ウォッシュタブ・ベース

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小型こがたのウォッシュタブ・ベースの演奏えんそう風景ふうけい

ウォッシュタブ・ベース（washtub bass）、ないしガットバケット（gutbucket）とは、金属きんぞく製せいの洗濯せんたく用ようの盥たらい（ウォッシュタブ）を共鳴きょうめい胴どうとして用もちいる、アメリカのフォークソングで使用しようされる弦楽器げんがっき。ウォッシュタブ・ベースでも4本ほんやそれ以上いじょうの数かずの弦つると調しらべ弦つる用ようの糸巻いとまきを設もうけることはできるが、伝統でんとう的てきなウォッシュタブ・ベースでは弦つるの張力ちょうりょくを変かえるために（ネック代かわりの）木きの棒ぼうを押おしたり引ひいたりしてピッチが調整ちょうせいされる一本いっぽんの弦つるを有ゆうしている。

ウォッシュタブ・ベースは1900年代ねんだい初期しょきに一部いちぶのアフリカ系けいアメリカ人じんのコミュニティで人気にんきのあったジャグ・バンドで使用しようされた。1950年代ねんだいに、イギリスのスキッフル・バンドが派生はせい型がたである#ティー・チェスト・ベースを使用しようしており、1960年代ねんだいにはアメリカのフォーク・ミュージシャンがジャグ・バンドに影響えいきょうを受うけた音楽おんがくでウォッシュタブ・ベースを使用しようした。

特とくに共鳴きょうめい胴どうの選択せんたくによる基本きほん設計せっけいの変種へんしゅは世界中せかいじゅうで見みられる。その結果けっか、楽器がっきの呼よび名なとしては「ガスタンク・ベース」、「バレル・ベース」、「ボックス・ベース」（トリニダード）、「ブッシュ・ベース」（オーストラリア）、「ババトーニ」（南みなみアフリカ）、「タンブー・マレンゲン」（ハイチ）、「ティンゴタランゴ」（キューバ）、「トゥーロン」（イタリア）、「ランドロフォン」などの数すう多おおくの異名いみょうがある。

伝統でんとう的てきなデザインの特徴とくちょうは単純たんじゅんで、とても低ていコストで、自作じさくできることから、歴史れきし的てきに低てい所得しょとく階層かいそうに結むすび付ついてきた。これらのことから現代げんだいの製造せいぞう者しゃは指ゆび板ばん、ペダル、ピックアップ、ドラムヘッドなどの追加ついかや、木きの棒ぼうが動うごかなくすることなど、基本きほん設計せっけいの変更へんこうを推進すいしんすることも非常ひじょうに一般いっぱん的てきである。

歴史れきし[編集へんしゅう]

PAシステムで増幅ぞうふくされる、エレクトリック "inbindi" ベース

音楽おんがく民族みんぞく学者がくしゃはこの楽器がっきの起源きげんを、樹皮じゅひないし動物どうぶつの皮かわを穴あなの上うえに張はって共鳴きょうめい胴どうとした「グラウンド・ボウ」ないし「グラウンド・ハープ」（英語えいご版ばん）にさかのぼった。コンゴのバカ族ぞくが作つくる ang-bindi はアフリカおよび東南とうなんアジアの部族ぶぞく社会しゃかいの間あいだで発見はっけんされた一いち例れいにすぎないが、関連かんれんする楽器がっきの総称そうしょうとして inbindi が使つかわれている。より持もち運はこびしやすい共鳴きょうめい胴どうの使用しようを含ふくむ設計せっけいの進化しんかは、『ダン・バウ』（ベトナム）および『ゴピチャンド（英語えいご版ばん）』（インド）およびより最近さいきんのピックアップを用もちいて増幅ぞうふくする "electric one-string" などの数すう多おおくのバリエーションへとつながった。

ウォッシュタブ・ベースはジャグ・バンドで使用しようされることがあり、しばしばパーカッションとしての洗濯せんたく板ばんを伴ともなっている。はじめは "spasm bands" として知しられていたジャグ・バンドは、1900年ねんごろニューオーリンズの特とくにアフリカ系けいアメリカ人じんの間あいだで人気にんきがあり、1925年ねんから1935年ねんにかけてメンフィスおよびルイビルで人気にんきの頂点ちょうてんに達たっした。

同おなじころ、アパラチアのヨーロッパ系けいアメリカ人じんは「昔むかし懐なつかしい」民族みんぞく音楽おんがくでこの楽器がっきを使つかっていた。「ガットバスケット・ブルース」として知しられる音楽おんがくスタイルはジャグ・バンドのシーンから生うまれ、サン・レコードのサム・フィリップスがエルヴィス・プレスリーの最初さいしょの録音ろくおんをしたときに、探さがしていた音楽おんがくのタイプとして引用いんようされた。

