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痛風つうふう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
痛風つうふう
尿にょうさん
概要がいよう
診療しんりょう リウマチがく, 内科ないかがく
頻度ひんど 1 to 2% (developed world)
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 M10
ICD-9-CM 274.0 274.1 274.8 274.9
OMIM 138900 300323
DiseasesDB 29031
eMedicine emerg/221 med/924 med/1112 oph/506 orthoped/124 radio/313
Patient UK 痛風つうふう
MeSH D006073

痛風つうふう(つうふう、英語えいご: gout)とは、尿にょうさん体内たいない析出せきしゅつして結晶けっしょうができることにより、関節かんせつえんなどをたす疾患しっかんで、その背景はいけいにはこう尿にょうさんしょうなどが存在そんざいする。

ウィキペディア:ビデオウィキ-痛風つうふう

日本語にほんご名称めいしょう

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この疾患しっかんの「痛風つうふう」という日本語にほんごめい由来ゆらいには、以下いかよういくつかのせつ存在そんざいする。

  • いたみがこる場所ばしょ発作ほっさ箇所かしょ)が、まるでふうくようにあしひざこしかたひじ胸骨きょうこつなど、全身ぜんしん関節かんせつほねはし移動いどうし、なおかつふうつよくなったりおだやかになったりするようにいたみがひどくなったりやわらいだりをかえすことから命名めいめいされたというせつ
  • いたみの悪風あくふうあたる(あたる)という意味いみで「痛風つうふう」となったとするせつ
  • いた発作ほっさている部分ぶぶんいてきたふうたるだけでもいたいから「痛風つうふう」となったとするせつ

原因げんいん

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関節かんせつえきちゅう尿にょうさんナトリウムのはりじょう結晶けっしょう

ヒトをふくむヒトは、進化しんか過程かてい尿にょうさんオキシダーゼうしなったため、プリン塩基えんき処分しょぶんするとき体内たいないでは尿にょうさんまでで処理しょりまってしまい、尿にょうさんよりも水溶すいようせいたかアラントインへの変換へんかんは、一部いちぶ体内たいない発生はっせいした活性かっせい酸素さんそしゅによって酵素こうそてきすす程度ていどである[1]

尿にょうさん水溶すいようせいひくいため、体内たいない蓄積ちくせきすると、とく体温たいおんひく末梢まっしょう体液たいえきれなくなった尿にょうさん析出せきしゅつしやすい。析出せきしゅつして結晶けっしょうした尿にょうさんは、炎症えんしょうこして痛風つうふう発作ほっさ誘発ゆうはつする[2][3]痛風つうふう発作ほっさ尿にょうさんナトリウムのはりじょう結晶けっしょうによってこされる[4]。Xせん回折かいせつほうにより痛風つうふう患者かんじゃよりられたはりじょう結晶けっしょう尿にょうさん水素すいそナトリウムの結晶けっしょうであることが確認かくにんされた[5]

こう尿にょうさんしょう患者かんじゃにきっかけがくわわると痛風つうふう発症はっしょうする。なにがきっかけなのか明確めいかくではないこともおおい。

健康けんこう状態じょうたいにおける人体じんたいちゅうには、ごく普通ふつう尿にょうさん含有がんゆうされているが、この濃度のうどちゅう尿にょうさん)がなんらかの理由りゆうによりいちじるしく上昇じょうしょうすると、本来ほんらい人体じんたい恒常こうじょう機能きのうえて飽和ほうわ解消かいしょうできず、とく体温たいおんひくあしなどにおいて、尿にょうさん溶解ようかいしきれずに尿にょうさんしおとして結晶けっしょうして関節かんせつつつみうちなどに付着ふちゃくすることがられている。この状況じょうきょうにおいては、白血球はっけっきゅうぐんのうち、とくこうちゅうだま尿にょうさん結晶けっしょう攻撃こうげき捕食ほしょく活動かつどう)をおこなうことがられている。

こうちゅうだまによる尿にょうさん結晶けっしょう捕食ほしょく活動かつどう激化げきかすると、その活動かつどうによる過大かだいなエネルギーや、尿にょうさんかかんで死亡しぼうしたこうちゅうだま遺骸いがいそのものによる影響えいきょうなどから、血管けっかんかべがダメージをけておおきな炎症えんしょう発生はっせいする。当然とうぜんに、当該とうがい部位ぶい周囲しゅうい神経しんけい組織そしきをも相当そうとう刺激しげきし、患者かんじゃは「内側うちがわからの激痛げきつう」をかんじることとなる。

