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トミヨ

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エゾトミヨから転送てんそう
トミヨ
イバラトミヨ(Pungitius pungitius
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: トゲウオ Gasterosteiformes
: トゲウオ Gasterosteidae
ぞく : トミヨぞく Pungitius
たね

本文ほんぶん参照さんしょう

トミヨとみぎょとめ水魚すいぎょ)とはトゲウオトミヨぞくぞくするさかな。また、トミヨぞくぞくするさかな総称そうしょうでもある。

北半球きたはんきゅうひやたい中心ちゅうしん分布ぶんぷし、世界せかいで10しゅ程度ていどられ、日本にっぽんにもすうしゅ分布ぶんぷしている。一般いっぱんには、淡水たんすいいきや汽水域すいいき生息せいそくするが、きれいな冷水れいすい(15前後ぜんこう)をこのむため、日本にっぽんでは北海道ほっかいどう以外いがいでは、水温すいおんひく湧水わきみずやそれに程近ほどちか流域りゅういきなどの淡水たんすい環境かんきょう生息せいそくしている。このため、水質すいしつ変化へんか渇水かっすい影響えいきょうけやすい。各地かくち絶滅ぜつめつ危機ききひんしている場合ばあいがあり、うつくしい自然しぜんのシンボルとして保護ほご活動かつどうおこなわれている。

ビレの前半ぜんはんでは、とげあいだまくがなく、ヒレではなくとげならんでいる状態じょうたいとげすうしゅによって7-10ほん

産卵さんらん(4-6がつ)になると、オスが水草みずくさるいあつめて、水中すいちゅうにピンポンだまじょうのようなおおきさすうcmのつくり、メスをさそ[1]。メスがなか産卵さんらんすると、オスが受精じゅせいさせ、その、オスはものらず、たまごまもり、なか新鮮しんせんみずおくるなどの世話せわをする。この仲間なかまのオスがメスよりも短命たんめいなのは、この子育こそだてが原因げんいんであるというせつがある。

おも種類しゅるい日本にっぽん

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日本にっぽんさんトミヨぞく魚類ぎょるいは、かつてエゾトミヨ、イバラトミヨ、トミヨ、ムサシトミヨ、ミナミトミヨ(日本にっぽんでは絶滅ぜつめつ)と分類ぶんるいされていた[1]。その遺伝いでんがくてき系統けいとう解析かいせきとう研究けんきゅうによりミナミトミヨをのぞ日本にっぽんさんトミヨぞく魚類ぎょるいは、エゾトミヨ、汽水がた淡水たんすいがたゆうぶつがたの4つのグループにけられ、ムサシトミヨは淡水たんすいがたぞくしていた[2]。そのため、体側たいそくにあるうろこばん連続れんぞくせいちがいから分類ぶんるいされていたイバラトミヨやトミヨはたねとしての実体じったいがなくなってしまった[3]

現在げんざいでは、日本にっぽんさんトミヨぞく魚類ぎょるいは、エゾトミヨ、トミヨぞく汽水がた、トミヨぞく淡水たんすいがた、ムサシトミヨ、トミヨぞくゆうぶつがた、ミナミトミヨとされているが[4]学名がくめい和名わみょう記載きさいがなされていない分類ぶんるいぐん存在そんざいするのが実状じつじょうである[3]

エゾトミヨ

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学名がくめいPungitius tymensis英名えいめい:Sakhalin stickleback。
分布ぶんぷは、北海道ほっかいどう樺太からふと(サハリン)[5]淡水たんすいせいで、水草みずくさしげった小川おがわなどに生息せいそく体長たいちょうは7cm程度ていどになり、がわとげはいずれもみじかく、とく背鰭せびれ軟条直前ちょくぜんとげみちの58%以下いかしかない[5]。2007ねんまでの環境省かんきょうしょうレッドリストでは「じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐ」に指定していされていたが、2013ねん以降いこうは「絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい」と評価ひょうかされている[6]
絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい (VU)環境省かんきょうしょうレッドリスト

トミヨぞく汽水がた

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日本にっぽんでは、北海道ほっかいどう東部とうぶ河川かせん流域りゅういき生息せいそくし、体長たいちょうは5-6cm程度ていどになる。に8-10ほんのトゲ、むねからにかけて15-25まい不連続ふれんぞくうろこばんならび、ゆう婚姻こんいんしょく銀色ぎんいろていする[7]。2020ねん環境省かんきょうしょうレッドリストでは「じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐ(NT)」に指定していされている[6]。トミヨぞく分布ぶんぷいき全体ぜんたいわたる遺伝いでんがくてき系統けいとう解析かいせきにより、トミヨぞく汽水がたは、ヨーロッパや北米ほくべいなど北半球きたはんきゅうひろ生息せいそくするPungitius pungitius系統けいとうであると推測すいそくされている[8]
じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐ(NT)環境省かんきょうしょうレッドリスト

