうしたが、女子じょしが高校こうこうに通かよえるかどうかについてはまだコメントしていない。ターリバーンは、女子大じょしだい生せいは男子だんし学生がくせい（可能かのうであれば教授きょうじゅも）から隔離かくりされていれば大学だいがくに戻もどることができると述のべているが 、ガーディアンは「高校こうこうが女子じょしのために再開さいかいされない場合ばあい、ひとたび現在げんざいの学生がくせい達たちが卒業そつぎょうすれば、大学だいがく教育きょういくを認みとめるという約束やくそくは無意味むいみになるだろう」と指摘してきしている。高等こうとう教育きょういく大臣だいじんのAbdulBaqi Haqqaniは、すべての女子じょし学生がくせいには適切てきせつなヒジャブの着用ちゃくようを義務付ぎむづけると述のべたが、それが顔かおを覆おおうことを必要ひつようとするかどうかは明確めいかくにしなかった。

ターリバーンのスポークスマンZabihullah Mujahidは、9月21日にち、明確めいかくな時期じきを示しめすことなく中等ちゅうとう学校がっこうの女子じょし生徒せいとが「できるだけ早はやく」学校がっこうに戻もどると発表はっぴょうし、女子じょし教育きょういくについて、従来じゅうらいの制度せいどには欠点けってんがあったため、変更へんこうを「最終さいしゅう的てきに」検討けんとうしていると主張しゅちょうした。彼かれは従来じゅうらいの教育きょういく制度せいどの問題もんだい点てんについての詳細しょうさいには言及げんきゅうしていない。

認識にんしきと関係かんけい

アフガニスタンの国連こくれん特使とくしは、国際こくさい社会しゃかいが新しん政府せいふを承認しょうにんしないよう要請ようせいした。そのような承認しょうにんを求もとめているターリバーンをまだ承認しょうにんした国家こっかはないが、他国たこくの政府せいふもある程度ていどはターリバーン側がわと接触せっしょくしている。

歴史れきし

詳細しょうさいは「アフガニスタンの歴史れきし」を参照さんしょう

派閥はばつ主義しゅぎ

政権せいけんを獲得かくとくして以来いらい、戦利せんり品ひん、（政権せいけん獲得かくとく前まえの）ターリバーンの反はん政府せいふ活動かつどうへの貢献こうけん、新しん政府せいふでの政治せいじ的てき任命にんめいなどの分野ぶんやで、ターリバーンの様々さまざまな陣営じんえいの間あいだで派閥はばつ主義しゅぎや内紛ないふんが報告ほうこくされている。派閥はばつには、政治せいじ的てき穏健おんけん派は、宗教しゅうきょう的てき原理げんり主義しゅぎ者しゃ、ジハード主義しゅぎ者しゃ、ハッカニ・ネットワークなどがある。

関連かんれん項目こうもく

• アフガニスタン・イスラム首長しゅちょう国こくの政府せいふ