また、ちゅう含有がんゆう尿にょうさん濃度のうど急激きゅうげき低下ていかした場合ばあいにおいても、痛風つうふう発作ほっさしょうじることがられている。これは、こうちゅうだま攻撃こうげき対象たいしょうである尿にょうさん結晶けっしょう行方ゆくえ急激きゅうげき見失みうしなうと、対象たいしょうさがつづけて活動かつどう激化げきかさせることによるためともわれているが異論いろんおおく、ちゅう尿にょうさん急降下きゅうこうか明確めいかく発作ほっさシステム自体じたい解明かいめいはなされていない。ただし後述こうじゅつとおり、疫学えきがくてきには、ちゅう尿にょうさん上昇じょうしょうとともにちゅう尿にょうさん急降下きゅうこうかも、痛風つうふう発作ほっさ要因よういんであることはひろられており、痛風つうふう発作ほっさであっても尿にょうさん生成せいせい阻害そがいざい尿にょうさん排出はいしゅつ促進そくしんざいなどを発作ほっさまえから服用ふくようしていた場合ばあいはそのままつづけるのにたいして、痛風つうふう発作ほっさ尿にょうさん生成せいせい阻害そがいざい尿にょうさん排出はいしゅつ促進そくしんざいなどを開始かいしすることはすすめられない。

かならずしも恒常こうじょうてきこう尿にょうさんしょう患者かんじゃがすべて痛風つうふう発作ほっさこすわけではなく、そのメカニズムは解明かいめいしきれていないが、よくられている発作ほっさのきっかけとしては、脱水だっすい症状しょうじょうともな急激きゅうげき尿にょうさん変動へんどう物理ぶつりてき衝撃しょうげきによる結晶けっしょう剥落はくらく不適切ふてきせつなタイミングでの尿にょうさんコントロールやく投与とうよはげしすぎるスポーツなどがかんがえられている。さけ痛飲つういんは、エタノールによって利尿りにょうこって発生はっせいする脱水だっすい症状しょうじょうくわえ、乳酸にゅうさん尿にょうさん競合きょうごうによる尿にょうさん排出はいしゅつおくれによって尿にょうさんはげしく変動へんどうさせ、翌日よくじつあさ痛風つうふうこすきっかけとなることがおおいともされる。

あくまで、こう尿にょうさんしょう患者かんじゃでも痛風つうふうこさないケースはすくなくないため、がねとなる要因よういんすべかっているわけではない。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで、こう尿にょうさんしょう患者かんじゃ尿にょうさんげるくすり処方しょほうしないのはそのかんがかたもとづいているが、こう尿にょうさんしょう腎臓じんぞう結石けっせきなどべつ病気びょうきのリスク要因よういんであることはわすれるべきではない。

血清けっせい尿にょうさん影響えいきょうおよぼす比較ひかくてき頻度ひんどたか遺伝子いでんしとしてURAT1 (SLC22A12) がられていたが、ゲノムワイド関連かんれん解析かいせきによりだい規模きぼ発見はっけんされた。すなわち SLC11A9, SLC2A9, SLC17A1, SLC22A12, SLC22A11, SLC16A9, ABCG2, LRP2, PDZK1, GCKR, TRIM46, INHBB, INHBC, SFMBT1, TMEM171, VEGFA, BAZ1B, STC1, PRKAG2, HNF4G, A1CF, ATXN2, UBE2Q2, IGF1R, NFAT5, MAF, HLFなどである。これらの遺伝子いでんし一般いっぱん痛風つうふう発症はっしょう関係かんけいしているとかんがえられる。このなかでSLCのつくものはATP結合けつごうカセットをたないトランスポーター(輸送ゆそう蛋白質たんぱくしつ)であり、腎臓じんぞう尿にょう細管さいかん分布ぶんぷ尿にょうさん尿にょうちゅう排泄はいせつ関係かんけいするとかんがえられる。ABCG2はしゅとして腸管ちょうかん分布ぶんぷし、ちょうからの尿にょうさん排泄はいせつ低下ていかによりこう尿にょうさんしょうきたし、痛風つうふうきたこと示唆しさされている[6]。このほか痛風つうふうになりやすいヒトは、アセトアルデヒド脱水だっすいもと酵素こうそ特定とくてい変異へんいっているとする研究けんきゅう結果けっか存在そんざいする[7]