トミヨぞく淡水たんすいがた

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分布ぶんぷいきは、日本にっぽん、ロシアの極東きょくとういき沿岸えんがん韓国かんこく中国ちゅうごく[8]日本にっぽんさんトミヨぞく魚類ぎょるいなかではもっとひろ分布ぶんぷいきち、福井ふくいけん以北いほく日本海にほんかいがわ岩手いわてけん以北いほく本州ほんしゅう北海道ほっかいどう[5]体側たいそくうろこばん連続れんぞくする個体こたい不連続ふれんぞく個体こたい存在そんざいし、かつてトミヨやイバラトミヨと分類ぶんるいされていたもののおおくがトミヨぞく淡水たんすいがたである。本州ほんしゅうおも生息せいそくは、湧水わきみずみなもとみずんだ細流さいりゅうである[5]。2020ねん環境省かんきょうしょうレッドリストでは、本州ほんしゅうのトミヨぞく淡水たんすいがたは「絶滅ぜつめつおそれのある地域ちいき個体こたいぐん(LP)」に指定していされ[6]福井ふくいけん石川いしかわけん新潟にいがたけんでは絶滅ぜつめつ危惧きぐIるい指定していされている[9][10][11]。トミヨぞく淡水たんすいがたは、遺伝いでんがくてき系統けいとう解析かいせきによりPungitius sinensis系統けいとうであると推測すいそくされている[8]

トミヨぞくゆうぶつがた

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秋田あきたけん山形やまがたけん内陸ないりく分布ぶんぷする[12]体長たいちょうは5cm程度ていどで、うろこばん不連続ふれんぞく個体こたいだけである[4]。トミヨぞくゆうぶつがたは、Takahashi et al. (2016)により、ロシア沿海州えんかいしゅう韓国かんこく生息せいそくし、P. kaibaraeとされるものとおな系統けいとうぞくすることがしめされている[8]。2020ねん環境省かんきょうしょう秋田あきたけん山形やまがたけんのレッドリストでは「絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい(CR)」に指定していされている[6][13][14]
絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい (CR)環境省かんきょうしょうレッドリスト

ミナミトミヨ

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ミナミトミヨ標本ひょうほん
学名がくめいPungitius kaibarae
1960年代ねんだいまでに絶滅ぜつめつしたとかんがえられている日本にっぽん固有こゆうしゅ[15]京都きょうと兵庫ひょうごけん瀬戸内海せとないかいがわ流域りゅういきとく湧水わきみず付近ふきん小川おがわ水田すいでんなどからつかっていた。一生いっしょう淡水たんすいごすとかんがえられている。体長たいちょう 4cm程度ていど。ミナミトミヨをトミヨの亜種あしゅとするせつもある。その場合ばあい学名がくめいP. sinensis kaibarae
絶滅ぜつめつ環境省かんきょうしょうレッドリスト

大陸たいりくにはP. kaibaraeとされるものが現存げんそんするが、ミナミトミヨとは形態けいたいがくてき同一どういつではない。

ムサシトミヨ

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ムサシトミヨ
ムサシトミヨ生息せいそく埼玉さいたまけん熊谷くまがや久下くげ
学名がくめいPungitius sp.。さだまった学名がくめいがない。
関東かんとう地方ちほう一部いちぶ東京とうきょう西部せいぶ石神井しゃくじいかしら埼玉さいたまけん熊谷くまがや本庄ほんじょう川越かわごえ群馬ぐんまけん茨城いばらきけん千葉ちばけん)に生息せいそくしていたことがられているが、都市とし環境かんきょう汚染おせんなどの影響えいきょう生息せいそく急激きゅうげき減少げんしょうしていった。20世紀せいき終盤しゅうばん以降いこう確実かくじつ生息せいそく確認かくにんされているのは埼玉さいたまけん熊谷くまがや元荒川もとあらかわみなもと流域りゅういきのみである[16]平成へいせい3ねん埼玉さいたまけんけん天然記念物てんねんきねんぶつおよび「けんさかな」に指定していした。平成へいせい23ねんには熊谷くまがやが「さかな」に指定していし、熊谷くまがやムサシトミヨ保護ほごセンター拠点きょてんにして、保護ほごいている(推定すいてい生息せいそくすうなどの近年きんねんにおける詳細しょうさいについてもどう項目こうもく参照さんしょう)。しょくせいはボウフラや水生すいせい昆虫こんちゅうちいさな甲殻こうかくるいべている。まもるためにには8 - 9ほんはらには2ほんしりには1ほんのトゲがあり、体長たいちょう3.5 - 6cmほどうろこばん部分ぶぶんにある。からだしょくみどりっぽいくら緑色みどりいろ寿命じゅみょうみじかやく1ねんで、産卵さんらん(3がつごろ)には婚姻こんいんしょくからだしょくすこくろずむことがある。
絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい (CR)環境省かんきょうしょうレッドリスト