ウィリー・”ザ・ライオン"・スミス（英語えいご版ばん）の自伝じでんによれば、「ガットバケット」という言葉ことばは、チッターリング（英語えいご版ばん）の材料ざいりょうで一いち杯はいになる自分じぶんの手桶ておけないしバケツを所有しょゆうしていた「黒人こくじんの家族かぞく」に由来ゆらいする。「ガットバケット」という音楽おんがく用語ようごはローダウン・スタイルの音楽おんがくを演奏えんそうすることから生うまれた[1]。

イギリスのスキッフル・バンド、オーストラリアとニュージーランドのブッシュ・バンド（英語えいご版ばん）や南みなみアフリカのクウェラ（）のバンドでは同おなじ種類しゅるいのベースが茶ちゃ箱ばこ（ティー・チェスト）を共鳴きょうめい胴どうとしている。ジョン・レノンとポール・マッカートニーのビートルズ以前いぜんのバンドであるクオリーメンは、1956年ねんごろの多おおくの若わかいバンド同様どうようにティー・チェスト・ベースを採用さいようしていた。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでの1960年代ねんだい前半ぜんはんのフォーク・ミュージック・リバイバルがウォッシュタブ・ベースとジャグ・バンドの音楽おんがくへの興味きょうみを再さい点火てんかした。バンドとしてはのちにグレイトフル・デッドとなったMother McCree's Uptown Jug Championsや、フリッツ・リッチモンド（英語えいご版ばん）がベースを担当たんとうした Jim Kweskin Jug Band などがいた。

ティー・チェスト・ベース[編集へんしゅう]

ティー・チェスト・ベース

ティー・チェスト・ベースは、アップライトなベースの共鳴きょうめい胴どうとしてティー・チェスト（英語えいご版ばん）を用もちいたウォッシュタブ・ベースの派生はせい形がたである。この楽器がっきは伝統でんとう的てきには箒ほうきの柄えを用もちいるポールをチェストの長手ながて側がわに固定こていしたものである。一本いっぽんないし複数ふくすうの弦つるがポールに沿そって張はられ、はじかれる。

ヨーロッパ、特とくにイギリスとドイツではこの楽器がっきはスキッフル・バンドと結むすびついている。オーストラリアでは伝統でんとう的てきに「ブッシュ・バンド（英語えいご版ばん）」で深ふかいサウンドを生うみ出だすために使用しようされていたが、今日きょうではそのようなバンドではエレクトリックベースかダブルベースが使つかわれている。一般いっぱん的てき「ブッシュ・ベース」と呼よばれていた。

その他たの派生はせい型がた[編集へんしゅう]

ティー・チェスト奏者そうしゃが入はいったガム・ツリー・ブッシュ・バンド

特とくに共鳴きょうめい胴どうの選択せんたくによる基本きほん設計せっけいのその他たの派生はせい形がたは世界中せかいじゅうで見みられる：

注目ちゅうもくすべき奏者そうしゃ[編集へんしゅう]

『サンフォード・アンド・サン』のエピソードでのドン・ベクスリーとレッド・フォックス

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Smith, Willie the Lion (1964). Music on My Mind: The Memoirs of an American Pianist, Foreword by Duke Ellington. New York City: Doubleday & Company Inc.. p. 11 
  2. ^ "Fritz Richmond, 66, a Master of the Jug and Washtub Bass, Is Dead", AP/New York Times, November 24, 2005
  3. ^ No label, recorded live in Austria at Jazz-Pub Wiesen and at Montage-Recording, August 1978
  4. ^ Le Chant Du Monde – LDX 274 972, France, 1994
  5. ^ Bass Player Magazine, May 2006
  6. ^ "Before they were Beatles, they were Quarrymen", Gillian G. Gaar, Goldmine Magazine, November 28, 2012
  7. ^ "Lonnie Donegan and the Birth of British Rock and Roll", Patrick Humphries, Biteback Publishing, 2012
  8. ^ Byarlay, Ryan (2009年ねん5月がつ10日とおか). “Redd Foxx (1922-1991)”. Blackpast.org. 2020年ねん9月がつ4日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Ed Ward. “40th anniversary re-issue liner notes. Willy and the Poor Boys” (PDF). 2012年ねん3月がつ14日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2020年ねん9月がつ4日にち閲覧えつらん。
  10. ^ “Neil Diamond, Mama Cass Elliot, Creedence Clearwater Revival, Sergio Mendes & Brasil '66, Smokey Robinson & The Miracles”. IMDb.com (1969年ねん12月1日にち). 2020年ねん9月がつ4日にち閲覧えつらん。
  11. ^ Shoostryng Records, re-issued 1995 by Gadfly Records as Breezes

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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