疫学えきがく

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飲酒いんしゅによる影響えいきょう

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範囲はんい=患者かんじゃのうち90%以上いじょう[8][9]文献ぶんけんによっては98%以上いじょう[10]男性だんせいであると記載きさいする。これほどに男女だんじょおおきい疾患しっかんではすくなく、疫学えきがくてき研究けんきゅうによると、蒸留酒じょうりゅうしゅである焼酎しょうちゅうウイスキーなどは醸造じょうぞうしゅくらべてプリンたい含有がんゆうりょうすくないことがられているものの、エタノール肝臓かんぞう尿にょうさんつくられるのを促進そくしんして尿にょうさん濃度のうどをあげてしまうため、痛風つうふうのリスクをたかめる。

とくにプリンたいおおふくうえに、ホップが食欲しょくよく増進ぞうしん効果こうかなどによって食事しょくじりょう増加ぞうかしがちなビールもっともリスクがたか[11]

一方いっぽうで、ワインは醸造じょうぞうしゅであるにもかかわらずんでも痛風つうふうのリスクをたかめないとする報告ほうこくもある[11]

少量しょうりょう飲酒いんしゅしゃ(アルコール12.5g/にち以下いか)で1.16、ちゅう程度ていど飲酒いんしゅしゃ(12.6-37.4g/にち)で1.58、大量たいりょう飲酒いんしゅしゃ(37.5g/にち以上いじょう)で2.64のように飲酒いんしゅにより痛風つうふうのリスクが上昇じょうしょうするとの報告ほうこくがある。

飲酒いんしゅ痛風つうふうのリスクを上昇じょうしょうさせる理由りゆうとして、アルコール代謝たいしゃによるATP分解ぶんかいともなうプリンたいからの尿にょうさん生成せいせい、アルコール飲料いんりょうふくまれるプリンたい摂取せっしゅ飲酒いんしゅにより生成せいせいされる乳酸にゅうさん尿にょうさん排泄はいせつ阻害そがい、などが原因げんいんとしてかんがえられている[12]

プリンからだとうによる影響えいきょう

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尿にょうさんとはプリンたいばれる物質ぶっしつ代謝たいしゃ産物さんぶつであり、プリンたいおお摂取せっしゅするとこう尿にょうさんしょう、さらには痛風つうふうがねとなるとかんがえられる。にくのみならずさかなふくまれるプリンたい痛風つうふうリスクたかめるが、野菜やさいふくまれるプリンたい麦芽ばくが[13]まめるいおおい)はたかめない[14]。また、フルクトース果糖かとう)は急速きゅうそく代謝たいしゃされてアシドーシスこしやすく[15]酸性さんせい尿にょうさん析出せきしゅつしやすくなる。フルクトースを構成こうせいたい砂糖さとうおおいドリンクをしゅうに5-6はい場合ばあいやフルクトースをふくむフルーツジュースの摂取せっしゅ痛風つうふうのリスクを増大ぞうだいさせる[16]近年きんねんこう尿にょうさんしょうかかわる遺伝子いでんし各国かっこく(含日本にっぽん)で発見はっけんされている。

そのほか、精神せいしんてきストレスや水分すいぶん摂取せっしゅ不足ふそく発症はっしょうがねとなる。とく水分すいぶん摂取せっしゅ不足ふそくかんしては、日常にちじょうてき意識いしきして水分すいぶんおおめにり、ちゅう尿にょうさん濃度のうどを(排尿はいにょうによって体外たいがいことで)ひくたもつことがすすめられている。

2018ねん平成へいせい30ねん)10がつ10にちけのBMJ電子でんしばんに、ニュージーランドオタゴ大学だいがくのTanya J Majorらは、食事しょくじ内容ないよう血清けっせい尿にょうさん影響えいきょうあたえるが、一般いっぱん集団しゅうだん血清けっせい尿にょうさん変動へんどうたいする食生活しょくせいかつ寄与きよは、遺伝いでんてき要因よういんくらべるとはるかにちいさかったとする報告ほうこく掲載けいさいした[17]

