カナキヌマブ

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カナキヌマブ?
IL-1βべーた)に結合けつごうしたカナキヌマブ(あお[1]
モノクローナル抗体こうたい
種類しゅるい 全長ぜんちょう抗体こうたい
原料げんりょう ヒト
抗原こうげん IL-1βべーた
臨床りんしょうデータ
販売はんばいめい イラリス、Ilaris
Drugs.com 患者かんじゃ情報じょうほう(英語えいご)
Consumer Drug Information
ライセンス EMA:リンクUS FDA:リンク
法的ほうてき規制きせい
  • JP: 処方箋しょほうせん医薬品いやくひん
  • US: -only
投与とうよ経路けいろ 皮下ひか注射ちゅうしゃ
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
914613-48-2 ×
ATCコード L04AC08 (WHO)
DrugBank DB06168 チェック
ChemSpider none チェック
UNII 37CQ2C7X93 チェック
ChEMBL CHEMBL1201834 ×
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC6452H9958N1722O2010S42
分子ぶんしりょう145.2 kg/mol
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カナキヌマブ(Canakinumab)[2]は、インターロイキン-1βべーた標的ひょうてきとするヒトモノクローナル抗体こうたいである。IL-1βべーた以外いがいインターロイキン-1ぐん(インターロイキン-1αとう)には作用さようしない[3]商品しょうひんめいイラリス皮下ひかちゅうよう150mg(ノバルティス製造せいぞう販売はんばい)。開発かいはつコードACZ885。

カナキヌマブはクリオピリン関連かんれん周期しゅうきねつ症候群しょうこうぐん英語えいごばん(CAPS)[4]治療ちりょうもちいられる。米国べいこくで2009ねん6がつ[5]欧州おうしゅうで2009ねん10がつ[6]日本にっぽんで2011ねん9がつ[7]承認しょうにんされた。CAPSは自己じこ免疫めんえき疾患しっかん一種いっしゅで、家族かぞくせい寒冷かんれいアレルギーマックル・ウェルズ症候群しょうこうぐん英語えいごばん新生児しんせいじ発症はっしょう臓器ぞうきけい炎症えんしょうせい疾患しっかん英語えいごばんひとしふくまれる。

効能こうのう効果こうか[編集へんしゅう]

日本にっぽん承認しょうにんされている効能こうのう効果こうか[8]

である。

禁忌きんき[編集へんしゅう]

おもあつ感染かんせんしょう活動かつどうせい結核けっかく患者かんじゃには禁忌きんきとされている。

副作用ふくさよう[編集へんしゅう]

日本にっぽん国内こくない海外かいがいでの治験ちけん合計ごうけいすると、42.6%の患者かんじゃ副作用ふくさようられ、おも副作用ふくさようは、はな咽頭いんとうえん口内こうないえん気管支炎きかんしえん頭痛ずつう体重たいじゅう増加ぞうか眩暈げんうんとうであった[8]

重大じゅうだい副作用ふくさようには、じゅうあつし感染かんせんしょう敗血症はいけつしょう日和見ひよりみ感染かんせんしょうアスペルギルスしょう定型ていけいこうさんきんしょう帯状疱疹たいじょうほうしんひとしとう)とこうちゅうだま減少げんしょう明記めいきされている。感染かんせんしょうとき致命ちめいてき転帰てんき辿たどる。

その開発かいはつ[編集へんしゅう]

カナキヌマブを関節かんせつリウマチ治療ちりょうもちいる臨床りんしょう試験しけん実施じっしされていたが、2009ねん10がつ完了かんりょうした[10]。そのにも、慢性まんせい閉塞へいそくせいはい疾患しっかん[11]痛風つうふうきょせいこころ疾患しっかん治療ちりょうかんするだいIしょう臨床りんしょう試験しけん実施じっしされている。さらに、統合とうごう失調しっちょうしょう[12]治療ちりょうへの応用おうよう試験しけんちゅうである。痛風つうふう治療ちりょう臨床りんしょう試験しけん結果けっかてい用量ようりょうステロイドよりも良好りょうこうであるが、コストは5せんばい以上いじょうかる[13]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Rondeau JM, Ramage P, Zurini M, Gram H (2015). “The molecular mode of action and species specificity of canakinumab, a human monoclonal antibody neutralizing IL-1βべーた.”. MAbs 7 (6): 1151-60. doi:10.1080/19420862.2015.1081323. PMID 26284424. http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19420862.2015.1081323#abstract. 
  2. ^ Dhimolea, Eugen (2010). “Canakinumab”. MAbs 2 (1): 3–13. doi:10.4161/mabs.2.1.10328. PMC 2828573. PMID 20065636. http://www.landesbioscience.com/journals/mabs/article/10328/. 
  3. ^ Lachmann, HJ; Kone-Paut I; Kuemmerle-Deschner JB (4 June 2009). “Use of canakinumab in the cryopyrin-associated periodic syndrome”. New Engl J Med 360 (23): 2416–25. doi:10.1056/NEJMoa0810787. PMID 19494217. 
  4. ^ Cryopyrin(クリオピリン)周期しゅうきねつ症候群しょうこうぐん(平成へいせい23年度ねんど)”. 難病なんびょう情報じょうほうセンター. 2016ねん7がつ24にち閲覧えつらん
  5. ^ "New biological therapy Ilaris approved in US to treat children and adults with CAPS, a serious life-long auto-inflammatory disease" (Press release). Novartis. 18 June 2009. 2009ねん7がつ28にち閲覧えつらん
  6. ^ Wan, Yuet (2009ねん10がつ29にち). “Canakinumab (Ilaris) and rilonacept (Arcalyst) approved in EU for treatment of cryopyrin-associated periodic syndrome”. National electronic Library for Medicines. http://www.nelm.nhs.uk/en/NeLM-Area/News/2009---October/29/Canakinumab-Ilaris-and-rilonacept-Arcalyst-approved-in-EU-for-treatment-of-cryopyrin-associated-periodic-syndrome/ 2010ねん4がつ14にち閲覧えつらん 
  7. ^ イラリス:CAPSにちょこうするこうIL-1βべーた抗体こうたい製剤せいざい”. 日経にっけいメディカル (2011ねん11月3にち). 2016ねん7がつ24にち閲覧えつらん
  8. ^ a b イラリス皮下ひかちゅうよう150mg 添付てんぷ文書ぶんしょ” (2015ねん3がつ). 2016ねん7がつ24にち閲覧えつらん
  9. ^ a b c https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20161219-1
  10. ^ clinicaltrials.gov, Identifier NCT00784628: Safety, Tolerability and Efficacy of ACZ885 (Canakinumab) in Patients With Active Rheumatoid Arthritis”. 2010ねん8がつ21にち閲覧えつらん
  11. ^ Yasothan U, Kar S (2008). “Therapies for COPD”. Nat Rev Drug Discov 7 (4): 285. doi:10.1038/nrd2533. 
  12. ^ https://www.neura.edu.au/research/projects/canakinumab-add-treatment-schizophrenia-cats-study
  13. ^ Sivera, F; Wechalekar, MD; Andrés, M; Buchbinder, R; Carmona, L (Sep 1, 2014). “Interleukin-1 inhibitors for acute gout.”. The Cochrane database of systematic reviews 9: CD009993. doi:10.1002/14651858.CD009993.pub2. PMID 25177840.