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マイコトキシン

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カビどくから転送てんそう
麦角ばっかくきんおかされたライムギ

マイコトキシン (Mycotoxin) とは、カビ代謝たいしゃ産物さんぶつとしてさんされるどく総称そうしょうである[1]ヒト家畜かちくなどにたいして、急性きゅうせいもしくは慢性まんせい生理せいりてきあるいは病理びょうりてき障害しょうがいあたえる物質ぶっしつ現在げんざい、300種類しゅるい以上いじょうのマイコトキシンが報告ほうこくされており、アスペルギルス (Aspergillus) ぞくペニシリウム (Penicillium) ぞくフザリウム (Fusarium) ぞくの3ぞくによりさんされるものがほとんどである。

Mycotoxin という単語たんごは「きんの」という意味いみ接頭せっとうである myco- と、「どく」の意味いみである toxin からなる造語ぞうご

概要がいよう

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さんせいきん死滅しめつしてもさんされたマイコトキシンはのこり、さらねつ分解ぶんかいされにくく、食品しょくひん加工かこう程度ていど加熱かねつ環境かんきょう変化へんかなどでは分解ぶんかいされず、除去じょきょ困難こんなんであることから食品しょくひんちゅうふくまれ問題もんだいとなる。しかし、食品しょくひんちゅう含有がんゆう残留ざんりゅう)する規制きせい各国かっこく都合つごうわせた採用さいようされ、リスクゼロが目的もくてきではなく「リスクをおさ基準きじゅん以上いじょう含有がんゆう廃棄はいきされる穀物こくもつ抑制よくせい飢餓きが発生はっせいさせないための」として認識にんしきされている[2]

摂取せっしゅ経路けいろは、カビがえた食物しょくもつ直接ちょくせつ摂取せっしゅと、カビどく一種いっしゅであるアフラトキシンB1ふくまれた飼料しりょうべたうしちちからもアフラトキシンB1が検出けんしゅつされていることから間接かんせつ摂取せっしゅきえる(飼料しりょう確認かくにんされるマイコトキシン英語えいごばん[1]