症状しょうじょう

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関節かんせつ激烈げきれついたみがこり、発赤はっせき発熱はつねつともなう。尿にょうさん結晶けっしょう比重ひじゅうたか重力じゅうりょくかれてあし沈着ちんちゃくしやすいため、痛風つうふう発作ほっさ痛風つうふうせい関節かんせつえん)はあし趾(とくはは趾MP関節かんせつ)にこうはっする。

はつ発症はっしょうじょうあしであることがおおいが、あし関節かんせつひざ関節かんせつから発症はっしょうすることもある。あし親指おやゆびアキレス腱あきれすけん部分ぶぶんなどに発作ほっさきるといたみをかんずるだけではなく、歩行ほこう困難こんなんとなる場合ばあいもある。

発作ほっさかえすたびに症状しょうじょう増悪ぞうあくする。発作ほっさいたみはつよく、非常ひじょう苦痛くつうともなう。

また、みみかいなどに痛風つうふう結節けっせつばれる皮下ひか結節けっせつつくることがあり、これが診断しんだんたすけとなる。Xせんでは骨髄腫こつづいしゅのようにpunched out)とばれるほね破壊はかいぞうえる。痛風つうふう鑑別かんべつようする関節かんせつえん疾患しっかんとしては関節かんせつリウマチ変形へんけいせい関節かんせつしょうにせ痛風つうふうがある。

検査けんさ

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  • 痛風つうふう発症はっしょうする患者かんじゃでは、すくなくとも発作ほっさには血液けつえき検査けんさでのこう尿にょうさんしょうられるが、25%の患者かんじゃ発作ほっさ尿にょうさん正常せいじょうである。
  • 関節かんせつ穿刺せんしえき検査けんさにおけるかたちかく細胞さいぼう増加ぞうか尿にょうさん結晶けっしょう証明しょうめい(これが一番いちばん大事だいじだが、感度かんどは100%ではない。85%程度ていどとする文献ぶんけんがある)。

治療ちりょう

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対症療法たいしょうりょうほう

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こうちゅうだま活動かつどう抑制よくせいこう炎症えんしょうやく投与とうよ鎮痛ちんつうやく投与とうよ患部かんぶ管理かんりゆるやかな尿にょうさん排出はいしゅつ尿にょうさん上昇じょうしょう要因よういん排除はいじょ、の5手法しゅほう併用へいようを以っておこなう。

こうちゅうだま活動かつどう抑制よくせい

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  • コルヒチン製剤せいざいちから0.5 mgを、発作ほっさこすに程度ていどこうちゅうだま活動かつどう抑制よくせいたされるまで、おおむね4時間じかん以上いじょう間隔かんかく経口けいこう投与とうよすることがおおい。
  • 日本にっぽんにおいて認可にんかされているコルヒチンざい製品せいひんめい「コルヒチン」として塩野義製薬しおのぎせいやく生産せいさんしていたが、2010ねん4がつ高田製薬たかたせいやく販売はんばい継承けいしょうされた。国内こくないでは先発せんぱつひんほんざいしかないが、薬価やっかやすいことがあり、ジェネリックひん開発かいはつされていない。海外かいがいにおいてもインガラボラトリしゃインド)の製品せいひんめい「ガウトニル」など対外たいがいけジェネリック産品さんぴん生産せいさんされているが、日本にっぽんにおいては認可にんかである。

消炎しょうえん鎮痛ちんつう

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現状げんじょうでは、ステロイドけい鎮痛ちんつう消炎しょうえんやく使用しようすることがおおい。たとえば、ちから60mgのロキソプロフェンナトリウム製剤せいざいを、その投入とうにゅう不要ふようみとめられるまで、おおむね8時間じかん以上いじょう間隔かんかく経口けいこう投与とうよすることがおおい。ロキソプロフェン製剤せいざい服用ふくようにあたっては、かべへのダメージをける目的もくてきで、テプレノン製剤せいざいレバミピド製剤せいざいなどの粘膜ねんまく保護ほございあわせて処方しょほうすることがおおい。

  • NSAIDsステロイドけいこう炎症えんしょう鎮痛ちんつうやく)とばれる種類しゅるいいためのくすり対症療法たいしょうりょうほうおこなう。インドメタシンなどに、臨床りんしょう研究けんきゅうもとづく科学かがくてき根拠こんきょがある(根拠こんきょもとづく医療いりょう)。
  • 疼痛とうつうつよ患者かんじゃでは、ステロイド全身ぜんしん投与とうよや、たん関節かんせつえん患者かんじゃでは関節かんせつない投与とうよきわめて有効ゆうこうである。最近さいきんでは、最初さいしょにNSAIDsではなくステロイドを服用ふくようしたほうが、効果こうか同等どうとう副作用ふくさよう悪心あくしん消化しょうかかん出血しゅっけつなど)はすくないとする報告ほうこくがある[18]

