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脱水だっすい (医療いりょう)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
脱水だっすい症状しょうじょうから転送てんそう
脱水だっすい
コレラ罹患りかん脱水だっすい症状しょうじょうこした男性だんせい患者かんじゃ経口けいこうすいえき補給ほきゅうけている。
概要がいよう
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 E86
ICD-9-CM 276.51
DiseasesDB 3520
MedlinePlus 000982
eMedicine article/801012
MeSH D003681

脱水だっすい(だっすい、えい:dehydration)とは、医学いがくにおいて体内たいない水分すいぶんりょう不足ふそくした状態じょうたいう。この脱水だっすいには種類しゅるい状態じょうたい存在そんざいし、細胞さいぼうがいえき血漿けっしょうあいだしつえき)をうしなう“volume depletion"と、細胞さいぼうがいえきちゅう水分すいぶん細胞さいぼうないえきちゅうみずうしなう “dehydration" があるが、日本にっぽんではこれらを総称そうしょうして「脱水だっすい」とんでいる。簡易かんいなチェック方法ほうほうとして毛細血管もうさいけっかんさい充満じゅうまん時間じかんはか方法ほうほうゆびつめうえから5秒間びょうかんしてしろくなった状態じょうたいからもとピンク色ぴんくいろもどるまでの時間じかん)がある。2びょう以上いじょうかかる場合ばあい異常いじょう判断はんだんされる[1][2]

原因げんいん

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水分すいぶん喪失そうしつりょうたいして水分すいぶん摂取せっしゅりょう不足ふそくすることによってこる。したがって脱水だっすい原因げんいんとしては、水分すいぶん摂取せっしゅ不足ふそくする状態じょうたいあるいは水分すいぶん喪失そうしつ過剰かじょうとなる状態じょうたいふたつがかんがえられる。実際じっさいには、水分すいぶん摂取せっしゅ不足ふそくすると同時どうじ喪失そうしつ進行しんこうすることもおおい。

発熱はつねつ
発熱はつねつにより全身ぜんしん倦怠けんたいかんつよくなると、水分すいぶん摂取せっしゅ減少げんしょうする。その一方いっぽうで、発汗はっかん亢進こうしん呼吸こきゅうすう増加ぞうかなどにより不感ふかんふけ[3]排尿はいにょうによって意識いしきされない水分すいぶん排泄はいせつ)が亢進こうしんし、程度ていどつよくなれば脱水だっすいとなる。
下痢げり嘔吐おうと
ウイルスせいちょうえん食中毒しょくちゅうどくコレラなど、急性きゅうせい消化しょうか疾患しっかん症状しょうじょうとしてしばしば同時どうじにみられる。嘔吐おうとにより水分すいぶん摂取せっしゅ低下ていかするとともに、下痢げりにより水分すいぶん喪失そうしつ増加ぞうかする。下痢げり嘔吐おうとのいずれも電解でんかいしつ喪失そうしつする症状しょうじょう胃液いえきにも電解でんかいしつふくまれるため)であるため、水分すいぶんだけでなく電解でんかいしつ減少げんしょうする。
高温こうおん環境かんきょうじゅう作業さぎょうはげしい運動うんどう
発汗はっかん亢進こうしんするため、十分じゅうぶん水分すいぶんおよび電解でんかいしつ摂取せっしゅがなければ細胞さいぼうがいえきちゅう水分すいぶん細胞さいぼうないえきちゅうみずうしなわれる「 dehydration 」の原因げんいんとなる。これらの要因よういんかさなりってこるじゅうあつし疾患しっかん熱中ねっちゅうしょうがあり、脱水だっすい熱射病ねっしゃびょう主要しゅよう病態びょうたいのひとつである。
内分泌ないぶんぴつ疾患しっかん[4]電解でんかいしつ代謝たいしゃ異常いじょうしょうじん疾患しっかん[5]
原発げんぱつせいアルドステロンしょうクッシング症候群しょうこうぐんまたは重曹じゅうそう過剰かじょう投与とうよともなうナトリウムの過剰かじょうとう過剰かじょう摂取せっしゅともな糖尿とうにょうびょうせいケトアシドーシス[6]
出血しゅっけつ
出血しゅっけつにより血管けっかんないより逸失いっしつした細胞さいぼうがいえき循環じゅんかん血液けつえきりょう)が減少げんしょうすると細胞さいぼうないえき移動いどう細胞さいぼうがいえきおぎなわれるが、体液たいえき総量そうりょう減少げんしょうするため脱水だっすいとなる。同時どうじ出血しゅっけつせいショックていすることもある。

分類ぶんるい

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脱水だっすいは、血液けつえき細胞さいぼうがいえき)の電解でんかいしつ組成そせいによって以下いかのように分類ぶんるいされる。