代表だいひょうてきなマイコトキシン

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トリコテセンの骨格こっかく
アフラトキシン (AFB1,AFB2)
アスペルギルス・フラバス英語えいごばんAspergillus flavus、フラブスと表記ひょうきされる場合ばあいもある)やアスペルギルス・パラジチカス (A. parasiticus) などのカビによりさんされる。
天然てんねん物質ぶっしつとしては現在げんざいられているなかもっと発癌はつがんせいたかいものである。1971ねん昭和しょうわ46ねん)、厚生省こうせいしょう当時とうじ)の通達つうたつによりピーナッツ含有がんゆう食品しょくひんにおいて 0.01 ppm 以下いか基準きじゅんもうけられ、現在げんざいではすべての食品しょくひん適用てきようされている。
オクラトキシンA、B
アスペルギルス・オクラセウス (Aspergillus ochraceus) やペニシリウム・ビリディカータム (Penicillium viridicatum) などのカビによりさんされる。汚染おせんされる食品しょくひん穀類こくるい、コーヒーまめ、ブドウ加工かこう品等ひんとうじん毒性どくせいおよかん毒性どくせいつ。バルカンじんしょう原因げんいん物質ぶっしつとしてうたがわれていたが、研究けんきゅう結果けっか、オクラトキシンは原因げんいん物質ぶっしつでないことが確認かくにんされた[3]。また、動物どうぶつ実験じっけんでははつガンせい確認かくにんされている。
シトリニン
ペニシリウム・シトリナム (Penicillium citrinum) やペニシリウム・ビリディカータム (P. viridicatum) などのカビによりさんされ、じんほそ尿にょうかん上皮じょうひ変性へんせいこす。へんまいどく成分せいぶんのひとつ。
トリコテセンけいマイコトキシン
穀物こくもつ寄生きせいするフザリウム (Fusarium) ぞく一部いちぶたねなどによりさんされる。汚染おせんされた穀物こくもつ摂取せっしゅすることにより、食中毒しょくちゅうどくせい白血球はっけっきゅうしょう (ATA) とわれる中毒ちゅうどく症状しょうじょう悪心あくしん嘔吐おうと腹痛はらいた下痢げり造血ぞうけつ機能きのう障害しょうがい免疫めんえき不全ふぜんなど)をこす。キノコカエンタケおなどくさんせいする。代表だいひょうてきなものにはデオキシニバレノール (DON)、ニバレノール (NIV)、T-2トキシンがある。
パツリン
ペニシリウムぞく(アオカビるい)、アスペルギルスぞく(コウジカビるい)によってさんされる。くさったリンゴモモブドウなど果実かじつ表面ひょうめんにつき、果汁かじゅうなどを汚染おせんする。消化しょうかかん充血じゅうけつ出血しゅっけつ潰瘍かいようとう動物どうぶつ実験じっけん)をこす。発癌はつがんせいうたがわれている。
ルテオスカイリンステリグマトシスチン
アスペルギルス・ベルシコロルなど (Aspergillus versicolor) によってさんされる。ルテオスカイリンはかん毒性どくせい、ステリグマトシスチンは発癌はつがんせいつ。
シクロクロロチン
ペニシリウム・イスランディクム (Penicillium islandicum) などによってさんされ、出血しゅっけつともなきも細胞さいぼう壊死えしこす。へんまいどく成分せいぶんのひとつ。
ルブラトキシン
ペニシリウム・ルブルム (Penicillium rubrum) などによってさんされる。きも毒性どくせいつ。
ペニシリンさん
ペニシリウム・ベロッコサム (P. verrucosum) などによってさんされる。
ホモプシン
特定とくてい豆類まめるい寄生きせいするカビによってさんされ、光線こうせん過敏かびんしょうこす。
シクロピアゾンさん (CPA)
アフラトキシンさんせいきんによってさんされる。伝統でんとうてきにチーズや醸造じょうぞう食品しょくひん生産せいさんもちいられているきんしゅにもさんせいのうがあることが報告ほうこくされている[4]
麦角ばっかくアルカロイド
Claviceps purpuraeなどによってさんされ、跛行はこう乾性かんせい壊死えしぶたちちしょうこす。
スポリデスミン
Pithomyces chartarumなどによってさんされ、光線こうせん過敏かびんしょうこす。
ロリトレム
Neotyphodium lolliなどによってさんされ、痙攣けいれんなどの神経症しんけいしょうじょうこす。
フモニシン
(Fusarium) ぞくによりさんされ、おもにトウモロコシが汚染おせんされる。うま大脳だいのうしろしつ液化えきかせい壊死えししょうやブタのはい水腫すいしゅ原因げんいん物質ぶっしつ。ヒトでは食道しょくどうガンとの因果いんが関係かんけいうたがわれているほか、新生児しんせいじ神経しんけいかん欠損けっそんのリスクをたかめる。
ゼアラレノン(ZEA,ZON,ZEN)、ブテノライド
上記じょうきのフザリウムぞくさんせいするマイコトキシン。ゼアラレノンはゼラノール前駆ぜんくたいであり、つよ内分泌ないぶんぴつ撹乱かくらん作用さようち、家畜かちくにん流産りゅうざんそと陰部いんぶ肥大ひだいこす。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b べものについてっておきたいこと サイト:食品しょくひん安全あんぜん委員いいんかい p.19
  2. ^ 川本かわもと伸一しんいち技術ぎじゅつ解説かいせつ: 食品しょくひん安全あんぜん分野ぶんやにおける研究けんきゅう」『食品しょくひん技術ぎじゅつ』、独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん のうけん機構きこう 食品しょくひん総合そうごう研究所けんきゅうじょ、2009ねん2がつ2010ねん11月18にち閲覧えつらん 
  3. ^ 鈴木すずき孝昌たかまさ, 小原おはら有弘ありひろ ほか、バルカンじんしょう原因げんいん物質ぶっしつとしてのアリストロキアおよびオクラトキシンA 日本にっぽん環境かんきょう変異へんいげん学会がっかい大会たいかいプログラム・要旨ようししゅう (38), 140, 2009-11-06, NAID 110007522299
  4. ^ 佐々木ささき美香みか斉藤さいとうみつぐいち渡邉わたなべみどり ほか、LC/UVによる液状えきじょう調味ちょうみりょうちゅうシクロピアゾンさん定量ていりょう日本にっぽん食品しょくひん化学かがく学会がっかい』 2015ねん 22かん 3ごう p.163-169, doi:10.18891/jjfcs.22.3_163, NAID 110010022699

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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