患部かんぶ管理かんり

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  • 発作ほっさこしている関節かんせつないし周辺しゅうへん部位ぶいは、安静あんせいおよび冷涼れいりょう保持ほじする必要ひつようがあり、患部かんぶうごかしたりねつぬるする行為こうい炎症えんしょうじゅうあつしさせることがられている。とくに、発作ほっさ患部かんぶ駆動くどうおよび温度おんど上昇じょうしょう双方そうほう同時どうじにもたらす入浴にゅうよく禁忌きんきとする。患者かんじゃが、安易あんい民間みんかん療法りょうほうてき発想はっそうで、痛風つうふう発作ほっさ同様どうよう関節かんせついたみをともな関節かんせつリウマチの慢性まんせい療法りょうほうとう温泉おんせん療法りょうほう連想れんそう入浴にゅうよくおこなうと、痛風つうふう発作ほっさ症状しょうじょうをほぼ100%悪化あっかさせる。

ゆるやかな尿にょうさん排出はいしゅつ

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  • 体内たいない尿にょうさん自然しぜん排泄はいせつする手段しゅだんとして、水分すいぶんおおめに排尿はいにょううながす。
  • クエン酸くえんさんカリウムクエン酸くえんさんナトリウム配合はいごうざい[19]尿にょうのpHをアルカリするため尿にょうさん排出はいしゅつうながされ、痛風つうふう緩和かんわするとされている。
  • 尿にょうさん排泄はいせつ促進そくしんやく使用しようちゅう酸性さんせい尿にょうとなるため尿にょう結石けっせきじん障害しょうがい発症はっしょうしやすく、尿にょうアルカリやく併用へいようする。
  • 痛風つうふう発作ほっさちゅう尿にょうさん降下こうかやく投与とうよ開始かいしすると発作ほっさ増悪ぞうあくさせるので、投与とうよ開始かいししてはならない。ただし尿にょうさん降下こうかやく投与とうよちゅう原則げんそくとして服用ふくよう中止ちゅうししない。

尿にょうさん上昇じょうしょう要因よういん排除はいじょ

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  • ない尿にょうさん濃化のうかさせる行為こういつつしむ。具体ぐたいてきには、業務ぎょうむ対人たいじんなどストレスを発生はっせいさせる行為こうい中止ちゅうし負荷ふかのかかる運動うんどう中止ちゅうし負荷ふかのかかる運動うんどうによって死滅しめつしたすじ細胞さいぼうはプリンたい主要しゅよう供給きょうきゅうげんのひとつである)、プリンたいおおふく食材しょくざい摂食せっしょく中止ちゅうし飲酒いんしゅ中止ちゅうしなどをおこなう。
食事しょくじ療法りょうほう
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  • こう尿にょうさんしょう痛風つうふう治療ちりょうガイドラインの「生活せいかつ指導しどう」では、とくに「1にち400mgを目安めやすにしたプリンたい摂取せっしゅ制限せいげん」がしめされている[20]

予防よぼう

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こう尿にょうさんしょう患者かんじゃにおいては、その治療ちりょう方法ほうほうそのものが、すなわち痛風つうふう発作ほっさ予防よぼう方法ほうほうのほぼすべてを充足じゅうそくするほか、こう尿にょうさんしょうしゃにおいても、日常にちじょうにおいてちゅう尿にょうさん急激きゅうげき濃淡のうたんこさないような体調たいちょう・ストレスの管理かんりようする。