ムサシトミヨが日本にっぽんられるおも動物どうぶつえん水族館すいぞくかん

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地方ちほうめい

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イシャジャ(新潟にいがたけん)、トゲブナ(埼玉さいたまけん)、ハリウオ・ハリオ(富山とやまけん)、ハリサバ(石川いしかわけん)など[17]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 原色げんしょく日本にっぽん淡水魚たんすいぎょるい図鑑ずかんぜん改訂かいてい新版しんぱん. 保育ほいくしゃ. (1978ねん3がつ1にち) 
  2. ^ (編著へんちょ)後藤ごとうあきら, (編著へんちょ)もり誠一せいいち, (ちょ)高橋たかはしひろし ほか「mtDNA分子ぶんし系統けいとうからみたひがしアジアさんトミヨぞく魚類ぎょるい進化しんか歴史れきし」『トゲウオの自然しぜん多様たようせいなぞとその保全ほぜん』、北海道大学ほっかいどうだいがく図書としょ刊行かんこうかい、2003ねん、74-89ぺーじISBN 978-4832980419NAID 20001533280 
  3. ^ a b 酒井さかいおさむおのれ(2009), 「名前なまえのないトゲウオるい」『魚類ぎょるいがく雑誌ざっし』 56かん 2ごう 2009ねん p.178-179, 日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい, doi:10.11369/jji.56.178
  4. ^ a b ちゅうぼうてっへん. 2013. 日本にっぽんさん魚類ぎょるい検索けんさく ぜんたね同定どうてい だいさんはん. 東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい. 神奈川かながわけん平塚ひらつか. 2440pp.
  5. ^ a b c d 細谷ほそやかずうみへん監修かんしゅう. 2015. やまけいハンディ図鑑ずかん15 日本にっぽん淡水魚たんすいぎょ. やま渓谷社けいこくしゃ. 東京とうきょう. 527pp.
  6. ^ a b c d 環境省かんきょうしょうレッドリスト2020の公表こうひょうについて”. 環境省かんきょうしょう. 2020ねん3がつ27にち閲覧えつらん
  7. ^ 高田たかだ啓介けいすけ, 後藤ごとうあきら, 山崎やまざき文雄ふみお, 「イバラトミヨPungitius pungitiusの汽水がた個体こたいぐん生化学せいかがくてき同定どうてい, およびその形態けいたいてき, 生態せいたいてき特徴とくちょう」『魚類ぎょるいがく雑誌ざっし』 1987ねん 34かん 2ごう p.176-183, 日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい, doi:10.11369/jji1950.34.176
  8. ^ a b c d Takahashi et al. 2016. "Species phylogeny and diversification process of Northeast Asian Pungitius revealed by AFLP and mtDNA markers." Molecular Phylogenetics and Evolution. 99: 44-52, doi:10.1016/j.ympev.2016.03.022.
  9. ^ 改訂かいていばん福井ふくいけん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつ”. 福井ふくいけん. 2020ねん12月28にち閲覧えつらん
  10. ^ 「いしかわレッドデータブック2020」公開こうかいページ”. 石川いしかわけん. 2020ねん12月28にち閲覧えつらん
  11. ^ 貴重きちょう野生やせい動植物どうしょくぶつ保護ほご(レッドデータブック・リスト)”. 新潟にいがたけん. 2020ねん12月28にち閲覧えつらん
  12. ^ 杉山すぎやま秀樹ひでき, もり誠一せいいちトミヨぞくゆうぶつがた:きわめて限定げんていされた生息せいそく湧水わきみずささえられるのこそんしゅ命運めいうん」『魚類ぎょるいがく雑誌ざっしだい56かんだい2ごう日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい、2009ねん、171-175ぺーじdoi:10.11369/jji.56.171ISSN 0021-5090NAID 130003397767 
  13. ^ 秋田あきたけんばんレッドリスト2016(爬虫類はちゅうるい両生類りょうせいるい淡水魚たんすいぎょるいくがさん貝類かいるい)について”. 秋田あきたけん. 2020ねん12月30にち閲覧えつらん
  14. ^ 山形やまがたけんレッドリストについて”. 山形やまがたけん. 2020ねん12月30にち閲覧えつらん
  15. ^ 細谷ほそやかずうみ, 前畑まえはたまさしぜん日本にっぽんにおける希少きしょう淡水魚たんすいぎょ現状げんじょう系統けいとう保存ほぞん方向ほうこうせい」『養殖ようしょく研究所けんきゅうじょ研究けんきゅう報告ほうこくだい23ごう水産庁すいさんちょう養殖ようしょく研究所けんきゅうじょ、1994ねん、17-25ぺーじISSN 03895858NAID 40004366584 
  16. ^ 金澤かなざわひかりムサシトミヨ:世界中せかいじゅう唯一ゆいいつ熊谷くまがやのこったさかな」『魚類ぎょるいがく雑誌ざっしだい56かんだい2ごう日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい、2009ねん、175-178ぺーじdoi:10.11369/jji.56.175ISSN 0021-5090NAID 130003397768 
  17. ^ 日本にっぽんさんさかなめいだい辞典じてん. 三省堂さんせいどう. (1981ねん4がつ8にち) 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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