ていはりせい脱水だっすい
下痢げり嘔吐おうと出血しゅっけつなどにより水分すいぶん喪失そうしつ以上いじょう電解でんかいしつ喪失そうしついちじるしい状態じょうたいで、血漿けっしょうなか電解でんかいしつ濃度のうどおよび血漿けっしょう浸透しんとうあつ低下ていかともなう。
発汗はっかん下痢げり嘔吐おうとなどの体液たいえき喪失そうしつたいみずのみを補充ほじゅうつづけることで容易よういおちいってしまう。
発熱はつねつ口渇こうかつかんともないにくく、皮膚ひふ粘膜ねんまく乾燥かんそうすくないため、初期しょきには自覚じかく症状しょうじょうすくないが、進行しんこうすると全身ぜんしん倦怠けんたいかん眠気ねむけがみられ、手足てあしつめたく脈拍みゃくはくよわくなる。身体しんたい体液たいえき塩分えんぶん濃度のうどよりも体液たいえきりょう保持ほじすることを優先ゆうせんするため塩分えんぶん不足ふそく(+++)のところ水分すいぶん不足ふそくだけ(++)となりとどまり、発症はっしょうしやすいのである。おも細胞さいぼうがいえき循環じゅんかん血液けつえきりょう)の減少げんしょうによる症状しょうじょうである。
血清けっせいナトリウム濃度のうど140mEq/l以下いか血清けっせい塩化えんかぶつイオン濃度のうど110mEq/l以下いか目安めやすとなる。
とうはりせい脱水だっすい
とうはりえき喪失そうしつによる脱水だっすい口渇こうかつかんのため水分すいぶん摂取せっしゅするのが普通ふつうのため、ていはりせい脱水だっすい変化へんかしやすい。
ネフローゼなど。
高張たかはりせい脱水だっすい
発汗はっかん亢進こうしん水分すいぶん摂取せっしゅ極端きょくたん低下ていかなどにより、もっぱら水分すいぶん不足ふそくした状態じょうたいである。自分じぶん水分すいぶん摂取せっしゅのできない乳幼児にゅうようじ高齢こうれいしゃおおい。
発熱はつねついちじるしい口渇こうかつかんともない、口腔こうくうなどの粘膜ねんまく乾燥かんそうする。意識いしきたもたれるがかくれ興奮こうふん状態じょうたいとなる。手足てあしつめたくならず、脈拍みゃくはくもしっかりとれる。
血清けっせいナトリウム濃度のうど150mEq/l以上いじょう血清けっせい塩化えんかぶつイオン濃度のうど110mEq/l以上いじょう目安めやすとなる。
糖尿とうにょうびょうなど。

治療ちりょう

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医療いりょう機関きかんにおいては、電解でんかいしつ調整ちょうせいおこなわれた輸液経口けいこうすいえき投与とうよされる。輸液の成分せいぶん電解でんかい質量しつりょう補充ほじゅう速度そくど患者かんじゃによってことなる。

軽症けいしょうであり経口けいこう摂取せっしゅ可能かのう全身ぜんしん状態じょうたいであれば、経口けいこうすいしお経口けいこうあたえる。ただし、スポーツドリンクは、ナトリウム濃度のうどひくいため、とく乳幼児にゅうようじ脱水だっすいあたえると、ていナトリウムしょうからみず中毒ちゅうどく惹起じゃっきする危険きけんせいがある[よう出典しゅってん]食塩しょくえん補給ほきゅうにスープるい、カリウムの補給ほきゅうには果物くだものや100%果汁かじゅう飲料いんりょう(リンゴジュース)の2ばい希釈きしゃくえき効果こうかてきであるとする専門せんもんもいる[7]

高度こうど脱水だっすいさいにはじん機能きのう障害しょうがいされているためカリウム排泄はいせつ不能ふのうによるこうカリウムしょう危険きけん存在そんざいする。

まずナトリウム、食塩しょくえん中心ちゅうしん細胞さいぼうがいえきがた輸液を施行しこうし、充分じゅうぶん排尿はいにょう確認かくにんしたのちカリウムの補給ほきゅううつるのがだい原則げんそくである。

熱中ねっちゅうしょう原因げんいんである場合ばあい医療いりょう機関きかんでの適切てきせつ診断しんだん治療ちりょう必要ひつようになる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 日本にっぽん災害さいがい学会がっかい|用語ようごしゅう”. jadm.or.jp. 2023ねん10がつ3にち閲覧えつらん
  2. ^ 杉森すぎもりひろし治療ちりょうともな有害ゆうがい事象じしょう予防よぼう日本にっぽん耳鼻咽喉科じびいんこうか学会がっかい会報かいほう』 2013ねん 116かん 5ごう p. 654-656, doi:10.3950/jibiinkoka.116.654
  3. ^ 不感ふかんふけ泄とは - コトバンク、2022ねん11月14にち閲覧えつらん
  4. ^ 木村きむらあきら、「内分泌ないぶんぴつ疾患しっかんによる電解でんかいしつさん塩基えんき平衡へいこう異常いじょう糖尿とうにょうびょうのぞく)」 『medicina』 21かん 5ごう, 1984/5/10, doi:10.11477/mf.1402219036
  5. ^ 江口えぐち智子さとこ岡田おかだ麻衣子まいこ津田つだあん都子くにこ ほか、慢性まんせい腎不全じんふぜんていカリウムしょうをきたし,大腸だいちょう絨毛じゅうもう腫瘍しゅようからのカリウム喪失そうしつうたがわれた3れい日本内科学会にほんないかがっかい雑誌ざっし』Vol.101 (2012) No.1 p.154-156, doi:10.2169/naika.101.154
  6. ^ 大濱おおはま俊彦としひこ金城きんじょう一志かずし知念ちねんのぞみ ほか、「みかん缶詰かんづめ・アイスクリームの大量たいりょう摂取せっしゅ契機けいき清涼飲料水せいりょういんりょうすいケトーシスと同様どうよう病態びょうたいたした1れい」 『糖尿とうにょうびょう』Vol.52 (2009) No.3 P.255-258, doi:10.11213/tonyobyo.52.255
  7. ^ 軽症けいしょう胃腸いちょうえん小児しょうにには希釈きしゃくしたリンゴジュース 電解でんかいしつりの経口けいこうすいえきより治療ちりょう失敗しっぱいすくない 日経にっけいメディカルオンライン

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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