  • 尿にょうさんさんせい抑制よくせいざいであるアロプリノールフェブキソスタットトピロキソスタット尿にょうさん排泄はいせつ促進そくしんざいであるベンズブロマロン分泌ぶんぴつさい吸収きゅうしゅう阻害そがいざい)、プロベネシド分泌ぶんぴつぜんさい吸収きゅうしゅう阻害そがいざい[21]予防よぼうてき経口けいこう投与とうよし、こう尿にょうさんしょう改善かいぜんする。これらは、こう尿にょうさんしょう原因げんいんが、尿にょうさんさんせい過剰かじょうによるものか尿にょうさん排泄はいせつ能力のうりょく低下ていかによるものか、あるいは薬効やっこう患者かんじゃへの影響えいきょうなどを見極みきわめて使つかける。
  • ちゅう尿にょうさん濃化のうかあわわず、その急激きゅうげき変動へんどうそのものが痛風つうふう発作ほっさ原因げんいんとなるため、これらの薬剤やくざいについては、急激きゅうげき尿にょうさん低下ていかによる発作ほっさ悪化あっか再発さいはつ誘引ゆういんせぬよう、痛風つうふう発作ほっさ発現はつげんちゅうならびに寛解かんかい直後ちょくごすう週間しゅうかん服用ふくよう推奨すいしょうされていない。
  • こう尿にょうさんしょう痛風つうふう治療ちりょうガイドライン』[22]では、「適度てきどりょう飲酒いんしゅ」、「プリンたい摂取せっしゅひかえめにする」、「十分じゅうぶん水分すいぶん摂取せっしゅ」、「尿にょうアルカリ性あるかりせいたもつ」、「運動うんどう」、「ストレスの解消かいしょう」がすすめられている。
  • 帝人ていじんファーマ創製そうせいし、同社どうしゃ日本にっぽんで、イプセンがヨーロッパで、TAPしゃ、(のち武田薬品たけだやくひん買収ばいしゅうされる)が米国べいこく開発かいはつしたフェブキソスタットが新規しんき痛風つうふう治療ちりょうやくとして米国べいこくでは2009ねん日本にっぽんでは2011ねんにフェブリク(帝人ていじんファーマ製造せいぞう販売はんばい)として承認しょうにんされた。
  • 富士薬品ふじやくひん創製そうせいしたトピロキソスタットが、2013ねんよりトピロリック(富士薬品ふじやくひん)/ウリアデック(三和化学研究所さんわかがくけんきゅうしょ)の2ブランドで販売はんばいされている。

その

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痛風つうふう患者かんじゃ発作ほっさ前兆ぜんちょうかんじることがあるとわれ、そのときコルヒチンむと発作ほっさ予防よぼうする効果こうかがあるとされている。しかしこの治療ちりょうほう臨床りんしょう研究けんきゅうもとづく根拠こんきょはない。ただし、発作ほっさ初期しょき症状しょうじょうである発作ほっさ発現はつげんかんじる「違和感いわかん」や、ごくかる内部ないぶからかんじるかゆとうについては、痛風つうふう発作ほっさ初発しょはつ患者かんじゃのほとんどがこれを軽微けいびおもごしと見過みすごして発作ほっさ激痛げきつうによる歩行ほこう困難こんなんとなるまでじゅうあつしさせるが、再発さいはつ患者かんじゃすでにその初期しょき症状しょうじょう特徴とくちょうである患部かんぶ微妙びみょう違和感いわかん体験たいけんしているため、痛風つうふう発作ほっさ発生はっせいのごく初期しょきにいちはや診療しんりょうけてコルヒチンを処方しょほうされ服用ふくようして、激痛げきつう発生はっせいするまえ発作ほっさ進行しんこう抑制よくせい寛解かんかいさせるケースが非常ひじょうおおい。これは、痛風つうふう発作ほっさ激痛げきつうりた経験けいけんのある患者かんじゃにとって再度さいどくりかえし過酷かこく発作ほっさこうむりたくないとかんがえるゆえの当然とうぜん行動こうどうによるものであり、あくまで発作ほっされきのある患者かんじゃ発作ほっさ初期しょき患部かんぶ違和感いわかん素早すばや感知かんちして早期そうき対症療法たいしょうりょうほうけたことによる成果せいかであって、「前兆ぜんちょう」「かんとうではなく発作ほっさの「自覚じかく症状しょうじょう」にもとづくものであり、その診療しんりょう経緯けいい当然とうぜん診察しんさつのカルテにも記録きろくされるので、疫学えきがくてき反映はんえいさせることが可能かのうなものである。

