アルポート症候群しょうこうぐん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

アルポート症候群しょうこうぐん(アルポートしょうこうぐん、えい: Alport syndrome)はかんおんせい難聴なんちょう異常いじょうともな遺伝いでんせい進行しんこうせいじんえんである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

神経しんけいせい難聴なんちょうともな家族かぞくせい遺伝いでんせいじんえんともせい優性ゆうせい遺伝いでんのものがおおい。幼児ようじには血尿けつにょうのみであるが年齢ねんれいとともに蛋白たんぱく尿にょう出現しゅつげんし、20さい前後ぜんこうまでに腎不全じんふぜんおちいる。難聴なんちょう神経しんけいせい高音こうおん領域りょういきちょあかりであり、じん障害しょうがい進行しんこうとともに進行しんこうする。男性だんせいほう女性じょせいよりも進行しんこうはやく、20さい前後ぜんこう腎不全じんふぜんになり、難聴なんちょう合併がっぺいりつたかい。水晶すいしょうたい異常いじょう白内障はくないしょうなどもともなう。一方いっぽう女性じょせい症候しょうこうせい血尿けつにょう主体しゅたいであり、腎不全じんふぜんおちいるのは10%以下いかである。病理びょうり学的がくてきには光学こうがく顕微鏡けんびきょうではいと球体きゅうたい増殖ぞうしょくせい変化へんか主体しゅたいであり、あいだしつ泡沫うたかた細胞さいぼうみとめるが、初期しょきにはほとんど正常せいじょうわらない。電子でんし顕微鏡けんびきょうでは糸状いとじょうたい基底きていまくほそきれ網目あみめじょう変化へんか特徴とくちょうである。 腎不全じんふぜんへの進行しんこう阻止そしする特異とくいてき治療ちりょうほうく、基本きほんてき慢性まんせい腎不全じんふぜん同様どうよう保存ほぞん治療ちりょうおこない、最終さいしゅうてき末期まっき腎不全じんふぜんとなった場合ばあい透析とうせき移植いしょく療法りょうほうおこなう。

原因げんいん[編集へんしゅう]

アルポート症候群しょうこうぐんはIVがたコラーゲン異常いじょうもとづく先天せんてんせい疾患しっかんであり、原因げんいんとなる遺伝子いでんしはIVがたコラーゲンのαあるふぁくさりかかわっているCOL4A3, COL4A4, COL4A5の3つがられるが、COL4A3とCOL4A4はだい2染色せんしょくたいうえに、COL4A5はX染色せんしょくたいうえにあり、それぞれつね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでんともせい優性ゆうせい遺伝いでん形式けいしきしめす。アルポート症候群しょうこうぐんやく80%がともせい優性ゆうせい遺伝いでんしめCOL4A5原因げんいんである。IVがたコラーゲンは腎臓じんぞういと球体きゅうたい基底きていまく蝸牛かぎゅうのらせん靭帯じんたいにあり[1]、これらが障害しょうがいされることによりじん障害しょうがいかんおんせい難聴なんちょうをきたすとされている。

症状しょうじょう[編集へんしゅう]

アルポート症候群しょうこうぐんではじん障害しょうがいくわえて難聴なんちょう症状しょうじょうていすることがおおい。一般いっぱんにX染色せんしょくたいが1つしかない男性だんせいほうが、2つある女性じょせいよりも症状しょうじょう進行しんこうはやい。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 佐々木ささきしげる腎臓じんぞうない科学かがく』(2010)シュプリンガージャパン ISBN 9784431100898

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Zehnder AF, Adams JC, Santi PA, Kristiansen AG, Wacharasindhu C, Mann S, Kalluri R, Gregory MC, Kashtan CE, Merchant SN (November 2005). “Distribution of type IV collagen in the cochlea in Alport syndrome”. Archives of Otolaryngol Head and Neck Surgery 131: 1007-1013. PMID 16301374. http://archotol.ama-assn.org/cgi/reprint/131/11/1007.