遺伝いでん

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痛風つうふうきた作用さようきわめてつよく、1つの遺伝子いでんし痛風つうふう原因げんいんとなる場合ばあい単一たんいつ遺伝子いでんしびょう)と、1つの遺伝子いでんし作用さようよわく、複数ふくすう遺伝子いでんし環境かんきょう要因よういんくわわって痛風つうふうきた場合ばあい因子いんしびょう)がある。前者ぜんしゃにはPRPP合成ごうせい酵素こうそ亢進こうしんしょう、HPRT欠損けっそんしょう(レッシュ・ナイハン症候群しょうこうぐん)などの酵素こうそ異常いじょうしょう、ウロモデュリン異常いじょうしょうなどがある。後者こうしゃには多数たすう遺伝子いでんしがあり、上記じょうきのようにすくなくとも27遺伝子いでんし関係かんけいしている。

民間みんかん療法りょうほう

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水分すいぶんおおめにことで、非常ひじょういたみをともな症状しょうじょう発生はっせい予防よぼうできることは、ふるくから経験けいけんによってられていた。これは排尿はいにょうによってちゅう尿にょうさん濃度のうどげる効果こうかがあるため、関節かんせつへの尿にょうさん結晶けっしょう発生はっせいけられるためである。そのため、現代げんだいでもみずむことが奨励しょうれいされ、さけんだらそのばいみずむように指導しどうされる。

とく利尿りにょう作用さようのある緑茶りょくちゃ紅茶こうちゃコーヒーひとし多量たりょう摂取せっしゅして大量たいりょう排尿はいにょうすれば、それだけ大量たいりょう尿にょうさん体外たいがい排泄はいせつされることにもつながるため、より症状しょうじょう発生はっせい予防よぼうができそうにおもえるが、脱水だっすい症状しょうじょうこして症状しょうじょう悪化あっかする。尿にょう結石けっせき出来でき可能かのうせいもある。

また、尿にょうさんげることが発作ほっさのリスクをおさえるという観点かんてんから、きも機能きのう向上こうじょう中性ちゅうせい脂肪しぼうらし、肝臓かんぞうないたくわえられているプリンたい自体じたいらす)とじん機能きのう向上こうじょう腎臓じんぞう負担ふたんらし、効率こうりつてき尿にょうさん排出はいしゅつをうながす)は重要じゅうよう療法りょうほうといえる。具体ぐたいてきには、散歩さんぽなどのゆう酸素さんそ運動うんどうてい塩分えんぶんていカロリーな食事しょくじ、カリウムをおおふく食品しょくひん摂取せっしゅ十分じゅうぶん水分すいぶん補給ほきゅう入浴にゅうよく睡眠すいみんなどが効果こうかがあるとされる。

アメリカにおいて尿にょうさんげる効果こうか痛風つうふう発作ほっさいたみを緩和かんわする効果こうかがあるとひろしんじられているアメリカンチェリーは、アントシアニンなどのポリフェノールるいはたらいているといわれている。一方いっぽうアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく (FDA) は、痛風つうふうへの効能こうのううたってチェリー加工かこうひん販売はんばいする業者ぎょうしゃたいし、証明しょうめいされていない効能こうのうをラベルにせるのをやめるよう警告けいこくしている[23][24]

経験けいけんてき民間みんかん療法りょうほうとして、スライスしたせいたまねぎ半分はんぶんからいちぶんみずにさらさずにべることにより、発作ほっさ劇的げきてきいたみを軽減けいげんし、またいたみのつづ期間きかんみじかくするというせつがある。また、日常にちじょうてき摂取せっしゅすることにより、発作ほっさおさえ、痛風つうふう体質たいしつ改善かいぜんにもたか効果こうかがあるとわれている。これは、たまねぎにおおふくまれているクェルセチン炎症えんしょう抑制よくせい効果こうかと、尿にょうさん増加ぞうか抑制よくせいする効果こうかのためではないかとわれている。ただし、せいのたまねぎの摂取せっしゅは、体質たいしつによっていたむなどの副作用ふくさようもあり、このてんには注意ちゅうい必要ひつようである。

出典しゅってん

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  1. ^ ぞうじょう雅文がぶん尿にょうさん酸化さんか作用さようこう酸化さんか作用さよう痛風つうふう核酸かくさん代謝たいしゃ』 2014ねん 38かん 2ごう p.145-, doi:10.6032/gnam.38.145
  2. ^ 高木たかぎ和貴かずたか, 上田うえだ孝典たかのり、「尿にょうさん分解ぶんかい酵素こうそPEGウリカーゼの適応てきおう意義いぎ」『こう尿にょうさんしょう痛風つうふう』18(2), 2010, pp.41-46, hdl:10098/2955
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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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